セルフリノベーションで表現した世界観 ~突撃!隣のDIY! Vol.22~

DIYのアイデアを参考にするべく、さまざまな人のお宅やショップなどに突撃取材する本企画。今回は、東急東横線学芸大学駅から歩いて10分の所にショップ兼アトリエを構えるハンドメイドのレザーブランド「Brown Brown」を訪問し、こだわりのDIYを見せていただきました。

2022.01.07

素材の選定から縫製に至るまで、妥協なきものづくり精神を革小物に宿す《Brown Brown(ブラウンブラウン)》。2017年12月にオープンさせたというショップ兼アトリエにお邪魔しました。
店内に一歩足を踏み込めば、そこにはヴィンテージ感あふれるウッドベースの空間が広がります。そこに陳列されたレザーアイテムの雰囲気とインテリアが絶妙にマッチしており、使用している什器はどれも味わい深いものばかり。店内奥にアトリエが併設され、そこでアイテムの製作を行っているとのこと。
この場所をDIYしたのは同ブランドのデザイナー、川村達郎さん。以前使用していたアトリエが取り壊しとなってしまい、新たに物件を探すところからスタートしたそうです。そのお話を伺いながら内装をのぞいて行きましょう。

川村さんが相方の渡邊祐さんと一緒に手がけているという《Brown Brown》。現在は東京が川村さん、沖縄に渡邊さんという形でそれぞれショップも運営し、活動を行っているとのこと。

「以前のアトリエも空き家の中を一回片付けてから全部DIYしていたんですよ。でも、そこから出なくちゃいけなくなって新しい工房を探しました。場所は都内の中心地であればどこでもよかったんですが、工房なのに賃貸で汚れないように気にしながら作業はできないので、やっぱり内装は自由にDIYしたかった」。そう話してくれた川村さんですが、住居だけではなく事務所や店舗でもDIYが許される賃貸物件は少なくて困ったんだとか。

「物件は探せばあるんだろうな、って気楽に考えていたんですけど全っ然なくて…。少し都心部から離れれば、安くて広い物件はありましたけど、お店を併設したかったのでアクセスを考えるとそういう場所はナシでした。自分が提示していた条件に当てはまる物件はなかなか出てこないって、相談していた知り合いの不動産に言われるくらい。あと1ヶ月くらいで物件を決めなきゃいけないって頃に、本当にたまたまここが空いたんですよ!だから、ここがよかったっていうより、条件を満たしたのが、たまたまここでした」。難航した中での唯一の出会いとなって、即決したそうです。

《Brown Brown》は手染めを施したレザーが1番の特徴。新品だけど、新品っぽくない色味が魅力で、ひとつひとつ違った表情をみせてくれます。「手染めは大変だけど、その風合いが好きなのでこれからもキープしていきたいですね」。

「ここは以前、魚屋だったみたいです。そこのお店を畳むってことで内装を取り壊している最中に内見に来たんですよ。大家さんもその場にいたから、床と天井だけそのまま壊していた業者にお願いして、壁とか他の部分は自分でやるから貸してくださいって交渉して借りられることに。そこから1ヶ月半くらいかけて専門学校時代の友だちと一緒にDIYし始めました」。その専門学校の時の友人は、現在家具職人をしているそうでDIYはお手のもの。川村さんがイメージしたものを一緒に具現化して作ってくれたそうです。それではDIYで作り上げた部分と随所のこだわりを見てみましょう。

▼外装

ショップの顔となる看板も自身で製作。もともとは用途不明のアンティークL字ブラケットだったそうで、お店をオープンさせるにあたって看板が必要になり、これがピッタリだと気づいて古材と組み合わせて作ったそうです。オープンして半年も経っていませんが、長年この場所に根を張っているショップのような風合いのある看板が完成しました。

まずお店の前に立つと目に入るのが、大きな扉。これもDIYによるもので、自信作だそうです。

「扉は観音開きにしたかったけど、理想のサイズの2枚セットの扉がなかなか見つからず。あったとしてもすごく高価なんですよ。そんな中ジャストな幅の扉2枚に出会ったんですが、それは下半分だけの高さしかなくて。でも、それを購入して、職人の友人と一緒にガラスと枠をはめて加工し、入り口の扉として使っています。かなり上手にできました」。

確かによく見ると扉が上下で別れているのが分かります。そして取っ手をよく見てみると車輪に!もちろんこちらもヴィンテージのもの。入り口からこだわりを感じさせてくれるディテールでワクワクさせてくれます。

▼内装(ショップ)

写真手前がショップスペースで、カーテンで区切られた奥にはアトリエスペース。店舗とアトリエを区切っているカーテン横のパーテーションはスライド式にして取り外せるように設計したそう。しかし、これを外すことはあまりないとのこと。それでもオーバースペックは安心感がありますね。

構想段階からやると決めていた壁に直接埋め込んだ棚。この棚板は川村さんがこれまでに集めていた古材を使用しているのでサイズも違えば、風合いもさまざまです。

この念願叶った埋め込み式の棚には秘密があるそうです。「実は奥まで吹き抜けの状態だった場所に壁を作って、そこに棚を埋め込みました。壁はすべてモルタルに藁を混ぜて漆喰っぽい雰囲気に。モルタルを使ったのは初めてで、徐々に手馴れていくから仕上がりが場所によって違うんですよ。すごくめんどくさかったので、それもアジかなと(笑)。本当に素人技なので、塗ろうと思っても配合が悪かったのか、4分の3くらいは壁につかずに落ちてしまって苦労しました」。

ショーケースの上に置かれたヴィンテージトランク。その趣のある佇まいはお店の雰囲気にピッタリ。こちらは川村さんが集めていた私物で、DIYしたもの以外はほとんど川村さんのコレクションが並んでいます。

「実はお店のために新たに買った木材や備品はないんです。もともとヴィンテージ家具の収集癖があり、使う予定はなくてもミシン台や椅子などたくさん集めちゃうので、自宅からお店に持ってきました。DIYに使用した古材も昔から集めていたものと、前のアトリエが取り壊し時の材料を再利用しました」。

什器として使っている木箱は米軍の輸送用ボックス。こちらも川村さんのコレクションから持ってきたものにキャスターを付けて利用。本来高価なものですが友人のお店から安く譲ってもらったそうです。

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DIYer(s)

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