クリエイティブリペア Vol.3 –椅子をリペア!【後編】

壊れたけれどもっと使いたい家具、もらったけれどちょっと気に入らない家具、それらを自分の手でどうにかしたい。しかもただリペアするだけではなく、自分色にガンガン染めながらリファインさせたい!そんな思いを叶えるべく、家具職人の荒井健次さんに“クリエイティブリペア”を学ぶ実践編。

公開日 2016.10.30

更新日 2022.01.07

クリエイティブリペア Vol.3 –椅子をリペア!【後編】

 

ビフォーの状態がこちら。脚はスチール製で、左右の足がつながって一つになっているのが特徴。木と違い、どうにも手の施しようがないように見えますが……これがどのように変わるのでしょうか?

荒井さんが取り出したのが、ブナでできた球体のおもちゃ。まずこちらの直径を計ります。続いて脚部の直径を計ると、14mm。これに合わせて、球体に電動ドリルで穴を開けます。ジャスト14mmのビットがなかったので、13.5mmのものを使用。

万力で固定をし、直径の2/3の深さまで掘削します。この木の球体の場合は直径45mmなので、穴の深さは25mmくらい。深くなりすぎないよう、ビットにマスキングテープを巻いて目安にするとよいでしょう。

 

目で見てまんなかくらいに見当をつけ、木部にもマスキングを貼ります。これは“バリ”が出る(木片がギザギザと飛び出る)のを避けるため。

上から垂直に、ぐいっと押し込むようにドリル刃を入れると、きれいな穴が開きました。

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傷つけないように万力にウレタンを挟み、スチールの脚を固定させます。そして4本の脚の長さを計り、同じところにペンでマーキングをします。

なんと!ここで荒井さん、おもむろにグラインダーに金属切断用の刃を付けて、スチールの脚を切断します。いわく「音も大きいですし、火花も思いっきり散るので、一見危なくて難しそうですけど、やってみると意外とできちゃいます。ちゃんと固定をして、刃を軽く当てれば大丈夫。力一杯しようとするとむしろ危ないんです」。

気を付けたいのは、ハンドルをしっかり持って、真っ直ぐ切るという基本的なことだけ。切断ができたら、ギザギザになったところ(バリ)をヤスリで削ります。

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あらかじめ穴を開けておいた球体を脚にはめます。脚は場所によって微妙に直径が違うので、穴の内側を削って?調整しながら、ハンマーで打ち付けて中に入れます。

がたつきを調べ、さらにハンマーで叩きながら調整します。カタカタと揺らして、浮いてない方の対角の2カ所を叩くとうまくいくそう。そして付け終わったら、待ってました!の座面の取り付け。はやる心であらかじめ張り替えの済んだ座面をドライバーで取り付けます。

完成です!事務椅子が、脚の先に球体を付けたことで、なんとも愛嬌のある椅子に生まれ変わりました!!

そしてこちらは番外編。座面の後ろ側、破損してしまった木の部分を目立たなくさせる作業です。これを専門用語で“タッチアップ”といいます。

まずは、割れて凹んでいるところをパテで平らにします。木材に合わせた色のパテをホームセンターなどで購入し、それを指で練って破損部分に埋め込みます。ちょっと多めに盛るのがコツ。

10分ほどおいて固まったら平らになるよう削ります。普通はノミを使いますが、今回はカッターで代用。木部と並行に、パテの部分だけが削れるように、慎重に刃を滑らせます。

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着色剤と呼ばれる染料を配合し、木の色に合わせて色を作ります、青と赤と黄の3色を組み合わせて紙に塗り、木部と見比べながら調色。

筆で塗る、というよりも置くという感覚で。

最後にラッカーを吹き付けます。種類はもともとの仕上げを見て同じものを選びます。「クリア」と記載されているのがツヤあり、「フラット」はツヤ消しです。これをすることで、タッチアップした部分と木目との質感を合わせ、なじませます。

汚れが目立つ場合、シンナーをスチールウールに染み込ませ、木目と並行にこすります。2層になっている食器洗い用スポンジの、硬い面でも代用可能。

今回使った工具や材料。左から、カッター、ニッパー、タッカー、筆、乳鉢、パレット代わりの紙、染料、ラッカースプレー、ラッカーシンナー、エポキシパテ、マジック、マイナスドライバー、ノギス、電動ドリル&穴開けビット、マスキングテープ、スチールウール、木球、インパクトドライバー、グラインダー、ハンマー、万力

最後に愛しき完成品といっしょに外の森で記念撮影。椅子も、荒井さんの無邪気な笑顔もチャーミングです。

 

ただ今回の椅子は、ほんの一例。まずは何をどんなふうにリペアしたいのか?座面は?脚は?それとも椅子以外?インテリアデザイナーになった気分で、あたりを見渡してみましょう。そして、もっと活躍できそうな家具があったら、ぜひやってみてください。家具を一から作るよりもとっかかりやすく、資源も無駄にせず、今より自分好みのものが一つ増える“クリエイティブリペア”。おすすめです。

 

Information

長野県で暮らす荒井さんが、地元にアトリエ兼ショップをオープン!機会のある方はぜひ!

Ph.D.(フッド)

公式ホームページ:http://www.ph-d.jp/

公式フェイスブックページ:https://www.facebook.com/ph.d.jp/

住所:長野県東御市羽毛山897-1

電話番号:050-5309-2102

メール:info@ph-d.com

営業時間:アトリエ/10:00〜18:00(不定休:お越しの際はメールにて事前のご連絡をお願いいたします)

ショップ/13:00〜18:00(土・日・祝日、イベント等でクローズの場合があります。Facebookヘージをご確認ください)

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