島津が行く! 僕が恋した世界のゴミたち
廃段ボールを財布にアップサイクルするプロジェクト、「Carton」の運営者である島津冬樹氏。ユニークな段ボールを求めて世界中に出向いている彼は、他人ならば捨ててしまうようなアイテムまで持って帰ってきます。お土産代わりだけでなく、デザインのヒントがあったり、クリエイター魂をくすぐられたり、さまざまな効能があるとか。一見するとゴミでも、実は意味のあるコレクションの数々を、少しだけ拝見させていただきました。
2023.04.17
売っていないものとは二度と出会えない
ミャンマーで拾った"恐らく”宝クジ。文字がわからないため、数字と思しき記号の位置や並び方などから判断したそう。「文字がわからなくても、デザインから読み取る、想像するのが好きなんです。何を表現したいのか思考することは、デザイナーとしてトレーニングになるとも思っています」。
旅先から持って帰ったものは、メモ書きと一緒にアーカイブ化。「秋のバルセロナは落ち葉の量に圧倒されました。だから数枚を拾って保管。地下鉄のチケットも当然お土産にします」。
「日本のパスポートは強い! と言われていますが、イスラエルでは入国に3時間かかりました。直接ハンコを押すとイスラム圏に行く際、不便な場合があるからと、コピー取って処理するのも特殊」。印象深かったイスラエルの記憶が鮮明に。
異文化的要素がデザインの教材になる
「毒々しい配色が気になって拾ったメキシコの新聞です。今は少し色褪せてしまいましたが、もっと強烈だったんですよ」。
選挙のビラはモロッコにて。「両陣営が×マークを盛り込んでいて、どういう趣旨なのか考えるのが楽しい。もしかしたら否定とかNGではなく、肯定的に使っているかも知れませんし。文字が読めたら簡単に理解してしまい、逆につまらないでしょうね」。
香港で入手したお札のような一枚。「お葬式で故人の名前を書いて燃やすものと思われます。キョンシーっぽい雰囲気が心くすぐります」。
日本では手に入らないからこそ再利用したいゴミたち
南アフリカの市場的なスポットで拾った、オレンジ色のナイロンネット。「なんの目的もなしに入手しましたが、今は箱の上にトランポリン状に張り、展示什器として活用しています」。
鮮やかなブルーが気に入ったナイロンテープは、南アにて拾得。「発色がいいので使えそうだなと。帰国後、早速ウォレットのパーツにしました」。
フィリピンから持ち帰ったグッズを、インドネシア産の段ボールで作ったボックスに。「本当は産地を統一したかったんですけど、フィリピンで素敵な段ボールが見つけられなかったので」。
ゴミが旅を細部を思い出すカギに
泊まったホテルの記憶を呼び起こすのに有用なのが、wi-fiのPASSが書かれた紙。「ルームキーを持って帰るわけにいきませんからね。数センチ角のメモでも保管します」
アメリカといえばハンバーガーショップ。「シェイクカップからケチャップ、包み紙までテイクアウト。味や雰囲気をしっかり記憶できますよ。僕の好みはウェンディーズですね」。
デザインを学んだ人の多くが、航空会社グッズのファン。「非常にレベルの高いプロダクトが多いんです。エチケット袋までカバンに入れてしまう人はあまりいないでしょうが」。
チェコはプラハ中の電信柱に掛かっている、ペット用フン処理セット。「無料の紙製スコップと袋がいたる所に。犬猫にも優しい街であり、そうでもしないと持って帰らない国民性なのかなと」。
島津さんに密着したドキュメンタリー映画『旅するダンボール』公開間近!
YEBISU GARDEN CINEMA/新宿ピカデリー
MOVIX仙台、MOVIX橋本、ミッドランドスクエア シネマ、MOVIX京都、神戸国際松 竹ほか 全国順次公開
島津冬樹(段ボールアーティスト)
WRITTEN BY
Japan
DIYer(s)編集部です。DIYのアイデアやハウツー、おすすめツールやショップ情報まで幅広くお届けします!