店舗リフォームにかかる費用の相場は?補助金や注意点について解説

この記事では、店舗リフォームのメリットや費用の目安、安心して業者を選ぶためのポイントを解説しています。店舗リフォームは、お客様と従業員の双方にメリットがあり、店舗の利益にもつながるものです。また、リフォームの際にもらえる補助金についても紹介しています。

2022.10.27

店舗リフォームは、お店の印象や利便性を大きく変えられます。お店の印象が変わることで、客足に変化が起き、今までアプローチできなかった層にも、来店してもらえる可能性が高まります。また、店舗の利便性が向上すれば、従業員が働きやすくなり、生産性や作業効率も向上するでしょう。ここでは、店舗リフォームのメリットや業種別の費用感、補助金制度、失敗しない業者選びのポイントについて紹介します。リフォームを検討している人や役立つ情報を知りたい人は、参考にしてみてください。

店舗リフォームのメリットは見た目だけではない!

リフォームのメリットは、外観がよくなるだけではありません。店舗の改善は、お客様へ提供する買い物体験や従業員の生産性の向上にも大きく関係しています。はじめに、店舗リフォームで得られるメリットや、解決できる悩みを紹介します。

店舗の印象を変えられる

お店を経営している人は、店舗の集客に悩むことも多いでしょう。店舗の印象は、お客様やお店で働く従業員にとって、重要な要素のひとつです。例えば、「外観や内装が古びている」「老朽化が目立つ」「清潔感がない」などは、お客様が入店しづらいと感じるかもしれません。また、来店後に「もう一度来たい」と、思ってもらえる可能性も低くなってしまいます。

従業員の視点においても、お店の見た目や雰囲気は、勤務に対するモチベーションを左右するものです。リフォームによってお店の古い印象を一新することは、お客様と従業員を含め、店舗全体にメリットがあります。

店舗のコンセプトを変えられる

コンセプトも、ターゲットとなるお客様を決める上で欠かせない要素です。もし、「店舗へ訪れる客層を変えたい」「営業する時間帯を変更したい」などの予定がある場合は、コンセプトの変更もよいでしょう。将来的に、呼び寄せたいお客様のニーズに合わせた内装や外観にリフォームすることで、ターゲットの客層が好む店舗を作れます。

便利な空間を実現できる

空間を変化させることも、さまざまなメリットをもたらします。まず、お客様が使いやすいように動線や内装を整えると顧客満足度が向上し、長期にわたってお店へ通い続けてもらえるでしょう。また、従業員にとっても働きやすい空間を構築すれば、作業効率の向上も目指せます。

例えば、仕事中の動線を見直して移動距離を減らすことで、生産性の向上に効果的です。また、働きやすい職場は従業員のモチベーションの向上にもつながります。このように、リフォームでお客様と従業員の双方の満足度を上げることは、結果的に店舗にとってより大きな利益をもたらすでしょう。

気になる店舗リフォームの費用はどのくらい?

続いては、「事務所」「飲食店」「美容系サロン」「アパレル」の4業種を例にして、リフォームの費用相場を紹介します。

事務所のリフォーム

坪単価の相場は、約10万~15万円と低めです。そもそも事務所は必要な設備が決まっているため、内装もシンプルなもので済みます。よって、飲食店などと比べると、工事費用があまりかかりません。

新規に開設する場合や移転する場合は、居抜き物件を選ぶことがオススメです。空調・消防設備が整っており、フローリングなどの床材や照明器具もそのまま利用できる可能性が高く、費用を抑えられるでしょう。

床・壁・天井・内装などがないスケルトン物件は、一から用意しなければならず、時間と費用が多くかかるため、費用負担がかなり大きいです。デザインを重視しないのであれば、できるだけ居抜き物件を選んだ方がコストを削減できます。

飲食店のリフォーム

店舗の面積や扱っているメニューによって大きく異なりますが、坪単価の相場は約15万~30万円です。飲食店の場合、厨房にコンロなどの調理設備が必要である上、イスやテーブル、レジなど接客に欠かせない設備も用意しなければなりません。用意するものが多いので、費用も必然的に高くなります。また、店舗が目指す雰囲気やコンセプトを実現するためにインテリアにもこだわると、費用は相場を超えるでしょう。

美容系サロンのリフォーム

店舗の広さやコンセプト、什器の数にもよりますが、約15万~30万円が坪単価の相場です。例えば、美容室の場合、シャンプー台やボイラーなど、給排水関係の設備に費用が多くかかります。また、高級さを演出するために内装の建材にもこだわると、さらにお金がかさむでしょう。

エステサロンの場合も同様で、必要な什器の数が多ければ多いほど、費用も高くなりがちです。

しかし、同じ美容系でも、ネイルサロンの場合はそれほど費用は上がりません。必要な什器が少なく、ネイル用素材のほか、スタッフとお客様用のテーブルとイスがあればすぐに営業できます。店舗の内装にこだわれば当然費用は高くなりますが、エステや美容室と比べれば予算は少なく済むでしょう。

アパレルショップのリフォーム

坪単価の相場は約10万~20万円です。アパレル系では、特にお店の雰囲気が重要な要素のひとつとして挙げられます。お客様が惹かれるオシャレな外観を目指して建材やインテリアを選ぶと、どうしても費用が高くなってしまいます。そのため、なるべくお客様の目が届かない場所は安い建材を使用するなどの工夫を施せば、費用を抑えやすいです。

居抜き物件で前のテナントが同じくアパレルショップだった場合は、内装費を大きく節約できます。スケルトン物件を選んだ場合でも、必要な内装・設備が多い飲食店と比べて、アパレルは高額になりにくい傾向があります。

リフォームの工事費用は減価償却する

リフォームの工事費用は減価償却の対象であり、複数の年にわたって経費としての計上ができます。つまり節税につながるということです。減価償却の期間は耐用年数によって異なります。また、耐用年数は法律で定められた規定に沿って決められることを覚えておきましょう。リフォーム工事における耐用年数はケースによりますが、オフィスの場合大体10~15年が多いです。

店舗のリフォーム前に知っておきたい補助金の基礎知識

店舗をリフォームする際、条件を満たしていれば、自治体から返済不要の補助金を受け取れることをご存知でしょうか。店舗のリフォーム費用は、低く見積もっても10万円以上かかる場合が多く、決して安いものではありません。リフォーム費用の負担を和らげるためにも、補助金は活用した方がよいです。以下では、自治体からもらえる補助金制度のほか、必要書類や提出先などを紹介します。

受動喫煙防止対策助成金

「健康増進法 第25条」の受動喫煙防止対策に必要な費用を、一部負担してくれる補助金制度です。公共の場での望まない受動喫煙の防止を目的として、2018年7月に成立し、2020年4月以降に義務化されました。喫煙室など、分煙に必要な機械装置・備品費用の一部を助成してもらえるため、店舗へ設備を導入する負担を低減できます。
補助率は補助対象経費の3分の2以内、上限は原則50万円です。経費の対象とされるのは、「広報費」「開発費」「設備費」などが該当します。また、労働者災害補償保険の適用事業主で、一定の基準を満たす業種であることが必要です。ほかにも大阪と東京など自治体によって内容が一部異なったり、細かい条件があったりするため、事前にしっかり確認しましょう。申請は、各地域にある労働局への申請書類・関連資料の提出により可能です。

小規模事業者持続化補助金

従業員が一定数以下の小規模会社を経営する事業主を応援するために作られた補助金制度です。全国商工会連合会が運営しており、補助対象となる経費としては「広報費」「機械装置費」などが該当します。

具体的な制度の内容は、補助率が対象経費の2分の1以内、補助金の上限は100万円です。申請する際は、すでに創業していることを前提に経営計画書などの書類提出が課せられます。また、対象となる業種として小売業やサービス業などが挙げられます。申請と書類の提出先は各地域の商工会議所です。

事業再構築補助金

「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編成」を支援するための補助金制度です。補助の対象としては、「建物費」や「機械装置・システム構築費」などが該当します。

補助金や補助率は、申請する企業の規模や申請枠によって異なりますが、「通常枠」での申請であれば、中小企業は補助率が対象経費の3分の2、上限額が6,000万円です。リフォーム費用も補助金の対象ですが、リフォームサービスのみを提供する場合、補助の対象から外れる可能性があります。そのため、空き家をリフォームして賃貸利用するなど、リフォームしたものを新しい事業に使う方法がオススメです。

業務改善補助金

生産性向上を目的とした補助金制度です。中小企業が対象であり、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた際、設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。ただし、予算額に到達した場合は申請の受付期間であっても受付が終了するため、できるだけ早く手続きを済ませなければなりません。

店舗リフォームを頼むならどんな業者が安心?

リフォームといっても、依頼する業者によって得意な分野が異なります。その上、技術力や実績、フォローの手厚さなどもさまざまです。信頼できる業者を選ぶためにも、依頼する前に複数の業者の比較検討が重要でしょう。続いては、業者選びにおける重要なポイントを解説します。

依頼したい工事を得意とする業者

依頼したい工事の内容と、業者が得意な工事が一致していることが前提です。例えば、壁紙工事などの小規模な工事に特化した業者もいれば、一戸建てなどの大規模な工事が得意な業者もいます。満足のいくリフォームを行うには、自分が依頼したい工事を得意とする業者に頼む方が失敗しにくく、要望も柔軟に聞いてもらいやすいでしょう。

業者を選ぶ際の注意点は、できるだけ工事現場である店舗から拠点が近い業者を選ぶことです。工事関連で何らかのトラブルが発生した際、遠方の業者の場合はすぐには来てもらえないかもしれません。依頼する前に、工事を担当する業者の住所を確認しておくとよいでしょう。

実績や資格などが豊富

業者の信頼度を確かめるポイントは、実績や資格、加入している事業者団体などです。

例えば、建設業許可や施工管理技士などの資格を多く保有している業者の方が、知識量の多さや仕事への熱心さがうかがえます。リフォーム業は、特に必要な資格はありませんが、それでも資格を保有している方が正しい知識を持っていることがわかるため安心できます。

実績面においても、やはり実績が多い方が技術力の高さを推測できるので安心して工事を任せられるでしょう。また、業者が加入する事業者団体はある程度の基準を満たしていなければ加入できません。加入しているからといって一概に優良とは限らないですが、依頼するかどうかの判断材料として、事業者団体を調べることもひとつの手です。

見積もりの説明や接客対応が丁寧

実際に見積もりを取ってもらい、不明点を入念に確認しましょう。見積もりの段階で、業者が曖昧な説明をする、対応スタッフのマナーがなっていない、アフターフォローがないなど、誠実さに欠ける面があったり保証内容が薄かったりする場合は、候補から外すことも検討すべきです。依頼側の立場になって親身に提案してくれる業者を探すことをオススメします。

店舗リフォームの注意点

実際に店舗リフォームを行う場合、注意すべき点がいくつかあります。それなりの費用をかけて行う店舗リフォームですので、注意点についてもしっかり押さえておきましょう。

リノベーションする時期は、効果的なタイミングを見計らう

10年に1回が一般的なタイミングとされていますが、5年に1回は行った方がよいです。好調な売り上げを維持している中、わずかな低落が表れたタイミングに行うことで、顧客が飽きることなく店舗の新しい雰囲気を楽しんでもらえます。完全に売り上げが落ちてしまってからでは遅いでしょう。

ローンを組めない可能性がある

店舗リフォームには多額の費用が必要ですが、改装時にローンを組めない場合があります。そのため、ローンが通らなかった場合の対策を考えておくことも欠かせません。施工後の分割払いが可能な業者を探すことや、工事を依頼する前に予算を提示し、予算が足りなかった場合は、リフォーム業者へ仲介を依頼することも視野に入れておきましょう。

リフォームをすると、店舗の利便性が上がるだけでなく、お客様が感じとる印象や社員の働きやすさが向上します。安く済ませるならDIYでするという手もありますが、安全性を考えるとプロの業者に依頼する方がよいでしょう。記事で触れたことを参考にしつつ、ぜひリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

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DIYer(s)

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