Dr.Franken:アパレルブランドによる?災害支援に特化したコンセプトトラックとは!?/CIRCLE of DIY Vol.21
各地に点在するDIYの文化をつなげ、大きな輪を作ろうという試みのもと始まった本連載。今回、アパレルブランド《Dr.Franken(ドクターフランケン)》が手掛けた災害支援コンセプトトラックにフィーチャーしました。
——装甲車だとカーキやオリーブ、サンドベージュなどのミリタリー色を想像してしまうんですが、ホワイトを選んだ理由は?
「平和利用の考えっていいなと思ったんです。僕が過去にやったプロジェクトの中に“戦闘なくしてハッピーになろう”というコンセプトのもと実際に使用されていたミリタリー服をそのまま法被(はっぴ)にリメイクしたことがあって、それは本来の用途と打って変わって争うのではなく、お祭りのようになかよくしようという思いがあるんです。そういう考え方で強そうなモノを真っ白したら、より人を助けてくれるお医者さんのイメージが表現できるかなと思ったんです。Dr.Frankenにおいても、世に出ているアパレルはミリタリーの形からオマージュされているものが多いですが、うちでは白衣を意識した服作りをしてるいるので、ブランドとの関連性もより強くなるかなと」
——実際のコンセプトトラック製作はどういう方達が関わってるんですか?
「前後で仕様が違うんですが、フロントは鉄の彫刻家 宮川和音くんに作ってもらいました。リアは機能性にこだわりたかったので、インテリアデザイナーshirotokuroの田中健太郎くんにお願いしました。装甲車がイメージだけど、日本が世界に誇る機動戦士ガンダムやトランスフォーマーみたいな変形ロボットのような感覚もあっていいよねって話をしながら作ってもらいましたね。あとは住めるトラックということを意識して、カーゴ内部は上に伸びて空間広げるなど、色んな仕掛けを散りばめてます」
——実際にこのトラックが出動したことはあるんですか?
「まだ実際に被災地などに出たことはないですね。何が起こってもいいように準備はしているんですが、出動しないでいいのが理想。ただ災害支援ではなく、渋谷キャンプや武蔵野消防署などの防災イベントに展示させてもらうなどの活動も行ってます」
——イベント時、一般の方々の反応はいかがでしたか?
「なんで白い装甲車?みたいな感じでしたよ(笑)。単純に不思議な存在だったようで説明すると『なるほど』と納得してくれました。その時にアーティストの坂巻善徳 a.k.a senseとFunny Dress-up Labに参加してもらった消化器アート。海底油田基地開発を行う作業員のために作られた耐久、撥水、耐火に優れたハイテク素材“ポセイテック”を用いたDr.Frankenのダウンジャケットなども合わせて展示しました。防災のグッズってデザイン的に微妙なモノが多いので、僕たちがブラッシュアップすることで興味を持ってくれた人が多かったですね」
——今後もコンセプトトラックは増やしていく予定なんですか?
「今回の出来上がりにすごく満足しているので、災害支援に限らず色々なコンセプトトラックを増やしていきたいです。その時は自分だけでなく、色んな企業なども絡めていきたいですね。個人的には移動式のサウナとお風呂を作ってみたいなと思ってるんです。フィンランドの風景でよく見る、サウナからでたらそのまま湖に飛び込むみたいなことをやってみたいんですよ(笑)」
——あれは確かに憧れますね。仕事以外で外所さんがモノ作りされたりはされるんですか?
「友人とパパパークというイベントをやっています。休日に子供を楽しませるために父親が付き合うんじゃなくて、父親が楽しんでるのを子供が真似する場が公園だったらいいなと思ったんですよ。親の背を見て子は育つみたいな感じで。そこで流しそうめんを作ったことがありますね。そこからの派生でちかけんという竹灯りのアーティストがいるんですが、彼らの作る流しそうめんのクオリティがすごくて、今度一緒にやろうという話をしています。そういうのってきっと父親たちは夢中になると思うし、その楽しそうな姿につられて子供達もやってみたいってDIYのきっかけなると思うんですよね」
——そのDIYという言葉が市民権を得ている状況はどう思われますか?
「すごくいいなと思ってます。1つの社会運動的な気がするんですよ。僕らもポップ化を行うにあたって、その活動を僕らがやってやってるじゃなくて、個人個人がやりたいって思わせたいモノなんですよ。そのDIYっていう意識が持てると『市販で売ってるモノのこれがすごい』といったように感謝の心が持てるようになると思うんです。ゲストとホストがいて、ホストはゲストのことをお客様と思うのはいいですけど、ゲストが自分をお客様と思うのはまずい。でもDIYを経験することによって当たり前と感謝の間を認識できるようになると思うんです」
——仕組みや作業の大変さって経験したからこそわかることって多いですよね。そして、当たり前にある既製品に対しての感謝の心は確かに薄れているように感じます。
「あと個人的にキットを作ることもきっかけとして素敵なことだけど、作って終わりじゃなくて自分なりにペイントするとかステッカーを貼るとか一手間加えたらより楽しくなると思うんです。その経験があったら、次は世の中にないモノを自分で作ってみようとなるし、仮にそこで失敗したとしてもそのモノ自体に愛着が湧くはず。今って言われた通りにあがってこないとクレームになるけど、ちょっと目線を変えたらそこが面白いんじゃない?っていうこともあると思う。料理とかはそれで新しいメニューが生まれるケースもあるので。とにかくどんどん挑戦してもらいたいですね」
外所さんの飽くなき探究心と活動。0から1を作ることはなかなかトライしにくいことですが、臆することなく飛び込む姿勢はまさに“Do it yourself”。今後もどんな仕掛けを飛び出るのか楽しみな所ですし、皆さんもぜひDIYの世界に飛び込んでみてください。
また、災害支援コンセプトトラックはDIYer(s)がイベントを開催する時は駆けつけてくれるそう!その見た目のみならず、細かい部分までのこだわり抜かれたクオリティも見事です。ぜひ開催を心よりお待ち下さいませ。
PROFILE
外所一石
2003年 青山学院大学卒業後、同年に人間・時間・空間の「間(マ)」を演出・プランニングする(有)トリプルイー企画設立。
Dr.FrankenやFUGAHUM(フガハム)などのアパレルブランドのプロデュース。
大手メーカブランドへのブランディングやJAXAやCool Japanなど公的機関、タイ政府など国内外のファッション・アート業界のイベントのディレクションなどマーケティングから商品開発、WEB、内装まで手掛ける。