屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!

当記事では、屋根を重ね葺き(カバー工法)で施工するポイントについて解説します。施工手順やかかる費用、よくある失敗例と対策方法など、重ね葺きリフォームを行う前に知りたい情報をまとめました。これから屋根リフォームをされる人は、ぜひ参考にしてください。

公開日 2021.03.21

更新日 2022.01.07

屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!

一戸建て住宅に住んでいる人なら、一定期間ごとに屋根のメンテナンスが必要です。しかし塗料の塗り替えのほかにも、「重ね葺き」や「カバー工法」と呼ばれる手法があることをご存知でしょうか。当記事では屋根の重ね葺きに焦点を当て、その概要や費用、施工メリットなどを紹介します。
機能的な屋根リフォームを適切に行えば、住宅全体の寿命を延ばし、その後のメンテナンス性向上も見込めますので、ぜひ参考にしてください。

傷んだ屋根を手軽にリフォーム!重ね葺き(カバー工法)とは?

屋根リフォームの代表的な施工方法は、大きく分けると「塗り替え」「葺き替え」「重ね葺き(カバー工法)」の3つです。それぞれ特徴や費用などが異なるため、住宅の劣化状態やリフォームの希望などと照らし合わせ、どの施工方法が適切かをきちんと見定める必要があります。

塗料の塗り替えは、屋根リフォームの中では最もポピュラーな施工で、多くの住宅では7〜10年ほどを目安に行います。主な役割は、雨や紫外線から建物を守り、サビや腐食などによる劣化を防ぐことです。塗料の種類によってメンテナンスサイクルは異なりますが、屋根の耐久性を維持するためには、一定期間ごとに塗料を塗り替える必要があります。

屋根の葺き替えは、既存の瓦などをすべて剥がし、屋根材をまるごと交換するリフォームです。屋根の劣化が進んでおり、下地材から入れ替えが必要なケースなど、比較的大掛かりな施工になることが多いでしょう。
屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!
一方、重ね葺きとは、既存の屋根はそのまま残し、上から新しい屋根材を被せるリフォームを指します。葺き替えよりも費用が安く、二重屋根になることで防音性・断熱性などの向上も見込めます。比較的安価でありながら、屋根の耐久性を30年ほど延ばせるため、「なるべく費用を抑えて効率よく屋根を新調したい」という人にはオススメのリフォームです。

重ね葺き(カバー工法)リフォームのメリットと、知っておきたい注意点

費用が安く、葺き替えよりも気軽に屋根を一新可能な重ね葺きですが、施工できる屋根材が限られるというデメリットもあります。ここでは、リフォームを依頼する前に知っておきたい重ね葺きのメリット・デメリットを紹介します。

最大のメリットは「施工費の安さ」と「工事期間の短さ」

重ね葺きは、葺き替えとは違って、元の屋根材を剥がす必要がありません。そのため、工期が短く、工事中も普段と同じように生活できます。葺き替えの施工期間は7日〜1ヶ月ほどが目安となりますが、重ね葺きは5日から長くても半月程度で工事が終わるでしょう。

また、重ね葺きでは廃材がほとんど発生しないため、屋根材撤去の人件費や諸費用などに加えて、廃材処分費もカット可能。
特にアスベストを含有している屋根を葺き替える場合は、屋根材の処分に多くの費用がかかってしまいます。重ね葺きならそうした処分コスト発生を回避できるのです。

重ね葺き(カバー工法)ができない屋根の種類もあることに注意

工期や施工費などでメリットが得られる重ね葺きですが、すべての屋根に適用できるわけではありません。重ね葺きは現在使っている下地材をそのまま用いて施工するため、雨漏りが発生している住宅や、骨組み部分まで劣化している住宅では施工不可能なこともあります。施工できるかどうかは屋根の劣化具合によるので、著しく築年数が経過している場合などは、事前に業者に相談するとよいでしょう。
屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!
また、重ね葺きでは屋根が二重になる都合上、瓦屋根など質量のある屋根に対しては施工不可能です。重ね葺き可能なのは、コロニアルやカラーベスト、金属屋根などの軽量な屋根、またフラットな形状の屋根です。自分の住宅に施工できるかどうか、まずは業者に問い合わせてみましょう。

屋根材に合ったリフォームの方法や、劣化具合を考慮した屋根リフォームなどを知りたい人は、ぜひ下記の記事もご覧ください。屋根リフォームの選択肢をより詳しく紹介しています。

屋根の重ね葺き(カバー工法)リフォームの施工方法&施工費用の目安!

ここでは、重ね葺きの施工手順や、具体的な費用の目安などを紹介します。リフォームの各工程にかかる費用なども詳しくご説明しますので、これから外観リフォームをされる人は、ぜひ参考にしてみてください。

どんな工程が必要?重ね葺き(カバー工法)の施工方法・手順

重ね葺きを行う際は、最初に足場を設置します。屋根や外壁の工事では、必ず足場を組んでから作業を行います。足場なしで工事を行う業者や、簡易的な足場で済ます業者などは、悪徳業者の恐れもあるので注意しましょう。
屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!
足場を組んだら、工事に不要な棟板金や雪止め金具などを取り外し、軒先から棟に向かって防水シートを貼っていきます。これは屋根材の劣化を防ぐ大切な工程です。古い屋根材と好相性な防水シートの中から、性能のよいものをしっかり吟味しましょう。

シートが貼り終わったら、新しい屋根材を設置し、貫板や新たな棟板金を取り付けます。最後に、棟板金の合わせ目にコーキング処理を施し、重ね葺きリフォームの完成です。

重ね葺き(カバー工法)施工費用の相場と、各工程にかかる金額の目安

重ね葺きの施工費用の相場は8,000〜10,000円/㎡で、工事費や経費などをすべて合わせると60万〜250万円ほどになります。屋根の形や屋根材・板金部材の種類などによって費用に幅があるので、予算に合わせた資材を選ぶとよいでしょう。

足場費用の相場は600〜1,500円/㎡で、足場代だけで20万円ほどかかるケースが多くあります。防水シート代は500〜1,500円/㎡、棟板金や雪止め金具代などは3,000〜11,000円/㎡、屋根材の費用は7,000〜11.000円/㎡が目安です。

安い屋根材なら5,000〜7,000円/㎡ほどで施工できますが、耐久性が低く頻繁にメンテナンスが必要になることも。初期費用と耐久性のバランスを考慮し、長期的に見てコストパフォーマンスのよい屋根材を選ぶのがオススメです。

実際いくらかかった?重ね葺き(カバー工法)の施工例

こちらは、台風被害により損傷した屋根を重ね葺きで修復した実例です。スレート瓦が剥げて屋根に穴があいてしまい、雨漏りで生活困難になるほどの被害が生じていましたが、重ね葺きの施工によりきれいに元通りとなりました。

屋根や天井・野地板などの修繕、ルーフィング工事、屋根材の設置などを行いました。施工費用の合計はおよそ180万円です。屋根材には、軽さが特徴の金属屋根「アイジー工業スーパーガルテクト」を、防水紙は粘着性の「タディスセルフ」を使用しました。穴があいた箇所の周辺は、木材の劣化も進んでいたため、資材の交換も併せて行っています。

修復箇所が多いだけでなく、施工が難しい急勾配の屋根ですが、施工期間はわずか6日。既存の屋根をそのまま残せる重ね葺きなら、短い工期で住宅を復旧できるのです。

施工不良や判断ミスでトラブル!重ね葺き(カバー工法)で気をつけたい、よくある失敗例

住宅の劣化状態だけでなく、地域の特性や屋根の勾配などによっても、適切な工事は異なります。誤った判断を下すと、施工不良や工事後の不具合などにつながりかねません。ここでは、重ね葺きに向かない屋根に誤って施工してしまった事例や、災害の多い地域に重ね葺きを行い後悔した事例など、よくあるトラブルを紹介します。

勾配の緩い横葺き屋根を重ね葺き(カバー工法)で施工すると、雨漏りの原因に

屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!
最初に紹介するのは、勾配のゆるやかな屋根に重ね葺きを施し、かえって雨漏りのしやすい屋根になってしまう失敗例です。

例えば、横葺きの金属屋根は、2.5寸勾配以下の屋根に貼ってしまうと、雨漏りの恐れを発生させてしまいます。しかしそれを知らず、低勾配の屋根に施工してしまう業者も少なくありません。
このような事例があるため、自宅の屋根について、勾配にも注意しましょう。特に自宅の屋根が比較的ゆるやかな場合は、業者とよく相談して、施工方法を選択してください。


また、これから中古住宅を購入してリフォームを考えている場合などは、4寸勾配以上の屋根を持つ住宅を選ぶとよいでしょう。4寸以上の勾配があれば、基本的にどの屋根材でも使用できるため、リフォームの融通が効きやすいと言えます。

低コストのはずが結局割高に?特に強風地域では「葺き替え」も検討を

一度重ね葺きを行った場合、同じ屋根への再度の重ね葺きは施工できません。強風地域や台風などの自然災害が多い地域では、「いったん重ね葺きで屋根を修理したものの、直後に屋根が破損し結局、全面貼り直しになってしまった」というトラブルも起こり得ます。
元の屋根がかなり劣化している場合や、災害が起こりやすい地域の住宅などでは、この点に注意が必要です。将来のリスクやメンテナンス費用を見越すと、重ね葺きを行うことでかえってコストが割高になることもあるのです。「場合によっては葺き替えを検討する」「重ね葺きでもできるだけ耐久性の高い施工方法を選ぶ」など、将来必要になる費用を考えたうえで、施工の種類を選ぶとよいでしょう。

思ったより早く再修繕が必要になることも。防水シートの品質にはこだわろう

屋根の重ね張り(カバー工法)とは?施工方法や費用、注意点を徹底解説!
重ね葺きリフォームで使う防水シートは、10年ほどで劣化が始まるものから、60年近く機能性を維持するものもあるなど、耐久性がさまざまです。そのため、「初期費用を抑えるために防水シートの品質を落としたものの、すぐにメンテナンスが必要になった」という失敗例も多く見られます。

防水シートの品質は、屋根の寿命に直結する大切なポイントであるため、なるべく長く使用できるものを選んでみてください。「改質アスファルト」「ゴムアス」などと呼ばれるシートか、それ以上に高品質の製品を使用するのがオススメです。

屋根リフォームは、今の住宅に長く安心して住み続けるために、必ず行うべき施工です。住宅の劣化状況によって、「塗り替え」「葺き替え」「重ね葺き(カバー工法)」の3種類から適切なものを選んでください。特に下地材の劣化が少ない場合や、費用を抑えて屋根材の寿命を延ばしたい場合などは、重ね葺きを検討するとよいでしょう。
住宅の状態に応じた適切なリフォーム方法や、リフォームにかかる詳しい費用について知りたい人は、ぜひ「カシワバラ・コーポレーション」にご相談ください。

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