モノと空間で人を繋げる:YANE

東京都江東区深川の閑静な住宅街に佇むマンション。一階の大きなガラス扉の向こうへ、お年寄りからスーツ姿の女性、はたまたランドセルを背負った女の子までが入って行きます。広々とした開放的な空間が魅力的なこちらの施設の名前は『YANE』。地域の皆さんが思い思いの時間を過ごしているこちらは、一体どのような経緯で作られたのでしょうか?運営会社であるインテリアデザイン事務所Hajikamiの代表、谷脇さんにお話を伺いました。

2018.01.06

モノと空間で人を繋げる:YANE

東京メトロの門前仲町駅から徒歩約8分に位置するYANEは、昨年6月にオープンしたばかりの複合施設。実はこちら、もともとはインテリアマテリアルの販売を行なっているGALLUPのEAST SHOWROOMだったんです。GALLUPとは素材や質感にこだわり、古材から建材、金物、さらには家具やアンティークまで世界中から輸入し販売を行うDIYer御用達のショップ。“古き良きもの”に独自の技術で加工を施し、私たちの生活に彩りを添えてくれる商品として新たに命を吹き込み提案してくれます。
そんなGALLUPが使っていた空間を、インテリアデザイン事務所Hajikamiさんが譲り受けたことから、このYANEが建てられました。今回は施設ができるまでの経緯や、そのコンセプトについて谷脇さんに語っていただきます。
YANE

“YANE”とペイントされたトヨタ、ランドクルーザーが目印。

YANE

今回取材にご協力いただいた、株式会社Hajikamiの谷脇周平さん。

こちらの施設を作られた経緯を教えてください。

「以前弊社の事務所があった地域の地価が一気に上がり、入っていた建物が取り壊しになったことがきっかけでした。退去まで1年しか猶予がないとのことでどうしようかと頭を抱えていたところ、以前からよく取引をさせていただいていたGALLUPさんがここを出ると教えてくれたんです。この天高はとても魅力的でしたが、はじめは正直迷いましたね。なんせ以前は25坪の事務所だったのに、ここはその4倍。金銭的に厳しい部分もあったんですよ。そこで、うち以外にも3社入れば誰も無理することなくここで働けるのではないか、と思いついたんです。そうして元々知り合いだったそれぞれの会社が、同じ場所で楽しく働くにはどうすればいいかを考え始めたことが、この施設の始まりです」
YANE

デザイン事務所にグリーンショップ、カフェなど、幅広い範囲の業種がこちらに集まっている印象です。これには何か理由があるのでしょうか?

「施設全体をお客さまがバランスよく回れるようにと思っているんです。例えば、グリーンショップが気になっていらしたお客さまも、買い物が終わったらカフェで休憩できる。カフェにご飯を食べに来た方は、帰りにポップアップストアに寄ってくれるかもしれない。そんな風に施設と地域が相乗効果でどんどん盛り上がれる業態として、今の形ができあがったんです」
YANE

富岡八幡宮が近いため、七五三参りをした子どもたちがここのフォトスタジオで撮影することも。

確かに、地域の方にも喜ばれそうなお店のラインナップですね。

「ええ。カフェは特にこの地域で生活している方は喜んでくれると思いますね。僕自身、ここに15年暮らしているんですよ。とてもいい街なのですが、気になる点として、昼間に食事をゆっくりできる店がまったくなかったんです。地域の方も、近くでおいしい食事ができたら嬉しいかなと思って。それから話は少しそれてしまいますが、僕は飲食店のインテリアデザインをご依頼いただくことが多いので、一度自分でお店を運営すれば、お客さまによりよい提案ができるかもという目論見もありました(笑)」
YANE

カフェスペースではお酒も楽しめる。

なるほど。ところで、こちらの施設にはGALLUPさんの資材をかなり使われているとのことですが、どういった経緯でそのようになったのでしょうか。

「先ほどもお伝えした通り、ここは元々GALLUPさんが使っていたんです。僕自身あちらと関わりがかなり深いこともあり、とてもよくしてくれましたよ。出ていく時にかなりの資材を残してくださって、お陰でとても助かりました。自分で購入したのは下地材ぐらいで、目に見える仕上がりはすべてGALLUPさんのものを使ってるんです」
YANE

ワークスペース『BARRAK』はどのように使われる予定ですか?

「インテリアを作る上で実際に手を動かす場所としてはもちろん、ゆくゆくはお客さまと打ち合わせができるスペースにもしたいと考えてます。うちで作った商品を見ていただきながら、取り扱っている素材やパーツも並べることで、アイデアを具体化できるような空間にしていく予定です」
YANE

店内の家具はすべてHajikamiさんが作っているため、施設全体がショールームとなっている。イスの張り地は素材をバラバラにするなどして、質感の違いも見られるよう工夫しているそう。

内装でこだわった点を教えてください。

「広々とした天井ですね。余計なものを一切入れず、シンプルな天井を死守しました。照明すら入れてないんですよ。それからカフェのキッチンは、利便性よりも見ていて気持ちいいかを判断基準にして作りました。通常、日本のオープンキッチンはカウンターの上部に収納スペースがあるんですよ。今回はそれを採用せず、海外のオープンキッチンをイメージしてデザインしています。収納には困ることもありますが、見ている方としてはこっちの方が気持ちいいんですよね」
YANE

あえて何も加えなかったという天井。本当は空調設備もつけたくなかったのだとか。

YANE

カフェのベンチには子どもが眠れるほど奥行きが。また、席数は減らし、ベビーカーを広げたままでも通れるぐらい空間に余裕を持たせているそう。どれもインテリア事業のお客さんには提案できないけれど、谷脇さんがずっと挑戦したかったデザインだったとのこと。

それでは、『YANE』という名前の由来を教えてください。

「自分で自分のブランディングをすることが恥ずかしくて、友人でもあるwebデザイナー、TWO TONEの茂出木さんにネーミング案を頼んだんです。いくつもの案を出してくれた中で、“ひとつ屋根の下で皆が集まる”というコンセプト、そしてYANEという名前がとてもしっくりきたんですよ。この施設の名前はそうして決まりました」
YANE

グリーンショップ『MICAN』。

YANE

ポップアップストアでは、ユニークな作品が販売されています。

谷脇さんご自身は、これからこの施設でどんな働き方をしていきたいと考えていらっしゃいますか?

「“地域住民のよろずの相談を受けられる人”になりたいんです。というのも、この一帯は古くからここで生活している人が多いんですよ。なので“おじいちゃんの古いタンス、良いものなのかもしれないけどどう処理したらいいのかわからない”などといった、古いものに関わる悩みや相談を受けられるようにしたいですね。うちが作っている家具はアンティークをリメイクしたものも多いので、手助けができると思うんです。それからせっかく広い空間があるので、お客さまからのオーダーだけでなく、いいと思うデザインの家具を作っていきたいんですよ。クライアントワークでボツになってしまった案も一度作り、なぜボツになったのかを再考したいですね」
YANE

最後に、YANEとして今後の目標を教えてください。

「ラボであり続けたいです。モノ作りに関するワークショップや、期間限定のポップアップストアをどんどん開いていけたらと考えています。そういった楽しい場を提供することで、地域の方々に愛され続ける施設に成長することが目標です」
YANE
最終的には日本各地にYANEのような複合施設を作り、スタッフが施設間を飛び回るチャンスや、他の施設の仲間と働く機会を設けたいと語る谷脇さん。モノ作りやデザインを通して、人と人、そして人と場所を繋げ続けている彼の活躍から目が離せません。

Shop Information

Shop Name : YANE
TEL:03-6458-5665(カフェ)
Address:東京都江東区富岡2-4-4
 田辺コーポ1F
Business Hour:9:30〜22:00
URL : http://yane.site

■イベント情報

割り箸ピアノの演奏者のサミュエルさんが、現在BARRAKを借りて新たにピアノの制作をされているのだとか。そして来る2月24日(土)の18時より、ピアノ完成ライブがYANEで行われるそうです。ぜひ足を運んでみてくださいね!
https://www.facebook.com/samielu/

割り箸ピアニスト、サミエル/Sami Elu plays「Chopstick Piano」

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