【タイニーハウス】Vol.2 -手づくりの家でシンプルに暮らす-

めまぐるしく変わり続ける現代社会の中で、「家」の概念も多様化してきました。大きい家に住む、都心の家に住む、新築のマンションに住む、ではない、自分らしい“住む”について改めて考えてみませんか? 本企画はそんな“住む”を見つめ直すための短期連載です。 Movie_simplife Text_YUICHI TAKEUCHI Direction_MITSUHARU YAMAMURA

公開日 2016.09.30

更新日 2017.05.16

【タイニーハウス】Vol.2 -手づくりの家でシンプルに暮らす-

第1回記事でご紹介した、アメリカ西海岸で起きているタイニーハウス・ムーブメント。建築家でも大工でもない人たちがこの運動の牽引者であり、個性豊かなタイニーハウスを生み出すきっかけとなったのです。これを日本でも広めようと行われたのが、タイニーハウス・ワークショップ。多様な講師陣やビルダー達と一緒にタイニーハウスを実際に製作するというもので、2014年に初開催。2016年の第2回目は、八ヶ岳や南アルプスも一望できる山梨県北杜市の廃工場を拠点に、4週間ごと、1泊2日、全8回に渡り開催。長かったようで短かったワークショップの様子をレポートします。

 

 

TINY HOUSE WORKSHOP:DAY1,2(October / 2015)

全国各地から集まった15人の参加者は、年齢、性別、職業、さらに参加の目的もさまざま。「家族で移動しながら暮らしたい」「田舎に持続可能なコミュニティを作りたい」「ただ釘を打ってみたい」。そこでまずは、それぞれの夢みるタイニーハウスを紙に描き出しました。頭の中にあるイメージを絵にしてみたり、人に伝えたりすることで、自分でも理解が深まり、また一緒に作業する仲間との想いも共有することができます。

 

手始めに、作業するために必要な作業台と、自分の大工道具を収める道具箱作りから。初めて見る道具、それらの使い方を学びます。参加者だけでなく、スタッフもまた美術や林業、住宅や内装など、さまざまなバックグラウンドを持っており、多様な角度から教えてくれるので、迷いながらも自分に合った方法で進めていきます。

 

全く面識のなかった人たちが寝食を共にして、一緒に作業しながら、それぞれ自分に必要な経験や知識を持ち帰られるプログラムです。

 

TINY HOUSE WORKSHOP:DAY3,4(November / 2015)

2回目はとうとう小屋のフレーム作り。2x4のように壁をパネル式に組んでいく工法で、地元の杉材を製材所に同様の寸法で加工してもらって使いました。

木の特性を確認しながら、フレームを組み上げていきます。スケールで測る、墨付けをする、切断してインパクトドライバーで留め付けていく、という作業の繰り返し。参加者も少しずつ道具の使い方に慣れ、人数も多いので、一気に床と壁のパネルが出来上がりました。

 

実際にトレーラーの上に乗せてみながら調整。作りながら身体の声に耳を傾け、使う人それぞれのサイズに合わせてカスタマイズできるのは、タイニーハウスの面白いところ。

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TINY HOUSE WORKSHOP:DAY5,6(November / 2015)

タイニーハウスは専有面積が小さいので、周りとのつながりをデザインすることがとても重要。周辺の環境やインフラ、地域のコミュニティとどうつながるかを考えることで、タイニーハウスの中に必要なものとそうでないものが見えてくるのです。

 

3回目の初日は、パーマカルチャーデザイナーの四井さんの講義からスタート。自宅とその周辺の環境との関係性をひとつずつ丁寧に解説し、自然の仕組みを観察すること、それを人の暮らしに広げていくことを、実際の事例も含めて紹介してくれました。参加者からもたくさんの質問があり、講義後の皆さんの充実した表情が印象的でした。

 

「人の暮らしがその場を豊かにするような仕組み、自立した小さな地球のような場所がつくれたらいいね」と四井さん。自然の仕組みを学び、周辺環境とより良い関係性を組み立てることで、小さな暮らしを実現できるのかもしれない、そんな目からウロコのお話がたくさん詰まっていました。

 

翌日は自分たちのタイニーハウスの開口部(窓やドア)の位置を考えました。3グループに分かれて、どんな暮らしがこのタイニーハウスで可能なのか想像を膨らませながら、パーマカルチャーのお話からヒントを得て、それぞれの想いを発表。工場にはあちこちの古い建具や国産の木製サッシなどがストックしてあり、その寸法を実際のハウスに合わせてみて、決定しました。寝転んでみたり、コップを置いてみたり、暮らしのイメージを落とし込んでいく作業。この小さな空間に、皆さん、どんどん愛着が湧いてきているようです。

 

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TINY HOUSE WORKSHOP:DAY7,8(December / 2015)

建築士の黒岩さん(左)が作った小金井の「雨デモ風デモハウス」は気化熱で天井の温度を下げる仕組みや、太陽で温められた水を床下に貯めて、放射熱を室内に取り入れるなど、興味深い取り組みが詰め込まれた施設。

 

建築士の黒岩さんは、人の営みをユーモアたっぷりに教えてくれる人生の大先輩。「僕らは身の回りにすでにある(まだ未活用の)自然の力を活用して快適に暮らせるんだよ」と、太陽の光と熱、空気の流れ、人の汗や熱、生き物の活動など身近にある力を集めて、活用する(うまく散らかす)ことで、わざわざ遠くから運んできた石油資源の使用を減らすことができるのだと言います。自然の恩恵という漠然とした表現でなく、この身近な力(エクセルギー)を利用することで、私たちの暮らしがどのように豊かになるのか、たくさんのアイデアを教えてくれました。

 

2015年の最後の作業は前回決めた開口部の加工と窓などの取り付け。小屋の左右は国産の木製サッシで山崎屋木工製作所さんのカラマツを使った高精度の建具、前後は解体する民家から取り外した古い建具を、入り口には廃材を組み合わせてオリジナルのドアを作ります。3つのそれぞれの良さを感じながら1つの小屋に取り付けていくことに。参加者もいろいろな方法を確認しながら、年が開ける前に開口部が完成。

 

ワークショップ前半のハイライト、少しずつ寒くなっていく八ヶ岳を眺めながら、参加者もお互いのキャラクターを受け入れ、少しずつセルフビルドの楽しさと大変さを感じていたようです。またひとりではできないことも、仲間と一緒に工夫することで乗り越えられる、そんな実感もあったかもしれません。想いを共有できる仲間と一緒に「コミュニティビルド」という方法でタイニーハウスを製作する-。きっといろいろなところに広がっていくような気がします。

 

次回はワークショップ後半から最終日のお披露目会(タイニーハウス界のパイオニア、Dee Williamsの来日講演も)まで、まとめてレポートします。お楽しみに!

 

MOVIE INFO

「暮らし」をテーマにしたプロジェクトsimplife

Simple+LifeからなるSimplife /シンプライフ=「 自由になれる、身の丈の暮らし方」というアイデアを提案しています。

ロードムービー simplife

tiny house workshop

 

SERIESE

“住む”を見つめ直す/タイニーハウス Vol.1 -手づくりの家でシンプルに暮らす-

 

“住む”を見つめ直す/クリエイティブリペア Vol.1 -古家具を自分色に再構築-

 

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