スクールバスがリノベーションで生まれ変わる! -前編-

アメリカ生まれのスクールバスを自分たちの手でリノベーションし、誰もが子どもに戻れる空間を作ろう!そんな、聞いただけで誰もが心ときめく夢のプロジェクト「CARABINA CAR PROJECT」に編集部が潜入。メンバーたちのグッとくる思いのたけと、全力で楽しそうな制作現場の様子を、前後編に分けてお届けします。

公開日 2016.11.19

更新日 2022.01.07

スクールバスがリノベーションで生まれ変わる! -前編-

「自分たちの場を作りたい。そう思って探していくなかで、一番自分たちに合っていて、見た瞬間にワクワクしたのが、スクールバスだったんです」

目をランランと輝かせ、そう熱く語ってくれたのが、プロジェクトを主宰する「CARABINA」の一人、中学校教員の平林悠基さん。

▲右から「CARABINA」メンバーのかがやんこと香川真輝さん、ひらりんこと平林悠基さん、そしてサポートメンバーのタイニーハスビルダー竹内友一さん。「来年からスクールバスで全国ツアーを開催しようと思っています!『私の地域にも来て!一緒にイベントがしたい!』と思って頂けたらご連絡下さい」と平林さん。

そもそものきっかけは、彼が東ティモールなどの途上国に旅した際、夢を持ちながらも学校がなく教育が受けられない子どもたちを見て衝撃を受けたこと。自分にも教育の世界で何かできることはないかと考えた結果、これからの教育には創造性や感性など、子どもたちが本来持っている可能性を引き出すことが求められるという考えに至りました。そこで、友人の香川真輝さんや様々な強みを持つ同志が集まり「CARABINA」を立ち上げました。

活動内容は、子どもたちを対象としたクライミング、カヤック、キャンプといったアウトドアや、ペインティング、ツリーハウス製作、映像制作など。学校だけじゃ学べない、いろんな刺激を豊かに感じ取れる体験ばかり。

「スクールバスが完成したら、これから全国の学校や幼稚園をまわって、イベントだったり、何かを作るワークショップだったり。いろんな面白いことを企画していきたいと思ってます」

そんな彼らの殊勝なポリシーに共感し「子どもたちのために何かをしたい。普通じゃない生き方をしたい」と集まったメンバーは、ツリーハウスビルダーに空間デザイナー、クライマーなどアウトドアに強い人、女性や外国人と多彩な顔ぶれ。

まず必要なのはスクールバス。探し始めるとほどなくして、アメリカの中古のスクールバスが輸入できる会社が見つかったとの知らせが!さっそく取り寄せる手配を行います。

バスが来るまでの間、どういう空間にしたいかをブレスト。子どもも大人もワクワクできるユニークな仕掛けはもちろん、6名が宿泊できるベッドやソファ、キッチン、冷蔵庫、シンク、水道タンク、トイレなどそこで生活ができるキャンピングカーとしても使えるようにしたい。それらを両立させるには?スケッチを描きながら「ここに入り口が欲しい」「ここは子どもがのぼれるように」などアレやコレやと、喧々諤々。

ついにスクールバスが到着です!

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当初の予定よりも遅れに遅れ、ようやくスクールバスが到着!まさに幸せの黄色いバスがゆっくり近づいてくると、おーーっ!と歓喜の声が上がります。

スクールバスは1997年インターナショナル社製、28人乗り。左ハンドルで、フロントガラス前のボンネットが特徴。また安全性を考え、後部に大きな緊急避難ドアがあるのも、いかにもスクールバスなデザインポイント。メンバーのボルテージも一気に上がります。

ということで次の日から、さっそく解体作業を開始。座席を外し、足を固定しているボルトを切断、フラットな状態にします。

材料はできるだけ古材を活用。床は古民家の天井板だったものを使います。


さあ、どのように内装が変化していくのか追っていきましょう!

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内装のコンセプトは「妖精の住んでいる洞窟っぽい感じ」。奥のスペースには、棚田のように湾曲した段々のベッドを設置。骨組みは間伐材を使用し、また「ウッドシングル」と呼ばれる木を薪のようにうすく剥いだ板を貼り付けます。

蹴込み部分は屋根に使われていたトタンで覆い、ベッドの裏側は隠し部屋を設け、中央に開けた穴からは、子どもたちが抜けて出て来られるような仕掛けにしました。

キッチンカウンターも真っ直ぐではなく、曲線を生かしたユニークで有機的なフォルムに。ドラム缶を脚代わりにし、カウンター下には水タンクを設け、簡単な料理や炊事ができるように整えます。

壁は自由に落書きができるよう黒板塗料を。

こうして、どんどんと形になっていきます。

彼らが何よりも大切にしたのは、自分たちで作る、ということ。プロに任せてしまうのではなく「みんなで考えながら作る」こと。使う人が、作るプロセスすべてに関わることで、オーダーメイドの洋服のように、自分たち用に仕立てられた空間になるだろう、と。

平林さんは言います。「やっていくうちにイメージって変わってくるので、そのつど変えようとなるんです。途中で子どもの反応を見たり、キッチンを作っている時に主婦が来てアドバイスしてくれたり。日々修正しながらアップデートしていくプロセスが楽しい。なかなか決まらない、進まないことも多いんですが、その議論がとっても大事で。いろんな考え方を持つ、いろんな人のアイデアを取り入れることで、みんなにとって愛着が湧く空間になったと思います」

 

いろんな人たちの、いろんな手と心がたっぷり注がれたスクールバスは、一体どんな空間に進化したのでしょう?完成は後編でのお楽しみ!

CARABINA'S INFORMATION

Homepage  http://www.carabina.org/

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