お部屋に春(スプリング)到来!バネを活用した技アリ収納棚をDIY

熟練のDIYerのみなさまにとって、“ただの収納棚DIY”ではちょっと物足りないところ。見た目や収納力があるのはもちろん、一捻りあるプロダクトにこそDIY魂が宿るというものです!ということで新年一作目は、バネの力を使って開閉することのできる扉付きのDIYに挑戦してみましょう。

2023.04.13

はじめに

少し遅れましたが、新年あけましておめでとうございます。DIYer(s)では昨年もたくさんのDIYレシピをご紹介して参りましたが、今年はさらにパワーアップしたプロダクトを作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ところでみなさまは、「扉付きの収納棚」というと、どのようなものを思い浮かべますか?蝶番やマグネットを使って開閉するタイプが一般的なのではないかと思いますが、それではありふれていて、ちょっとつまらないですよね。
そこで今回は、バネの伸縮性を活用した技アリな収納棚レシピをご紹介! これから待ち遠しい春(スプリング)に向けた、トンチの効いたDIYとなっております(笑)。

作るもの

今回作るのはこちらの収納棚!壁に取り付けたり、卓上にそのまま置くことで使うことができます。無塗装のナチュラルな仕上がりにしているため、植物を添えておくととても良い雰囲気になり、お部屋が明るくなりますよ。
スマートな見た目の扉は、取っ手を下げると中にあるバネが縮まり、ロックが外れるという仕組み。一見するとどのようにして開けるのか分からないビジュアルになっているため、薬などお子さんの手に届かないようにしたいものを収納しておく使い方も有効です。
こんなおしゃれかつ実用性の高いプロダクト、作らない手はありませんね!

材料

↓針葉樹合板 T9mm
扉 270×478mm
背板 482×482mm
側板(長) 482×100mm
側板(短) 300×100mm
棚板 80×282mm
コマ 25×25mm

丸棒 900mm×Φ8
丸棒 900mm×Φ6
押しバネ 0.8(線径)×12(外径)×34(長さ)mm

STEP01.バネ付き扉の制作

早速ですが、今回のプロダクトの肝となる“バネで開閉する扉部分”を作っていきたいと思います。完成イメージは写真の通りで、T字にした丸棒を“コマ(正方形の木材に棒が通るように加工したもの)”によって固定し、それをバネの力で上下させることができるようにしていきましょう。
まずはコマ作りですが、こちらは端材から25mm角の正方形を3つマークし、中央に丸棒が通るように9mmの穴をあけてください。この時、正方形が小さいため勢いよくやると木材が割れてしまう可能性がありますので、少しずつ慎重に作業するよう心がけましょう。
次に扉にコマを取り付けていきますが、それぞれの位置はこの通り!それぞれの数字は板の端からコマの芯までの距離なので、それを意識してマークしてみてください。また、あくまで取っ手をどこにつけるかという話なので横からの距離は適当でも大丈夫です。
コマの位置が決まったら、次は取っ手を表に出すための楕円形の穴を扉にあけていきます。ちなみに、実際に棚を使う際には写真のように丸棒を上下に動かすため、穴は小さすぎると動かしづらく、大きすぎると中が見えてしまい不恰好です。作業自体は難しくありませんが、使用シーンを想像しながら進めましょう!
横幅10mm、縦幅35mmの楕円形にジグソーでカットしていきます。位置は扉の上部から240mmの地点で、コマをつけたラインと被るようにしてください。この時、実際に丸棒を通してみて試しながら穴を広げていくと、程よい大きさに仕上げることができます。その後、カットをし終わったら紙やすりでバリを取って、滑らかにしておきましょう。
次は先ほど開けた穴から取っ手を出すために、写真のように丸棒をT字に組んでいきます。ちなみにこの部分、「どうやって丸棒を直角に固定しているんだろう」と気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。ビス止め?とんでもない、実は今回、ある方法を使って丸棒同士をスマートに接合していました。
それがこちら!電動ドリルのビットの代わりに丸棒を取り付け、高速回転したところにヤスリを当てて均等に削っていく。名付けて、“手持ち旋盤機”です。この発明によって、丸棒を部分的に細くして、別の丸棒に開けた穴に差し込むことができるようになります。
用意した400mmの丸棒の、片側から110mmの地点に3.5mmのドリルビットで穴を開けましょう。こちらも丸棒の幅が狭くギリギリなため、割れてしまわないように慎重に作業することを心がけてください。
ここまでできたら暫定でバネとコマをはめてみて、冒頭にご紹介したステップまできたことが分かりますね。この時、丸棒がコマを通る時にキツかったり引っ掛かりを覚えたりするようであれば、後々の動作に影響してくる可能性があるのでしっかり調整をしておきましょう。
パーツが揃ったので、コマを扉に取り付けていきましょう。まずは木工ボンドを側面に薄く塗り広げた後、丸棒にバネとコマを通していきます。そして、冒頭でマークした位置にコマが来るように調整して、固定。
しっかりと接着されるように、放置している間はクランプなどで圧力をかけておきます。もし家にクランプがないという方は、重量のある本をバランスよく重ねるなど工夫してみてください。
この待ち時間だって無駄にはしません。クランプで固定している逆側に9Φの丸棒を取り付けて、蝶番代わりにしていきます。この時、上下で長さが余ってしまうと思いますが、後ほど完成した長さに合わせてカットしますのでこの段階では残しておいてください。
位置が定まったら、下穴を開けてからスリムビスで扉の側面に中央と左右の3箇所で固定してください。ここまでで、扉部分の制作は完了です。

STEP02.棚部分の組み上げ

扉が完成したので、次は棚部分を作っていきたいと思います。基本的にはシンプルな箱組みなのですが、ポイントが2つありますので、順を追って説明していきます。
まず1つ目のポイントですが、今回作る棚には“バネで上下する丸棒”と“蝶番代わりの丸棒”の2本があります。そのため、上下の板には棒を通すための穴や窪みが必要になることを意識しておいてください。
それではまず、棚の横端から内側へ15mm入ったところへ、“蝶番代わりの棒”を通すための穴を開けていきましょう。この時、丸棒がΦ8なのでドリルビットも8mmからスタートさせ、きついようであれば少しずつ穴を広げるなどして対処してください。
注意点ですが、この穴は“蝶番代わりの棒”を通すための穴になるので、先ほど扉の内側に取り付けた丸棒とは逆側になります。こうした“左右間違え”はDIYミスのあるあるなので、気をつけましょう!
作業後はこのような形に。丸棒が通りきるように穴を貫通させたのが上板、横にずれないように窪みだけ作ってあるのが底板になります。
次は“バネで上下する丸棒”を通すための穴ですが、こちらは上板に開ける1点のみでOK。実際に扉を棚に当てながら、棒が来る位置を見極めて9mmのドリルビットで穴を開けていきます。
ポイントの2つ目は、“扉の内側に取り付けた丸棒が棚板に干渉しないようにする”ということ。そのため、写真のように棚板の一部にカキコミを入れることで丸棒が入るスペースを作っておきましょう。
作業は簡単。この時点で干渉してしまっている部分を大まかで良いのでマークし、ジグソーでカットしていくだけです。丸棒が入ればどれだけ大きくても問題はないですが、あまりゆとりを持たせすぎると収納スペースが狭まって来てしまうのでご注意を。
ちなみに、今回は写真のようにカキコミの角を丸く仕上げることに。こうすることでグッとクオリティが高く見えますので、ぜひ試してみてください。
棚板ができたら、用意していた背板・側板(長)・側板(短)を組み上げて周りの箱を作っていきます。その後、写真のように側面からスリムビスを使って棚板を固定していきましょう。
この時も板の積層に対してビスを打ち込むことになりますので、割ってしまわないようにできるだけ注意して作業してください。心配であれば、下穴を開けておくことをオススメします。
上板の取り付けに関しては、このように扉を取り付けた後にするとスムーズです。上に飛び出している2本の丸棒を通すようにして板を乗せ、もしこの段階で上手く入らないなどがあれば丸棒や穴の位置を調整します。
最後に、飛び出した丸棒を手のこでカット。この時、あくまで扉にロックをかけた状態での余剰分を切るというイメージですので、お間違いのないようにご注意を。

完成

以上で、完成です!いかがでしょう、バネのシステムや棚板のカキコミなど、いくつも工夫を凝らしたことで非常に完成度の高いプロダクトになったのではないかと思います。それでは、実際に扉の開閉がスムーズに機能するのか、ドキドキしながら設置してみましょう!

設置

壁に取り付けてみた様子がこちら。無塗装の優しい風合いが植物や古材にもマッチして、とても良い雰囲気ですね!収納力もちょうどよく、洗面所やキッチンにあると小物をスマートに仕舞えそうです。
また、今回は棚板を2つ取り付けて3段構成で作りましたが、ここはもちろんお好みです。ぜひ、用途に合わせたサイズで作ってみてください。ここでは壁にビスで打ち付けていますが、大きく作って卓上に置いて使うのもアリなプロダクトだと思います。
ドキドキの開閉チェックも驚くほどスムーズに。取っ手を下に引いて開けるという行為が、なんだか古い日本家屋のような新鮮さでつい何度も開け閉めしてしまいました(笑)。また、写真のように、薬や石鹸・化粧水など、小さいお子さんが誤って口にしては困るものを入れておくと今回のスプリングシステムの意義があるというものです。
ちなみに、ロックに使っている丸棒は先端を斜めにカットするのもオススメ。こうすることで扉を閉めるときは取っ手を引かなくても、棚に当たれば勝手に棒が下がってくれます。小さな工夫ですが利便性がアップしますので、作業にもし余裕があればお試しを。

まとめ

バネを活用した開閉システム付きの収納棚、いかがでしたでしょうか。2022年1発目のDIYということで、気合と工夫の詰まった内容になったのではないかと思います。お好みで塗装してみたり、扉に鏡を貼り付けて洗面所での使い勝手を良くしてみたりなど、その拡張性も無限大!春からの新生活に、ぜひ取り入れていただきたいプロダクトになりました。
撮影:薮内努(TAKIBI)
監修:岩西剛

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