【空き家の明日Vol.1】 “手を加えて価値を高める”、家との付き合い方

DIYerたちと一緒に、空き家の未来について考えていく本企画。第1回目となる今回は、千葉県松戸市にて約2年半空室だった和室を約1年がかりで、見事にセルフリノベーションしたKさん宅にうかがいました。海外の建築について造詣の深いKさん。人と家との関わりについても考えさせられる住宅でした。

2022.01.11

今や全国各地で問題として浮き彫りとなっているのが空き家。そんな中、あえて空き家物件を選んで住まわれている方も増えているんです。その理由は、DIYという言葉と共にセルフリフォームやセルフリノベーションという考え方。自分の手で空き家を自分らしく改築して暮らしを楽しむ、そんなDIYerに視点を当てた連載【空き家の明日】がスタート。

そもそも空き家の定義とは?

国土交通省では1年以上住んでいない、または使われていない家を「空き家」と定義しています。 その判断基準として、人の出入りの有無や、電気、ガス、水道の使用状況ないしそれらが使用可能な状態にあるか、物件の登記記録や所有者の住民票の内容、物件が適切に管理されているか、所有者の利用実績などが挙げられています。

暮らしの質を求めた先にある、空き家

千葉県松戸市にある一軒のアパート。こちらには同市にてDIY可能な賃貸物件を扱うMAD Cityが管理サポートする部屋があります。もともとは古い和室だったこの部屋を、歴史あるデザインに裏打ちされたヨーロピアンスタイルへと改装したKさん。今回はそんなKさん宅にお邪魔しました。

白を基調とした落ち着きのある玄関。なんと靴を履いたままリビングへと向かう海外スタイルのKさん宅。

扉を開けると広がる明るいリビング。シンメトリーの構造がとても美しいですね。この梁のない壁式構造だった点もここを借りることになった理由の一つだったそう。

笑顔で出迎えてくれたKさんと、ワイヤーフォックステリアの愛犬。

「これまでデザイナーズマンションなどを転々としてきました。でも、どこも似たような感じなんですよね。そういう日本の画一的な住宅に飽きちゃって。それならもう自分でDIYしようと思って4年前にこちらに越してきました」。そう語るKさんは青森県、三沢市生まれ。小さい頃から米軍ハウスなど日本の一般な物件とは違う家に慣れ親しんできたと言います。

そんな中でも特に印象深く今でも覚えている物件があるのだとか。「いつもと違う道を通ってみた時のことです。緑の草原のなかに一軒の家が立っていたんです。それまでも海外風のいわゆる“米軍ハウス”的な物件はよく見ていたのですが、その白い家だけは全然違う雰囲気だったんです。その後、調べてみてわかったのは、その家は日本人が作った米軍ハウスと違い、アメリカ人が本国から材料などを運んで建てたゲストハウスだということ。この出来事も、海外の家に関心を持つようなったきっかけの一つかもしれませんね」。

幼い頃Kさんが見た物件に似ているジョージアン・コロニアルの物件。

さりげなく飾られている季節の花。ここからもKさんの意識の高さが感じられます。

ハットや小物の収納に使うトルソーも部屋の雰囲気にマッチしています。

フランス製のアンティークベッド。シェスタ用に使われていたものだといいます。

物件を選ぶ時から、部屋のイメージはフランスの“コテージスタイル”にすると決めていたというKさん。その理由について聞いてみました。

「コテージスタイルというのは、その名の通り小さめの家に適したスタイルです。そのなかでも“クレオール”と呼ばれた、フランス系の黒人たちが確立したクレオールコテージ形式を選んだ理由は、これがルイジアナなど南部の熱い気候に適したスタイルだからです。日本の狭めの家や、気候にマッチするんじゃないかと思って選びました」。家というのは、その国の風土や文化と関係しているもの。Kさんの住まいに対する哲学がうかがえます。
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