ネオンライトの製作現場レポート

DIYer(s)ロゴのネオンサインができるまで。ハンドメイドで、世界で一つのネオンサインを作り続ける「SMILE NEON」高橋氏のもの作りを追いました。

公開日 2016.01.29

更新日 2022.01.07

ネオンライトの製作現場レポート

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おしゃれなバーには必須なネオンの製作現場へ

現在本サイトのアイコンともなっている金子裕亮さんに作成してもらったDIYer(s)のロゴ。今回このロゴを使ったネオンサインの製作を依頼。そしてその製作にあたって白羽の矢を立てたのが“あなたと一緒に創り上げる”という考えのもと、手作業にこだわったハイクオリティなネオンサインを提供し続けるSMILE NEONの代表である高橋秀信氏。プロの技が光るモノ作りの現場をレポートします。

 

今回は物作りにクローズアップするということで、まずネオンサインその物の話を少し。

ネオンサインは1912年にパリ万国博覧会で公開されたのが最初とされ、その後特許を取得した開発者のジョルジュ・クロード氏が1915年にクロードネオン社を設立し、ヨーロッパやアメリカで販売を開始。日本でも最初の設置は大正後期から昭和初期に東京の谷澤カバン店、日比谷公園、大阪の白木屋という諸説があるなど昔から看板や広告として利用されてきました。

近年ではLED照明が発達し普及も急速に進んでいますが、ポップな色味と形状の自由さなどの利点や古き良き時代のアメリカを感じさせる意匠により今もなお重宝され、街を照らしています。

 

説明はここまでにして本題の製作過程の紹介には入ります。

 

材料と道具

■設計図(ロゴを反転させたもの)

■ガラス管(3本)

■電極(6個)

水性ペンキ(マットブラック)

■バーナー

■ゴムチューブ

■ダーマトグラフ

■ヤスリ

■ブラシ

 

作り方

STEP. 1

ネオン管の表面をまっすぐにするため、ロゴを反転させた設計図を用意します。

 

 

STEP. 2

曲げるだいたいの位置にダーマトグラフで印をつけ、バーナーで炙ります。ガラスは熱すると凹んでしまうので、片方の端をゴム栓でふさぎ、もう一方の端からゴムチューブで息を吹き込み太さが変わらないように調整します。

 

 

息の吹き加減は長年培った経験があるからこそわかる技術。

 

STEP. 2

熱されたガラス管を手の微妙な力加減で形を設計図に合わせて曲げていきます。

曲げ終わったらまたバーナーで炙るという根気と細やかさが必要となる作業の繰り返し。

 

 

少しでも形が狂ってしまうと容赦なく作り直し。

当然、複雑な形(今回の場合で言うと『er(s)』の部分)を創り上げるほど製作の難易度は上がり、技術力が求められる。

 

 

『er(s)』部分の完成。

写真で見てわかるように平面ではなく立体で文字を生み出すので、かなり複雑な作りになっています。

 

STEP. 3

続いて『IY』の部分を作っていきます。

 

 

空気を含ませる量によって炎の大きさも調節されています。

 

 

コワモテだけど笑顔が素敵な高橋さん。

 

 

ロゴの型紙に合わせるとしっかりとした形に。

完成が見えてきました。

 

STEP. 4

最後の『D』は大きいカーブを作るため、広範囲に熱することができるバーナーに変えて成形します。

 

 

カーブ部分が終わったらバーナーを戻し、細かい場所を成形します。

 

 

ガラス管の曲げが終わり、見事に形作られました。

 

STEP. 5

続いて土台にネオン管を取り付ける位置を決めていきます。そしてその位置を計算しながら形成されたガラス管に電極を溶接します。

 

 

電極を取り付ける部位はまたバーナーで熱して溶接しやすくします。

 

 

この極付けもできるようになるだけでも半年から1年を要する職人技と言える工程。

 

STEP. 6

管の中には空気とともに諸々不純物が入っているので、それを燃やして完全に除去し、所定の応じたガスを封入するまでの作業を排気と呼びます。そのためにすべての電極と排気用のガラス管を溶接します。

 

 

この作業に不良があるとネオンの発光が不完全だったり、寿命が短かったりするので細心の注意が必要のこと。

 

STEP. 7

真空になったガラス管にネオンガスを注入するとキレイに発色します。そして真空のまま、ガラスをカットしてネオン管本体が完成。

 

 

STEP. 8

光らなくてもよい箇所をペンキで黒く墨を塗っていきます。この工程を2度程繰り返し、しっかりと黒く塗りつぶします。

 

 

途中光らせて場所を再確認しながら作業を進めます。

 

 

 

STEP. 9

ネオン管についた汚れをカッターなどで取り除きます。この作業も見栄えが変わってくるので丁寧に行っていきます。

 

 

STEP. 10

最後に完成したネオン管を土台に取り付けたら工程終了。

見事、DIYer(s)のネオンサインが完成しました。

 

 

歓楽街などよく見かけるネオンサインもこうやって1本の細長いガラス管が変化していく様を目の当たりすると感慨深いもの。1点1点の手作業、確かな技術などクラフトマンシップあふれる姿は自身のDIY精神が揺さぶられませんか。

 

ただ、ここまでやることは専門的な知識と技術がないとてもじゃないが難しい……。

しかし僕らの提案としてELワイヤーを使ったネオン風のサインを本企画と合わせてDIYしてみました。興味のある方は下記記事をチェックしてみてください。↓

ELワイヤーを使ったネオンサインをDIY!

 

 

PROFILE

高橋秀信

10代の頃からよく通っていた横浜市本牧など無意識の中でネオンサインを見る生活に。その後アメリカへ渡り、様々なネオンサインを見て『これしかない』と確信。勤めていた看板屋を辞め、10数年の下積みを重ねた後、2000年にスマイルネオンを設立。現在、大小問わずに個性派ショップやレストランのサインを製作している。

http://www.smileneon.com

 

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