耐震・免震・制振の違いとは? 結局どれがいいの?
この記事では、地震対策で必要な「耐震」「免震」「制振」の違いを紹介します。それぞれの意味や特徴などに触れながら、メリット・デメリットや費用相場をまとめました。「地震に強い住宅にしたいものの、どれがよいかわからない」という人は、ぜひ参考にしてください。
2023.04.14
自然災害の多い日本では、なるべく強度が高い安全な住宅を建てたいものです。しかし、「地震に強い住宅に住みたい」と実際に思ってみても、どのような基準で建物を選ぶべきかわからない人は多いでしょう。この記事では、建物で取り入れられる地震対策の「耐震」「免震」「制振」の違いを説明しながら、それぞれのメリット・デメリットや地震に強い住宅の選び方などを紹介します。
耐震とは
耐震とは、名前の通り「地震の揺れに耐える」という意味があり、建物の強度を高めたり、しっかりと固定したりすることで、地震で倒壊しない建物を目指します。現在は建物を建てる時、一定の耐震性能を満たすことが法律で義務付けられているため、「どの住宅でも用いられている最も基礎的な工法」と言えるでしょう。
耐震の仕組み・構造・メカニズム
耐震住宅の基本的な考え方は、「揺れによる力が加わっても、住宅が破損しないようにすること」です。住宅は屋根や床に質量がかかりやすく、地震が起きるとそれらの部分が破損しやすいと言われています。そのため、耐震住宅は筋交いや合板、金具などで床や屋根を含む建物の構造部分を強化し、建物の倒壊リスクを回避します。
しかし単に補強すればよいわけでなく、「どこにどのような補強をするのか」は建築士による構造計算などが必要なため、リフォームをする場合などはしっかりとプロに住宅の様子を見てもらいましょう。
しかし単に補強すればよいわけでなく、「どこにどのような補強をするのか」は建築士による構造計算などが必要なため、リフォームをする場合などはしっかりとプロに住宅の様子を見てもらいましょう。
耐震のメリット
耐震住宅のメリットは、対応できる業者の選択肢が広いことです。最もポピュラーな地震対策であり、新築住宅の必須条件となっている耐震については、大手の建築業者からハウスメーカー、中小規模の工務店などさまざまな業者が対応しています。また、地盤や立地などの影響も受けづらいため、条件を問わず多くの住宅に取り入れやすいでしょう。
さらに、耐震はほかの地震対策に比べて、費用が安いメリットもあります。住宅を部分的に補強し、リフォームで後付けすることも可能なので、「費用を抑えて耐震性能をアップしたい」という人には耐震リフォームが適しているでしょう。
さらに、耐震はほかの地震対策に比べて、費用が安いメリットもあります。住宅を部分的に補強し、リフォームで後付けすることも可能なので、「費用を抑えて耐震性能をアップしたい」という人には耐震リフォームが適しているでしょう。
耐震のデメリット
耐震は「地震で建物が倒壊しないようにする」という考え方のため、建物が全く揺れなくなるわけではありません。むしろ揺れを感じやすくなるため、大きな地震が起きると、ほかの住宅と同様に屋内は地震の被害を受けることになります。上層階が揺れやすい高層のビルやマンションなどは、かえって被害が大きくなる恐れもあるため、耐震には向かないかもしれません。
また、耐震住宅は繰り返しの地震に弱いデメリットもあります。ダメージが蓄積すると、金物の緩みやヒビ割れなどが発生しやすくなり、耐震性能が落ちてしまいます。
また、耐震住宅は繰り返しの地震に弱いデメリットもあります。ダメージが蓄積すると、金物の緩みやヒビ割れなどが発生しやすくなり、耐震性能が落ちてしまいます。
耐震の費用・コスト
via rdepo.jp
耐震は新築で必ず取り入れなくてはいけない条件ゆえ、新築住宅を建てる場合、追加の費用はかかりません。耐震で費用が発生するのは、耐震リフォームや施行後のメンテナンスなどのケースです。
耐震はほかの工法に比べて最も費用が安く、耐震リフォームの費用相場は120万〜150万円ほどです。しかし、一戸建て住宅の全面改修や、屋根の軽量化などは費用がかさみやすく、200万〜400万円ほどになることもあります。
耐震はほかの工法に比べて最も費用が安く、耐震リフォームの費用相場は120万〜150万円ほどです。しかし、一戸建て住宅の全面改修や、屋根の軽量化などは費用がかさみやすく、200万〜400万円ほどになることもあります。
免震とは
免震は、「建物に特別な措置を行い、地震の揺れを伝わりにくくする工法」です。先述した耐震は、建物が強固になる代わりに揺れやすくなるデメリットがありました。一方この免震では、装置が建物の揺れを吸収する方式を取ります。そのため、激しい揺れをゆっくりと穏やかな揺れに変えられることが特徴です。
免震の仕組み・構造・メカニズム
via www.menshin.biz
免震住宅は、地盤と建物の間にアイソレーターやダンパーなどの免震装置を設置します。ゴム製の装置が地震の揺れを吸収する仕組みとなっており、免震装置が動くことで建物そのものの揺れを軽減してくれます。ほかの工法とは違い、地盤と建物とが切り離されるため、揺れがダイレクトに伝わらず大幅に地震の被害を軽減できます。
免震のメリット
免震のメリットは、「水平方向の揺れに強く、建物の耐震性能を飛躍的に向上できること」です。地震の揺れをほぼなくせるため、建物の構造体への被害が最も少ない工法と言われています。
建物の倒壊を防ぐことはもちろん、建物内部のダメージを最小限に抑えられるため、地震による火災や家具の転倒などの二次災害が起こりづらいメリットもあります。
建物の倒壊を防ぐことはもちろん、建物内部のダメージを最小限に抑えられるため、地震による火災や家具の転倒などの二次災害が起こりづらいメリットもあります。
免震のデメリット
免震は高い耐震性能が期待できる工法ですが、まだまだ施工実績が少なく、未知の要素が多い工法です。初期費用や定期的なメンテナンス費用などでコストが膨らみやすく、施工できる業者もごく少数に限られています。そのため住宅に施されるケースは依然少なく、導入するハードルはやや高めかもしれません。
また、免震住宅は地震が起こると免震装置が動くため、近隣との間隔が近い住宅街などでは導入しづらいデメリットもあります。さらに地盤と建物が離れているため、縦方向の揺れや台風の強風などでは、かえって揺れやすくなってしまうのもネックです。
また、免震住宅は地震が起こると免震装置が動くため、近隣との間隔が近い住宅街などでは導入しづらいデメリットもあります。さらに地盤と建物が離れているため、縦方向の揺れや台風の強風などでは、かえって揺れやすくなってしまうのもネックです。
免震の費用・コスト
via www.hng.ne.jp
免震は、ほかの工法に比べて費用が最も高く、初期費用だけでなく定期的なメンテナンス費用も発生します。免震の新築住宅を建てる費用はプラス200万〜300万円ほど、免震リフォームの費用は250万〜350万円ほどです。加えて、どちらも免震装置のメンテナンス費用が年間3万円ほどかかります。住宅の状態や広さによって費用が変わりやすいものの、耐震工事の4〜5倍ほどのコストがかかるケースが多いようです。
制振とは
制振とは、「建物内部に施工する制振装置によって、地震の揺れを制御する工法」です。免震と同じく地震の揺れを軽減する役割がありますが、制振なら従来の住宅と同様、地盤の上に建物を建てられます。費用も比較的安く、揺れによる二次災害を防ぐ効果があるため、耐震性の高い住宅や高層マンションなどに多く用いられています。
制振の仕組み・構造・メカニズム
via ibrain.jp
制振住宅は、建物の内壁と外壁の間に制振ダンパーを設置したり、外壁面にブレースを取り付けたりすることによって、建物を地盤から切り離すことなく地震の揺れを軽減します。建物が揺れた時、これらの装置が変形することで地震のエネルギーを吸収することで、構造部分への影響を最小限に抑えてくれるのです。
制振のメリット
制振のメリットは、耐震と組み合わせることによって、住宅の安全性を大幅にアップできることです。耐震はコストが安く、どのような住宅でも気軽に導入できるメリットがありますが、ダメージの蓄積によって性能が落ちたり、建物内部の被害を抑えられなかったりといったデメリットもありました。他方、制振なら建物そのものの揺れを削減するため、建物内部で起こる二次災害を防ぐことが可能です。加えて、制振は繰り返しの地震や台風の揺れにも強いため、耐震で懸念されがちなデメリットをうまく補えるでしょう。
制振のデメリット
制振のデメリットは、軟弱地盤では性能が落ちる恐れもあることです。免震ほどではありませんが、制振も装置が動くことで揺れを吸収する方式です。そのため、そもそもの地盤が弱いと装置がうまく作動しません。また、近隣住宅との距離が近過ぎると設置できないなど、住宅によっては施工が適さないこともあるので注意しましょう。
ほかにも、制振は耐震と免震の中間的な性質をもつため、免震と比べると揺れを抑える力が弱く、建物内の被害をゼロにはできない点もデメリットと言えます。大きな地震が来た時に備えて、屋内の地震対策も併せて取り入れるのが望ましいでしょう。
ほかにも、制振は耐震と免震の中間的な性質をもつため、免震と比べると揺れを抑える力が弱く、建物内の被害をゼロにはできない点もデメリットと言えます。大きな地震が来た時に備えて、屋内の地震対策も併せて取り入れるのが望ましいでしょう。
制振の費用・コスト
via www.hng.ne.jp
制振の費用は、耐震と免震の中間ほどです。制振で新築住宅を建てる場合の費用相場はプラス50万~100万円ほど、制振リフォームの費用相場は50万〜150万円ほどを目安とするとよいでしょう。リフォームの場合は、内壁や外壁を一度解体しなくてはならないため、解体費用や新たに設置する壁の資材費などもかかります。住宅の面積が広い場合や、追加で補強工事が必要な場合などは、費用も高くなりやすいので注意しましょう。
耐震・免震・制振は結局どれがいい?
ここでは、耐震・免震・制振の特徴を踏まえて、地震に強い住宅を選ぶにはどれがよいのかをまとめました。高性能な住宅を建てたい人や、リフォームを検討している人などは、ぜひ参考にしてください。
耐震は義務
現在、新築の建物を建てる時は、1981年6月に改正された建築基準法の新耐震基準を守らなくてはなりません。新耐震基準では「震度6強~7ほどの大地震でも安全が確保できるように、住宅の耐震性を高めること」が義務付けられています。
言い換えれば、「これから新築される建物には、必ず耐震性能が備わっている」と理解できます。したがって、より地震に強い住宅にしたい場合は、「耐震にどのような機能をプラスするか」が焦点となります。
他方で、建築基準法が改正される前に建てられた古い建物は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。その場合、耐震リフォームを行うと減税制度が適用されたり、リフォーム費用に補助金を充てられたりと、国や自治体の制度をお得に活用できる場合があるので、住んでいる自治体のホームページなどをチェックするとよいでしょう。
言い換えれば、「これから新築される建物には、必ず耐震性能が備わっている」と理解できます。したがって、より地震に強い住宅にしたい場合は、「耐震にどのような機能をプラスするか」が焦点となります。
他方で、建築基準法が改正される前に建てられた古い建物は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。その場合、耐震リフォームを行うと減税制度が適用されたり、リフォーム費用に補助金を充てられたりと、国や自治体の制度をお得に活用できる場合があるので、住んでいる自治体のホームページなどをチェックするとよいでしょう。
オススメは「耐震&制振」
最も地震の揺れを軽減できるのは免震ですが、基礎部分に装置を設置しなくてはならないので、大掛かりなリフォーム工事になりやすいため、コスト増大の懸念もあるでしょう。住宅への導入事例も未だ少ないので、施工後の影響やコストなどまだまだわかっていない点も多くあります。
費用と性能のバランスを考えると、耐震と制振とを同時に取り入れるのがオススメです。現在建てられている住宅の多くは新耐震基準をすでに満たしているため、より地震に強い住宅にしたい人は、制振をリフォームに取り入れるとよいでしょう。
耐震は「建物が倒壊しないように強固にする」、免震は「建物と地盤を切り離して揺れを吸収する」、制振は「建物内部に装置を取り付けて揺れを制御する」という意味があります。耐震は新築住宅にあらかじめ備わっている機能ですが、さらに地震に強い住宅にしたい場合は、性能と費用のバランスに優れた制振をプラスするのがオススメです。
建物を地震に強くしたい人は、「建物を強くする」が社是の「カシワバラ・コーポレーション」までお気軽にご相談ください。
費用と性能のバランスを考えると、耐震と制振とを同時に取り入れるのがオススメです。現在建てられている住宅の多くは新耐震基準をすでに満たしているため、より地震に強い住宅にしたい人は、制振をリフォームに取り入れるとよいでしょう。
耐震は「建物が倒壊しないように強固にする」、免震は「建物と地盤を切り離して揺れを吸収する」、制振は「建物内部に装置を取り付けて揺れを制御する」という意味があります。耐震は新築住宅にあらかじめ備わっている機能ですが、さらに地震に強い住宅にしたい場合は、性能と費用のバランスに優れた制振をプラスするのがオススメです。
建物を地震に強くしたい人は、「建物を強くする」が社是の「カシワバラ・コーポレーション」までお気軽にご相談ください。
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