ディスポーザーの仕組み・メリットやデメリット・設置の方法を解説

ディスポーザーは最近になって普及が広がっている装置です。生ゴミをそのまま流せて手間がかからないので、人気を集めています。ディスポーザーの動く仕組み、設置のメリットやデメリット、設置する際の注意点などを解説します。

2023.04.14

ディスポーザーというキッチン設備が人気を集めています。
海外の住宅では以前から浸透していますが、日本では最近になって普及し始めているゴミ処理の装置です。キッチンのシンクに設置して生ゴミを粉砕し、そのまま流してくれます。「一度使ったら止められない」という人がいるほど、便利なキッチン設備です。ディスポーザーは新しい設備なので古い住宅には付いてはいませんが、新たに設置することも可能です。ディスポーザーの仕組みや設置するメリットやデメリット、設置する際の注意点などを解説します。

ディスポーザーとは

ディスポーザーはキッチンの排水口に設置する生ゴミ処理のための装置です。装置の内部に刃が設置されており、その刃で生ゴミを粉砕してくれます。粉砕した生ゴミはそのまま水で流すことが可能です。
日本住宅の一般的なキッチンでは、生ゴミはシンクの隅に設置する三角コーナーに捨てるのが一般的です。しかし、ディスポーザーがあれば生ゴミが出てもその場ですぐに処理ができるので、一時的に三角コーナーに溜めておく必要がありません。溜まった生ゴミを捨てる作業がなく、キッチンを生活に保てます。

ディスポーザーの仕組み

ディスポーザーは電気で動く装置です。内部に取り付けてあるミルで生ゴミを1~2mm程度に粉砕し、ジュース状にして水と一緒に流します。その後、集められた生ゴミは排水処理槽で綺麗な水にされてから下水道に流れます。
対応スイッチの違いによって、生ゴミをバスケットに連続投入しながら処理できる連続投入方式と、最初にバスケットに投入できる分量の生ゴミを入れてから処理する蓋スイッチ方式の2種類があります。海外では連続投入方式、日本では蓋スイッチ方式が一般的です。

粉砕方式には、ハンマーミル、チェーンミル、ブレードミルの三種類があります。ハンマーミルはターンテーブルが高速回転し、生ゴミを遠心力で固定刃に叩きつけ、更に壁ですりつぶします。日本ではこの方式のディスポーザーが主流で、比較的硬い生ゴミも粉砕できるのが特徴です。チェーンミルは、ターンテーブルが回らず、中心軸に固定された2本のチェーンが内部を回転して粉砕します。粉砕時の動作音が小さく、目詰まりや噛み込みが起こりにくいとされています。ブレードミルは取り付けてあるブレードが回転し、ゴミを細かく粉砕します。粉砕部を取り外せるので丸洗いできるのが特徴です。

ディスポーザーを設置するメリット

それでは、ディスポーザーにはどんなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを具体的に解説します。

悪臭や害虫の発生を防ぐことができる

日本住宅の一般的なキッチンでは、生ゴミはシンクの隅に設置する三角コーナーに捨てるのが一般的です。ごみ収集日まで生ゴミをまとめてゴミ箱に捨てておいたとしても、夏場など特に暑い季節では腐敗臭が漂ってしまい、どうしても気になることもあるでしょう。生ゴミはこまめに捨てて綺麗にしておかないと、コバエやゴキブリを招く原因にもなりかねません。
ディスポーザーは、生ゴミが出たタイミングですぐに粉砕して水で流せます。そのため生ゴミを三角コーナーに保管する必要がなく、生ゴミによって発生する腐敗臭や、コバエやゴキブリなどの害虫が集まる心配もありません。生ゴミをゴミ箱に捨てることもないので、ゴミ箱からもイヤな臭いが発生しにくく、快適に暮らせるでしょう。

ゴミ出しが楽になる

生ゴミがゴミ箱に溜まらない分、ゴミの量をグッと減らせます。野菜や果物を剥いた皮、魚や肉を調理した後で出るゴミや残飯など、ほとんどのものがディスポーザーで処理できます。後片付けの時も、食器に付着した食べ物のカスなどもそのまま流せて便利です。ゴミ処理収集にのゴミ分別の手間も減り、手間も少なくて済み、時間の節約にもなります。
また、生ゴミが出ないので、キッチンを常に清潔に保てるでしょう。排水口の掃除も楽なので掃除の時間も短縮できます。忙しい人に特にオススメの設備です。

環境にも優しい

一般的には、生ゴミは燃えるゴミとして家庭から出され、その後で清掃工場などに持ち込まれて焼却されます。世界的に見ると日本はゴミの焼却量は世界的に見ても上位に位置し、生ゴミの割合が突出して高いのが現状です。物を燃やす時に発生する二酸化炭素は有害物質です。中でも水分を帯びた生ゴミを焼却する場合は低温焼却になりやすく、それによって有害なダイオキシンの発生率が増してしまいます。水分を多く含む生ゴミの発生を抑えることが出来れば、環境負荷の軽減に貢献できます。

参照URL:OECD資料 Environment at a Glance 2015 世界のゴミ焼却率(50P)
https://www.oecd-ilibrary.org/docserver/9789264235199-en.pdf?expires=1672716648&id=id&accname=guest&checksum=2123A34C3CBBE509A6376263D02E1FA0

ディスポーザーを設置するデメリット

ディスポーザーには大きなメリットがありますが、設置によるデメリットはないのでしょうか。

メンテナンスが必要

まず挙げられるのは、メンテナンスの必要性です。ディスポーザーは回転して生ゴミを粉砕する装置ですが、処理後はどうしても排水口に流しきれなかったゴミが付着してしまうこともあります。そのままにしていれば故障の原因となることもあるので、定期的な清掃が必要です。故障した場合は、専門業者に修理をお願いしなくてはなりません。また、仮にマンションなどで故障による漏水などを起こしてしまった場合は、周辺へ迷惑がかかってしまう恐れもあります。そうならないように定期的なメンテナンスを行いましょう。清掃が少しでも楽になるように、ディスポーザーによっては自動洗浄機能が備わっている機種もあります。

コストがかかる

ディスポーザーは本体価格に加えて設置時の初期コストがかかります。また、電気代や水道代なども毎月余計に発生するので注意が必要です。マンションの場合には、管理コストにそれらのコストが加算されることもあります。
リフォームなどで後から設置する場合には、契約内容の見直しが必要かもしれません。ディスポーザーの設置は、購入にかかるコストだけではなく、便利な生活を送るのに必要な「利用にかかるコスト」がどのくらいになるのか、あらかじめ見積もることが大事です。

使用時に音が出る

ディスポーザーを使用する場合は、必ず音が出るということを念頭に置く必要があります。ゴミを粉砕する際、ミキサーのような音が発生します。マンションで防音のしっかりしたキッチンではない場合、隣人に迷惑がかかってしまうかもしれません。また、室内に響く音で家族が不快な思いをするかもしれません。粉砕方式や機種によって音の静かなディスポーザーも選べるので、音が気になる場合は震動音や粉砕音がどの程度出るのか、よく確認する必要があります。

ディスポーザーを設置する際の注意点

ディスポーザーは、あらゆる生ゴミを処理できるわけではありません。また、お住まいの地域によっては設置できない場合もあります。実際にディスポーザーを設置する際に注意するべき点を解説します。

処理できない生ゴミもある

ディスポーザーは粉砕が可能なものと、困難な生ゴミがあることを覚えておきましょう。無理に粉砕しようとすると、それが原因で故障につながる恐れがあるので、投入する前に粉砕できないものを取り除く必要があります。使用する機種によって処理できるものに違いがあるので、詳しくは使用する機種の説明書などでよく確認しましょう。ここでは、処理できるものとできないものの代表例について解説します。

ほとんどのディスポーザーで問題なく処理が可能なゴミは、主に以下のものです。
・野菜くず
・残飯
・卵の殻や魚の骨(大きな骨を除く)
・鶏の骨(大きな骨を除く)
・麺やパン
・茶葉
・小さな貝類(あさり、しじみなど)

ディスポーザーで処理が難しい主なゴミの例は以下です。
・繊維質の多い野菜や果物の皮(トウモロコシ・タケノコ、栗、パイナップル、里芋、バナナなど)
・長ネギ、玉ねぎの一番外側の皮
・切り花の枝
・果物の種(かぼちゃや柿などの大きなもの)
・大きな貝殻や甲殻類
・お餅
・大量の油、油脂類
・そのほか、人間が食べられないもの全般

生ゴミのなかでも硬い繊維質のものは処理が難しく、トウモロコシなの皮などはディスポーザーの刃で粉砕ができないこともあります。他にも、粘り気のあるものや繊維質のものは、少量ずつ他の生ゴミと混ぜて投入するなど、注意が必要なゴミもあります。また、てんぷら油や牛脂などの油脂類、マヨネーズも詰まりの原因となるので捨てられません。当然ですが生ゴミ以外の金属類や陶器、食品用容器・包装用容器も捨てられません。
最近では、梅干しの種のような硬いものを粉砕できる機種も出ているので、すべての機種で果物の種が処理不可というわけではありません。設置の際には説明書などで十分に確認しましょう。

ディスポーザーは強力に粉砕してくれるので、ついつい何でも投入しがちですが、機械には限度があります。投入にあたっては硬いもの、繊維質の多いものに十分注意してください。

戸建てに設置する場合、地域により条件が異なる

ディスポーザーの設置については、各自治体によって考え方が違います。お住まいの地域によってはディスポーザーの設置が規制されている場合もあるので、設置ができる地域かどうか確認する必要があります。さらに、設置はできても、設置の条件が異なるので注意が必要です。例えば、ディスポーザーの設置と同時に排水処理システムの併設が義務付けられていることもあります。

東京都を例に取ると、東京23区においては排水処理槽がなければディスポ―ザ―を取り付けられません。また、設置前には、「排水設備計画届出書」、「ディスポーザ排水処理システムに関する取扱要綱」に定められている書類を提出する必要があります。届出がない場合、施工業者や建物所有者に罰則が適用されることもあります。
もし排水処理槽がないのにディスポーザーだけを設置してしまった場合は、滞留物によって下水管がつまってしまったり、汚水がそのまま下水施設に流れてしまったりすることで、河川の水質悪化を招きます。

また、マンションなどの場合、設置の可否がマンションごとに違います。すでにマンション全戸にディスポーザーが設置されている場合は、地下に処理槽が埋められているはずです。後から設置を希望する際は、管理規約などで事前確認が必要でしょう。

使用時は水を流す

ディスポーザーは粉砕したゴミを流す装置ですが、使用時には必ず水と一緒に流さなければなりません。水を流さずに使うと粉砕した生ゴミが流れなくなってしまい、配管が詰まる恐れがあります。そうなると、別の水まわり設備の使用にも影響が出てしまうので、手動給水式の場合は水を流しながら使うことを徹底しましょう。

なお、ディスポーザーの給水方式は、手動給水式のほかに分岐自動給水式と全自動給水式があります。前者は、使用時にキッチンの水道から水が自動で流れてくれます。後者はバスケット内に直接自動で給水されます。シンク内の水道栓から水が出るわけではないので、水が周辺に飛び散る心配がありません。

ディスポーザーは、生ゴミを瞬時に粉砕してくれる便利な設備です。生ゴミが減らせることで、悪臭や害虫の発生を抑えられたり、ゴミ出しが楽になるなどのメリットがあります。いっぽうで、毎月の水道代や電気代が余計にかかり、こまめなメンテナンスも必要です。導入検討の際は自治体の設置条件を確認し、届出書を提出するなど正しい方法で設置する必要があります。

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