リノベーションで誕生したゲストハウスTOYKO HÜTTE〜突撃!隣のDIY! vol.14〜

14回目となるDIYer取材企画。今回は、東京は押上というスカイツリーのお膝元に位置する、ゲストハウスへ取材してまいりました。

公開日 2017.03.02

更新日 2022.01.07

リノベーションで誕生したゲストハウスTOYKO HÜTTE〜突撃!隣のDIY! vol.14〜

ゲストハウスのほか、コワーキングスペース、カフェ&トーストバー「inkr(インカー)」の3つの要素から構成される「TOYKO HÜTTE(トーキョーヒュッテ)」。再開発でにぎわいつつも下町の雰囲気が残る押上エリアに2014年に誕生し、地元民のほか海外からの旅行客まで色々な人が利用しています。そんな多くの人に愛されるゲストハウスは、もともとは金物会社だった2階建ての物件をリノベーションして現在の空間へと作り上げたもの。とはいえ施工業者さん任せのただのリノベーションではありません。そう、みなさまもお気付きのようにオーナーさんや友人たちが参加し、プロの仕事+DIYでリノーションしたのです。今回、オーナーの1人である塩田さんのほか、実際にDIYに参加した友人の方も交えて、リノベーションポイントについて伺いました。

 

スカイツリーのお膝元である押上駅にあるTOYKO HÜTTE。屋上から見えるスカイツリーはこの迫力です。

 

こちらはTOKYO HÜTTEの正面玄関。

 

入口脇に設置されたDIYベンチ。段差を考慮し、手前と奥で脚の長さを変更。DIYならではの工夫が見受けられます。

 

こちらのウッドデッキやベンチもお手製。ベンチは友人が製作した鉄のフレームに板材を取り付けてDIY。

 

こちらのベンチも鉄フレームに天板を乗せてDIYしたもの。すぐ脇に川が流れており、晴れた日にはコーヒーを片手に座って水面やスカイツリーを眺めるなど、憩いの場になっています。

 

中央にいるのがオーナーの1人である塩田さん。店内の家具のほとんどに使われている鉄フレームの製作を行った荻原さん(左)と、壁の塗装、家具の製作などを手伝った新井さん(右)。2人とも本職は全く異なる業種の方たちです。

 

-TOKYO HÜTTEについて教えて下さい。

塩田さん「TOKYO HÜTTEは3人で経営しているんですが、友人2人がもともと海外でゲストハウスで働いていたんです。それでいつか日本でもゲストハウスをやってみたいと考えていたところに、僕が参加した形ですね。もともと人が集まる場所を作りたかったので、ゲストハウスと一緒にカフェとコワーキングスペースを始めました。ゲストハウスは7〜8割ほどが外国から来た方が利用しますが、週末になると地方から旅行に来た方や就職活動で東京に来た方など、いろいろな方に使っていただいています」

 

1Fはカフェとコワーキングスペース。大きな窓から入る自然光や高さのある天井で開放された雰囲気。カフェのお客さんやゲストハウスの宿泊客、コワーキングスペースの利用者など、思い思いの過ごし方をしています。

 

スペシャリティコーヒーをはじめアルコール、トーストを取り扱うカフェ、inkr。代官山のロースタリーであるWOODBERRY COFFEE ROASTERSの豆を使用した香り高い一杯は、長旅に疲れた旅行客やひと息つきたいコワーキングスペースの利用者などから人気を集めています。

 

墨田区東向島にある人気のベーカリーであるブーランジェリー・トロワの食パンを使用したキーマカレートースト。キーマカレーは、スパイスを使って作り上げた本格的な仕上がり。

 

-リノベーションでゲストハウスを作ったきっかけは何でしょうか?

塩田さん「この物件を選んだのは、リノベーションやDIYをしたいという理由ではなく、旅館業法の基準をクリアする物件だったからなんです。古民家だったり、ホテルの居抜き物件だったりしたら、カフェとコワーキングスペースはやっていなかったかもしれません。その後物件を契約して施工の見積もりをしてもらうと、どうしても予算と合わない。だったら自分達で出来る部分はやってしまおうという流れで、今のTOKYO HÜTTEが誕生したんです」

 

-DIYすることにためらいはありませんでしたか

塩田さん「自分の本職がグラフィックデザインということもあって、何かを設計したり、自分の手で作り上げるということに対して、抵抗はなかったです。むしろ、自分の父親が昔から日曜大工で色々と作っているのを見てきたので、自然な流れですね。それにDIYだったらスペースにピッタリな家具が作れたり、なおかつ愛着も湧くじゃないですか。自分たちで床や壁も塗っているんですが、新しいものはどうしても汚れて古くなってしまいますが、その都度綺麗に仕上げ直してあげるっていう方が、建物に対しても、来てくれる方に対しても真摯なのかなって思うんです」

 

こちらのソファも入り口前のベンチ同様、鉄フレームを使用したもの。奥のテーブルや棚に使用した木材はリノベーションの際に出た廃材を再利用したプロダクト。

 

 

こちらのDIYテーブルには、多国籍に対応した日本のガイドブックが。他にも『ブラック・ジャック』や『バカボンド』など、日本を代表するコミックが収納されています。

 

カウンターのハイチェアは、近くのラーメン屋さんで使用されていたもの。表面がテカテカとした、バーにあるようなデザインだったそうですが、スタッフとサンディングし、塗り直してカフェスペースに合う雰囲気に。

 

カウンターテーブルもDIYで製作。タイルをあしらってデザイン性をプラスしました。

 

ゲストハウスの入り口には目にも優しい観葉植物をレイアウト。DIYした棚を使って、見せ方にリズムをつけています。

 

有孔ボードに棚板とゴム、釘を使って、東京のガイド本を設置しました。

 

-実際に自分たちの手でリノベーションやDIYを行っていかがでしたか?

新井さん「自分たちで作り上げた建物なので、やっぱり愛着がありますね。家や仕事場から遠くても、今日みたいに遊びに来たくなる空間ですし。ただ、天井を塗る作業は思った以上に首が疲れましたね(笑)」

荻原さん「塩田君から家具のフレーム作りを依頼されて、面白いなって思いすぐに試作品を作り始めました。イメージ通りのものが出来上がるまで、何回も試作したのが懐かしいですね。建材用の鉄加工をする仕事をしているのですが、家具用のパーツは初めて作ったので、実際に使っている人の様子が見れて嬉しいですよ」

塩田さん「荻原さんに作ってもらった1人掛けのソファは、外国人の方にゆったり座ってもらえるように日本規格のものよりもやや大きく設計しているんです。実際にリラックスして利用してもらっている様子を見ると、DIYしてよかったなと思いますね。あとは作ってみてグラグラするようだったらしっかりと補強を施すなど、丈夫さや安全性をとにかく重視してDIYしました」

 

2段ベッドのカーテンには、パッチワークされた藍染生地を使用しています。いかにもヴィンテージな雰囲気を放つこちらは、塩田さんの祖父母の家を片していた際に出てきたものだとか。

 

ゲストハウス宿泊者用のセキュリティボックス。全客室に設置されているのですが、こちらもDIY。限られたスペースにぴったりフィットするよう作れるのもDIYの魅力です。

 

2段ベッドの外側は、スタッフや新井さんなどで塗り上げました。

 

床のニスや壁の塗装などもDIY。

 

剥き出しの鉄骨を生かして、パンフレットやフライヤー用の棚をDIY。鉄骨に合わせて、端を斜めにするなど細かい部分まで気を使っています。

 

ゲストハウスTOYKO HÜTTEを作り上げていく中で選んだDIYで行うセルフリノベーション。実際に取り組んでみると、家具やインテリアをイメージした通りのサイズや雰囲気に仕上げることができました。建物や利用者に対して特別な思いが生まれたようです。新しく店舗経営を考えている方、DIYによるお店作りも、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

 

 

INFORMATION

TOKYO HÜTTE

 住所:東京都墨田区業平4-18-16 

電話番号:03-5637-7628

HP:http://www.tokyohutte.co.jp/

営業時間:9:00〜22:00(ゲストハウス受付、カフェ、コワーキングスペース全て同じ)

チェックイン:15:00〜23:00、チェックアウト:9:00〜11:00

 

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