職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio

東京・浅草から世界へ日本水準のブーツを発信するシューズブランド、Rolling dub trio(ローリングダブトリオ)。そんなRolling dub trioの根幹とも言える、職人による靴作り。彼らが働く工房で見えたものとは?

公開日 2018.09.20

更新日 2018.10.22

職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio

一足に込められた職人の思いを紐解く。

職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio
東京・浅草に拠点を構えるシューズブランドRolling dub trio。彼らが今シーズンリリースしたのは、ストレートチップのトゥデザインで仕上げたROOTS。どこかクラシックでありながらシャープな印象を受けるその理由は、1930年当時に実際に使用されていた木型をベースに、現代風にリシェイプしたため。ヴィンテージライクな佇まいと、品格の高さを感じる一足となっています。

ROOTSが誕生するまでの様子はこちらから

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そんなROOTSですが、自社工房の職人たちによって一足ずつ作り上げられたもの。100以上の工程を経て、形作られていくブーツたち。今回はそんな至極の逸足を生み出す、職人たちへフィーチャーします。

仕上がりを左右する数ミリのこだわり

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靴作りを行う職人たち。彼らの仕事場である、東東京に構える工房へ。所狭しと設置されたラックに並ぶのは、制作途中のブーツたち。この工房で汗を流す職人は、全員で7名。複数ある工程をそれぞれ分業し、1日に12足ほど、作り上げます。
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職人の世界といえば、男性の仕事場というイメージがありますが、こちらでは女性もその一人として活躍しているんです。

ブーツの構造を大きく分けると、アッパーとソールの2つ。アッパーは洋服が前後の身頃、袖部分どパーツが分かれるように、足を包む両サイドや先端のつま先部分、かかとのヒールカウンターなど、複数に分かれたレザーを縫い上げて構成されています。
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写真の作業は、そんなアッパーを構成するパーツごとに、大きな一枚のレザーを型紙に合わせてカットしているシーン。カットされたパーツは、レザー用ミシンで縫製していくのですが、裁断時のサイズに数ミリでも過不足があると縫い上げた際のシルエットに大きな変化が生じてしまうんです。1日のカット数は200枚にも及びますが、1枚1枚ずれのないように作業していきます。
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カットされたパーツに、装飾用の穴を1つ1つ開けていきます。1点1点、誤差が生じないように丁寧に作業。派手な工程ではないですが、包丁の入れ方次第で味変わる料理の仕込みのような工程となっています。
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Rolling dub trioがブーツに使用するレザーの厚さは、種類によって異なりますが、約2.5mmのもの。厚みのある分、カットや縫製に時間がかかりますが、その厚さがブーツを数年履いた時のエイジングを秀逸なものにしてくれるんです。
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手間に並ぶのは縫製し終わったブーツたち。ここまで仕上がったところで、別の職人たちへバトンタッチ。靴作りはさらに続いてきます。

身体で覚える細かな手仕事

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手仕事といっても、靴作り用の機材を用いる工程も。とはいえ、機械を使えば、靴1足が簡単に出来上がるわけではありません。それぞれの工程用に作られた機材を用いて、こちらもミリ単位の誤差に最新の注意を払いながら職人が作業を進めます。
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こちらは吊り込みと呼ばれる作業。外と内、2枚のレザーで構成されたアッパーのうち、内側のレザーを木型に合わせてつま先を丸く形作ります。この時のポイントはつま先が木型に沿って、隙間なく丸くなっていること。いくら機械といえど、それを操る職人の技量で仕上がりが大きく異なります。
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機械を使ったつま先の吊り込みが終わったら、手作業による土踏まず部分の吊り込み作業に。レザーを内側に引っ張るようにしながら、ハンマーで叩いていきます。この工程もつま先同様木型にしっかりと沿わせることで、綺麗なシルエットを作り上げます。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio
吊り込みを終えたブーツがこちら。しっかりと木型に沿っているのが、確認できますね。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio
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その後もまだまだ続く、靴作り。写真の工程はアッパーとアウトソールの間に位置する、ミッドソールの圧着作業。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio
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ミッドソールをアウトラインに沿ってカットを行ったら、回転する機材にミッドソールを当ててコバ削りへ。アッパーとのズレがないか、綺麗なラインに整っているか、数百足と作ってきた職人の身体に染み込んだ感覚で作業を行います。
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アッパーとミッドソールの圧着完了です!それぞれが寸分の狂いなく、取り付けられているのが伝わるでしょうか?「それぞれが分業で行う分、自分が担当する工程の責任はとっても重大。1つの工程で手を抜くと、その後の工程で大きなズレが生まれて靴自体が不恰好なものになってしまいます。お客さんに履いていただくものだから、妥協することはできませんね」。職人さんの一人がそう語ってくれました。

生活を支えるものづくりへの責任感

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ミッドソールまで仕上がったら、履き心地を左右するパーツの一つアウトソールの圧着作業へ。ミッドソール同様、機械を使ってソールを貼り付けたら周囲の余分な部分をカット。機械で研磨するのではなく、手工具を使って皮をむくように処理していきます。
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アウトソールの圧着から、ヒールを釘打ちして固定します。この段階では、アウトソール、ヒール、地面と接するヒール面に段差がある状態。だいぶ靴らしい状態まで作業が進んできましたが、ここから一気に完成形へと仕上がっていきます。
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高速で回転するグラインダーを使って、段差部分を削っていきます。かかと部分に秀麗な輪郭を作るための作業ですが、ラインを直線的、曲線的に仕上げるかの違いで、仕上がりの表情も千差万別。今回のモデルROOTSでは、ゆるやかなカーブを作ることで、品のある表情へ。
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削り前、後を比較するとご覧の通り。緩やかな曲線を描くヒール部分ですが、デザイナーがデザインした深すぎず、浅すぎない絶妙なバランスに。このモデルの出荷数は、約200足。そのすべてを同じシルエットになるよう仕上げる、その精密さに脱帽です。「適当に作ったものなんて、お客さんには出せないし、履いてもらえないですよね。作っている自分自身がかっこいいと思える靴、素敵だなと思える靴を作ることが大前提なんです」。職人さんの言葉からは、自分が作り上げたものへの責任感と矜持が強く感じられます。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio
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靴作りもいよいよ仕上げの工程へ。深みを持たせる仕上げ剤をソール全体に塗布したら、パフと呼ばれる柔らかな研磨剤を取り付けたグラインダーで磨き上げます。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り
仮留めしていた紐をカットしたら、レザーシューレースを通します。シューズに命が吹き込まれる瞬間と言えますね。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り/Rolling dub trio
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り
シーンは冒頭に戻って、出荷前の最終工程。Rolling dub trioオリジナルのオイルを使って磨き上げる、アッパー仕上げ。見た目を綺麗に仕上げるのはもちろんのこと、長く履いてもらうには欠かせないステップ。最後にオリジナルボックスへ箱詰めをしたら、ブーツ作りもクランクアップ。
職人の声を聞く。一足入魂の靴作り
「一人でも靴を作ることはもちろんできるんです。ただ、分業にすることで、一つ一つの作業のクオリティがグッと上がります。さらには、自分の工程でどこか手を抜くことで、ほかの職人や靴を履いてくれるお客さんに迷惑がかかる。チームとして靴作りを行うことで、いい靴が作れている気がします。多くの人に手に取ってもらいたいですよね」。靴作りについて最後にこう語ってくれた職人さん。毎日の生活で必ず足を通す靴。選び方はいくつも選択肢がありますが、手仕事だからこそ叶えられる履き心地やシルエット、そんな部分に注目して靴を選んでみてはいかがでしょうか?

INFORMATION

THE BOOTS SHOP
住所:東京都台東区花川戸2-3-3
電話:03-6802-8083
営業日:金曜日 15:00~20:00
土曜日 13:00~20:00
日曜日 13:00~20:00
月曜日 15:00~20:00

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