【空き家の明日Vol.1】 “手を加えて価値を高める”、家との付き合い方
DIYerたちと一緒に、空き家の未来について考えていく本企画。第1回目となる今回は、千葉県松戸市にて約2年半空室だった和室を約1年がかりで、見事にセルフリノベーションしたKさん宅にうかがいました。海外の建築について造詣の深いKさん。人と家との関わりについても考えさせられる住宅でした。
公開日 2017.12.27
更新日 2022.01.11
「DIYをする際には、自分で何かをデザインするのではなく、トラディショナルなデザインをいかにしっかり再現するかにこだわりました」。と語るKさん。そのこだわりは、部屋の各所に見受けられます。
クレオールコテージでは、ワイドプランクと呼ばれる広めの床材を使用。幅25cmの床材は売っていないため、自ら切り出したといいます。床材同士はタン&ブルーブという凹凸を組み合わせる方法で接合していました。
窓は日本やドイツの物件で採用されるスライド式ではなく、「ケースメントウインドウ」と呼ばれるフランスの開閉式、両開きで風通しの良いものに付け替えました。
ベランダもホワイトで塗り、床板を渡してあります。
床に対して高い位置に取り付けるモールディング(壁にほどこす装飾)もクレオールコテージ形式の特徴です。こちらもKさん自身が専用の道具を使って作製しました。
生活感を出さないよう工夫しているというKさん。一見、ワードローブのように見えるこちらを動かすと…。
なんと、ベッドが現れました!こちらのキットもアメリカから取り寄せて組み立てたものだといいます。狭い空間でもいかにスペースを無駄にせず、快適に暮らすか。Kさんのお部屋は、アイデアに溢れています。
“シンプリシティ”を追求した19世紀アメリカのシェイカーズスタイルを取り入れたキッチン。シンクは広く、野菜などをそのまま入れて洗えるファーマーズシンク、天板はここでそのまま肉などを切っていたといわれるブッチャーズスタイルを採用。
蛇口や取っ手は、ブロンズにオイルを付けてこする「オイルラブドブロンズ」という加工を施しています。独特の色合いが印象的ですね。
軽食などを食べるのにも最適なシェルフ兼テーブルも便利そうです。
家の中で最初に取り掛かり、最後に仕上がったというバスルーム。壁はホワイトジンファンデルというワインレッドが入った塗料でペイントされています。
ベランダの一角にはドイツから輸入したという木材加工用の機材が並べられていました。
モールディングやタン&ブルーブなど木材の加工に使用したビットパーツ。
同じく海外の事例などを調べていくうちに“家”に対する考え方も変化したと言います。「日本では新築で購入してから家の価値は下がっていく一方で、20年経つともう価値としてはほぼゼロになってしまいますよね。でも海外では、人がどんどん手を加えるにしたがって家の価値が上がっていくものなんです。アメリカの新築物件は30万ドルくらいが相場ですが、築100年以上の住宅になるとその価値は100万ドルにもなります。ここには、消費財としての家という日本の考え方と、財産として価値を高めていくための家という考え方の違いがある気がします」。
海外では、4、5回の引っ越しは当たり前。まず新築を購入しその価値を上げてから販売していくパターンが多いのだとか。また、築100年の家を人が住める用に改築するビジネスなども盛んです。日本でもKさんのようにDIYで空き家の価値を上げていく人や、MAD Cityのようにそれができる環境を整える団体があれば空き家問題は良い方向に向かっていくかもしれませんね。
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