ワトコオイル全8色と塗り方・仕上げ方

「ワトコオイル」は亜麻仁油をベースとした自然由来の植物性塗料。木を引き立てる全8色のナチュラルカラーを展開しています。今回はそんなワトコオイルのカラーの魅力に迫るべく全色比較をしてみました!お気に入りのインテリアへの塗装にぜひお役立てください。

公開日 2017.07.27

更新日 2023.04.13

ワトコオイル全8色と塗り方・仕上げ方

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これが特徴!ワトコカラーの楽しみ方

DIYerたちの間でも高い人気を誇る「ワトコオイル」。まずは、このワトコオイルの日本総代理店として輸入販売を行う北三株式会社に伺い、こだわりの色味について詳しくお話をお聞きしました。
インタビューに答えていただいたのは、営業部ワトコ課の白井さんと板谷さん。ちなみに北三株式会社は世界の銘木や天然木ツキ板(木材を薄くスライスした板材)他、各種関連製品を取り扱う木材総合メーカー。ご案内いただいたショールームにも世界各国の銘木や美しいツキ板がずらりと展示されていました。

ショールームの一角にあるワトココーナー。

―DIY業界でも人気の高いワトコオイル。まずは、その色の特徴を教えてください。

白井「ワトコオイルは、亜麻仁油をベースとした自然由来の油性塗料。エボニー(黒檀)、マホガニーなど、実際にある木の色味を表現したナチュラルな色合いと、木味そのままのナチュラルな質感が特徴です。オイルフィニッシュであるワトコオイルは、木を“着色”することよりも“補色”に重点を置いているので、べったりと色づくことがなく、木目を活かした透明感のある色味に仕上がるんですよ」
板谷「また、木の品種によっても、木地の色やオイルの吸い込みが違うため、色の出方が変わります。たとえば、パイン材とオーク材ではオーク材のほうが色が入りやすいので、色味が濃く、木目もはっきりと出るといった具合です」
▼色見本パイン材(針葉樹)

▼色見本パイン材(針葉樹)

▼色見本オーク材(広葉樹)

▼色見本オーク材(広葉樹)

一般的に広葉樹は、針葉樹に比べて色が入りやすい傾向があるとのこと。上の色見本を比較しても、針葉樹であるパイン材よりも広葉樹のオーク材のほうが色が濃く出ているのがわかる。

白井「あえて日灼けをオススメしているところも特徴ですね。経年変化を楽しんでいただきたいので、UVカット剤をまったく使っていません。自然のままの褪色が楽しめるんですね。もし、灼けすぎたと思っても、オイルをウエスにつけて拭くだけでメンテナンスができます。古材のように味のある木の変化を、そのまま楽しめるのが一番の魅力ではないでしょうか」
経年変化の褪色さえも味のうち。アンティークに通じる楽しみ方ですね。

オイルについて解説をいただいたワトコ課の板谷さん。もうひと方、白井さんは北三でワトコ課を立ち上げ、国内でブランドをここまで育て上げた立役者。オイルについて語るお二人のイキイキとした表情から商品に対する並々ならぬ愛情が感じられました。

ワトコオイルを上手に塗るには

―次にオイル塗るときのポイントについてお伺いします。上手に塗るには、どんなことに気をつけたらよいでしょう。

「広葉樹の場合は塗料の吸い込みが早いので、刷毛でサラッと塗るくらいの量でちょうどいいですね」と白井さん。

白井「オイルを塗るときにいちばん大切なのは“拭き取り”。ウエスで木に入りきらなかったオイルを拭き取りながら、オイルをしっかり刷り込むことが大切なんです。この作業を丁寧にすることで、色ムラやベトつきのないきれいな表面になります。ウエスは綿素材、古びた綿のTシャツなんかが最適ですね。タオルだとひっかかるのでちょっとやりにくいかもしれません」
板谷「仮に色が濃く出すぎたら、作業の途中でサンドペーパーを当てて調整することも。表面に塗膜を張らないワトコオイルは塗装前、塗装後と、どの段階でペーパーを使ってもOKなんです。また、表面に残ったオイルを拭き取る前にペーパーをかける“ウエット研磨”は しっとりとした滑らかな仕上がりが好きな方にオススメ。人とは違うオリジナルの仕上がりを追求できるところも、ワトコの楽しみ方のひとつだと思います」

―貴重なアドバイスをどうもありがとうございました。 教えていただいたポイントを踏まえて、いよいよ全ての色を塗ってみます!

全8色を比較!

こちらがワトコオイル全8色を塗ってみたもの。上列左からナチュラル、ホワイト、チェリー、マホガニー。下列左からエボニー、ドリフトウッド、ミディアムウォルナット、ダークウォルナットの順。

お二人のアドバイスを思い出しながら、塗って、拭いて、乾かしてを2回繰り返し、出来上がった色見本がコチラ!実際にインテリアに塗装したときの感じがわかるよう、今回は木製BOXに塗装してみました。薄めのカラーは地の色を残したナチュラルな味わい、濃いカラーも木目がしっかりと映えて高級感が漂います。

全8色を徹底解説

▼ナチュラル(クリア)

▼ナチュラル(クリア)

海外ではストロー、つまり“ワラ色”と表現されるとのこと。「刈り取るときに飴色になった麦の色です。少し黄色がかったクリアな色味が、時を経るごとにミディアム、ダークと日灼けしていく、その変化も魅力です」(白井)

▼ホワイト

▼ホワイト

シャビーな印象を与えるホワイトはフレンチシックやナチュラルスタイルにもぴったり。「床や柱にわざと汚く塗って、古材風な内装に仕上げていた喫茶店もありました。ヴィンテージ感を味わうと楽しいですね」(白井)

▼チェリー

▼チェリー

「もともと本物の桜の木の補色として使われているカラー。ほんのりとした上品な赤みが表現できます」(板谷)。明るめの赤茶色が新鮮な印象。アンティーク感のあるインテリアにも合いそうです。

▼マホガニー

▼マホガニー

「今ではワシントン条約で取引が制限されているマホガニーという美しい赤色をした高級木材の色です」(白井)。深みのあるダークな赤色は、オーセンティックやアジアンテイストの、落ち着いた空間にオススメです。

▼エボニー

▼エボニー

「渋みのある古材のような風合いのエボニー。他のメーカーの1/3ほどしか顔料を入れていないので、木目が真っ黒につぶれることもありません」(白井)。褪色すると、絵の具では出せない何とも言えない色味が楽しめるとか。

▼ドリフトウッド

▼ドリフトウッド

「こちらは、海辺に打ち上げられた流木の色合いを表現したカラーです」(板谷)。白みがかったシックな灰色は、ナチュラルからインダストリアルまでさまざまな空間にフィット。古材風にわざとダメージ加工してもおしゃれです。

▼ミディアムウォルナット

▼ミディアムウォルナット

「床材などの内装に使っていただくことも多い定番カラー。元の木目がナチュラルに強調されます」(白井)。補色の役割も兼ねており、赤や緑に変色してしまった木材もこの色を塗り重ねることで良質な木に近い色合いが出せたりするそうです。

▼ダークウォルナット

▼ダークウォルナット

「昨今ではミディアムウォルナットやナチュラルを抜いて、一番人気のカラー。たとえ安価な木材も高級感が出ます」(白井)。流行のブルックリンテイストにも調和する、渋くて味のある焦げ茶色が特徴。インテリアに大人な雰囲気をプラスしたいときに。

ブレンドでオリジナルカラーが楽しめる!

ワトコオイルは、異なるカラー同士をブレンドできることも魅力のひとつ。「他のカラーより顔料の多いホワイトだけは不向きですが、他の色はお好みでどんな割合でも調合できます。エボニーの黒やマホガニーの赤など、ちょっと加えるだけで思わぬ色合いが生まれるんですよ。」という白井さんの言葉を受け、オイルのブレンドにも挑戦してみました。

ミディアムウォルナット+マホガニー

今回試したのは、ミディアムウォルナットにマホガニーを8:1ほどの割合でブレンドしたオリジナルカラー。結果はご覧の通り。ミッドセンチュリー風の家具にありそうなニュアンスを含んだ赤茶色に染まり、レトロモダンなインテリアによく合いそう。アンティーク好きな方にぜひオススメです。

今回のブレンドに使用したミディアムウォルナット(左)とマホガニー(右)。

ほんのりと赤みがかったヴィンテージ感あふれる薄茶色に。ちょっと色を足すだけで思わぬカラーが生まれるオイルのブレンドは、一度やってみる価値あり。塗り足しのときに同じ色味が作れるよう比率を控えておきましょう。

ワトコカラーをインテリアに!

せっかく塗り分けた木製BOX。これを実際にインテリアに落とし込んだらどうなるか……。“ナチュラル”“インダストリアル”“アジアン”のテイストに合わせた3つのカラーをご提案します。

TASTE.01 ナチュラル

木の質感そのままのナチュラルカラー。ボタニカルなフォトフレームとドライフラワーを合わせれば、無機質な白壁がたちまち温かみを帯びた空間に。

TASTE.02 インダストリアル

無機質な色味のドリフトウッドとレンガ壁の掛け合わせ。黒を基調とした小物類やアイアンバスケットの隣に配すればいっそう無骨な印象に。

TASTE.03 アジアン

高級感あふれるマホガニーはアジアンテイストと好相性。お気に入りのお香やストーンとともにエントランスを飾れば、落ち着きと華やぎがプラスできます。

以上、ワトコオイル全8色の魅力を徹底解説してまいりました。“木を生かす”ことを信条とした木材メーカーが扱うワトコオイルは、やはり“木を生かす”ことに長けた、親しみやすいオイル塗料でした。今回作った色見本、インテリアを塗る際の色選びにぜひ参考にしてみてください。

INFORMATION

北三株式会社 ワトコ商品センター
Tel
0297-62-3482
Address
茨城県龍ケ崎市貝原塚町3085
Business Hour
平日09:00~12:00/13:00〜17:00 ※土日祝日・年末年始・夏期休業期間は翌営業日以降対応
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土日祝日・年末年始・夏期休業期間
URL
https://www.hoxan.co.jp/watco/

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