【快適暮らしの入門編】トイレ手すりの位置や高さはどこが最適?失敗しない取付ガイド

トイレに手すりを設置すると転倒防止になり、身体の負担を軽減します。手すりの設置で失敗しないために、種類ごとの特徴と最適な位置や高さ、工事費用の目安などを知っておきましょう。介護保険を利用した設置やレンタルといったお得な活用法についてもご紹介します。

公開日 2020.01.04

更新日 2022.01.07

【快適暮らしの入門編】トイレ手すりの位置や高さはどこが最適?失敗しない取付ガイド

家族が要介護状態になると、家の中で日常生活を送るにも動作が不自由になります。特に毎日使用するトイレは、座ったり立ったりする動作が苦労するので、手すりの設置が必要になります。設置の際に介護保険を利用すれば、リフォームにかかる費用の負担も抑えることもできます。ここでは手すりの最適な位置や高さ、デザイン性、工事費用の目安など、失敗しない取付方法をご紹介します。今、困っている人だけでなく、新築住宅でこれから取り付けを検討する人もぜひ参考にしてください。

毎日使う場所だからこそ、安心して使える空間に!

階段や廊下などによく取り付けられている手すり。公共施設や駅の階段やトイレに設置されている手すりも、昔に比べて目にする機会が増えています。高齢者だけでなく身体に障がいがある人、妊婦さんや体調がすぐれない時など、手すりがあるだけで身体の負担を少し減らせます。日常生活を送る家の中での何気ない動作も、高齢者や身体の不自由な人にとっては想像以上に身体に負担がかかるものです。中でもトイレは毎日使用する場所というだけでなく、洋式だとしても立ったり座ったりの動作が伴います。トイレに手すりを取り付ければ、身体への負担が軽減し、安心して使用できるようになります。手すりを設置するメリットは主に以下の3つです。
【快適暮らしの入門編】トイレ手すりの位置や高さはどこが最適?失敗しない取付ガイド

身体を安定させる

手すりにつかまることで、腰の上げ下ろしといった一連の動作がふらつくことなく安定して行えます。普段車椅子で生活している人は、車椅子からトイレの便座に移動しなければなりません。手すりがあれば、身体を預けてスムーズに便座移動することが可能です。手すりがあることで家族がトイレに付き添わなくても済むようになれば、家族の負担も減るでしょう。

転倒のリスクを減らす

身体がふらつかず安定することで、転倒のリスクも減らせるメリットがあります。早くトイレを済ませようと焦って転倒してしまうと、陶器の硬い便器に頭や身体をぶつけるリスクがあり大変危険です。手すりがあれば、身体のバランスが崩れた時の支えになってくれます。

足腰の負担を軽くする

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手すりにつかまって一連の動作を行うと、全体重をかけなくて済むので、足腰にかかる負担が少なくなります。頻繁に使用するトイレ内での動作は、なるべく足腰に負担がかからないようにしたいものです。高齢者や身体の不自由な人だけでなく、普段立ち仕事や肉体労働が原因で腰痛を抱えている人も、かがむ時に痛みを感じにくくなります。また膝に持病がある人や妊娠中の女性も手すりがあるとスムーズに動けます。

失敗しないトイレ手すりの位置と高さ

限られたトイレの空間に手すりを設置する場合、位置や高さを十分に検討する必要があります。せっかく取り付けたのに使いにくく、かえって身体に負担がかかるようになっては意味がありません。トイレの使い方には個人差があるので、利用する人が必ず確認してから取付位置や高さを決めるようにします。手すりの形状にはいくつか種類があり、それぞれに適した設置場所があります。続いては種類別の特徴やメリット、理想的な位置や高さについてご紹介します。

L型手すり

縦と横の両方を組み合わせたL型手すりは、状況によって掴む場所を変えられるので、どんな場合でも無理なく身体を支えてくれます。便座に座ったり、立ち上がったりといった動作がしやすく、肘を置いて身体を支えたり、横に身体を移動させたりできます。L型手すりは利き手で掴みやすいように便器の横に設置するとよいでしょう。
取付場所は、縦の手すり部分の位置は便器から約200~300mm離れた距離が適しています。あまり便器に近過ぎると、立ち上がる時に手が後ろになり、窮屈な姿勢になることから肩に負担がかかります。さらに腕の力に頼ることになるので手すりのメリットが活かせません。便器から一定の距離があると身体の重心を移動させながら力をかけず立ち上がりやすくなります。
横の手すり部分の高さは便座の約220~300mm上に設置するのがよいでしょう。理想は高さ230~250mmです。高さが足りないとトイレットペーパーが使いにくく、高過ぎると手すりに届かなくなってしまいます。必ずトイレットペーパーホルダーの位置を確認してから設置しましょう。長さは縦の手すりが約800mm、横の手すりは約600mmが適しています。
画像は、Room Clipよりピックアップした@315t325さんの投稿です。

縦手すり

手すりを使って立ったり座ったりする動きや、立った状態の姿勢を安定させるのに有効です。I字型の手すりをトイレの出入り口やドア周辺に取り付けると、ドアを開け閉めする際に身体を安定させられるので、転倒のリスクも防げます。
位置は手すりの上端の高さが肩のあたりか、もう少し上になるように取り付けると無理なく掴めます。長さは500mm以上あればよいですが、もっと長い手すりにすると手が届きやすく、より安全性を高められます。

横手すり

水平型の手すりがあれば、中腰の姿勢を介助したり、手すりを掴んで水平に動いたり、肘を手すりに置いて身体を移動させることが可能です。トイレで身体の向きを変えたり、車椅子から便座に移ったりする際に活躍します。便器の横や便器正面のドアに設置すると便利です。

横手すりを便器の横に設置する場合は、L型手すりの横部分と同じように高さと位置に注意しましょう。便器正面のドアに設置する場合は、高さが低過ぎると立ち上がる際に頭がぶつかってしまいます。トイレのスペースに余裕がない場合、男性が用を足すと腰に当たったり、介助者がいる場合に使用しにくくなったりします。便器の先端から約400mm以上のスペースが必要なので、トイレが狭い場合は横手すりの設置場所をしっかり検討するようにしましょう。

介護保険でお得に設置&レンタルできる

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手すりを設置したいと考えていても、設置工事費用が気になってなかなか決められないという人もいるでしょう。実は介護保険を利用すれば、工事費用の自己負担を10%にできます。ただし利用するには条件があり、費用の上限も決まっています。続いては介護保険の利用方法と注意点について解説します。

自己負担1割で設置可能

住宅をリフォームする理由はさまざまですが、高齢で身体が不自由になった時でも快適に暮らせるよう、バリアフリーを目的としたリフォームが多いでしょう。この場合、介護保険で適用される「高齢者住宅改修費用助成制度」を利用すれば、費用の9割(一定所得以上の場合は8割)を支給してもらうことが可能です。対象者は自治体から要介護1~5または要支援1~2の介護認定を受けている介護保険の被保険者で、保険証に記載されている住所の自宅をリフォームすることが条件になります。被保険者1人につきリフォーム費用の上限は20万円で、原則1人につき1回とされます。
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トイレの手すり1ヶ所の設置費用は本体料金と工事費を含め、約3~10万円が相場です。複数箇所に取り付ける場合は追加費用が発生し、壁の補強工事が必要な場合もあります。20万円の上限迄支給されれば、自己負担額は2万円で済みます。

手続きと支給方法

制度を利用するにはリフォーム前に住所のある自治体の介護保険窓口に申請する手続きが必要です。対象になるリフォームかどうか審査された後、着工の許可通知を受け取ります。リフォーム終了後、住宅改修完了報告書を自治体の窓口に提出すれば、翌月に指定口座に助成金が振り込まれまる償還払い方式です。自治体によってはリフォーム費用の1割を業者に支払い、助成制度の申請後に残りの9割を業者が受け取れるようにする受領委任払いもあります。

介護保険の対象となるリフォーム

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対象となるリフォームは手すりの設置、段差の解消、便器の取り替え、扉の取り替えなど予め決まっています。大規模な改修工事やキッチンのリフォームは対象外です。また、手すりの設置は転倒予防や車椅子に移る時など、介助となることを目的としています。自宅の床に置いた状態で使用するタイプや、便器やポータブルトイレを囲む据え置きタイプなど工事の必要がないものは「高齢者住宅改修費用助成制度」の対象外です。

工事不要の手すりもレンタル可

工事が必要ない手すりは介護保険の福祉用具貸与サービスを利用すれば、レンタルも可能です。車椅子や特殊な介護ベッドなど、消毒して清潔に保てばレンタル可能な福祉用具が13種類決められています。その中に工事不要で設置できる手すりや、好きな場所に据え置きできる手すりも含まれています。レンタル料金は月額設定が原則で、介護保険被保険者は所得に応じて1~3割の自己負担でレンタルできます。
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介護保険を利用する際の注意点

注意すべき点としては、助成金の支給額は20万円が上限で、超過分は自己負担になります。またリフォームが比較的簡単にできてしまうため、介護保険申請を事前に行わずに工事する人がいるようです。事前申請をせずに工事してしまうと、支給が受けられなくなる可能性があるので必ず手続きしてください。

また自治体によって支給対象が多少異なり、必要な書類が違う場合があります。詳しいことはお住まいの市町村の担当窓口に問い合わせましょう。毎月のケアプランを作成しているケアマネジャーが、介護サービス利用について詳しいことが多いので手続きを申請する前に相談するのもよいでしょう。

デザイン性◎木製手すりなら優しく空間になじむ!

衛生陶器のTOTOや住宅機器のLIXILではトイレの木製手すり商品を扱っています。手触りがよく温かみのある天然木を使用しています。トイレットペーパーホルダー付きの手すりなら見た目もすっきり。後付けできる棚手すりは間柱を利用し、壁を補強する必要がなく短時間での設置が可能です。棚手すりなら手のひらや肘を載せて身体のバランスが取れるので、握力が弱い人にも向いています。

トイレの手すりはDIYで取り付けることもできますが、プロのリフォーム業者に頼むといろいろなタイプの手すりから選べる上に仕上がりも違います。また介護保険の制度を利用すれば、自己負担も抑えられるメリットがあります。取り付けの失敗を防ぐためにもトイレのリフォームはプロに依頼した方が安全といえるでしょう。

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