古民家リノベの“リアル”に密着!意外と知らない外構と照明のアレコレ

地方暮らしに注目が集まる昨今、その一つの手段として耳にすることが多くなってきた古民家リノベーション。DIYer(s)編集部では、実際に古民家リノベを経験したとあるご夫婦に直撃取材!その中でも本記事では、古民家の魅力をより際立たせる『外構』と『照明』という2つのポイントにフォーカスしてご紹介させていただきます。

公開日 2021.01.07

更新日 2023.04.20

古民家リノベの“リアル”に密着!意外と知らない外構と照明のアレコレ

はじめに

DIYer(s)では、古民家リノベーションを経験されたとあるご夫婦からお話を伺い、古民家リノベの実態について記事でご紹介してきました。アパートから古民家暮らしへ一転したお二人の生活やリノベーションにかかった費用については過去の記事でご紹介していますので、まずはぜひそちらをご覧ください!
今回は、ご夫妻のリノベーション内容について更に一歩踏み込んで取材!ご夫妻からお話を伺う中で“古民家らしい魅力”を感じた2つのポイント、「外構」と「照明」について、アツくご紹介していきます!

ポイント01.歴史の手を借りる、古民家の外構工事

古民家リノベの“リアル”に密着!意外と知らない外構と照明のアレコレ
古民家らしい魅力のあふれるポイント一つ目、「外構」について、ご夫妻のリノベーションを例をみていきたいと思います。まず、こちらが施工前の外構なのですが、空き家になっていたということもあり、庭の植物はかなり茂ってしまったそうです。ですが、古民家暮らしと言えばやはりその外構はこだわりたいところ!そこで、より古民家の魅力を引き出すために、今回ご夫妻が外構を工事するにあたって気づいたこと、苦労したことについてお話を伺ってみました!

ジャガイモが出土!?なんでも出てくる不思議な庭

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「実は、以前この家に住んでいた方が家庭菜園をやられていたみたいなんです。だから庭も最初は畑で、整備に苦労しました」とご主人。工事が始まる前に少し土を掘っているとジャガイモが出てきたこともあったそうで、大変だと思いながらも古民家ならではのエピソードに面白さも感じてしまいました(笑)。
また、虫嫌いな奥さんの要望もあって、庭に何本も植えられていた木の撤去も最初に行った工程の一つだったのだとか。このように、古民家の外構は前の住人のカラーが色濃く出てしまっていたりする場合があるので、思わぬ費用がかかってくる場合も少なくないようですね。

ちなみに、住み始めてからはこの庭の雑草問題に手を焼いているというご夫妻。「本当は一度庭の土を全て出してから、草が生えにくい土に入れ替えるなどの選択肢もあったのですが、そこは予算の関係で断念しました。防草シートは敷いているものの、夏には1週間に1回は草むしりをしないといけないので、大変です」と、庭の維持にかかる苦労を苦笑いで話してくれました。古民家に限らず、庭を持てばこの手の問題はついて回るので、維持の手軽さを優先したいという方は最初に多少お金をかけるべきかもしれません。
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こちらは外構の道路に面する部分。もともと、ここには一台分の駐車スペースが用意されていたそうですが、3台の車を所有しているというご夫妻はこれでは足りず、追加でコンクリートを敷いて2台分を増設したのだとか。
ふと、庭をいっそ全面コンクリートにすることもできたのでは?とお聞きすると、「それも選択肢にはありましたが、なんとなく全面コンクリートが好きではなくて。何より、飼っている犬が走り回れるスペースを作ってあげたかったんです。実際、いま庭はドッグランのようにして使っていますね」と笑顔で答えてくれました。リノベーションした古民家に住んで庭で愛犬を走らせるなんて夢のような生活、羨ましい限りです...!

歴史の置き土産、「鉄平石」を活用

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外構を作るにあたって、ご夫妻が目をつけたものがありました。それは前の住人が飛び石として庭に散りばめていたという、鉄平石(てっぺいせき)。硬い石質と、耐重性・耐侯性にも優れていることから高価な外装用石材として知られるこの石を、何かに使えないかと考えたそうです。そこで、ご夫妻は庭中の鉄平石を集めて石畳のように配置。このアイデアによって、プラスでお金を使うことなく味のある外構をデザインすることができたのだといいます。

このように、歴史のある家ならではの苦労もあれば、それを活かす方向に使うと思わぬ収穫になるのが古民家リノベの醍醐味。自分たちに必要か不要かをしっかりと考えて取捨選択できたご夫妻の外構工事は、そのお手本のようですね。

ポイント.02 真似したい!古さを活かす照明計画

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古民家ならではを感じた2つ目のポイントは、ズバリ、照明計画!「せっかく古民家なのに、照明の話なんて地味!」と思ったあなた、とんでもございません。壁の色や床材でお部屋の印象が変わるように、照明も色温度や形、照度によってお部屋に大きな変化を与えることができます。
その重要性は、今回ご夫妻がリノベーションされた古民家でも随所で感じることができるので、早速みていきましょう!

和洋折衷を作り出す、“部分現し”の魅力

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古民家と言えば、屋根を支える梁が象徴的ですよね。ご夫妻の家のリビングには、部分的に梁が露出する“部分現し”という手法が用いられており、実はここが真似したい照明計画の一つなんです。
ご夫妻のイメージは、屋根に傾斜をつけることで梁を一部だけ露出させ、その上でいくつものダウンライトを天井部分に吊り下げるというもの。これを施工会社に相談したところ、写真のように通常とは異なる屋根裏の木材を伝う配線にして対応してくれたのだとか。こうした照明の裏側を見る機会なんてなかなか無いので、参考になります!
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そうして完成した照明がこちら。洋風な内装と部分現しの和洋折衷が、とても味わい深い雰囲気を醸しています。ご夫妻の希望だったダウンライトも見事に設置されていますが、ここにはとある苦労があったのだとか。というのも、部分現しにするために天井全体に傾斜をつけるまではよかったのですが、実は斜めの接地面に取り付けることのできる照明自体が少なく、あまり選択肢がなかったのだそうです。「たまたま合うものが見つかったのでよかったですが、少し焦りました。同じようにしたいと思った方は、事前にどんな照明があるのかリサーチすることが大切かもしれません」とご主人。

ちなみに、数ある照明の中から、今回ダウンライトを選んだ理由をお聞きすると、「大きなシーリングライトは、あまりカッコよくないのでつけたくなかったんです(笑)。だから見栄えがいいということでダウンライトにしたのですが、これが個人的には大成功でした。料理をする際には手元をピンポイントで照らすことができますし、何より簡単にライトを増設できるので、照度が足りないと思ったらすぐに足せる安心感がありますね」と、とても満足げに話してくれました。
もちろん、どのタイプの照明にもメリット・デメリットはあるものですが、それぞれのライフスタイルやこだわりに合わせた照明計画を考えることが、リノベーションの楽しみの一つと言えそうです。

光をつなぐ“明かり取り窓”の設置

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ご夫妻のお宅にお邪魔すると、いくつかの特徴的な窓を目にすることができます。
その一つが、この客室に配された丸窓。日光を取り入れて部屋を明るくする、いわゆる“明かり取り窓”としての機能はもちろん、丸く切り取られた光がまるでインテリアのように部屋に佇み、華やかさを添えてくれています。
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また、丸窓にはめられた木工細工もご夫妻のこだわり。これがあることで、差し込んできた光が和柄のシルエットを部屋に映し出し、より趣のある空間になって客人をもてなします。これは、古民家の持つ魅力を120%引き出した、立派な照明計画の一つだと言えますね。
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こちらは部屋同士をつなぐ明かり取り窓。写真は玄関廊下の様子ですが、上に取り付けた小窓によって隣接する部屋から採光でき、照明をつけなくても玄関がある程度の明るさになるよう計画されていました。電気代の節約にもなりますし、家に帰ってきた際に家族の生活の明かりを感じることができるのはいいですね。
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何よりのポイントは、この明かり取り窓に使われているガラス。実は以前、建具としてこの家で使われていたものなんです。この建具の処分についてご夫妻が施工会社と相談した際、今ではあまり見かけない珍しい模様だという話になり、再活用することに決めたのだとか。長くこの家を守ってきた部材をいたずらに捨てるのではなく、随所でそれを活かす姿勢に、DIYマインドを感じました!

まとめ

取材の終わり際、「今回のリノベーションで一番楽しかったのは、たぶん照明計画について夫婦であれこれと考えていた時間です」とご夫妻がお話されていたのがとても印象的でした。外構や照明はなんとなく他の要素の後に回されがちなイメージですが、しっかりと向き合うとこんなにも家の印象を左右してくるものになるんですね。
今後増えてくるであろう地方暮らしに、ぜひご参考にしてみてください。

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