スタンディングデスクを導入する効果とは? メリットやデメリットを紹介

スタンディングデスクをオフィスに導入するメリットは、生産性の向上やコミュニケーションの活性化などです。一方、足に負担がかかる、コストが高いなどデメリットもあるため注意が必要です。ここでは、スタンディングデスクをオフィスに導入するメリット・デメリットを紹介します。

2022.08.22

近年、マグネットスペースやちょっとした打ち合わせスペースなどに導入されている「スタンディングデスク」。海外を中心に多くの企業で取り入れられていますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。この記事では、スタンディングデスクの特徴や普及した背景などに触れながら、従業員にもたらす影響や選び方などを解説します。オフィス環境の改善や座り仕事の健康リスクなどを調べている人は、ぜひ参考にしてください。

スタンディングデスクとは

「スタンディングデスク」とは、立ったまま使用するデスクです。もともとデザインやIT、環境などの先進国として知られる北欧諸国で人気を集めており、特にデンマークやスウェーデンでは、オフィスデスク販売総数の9割をスタンディングデスクが占めているそうです。ただし、必ずしも1日中立ったまま仕事をするわけでなく、「集中したい時は座って作業を行う」「眠くなりそうな時や体がつらくなった時などは立って仕事をする」といったように、状況に合わせて好みの姿勢を選んで業務を行います。

日本では、まだまだ座って仕事をするスタイルが主流であるものの、スタンディングデスクを導入している企業もあります。例えば「株式会社MONOテクノス」では、管理職を含めたすべての従業員がスタンディングデスクで業務を行っています。従業員の健康促進や眠気防止、業務効率の向上など、さまざまな効果が得られているそうです。

オフィスで座り続けて仕事をした際の体への悪影響

北欧諸国で立って仕事をするスタイルが普及した背景には、長時間座り続ける健康リスクが関係しています。スタンディングデスクの起源になったのは、1970年代に医療器具として開発された、体型に合わせて高さを調節できるデスクです。当時の北欧では、さまざまな体型の人が同じ高さのデスクで長時間業務を行うことは、腰痛や生産性の低下を招くと考えられていました。
現代でも、さまざまな研究で長時間座り続ける危険性が証明されており、血流の悪化や糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすリスクがあると言われています。また、軽度の腰痛や体調不良などがパフォーマンスの低下を招き、業務成績に影響を与えているケースも少なくありません。企業の生産性を向上させるためにも、従業員の健康促進を意識したオフィス環境づくりが注目を集めています。

長時間座り続けると、上記リスクのほか動脈硬化や生活習慣病のリスクが高まります。一方、立ちすぎも下半身への負担を強め、下肢静脈瘤や心臓病を発症するリスクが高まるため、注意が必要です。健康を一番に考えるのなら、立つことと座ることのバランスをうまく取ることが大切です。

スタンディングデスクのメリット

スタンディングデスクをオフィスに導入するメリットとしては、生産性の向上やコミュニケーションの活性化などが挙げられます。以下、具体的なメリットや期待できる効果などをまとめました。

社内の生産性が向上する

近年注目を集めている「ABW(Activity-Based Working)」という考え方があります。ABWとは、状況に合わせて働く環境や場所、時間などを自ら選択するワークスタイルです。従業員のモチベーションを高め、生産性の向上が期待できるとして、国内外のさまざまな企業が取り組んでいます。

スタンディングデスクは、ABWを導入したオフィスづくりの一環としても注目を集めています。
生産性や業務効率などを考慮して働く場所を選択するABWでは、個室やソファ席、一人用の執務エリアなど、オフィス内で環境の変化をつけることが望ましいでしょう。スタンディングデスクは気軽に姿勢を変えられたり、眠気を防止して集中力を高めたりする効果が高いと考えられています。したがって、ABWの考え方と好相性とされるのです。

社内コミュニケーションが活性化する

立って業務を行うと、必然的に目線が高くなるため、近くにいる人と目線がよく合います。すると自然に挨拶や会話が生まれ、社内のコミュニケーション活性化が期待できるのです。実際に「立って業務をしている時は話しかけてもよい」とルールを設けている企業もあります。こうしたルールの周知と併せてスタンディングデスクを活用することで、相手は「話しかけてもよいのか・一人で業務に集中したいタイミングなのか」を予測しやすくなった例も見られます。

また、打ち合わせでスタンディングデスクを使用することで、会議の時間短縮が実現した例もあります。会議室を予約する手間もなく、必要な時に短時間で話し合いができるため、空いた時間をほかの業務にまわすことも可能です。

体への負担が軽減する

長時間座ったままの状態では、腰や背中に負担がかかりますが、スタンディングデスクの採用で負担を軽減できます。立つと下半身の筋肉で荷重を支えられるため、負担を分散できるのです。

また、姿勢を正せるのもメリットです。座り仕事では姿勢が猫背になることが少なくありませんが、スタンディングワークでは自然と背筋が伸びます。

スタンディングデスクをオフィスに導入するデメリット

スタンディングデスクを導入すると、生産性やコミュニケーション活性化などのメリットがある一方で、体力やコスト面でデメリットが発生します。また、過度なダイエット効果は期待できないため注意が必要です。

脚に負担がかかる

これまで座って業務を行っていた人は、立って仕事をするのに慣れていないため、スタンディングデスクを導入した当初は疲労が溜まりやすいかもしれません。また、長時間座っているのと同じように、立ちっぱなしの姿勢が続いても体に負担がかかり、脚がむくんだり腰痛が発生したりします。したがって、スタンディングデスクはあくまで「同じ姿勢を取ることの防止策」と考え、椅子やソファなどと併用し、適時切り替えながら使用することが大切です。

通常のデスクと比較して導入コストが高い傾向にある

スタンディングデスクは、従来のデスクよりも割高なものが多く、導入時のコストが高くなりがちです。2万〜20万円ほどと価格帯も広く、さまざまな機能性のものが販売されているため、目的に合った商品をきちんと見極めることが大切です。メーカーによって昇降機能の有無や昇降のタイプ・サイズ・高さなどが異なるので、複数のものを検討して導入する製品を決めるとよいでしょう。

また、スタンディングデスクで社内の生産性が向上すれば、かかったコスト以上の利益を回収できる可能性もあります。それゆえ長いスパンでの成績を考慮したうえで、予算を決定するのがオススメです。

ダイエット効果は過度に期待できない

座ったままの状態に比べると体の活動量は増加しますが、大幅に増えるわけではありません。そのため、過度なダイエット効果は期待しないほうがよいでしょう。

ダイエット効果を得たいのなら、「ながら運動」を取り入れてみてはいかがでしょうか。例えば、立った状態でつま先立ちを繰り返すエクササイズは、ふくらはぎの筋肉に刺激を与えられ、ふくらはぎのむくみ解消効果も期待できます。

スタンディングデスクの種類について

ここでは、オフィスでオススメのスタンディングデスクの種類を紹介します。種類によって機能や使いやすさなどが異なるため、それぞれの特徴を理解して導入する設備を選ぶとよいでしょう。

高さが固定されているデスク

スタンディングデスクの中では比較的値段が安く、気軽に導入できるのが、高さ調整機能のないデスクです。コストパフォーマンスに優れた商品を探している人や、予算を抑えたい人などは、このタイプを選ぶとよいでしょう。

立ち作業に適した100cm前後のものが多く展開されています。しかし人によっては高さが合わず、体に負担がかかってしまうことも。ちょっとしたミーティングスペースやマグネットスペース、オフィスカフェの一角など、短時間の作業を想定した場所に設置するとよいでしょう。

昇降式のデスク

昇降式のデスクは、自分好みに高さを調整できるスタンディングデスクです。オフィスはさまざまな体格の人が使用するだけでなく、体の調子によっても心地よいと感じるデスクの高さは異なります。執務ルームや個人のデスクなど、長時間の作業が想定される場所では、昇降式デスクのほうが従業員の体にかかる負担を削減できるでしょう。

なお、昇降式デスクには「手動タイプ」と「電動タイプ」の2種類があります。手動タイプは、昇降式の中では値段が安いため、気軽に導入できるメリットを持ちます。電源を確保する必要もないので、場所を選ばずに設置可能で、配線がごちゃごちゃすることはありません。一方で、昇降するのにやや時間がかかるため、人によっては調節を面倒と感じるデメリットもあります。

電動タイプのメリットは、ボタン操作で高さを変えられるため、調整に手間がかからないことです。また、デザインやサイズの幅も豊富なため、好みに合った商品を探しやすいでしょう。一方、デメリットは値段が高くなりやすく、電源の確保も必要なことです。場所や個数によっては配線を整備する必要が生じるなど、手動タイプに比べて導入コストの負担は大きくなるかもしれません。

卓上タイプのデスク

卓上タイプは、座って使用する従来のデスクの上に置き、高さを底上げするものです。既存のデスクを活用できるため、ちょっとしたオフィスレイアウトの変更や、個人のデスクをスタンディングタイプに変更したい場合などに適しています。コンパクトな折り畳み式のものもあるため、収納しやすく持ち運びも可能です。一方、既存のデスクよりも一回り小さいサイズが多いため、作業スペースがやや狭くなるデメリットもあります。

スタンディングデスクを選ぶ際のポイント

各メーカーからさまざまなタイプの製品がリリースされているため、選ぶ際のポイントを把握しておきましょう。基本的には、デスクの広さや高さ、素材、機能性などに着目して選びます。

デスクの広さや高さを確認する

スタンディングデスクは、何人で使用するかによって必要な広さが異なります。一人あたり60cm程度を基準として、使用する人数に合わせて必要な幅を見極めるとよいでしょう。「執務エリアには一人用のもの」「カフェエリアには複数人で使用できるもの」など、場所によって使い分けるのもオススメです。

また、スタンディングデスクの高さは、立って背筋を伸ばした時の肘の高さが基準となります。天板に肘を乗せた時に背筋が曲がらず、腰に負担のかからないくらいが目安です。身長が同じ人でも腕の長さが違うと、「快適」と感じるデスクの高さは異なることもあるため、要注意です。

素材や機能性を確認する

スタンディングデスクは、商品によってキャスターやテーブル穴、タップホルダーなどのオプションが付属していることもあります。「空間を柔軟に使えるようにキャスター式のものを選ぶ」「パソコンのケーブルをすっきりと見せたいので、テーブル穴がほしい」など、用途と機能とをフィットさせるように、希望に合った商品を選定していきましょう。

スタンディングデスクはほかのオフィス家具よりも背が高いため、ただ座って作業をするよりも生産性の向上やコミュニケーションの活性化、さらには健康促進といったメリットの多い家具といえます。ただし、オフィスの雰囲気にそぐわないデザインを選ぶと悪い意味で目立ってしまうので、自然で一体感のある素材やカラーを選ぶよう心がけましょう。

オフィスリノベーションを手がける「カシワバラ・コーポレーション」は、通常業務に支障が出ない工事方法を選択しながら、希望のオフィス空間づくりをサポートします。スタンディングデスクを含めたオフィスリノベーションを検討している人は、詳しい費用や方法などを相談してみてはいかがでしょうか。

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