「西千葉工作室」で西山芽衣さんが仕掛ける地域活性化とは/CIRCLE of DIY VOL.25

全国、津々浦々で活躍するDIYerたちを訪ねる本企画。今回は、千葉県千葉市にて「西千葉工作室」を運営する西山芽衣さんに、工作室を通しての街の活性化や、ものづくりに対する思いについてお話を伺いました。

2022.01.11

パソコンが使えなかった人がレーザー加工機を使いこなすまでに

-2014年からこちらをオープンされたとのことですが、運営はじめからうまくいきましたか。

「開いた当初は、全く思い通りにいきませんでした。日本でもDIYが世間的に認知度されつつある時期でしたし、こういうDIY関係の施設を作ればきっと誰かが興味を持って来てくれるはず、と考えていたんですが、実際はなかなか思い通りにいかないものです」

-どうやってこちらの存在を街の方に広めたか教えてください。

「はじめはデザイナーの方などにもご協力いただきながら、様々なワークショップやイベントを開いたりしました。しかし、こっちで全てお膳立てした一時的なイベントだと“楽しかったね”で終わってしまい、中々リピーターにはなってもらえず、私たちが提案したいものづくりのスタイルをうまく伝えることができませんでした。本当のものづくりの面白さや可能性を知っていただくために、自分たちが積極的に色んなものづくりにチャレンジして、それをSNSで発信したり、明確なゴールのないワークショップを企画したり、ものづくりビギナーに向けた相談室をスタートしたりと、試行錯誤しています。」

-工作室を開いて3年。どのような変化がありましたか。

「今では下は3歳から上は80代の方まで、たくさんの方がものづくりのために、日々ここへ足を運んでくれています。個人的に嬉しいのが、みなさんの成長と、ものづくりを通じて生活が良い方へ変化していっている姿を見ることですね。はじめはパソコンも使えなかった方が、今ではレーザー加工機を使いこなしてアクセサリーをつくって販売したり、お店をオープンされた方が看板をつくりにきたり、卓球部の中学生が自主練用に卓球の配給マシーンをつくりにきたり、特技を活かしてワークショップを開催する人がでてきたり。ものづくりがゴールではなく、その先にある、自分たちがやりたいことや今よりも楽しい暮らし自体を創造することに繋がっていっていることがうれしいです。地道な努力がやっとで実を結んだ気がしますね!こういったクリエイティブな生活者がまちに増えていくことで、自然とその街でいろんなことが生まれ、知らないうちに活性化していくのではないかと思っています。」

一番人気のレーザー加工機。様々な素材をPCでつくったデータ通りにカットすることができ、手先が器用でなくても、色んなものがきれいにつくれます。

3Dプリンタなど、個人ではなかなか購入しにくい機材が揃っているところも工作室のいいところです。

工作室奥にあるミシンコーナーには、家庭用ミシンの他に、デニムや革も縫える職業用ミシンや、まつり縫いなどが楽にできるロックミシンも完備してあります。

DIY関連書籍を集めた本棚や、近隣のショップやイベントのチラシが置かれたインフォメーションコーナーも充実しています。

DIYとは日常に寄り添った当たり前のもの

-もともと西山さんご自身もものづくりに関心があったのでしょうか。

「私は実家が群馬の製材所でしたので、子供頃から、ノコギリや丸太が近くにあって、ものづくりの世界が身近にありました。また、田舎で育ったので、モノや娯楽も充実していなかったので、家具も、ファッションも、遊びも、ほしいものは自分でつくるということが当たり前でした。大学は千葉大学の建築学科に進み、そこでは家具やインスタレーションなどの大きなモノから、建築の模型など細かいモノまでいろいろ制作していました」

-最後に西山さんにとって、DIYとは何か教えて下さい。

「お腹が空いたので、料理を作ってご飯を食べる、といったように日常的で当たり前のことですね。お金を出せばものは買えますが、本当に自分が欲しいものではなかったり、お金がかかっている割には必要性が低かったりすることがよくあるんです。だったら自分でつくっちゃった方がいいなって(笑)。モノに限らず、食や遊び、仕事、人間関係など自分の暮らしを成り立たせる要素を自分で創造することもDIYです。当たり前のことですが、日々の生活を豊かに、そして軽やかにしてくれるものがDIYなんだと思います」

西千葉工作室で生まれた作品たち

近くの学校に通う小学生たちが作ったハンドスピナー。電子工作の技術を活かし、回転にあわせてライトが点滅する。こちらは工作室の「K」「S」。

ちょっとしたアクセサリーもレーザー加工機で簡単に作ることが出来る。

こちらは古くなったスピーカーを分解し、自作したオーディオコンポ。中身が透けているところも斬新だ。

DIYと地域活性化。一見、関係性が薄いもののように見えますが、DIY精神の浸透は、住民たちによる地域活性化につながるのですね。これから、工作室でどんな作品がうまれるのか、そして千葉市がどんな素敵な街になるのか、楽しみです!

Information

西千葉工作室
千葉県千葉市稲毛区緑町 2丁目16-3 萩原ビル
10:00〜20:00
月曜、毎月1日定休(月曜日が祝日の場合は翌火曜日)
043-305-4241

http://nishichibakosakushitsu.com/
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DIYer(s)

Japan

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