リフォームに贈与税ってかかるの?親子や夫婦間の「損しない」税金対策
リフォームで発生する贈与税について説明します。住宅の名義や贈与を受け取る人との関係性などに触れつつ、どのような場合に贈与税が課税されるのかを解説します。贈与税を減らす条件を知りたい人や、課税と非課税の条件を知りたい人などはぜひ参考にしてください。
公開日 2021.01.24
更新日 2022.01.07
INDEX目次
「親の名義で建てた家をリフォームする」「リフォーム費用を両親に出してもらう」などの場合は、贈与税が発生するケースがあります。続柄やリフォームにかかる費用などによってさまざまな課税のパターンがあります。自分がどのケースにあたるのかを確認しながら、課税額を算出してみてください。
この記事では、リフォームで発生する贈与税について総合的に解説しています。住宅の改修で必要な税金対策について知りたい人や、どんな時に贈与税が発生するのかを詳しく知りたい人は、ぜひご一読ください。
この記事では、リフォームで発生する贈与税について総合的に解説しています。住宅の改修で必要な税金対策について知りたい人や、どんな時に贈与税が発生するのかを詳しく知りたい人は、ぜひご一読ください。
そもそも贈与税ってどんな税金?課税額は?
そもそも贈与税とは、どんな時に発生する税金なのでしょうか。ここでは、贈与税の概要と課税額の算出方法を説明します。「どれくらいの贈与を予定しているのか」「贈与をする人はどんな関係性なのか」に注目して、贈与を決める参考にしてください。
贈与税とは?相続税との違い
贈与税とは、個人からお金・財産をもらった時にかかる税金です。似た租税に相続税というものがありますが、これは亡くなった人の遺産を、子どもや配偶者などが受け継いだ時に発生する税金です。
贈与税は、両親がリフォーム費用を負担してくれる時や、知人が費用の一部を出してくれる時に、支払わなくてはなりません。そうした金銭的なサポートは、財産の贈与とみなされるからです。
ただし、金額や贈与した人との関係性などによっては控除されたり、税額が変わったりします。自分がどのパターンに当たるのか詳しくチェックしましょう。
ただし、金額や贈与した人との関係性などによっては控除されたり、税額が変わったりします。自分がどのパターンに当たるのか詳しくチェックしましょう。
いくらかかる?贈与税額の算出方法
贈与税は、年間で110万円以上の贈与がある場合に発生します。贈与された金額や贈与を受けた人の年齢などによって税率や控除額は異なるので注意しましょう。詳しい数値は国税庁のホームページに記載されているので確認してみてください。
【贈与税の算出方法(暦年課税)】
(贈与額-110万円)×税率-控除額
例:(500万円-110万円)×15%-10万円=48.5万円
例えば、20歳以上の人が両親や祖父母から500万円の贈与を受けた場合、110万円の基礎控除を差し引くと390万円になるので、その金額が課税価格となります。基礎控除後の課税価格が390万円だと、税率は15%、控除額10万円です。課税価格に税率を掛け、控除額を引いたものが最終的な贈与税額となります。贈与された金額ではなく、110万円を引いた基礎控除後の価格によって税率などが決まるので注意しましょう。
参考元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
【贈与税の算出方法(暦年課税)】
(贈与額-110万円)×税率-控除額
例:(500万円-110万円)×15%-10万円=48.5万円
例えば、20歳以上の人が両親や祖父母から500万円の贈与を受けた場合、110万円の基礎控除を差し引くと390万円になるので、その金額が課税価格となります。基礎控除後の課税価格が390万円だと、税率は15%、控除額10万円です。課税価格に税率を掛け、控除額を引いたものが最終的な贈与税額となります。贈与された金額ではなく、110万円を引いた基礎控除後の価格によって税率などが決まるので注意しましょう。
参考元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
リフォームにも贈与税ってかかるの?課税される主なパターン
ここでは、住宅の名義に触れながらよくある贈与税のパターンを紹介します。自分名義でない住宅のリフォーム費用を負担する人や、共有名義で建てた住宅をリフォームする人は参考にしてください。
住宅の名義人が「経済的利益」を得たら贈与税の対象に
リフォーム費用は、基本的に建物の名義人が負担すべきものです。名義人以外がその費用を負担した場合は経済的な利益を得たとみなされ、贈与税の課税対象となります。とはいえ、すべての贈与に支払いが必要なわけでなく、1年間の贈与額が110万円を超えると支払いが発生します。
また、見落としがちなのが、「名義人がリフォームの際にローンを組んだものの、実際には、名義人以外の人が支払いをしている」ケースです。その場合でも、返済金額が贈与税の対象となります。
また、見落としがちなのが、「名義人がリフォームの際にローンを組んだものの、実際には、名義人以外の人が支払いをしている」ケースです。その場合でも、返済金額が贈与税の対象となります。
課税対象となる例①:親名義の実家を、子ども世帯がリフォームしたケース
贈与税の発生でよくあるのが、親名義で建てた実家を、子ども世帯がリフォームし、代金を支払っているケースです。別居している親の家を改修する場合だけでなく、二世帯住宅で子ども世帯と親が同居する場合でも、名義が親であれば贈与税が発生します。費用を抑えて施工したい時は、リフォームを行う前に建物の名義を確認し、リフォーム費用を負担する人に名義変更を行うのがオススメです。その際は、土地の名義はそのままでも、建物の名義のみ変更すれば贈与税はかかりません。
課税対象となる例②:夫婦の共有名義となっている家のリフォーム費用を、夫または妻のみが負担したケース
夫婦の共有名義で家を建てたものの、リフォーム費用を夫婦のどちらかのみが負担したケースでも贈与税がかかります。共有名義の場合、不動産における所得権の持分割合を決めなければなりません。
例えば夫婦間の持分割合が3:2の場合、それに応じて両方がリフォーム費用を払う必要があるため、割合よりも負担額が少ないと贈与とみなされるのです。支払い額の少ない人が課税対象になるので、共有名義で住宅を造った場合はあらかじめ登記事項証明書を確認し、持分割合を把握しておきましょう。
例えば夫婦間の持分割合が3:2の場合、それに応じて両方がリフォーム費用を払う必要があるため、割合よりも負担額が少ないと贈与とみなされるのです。支払い額の少ない人が課税対象になるので、共有名義で住宅を造った場合はあらかじめ登記事項証明書を確認し、持分割合を把握しておきましょう。
贈与税が非課税になるのはどんな時?
リフォーム内容や贈与をする人の関係性などによっては贈与税がかからないこともあります。ここでは、贈与税が非課税になるケースを3つ紹介します。
年間110万円までのリフォーム費用は、どのケースでも「非課税」となる
まず、リフォーム費用が110万円までの場合、基礎控除内に収まるため贈与税が発生しません。小規模なリフォームであれば、名義人以外の人がリフォーム費用を負担しても非課税となるでしょう。クロスの張り替えや収納の追加、部分的な設備の交換、外構の修理など、比較的安く施工可能なものを選べば、贈与税をかけずにリフォームできることもあります。
ただし、1年間で発生した贈与額の合計で判断されるので、リフォーム以外で贈与があった場合や、リフォームの追加工事が発生した場合などは、すべてを非課税で行うのは難しいかもしれません。
ただし、1年間で発生した贈与額の合計で判断されるので、リフォーム以外で贈与があった場合や、リフォームの追加工事が発生した場合などは、すべてを非課税で行うのは難しいかもしれません。
「親から子」へのリフォーム資金援助は、特例として非課税枠が加わる
祖父母や父母といった直系尊属から20歳以上の子や孫に贈与をする際は、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」という制度を利用すれば、特例として非課税枠が加わります。この制度は契約日やリフォームする住宅の種類によって非課税枠の限度額が変わるため、事前にどれに当てはまるか確認しましょう。
例えば、「省エネ等住宅」のリフォームを2020年4月から2021年3月の間に契約した場合、1,500万円を限度とする非課税枠が加わります。つまり、基礎控除の110万円を加えると、1,610万円まで非課税です。なお、省エネ等住宅とは、省エネ等基準や耐震等級、高齢者等配慮対策等級といった国が定める基準を一定程度満たしている住宅を意味します。
例えば、「省エネ等住宅」のリフォームを2020年4月から2021年3月の間に契約した場合、1,500万円を限度とする非課税枠が加わります。つまり、基礎控除の110万円を加えると、1,610万円まで非課税です。なお、省エネ等住宅とは、省エネ等基準や耐震等級、高齢者等配慮対策等級といった国が定める基準を一定程度満たしている住宅を意味します。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるには、条件があります。主な条件としては、まず施工後の床面積が50〜240平方メートル以内であること。そして、「増築、改築、大規模の修繕、または大規模の模様替え」や「耐震基準に適合させるための修繕」など特定の工事内容であること。加えて「リフォームに要した費用が100万円以上」であることです。
また、贈与を受けた翌年2月〜3月15日までに確定申告書の提出が必要です。非課税措置によって贈与税の納付がない場合でも、申告書は提出しなくてはならないので、注意してください。
また、贈与を受けた翌年2月〜3月15日までに確定申告書の提出が必要です。非課税措置によって贈与税の納付がない場合でも、申告書は提出しなくてはならないので、注意してください。
条件によっては「相続時精算課税」を選択するほうがよいことも
相続時精算課税とは、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子や孫に贈与した場合、相続税を加算する代わりに最大2,500万円まで非課税となる制度です。「現段階で相続税が発生するほど資産がないので、生前に税金をかけずに贈与したい」といった場合は相続時精算課税が有効でしょう。しかし、万が一この先資産が増えた場合でも、相続時精算課税を使うとあとで暦年課税に変更できません。
相続時精算課税は、額面が大きいからと安易に使用せず、将来設計や相続税なども考慮して申請するのがオススメです。金額によって贈与と相続のメリットが異なるので、条件に合った適切な制度を選ぶとよいでしょう。
相続時精算課税は、額面が大きいからと安易に使用せず、将来設計や相続税なども考慮して申請するのがオススメです。金額によって贈与と相続のメリットが異なるので、条件に合った適切な制度を選ぶとよいでしょう。
親から子以外はどうにもならないの?贈与税を非課税にするためにできる対策
親から子といった直系尊属の贈与であれば非課税措置を利用できますが、それ以外の関係性において行える対策はあるのでしょうか。ここでは、贈与税を非課税にするための方法やポイントを紹介します。
リフォーム前に、住宅の名義変更・持ち分変更を行う(物件の譲渡)
贈与税をなるべく安く抑えるには、リフォーム前に名義変更の手続きを行うとよいでしょう。物件の名義変更にも贈与税が発生しますが、改修を行う前の建物の評価額を基準とするため、リフォーム費用を贈与する場合よりもお得に譲渡できます。特に築20年以上の古い住宅は、評価額が数百万円ほどまで下がるので、ほとんど贈与税がかからないことも多いです。
贈与税の発生にはさまざまなケースがありますが、子が親のリフォーム費用を負担する場合は特に注意が必要です。贈与を受け取った際に発生する贈与税と、将来子どもが家を相続する際に発生する相続税を支払う必要があるため、ほかのケースに比べて費用がかさむでしょう。なるべく税金を減らしたい人は、あらかじめ名義を変更しておくのがオススメです。
贈与税の発生にはさまざまなケースがありますが、子が親のリフォーム費用を負担する場合は特に注意が必要です。贈与を受け取った際に発生する贈与税と、将来子どもが家を相続する際に発生する相続税を支払う必要があるため、ほかのケースに比べて費用がかさむでしょう。なるべく税金を減らしたい人は、あらかじめ名義を変更しておくのがオススメです。
リフォーム前の物件を売買して名義を変えるのもアリ
リフォームを行う前に、物件を売買することで名義を変える方法もあります。両親名義の実家を子どもが買取り、所有権を移してリフォームを実施する人も多いです。古い住宅であれば家の評価額も下がっているため、安く買い取れる可能性が高いでしょう。
売買によって不動産所得税や登録免許税はかかりますが、それ以外の大きな課税はありません。築年数が古く、評価額が安い物件に適している方法です。
売買によって不動産所得税や登録免許税はかかりますが、それ以外の大きな課税はありません。築年数が古く、評価額が安い物件に適している方法です。
【関連リンク】贈与税以外の税金対策はこちらもチェック!
リフォームの内容によっては、所得税や固定資産税などの控除が受けられます。バリアフリーや省エネ、耐震などのリフォームをする場合は利用できるかもしれません。所得税や固定資産税などの優遇措置や申請に必要な書類、条件など、贈与税以外の税金対策を知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
ほかの人から費用を負担してもらう時に発生する贈与税は、リフォーム時にも課せられる税金です。なるべく贈与税を安くするには、直系尊属の特例を使用して税額を下げる、建物の譲渡や売買で名義を変更するなどの方法があります。贈与税を非課税にするためのより詳しい方法や、控除額内に収まるリフォーム内容については、ぜひ「カシワバラ・コーポレーション」にご相談ください。
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