砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!

砂壁のリフォーム工事を行うことで、より快適で暮らしやすい空間づくりが可能です。砂壁リフォームに使用する素材は多々あるものの、それぞれ特徴や費用が異なるため注意が必要です。本記事では、砂壁のメリット・デメリット、工事に使用する素材ごとの特徴、費用などを解説します。

公開日 2019.12.15

更新日 2022.11.18

砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!

日本家屋や和室によく用いられる砂壁は、仕上げ材に砂を用いている点が特徴です。湿気を吸収してくれる、アレルギー対策に有効などさまざまなメリットがある砂壁ですが、掃除の手間がかかる、工事費用が高くなるといったデメリットもあります。もし現状に不満があるのなら、砂壁のリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。本記事では、砂壁のメリットとデメリット、リフォームするタイミング、塗装別の特徴や費用などについて解説します。

そもそも砂壁とは?

砂壁とは、表面の仕上げに砂を用いた壁を指します。仕上げに用いるのは主に聚楽土、川砂などがあり、これらに糊液を混ぜたものを石膏ボードやモルタル壁の上に塗布して仕上げます。

砂壁と似たものに土壁がありますが、こちらは下地から仕上げまで土を使用しています。土だけでなく、つなぎとして藁などが練り込まれることもあります。

砂壁のメリットについて

砂壁は屋内の湿気を適度に吸収してくれるため、快適に過ごせる空間を作れます。また、シックハウス症候群の原因となる微細な物質を吸収する効果も期待でき、アレルギー対策としても有効です。

湿気を吸ってくれる

砂壁のメリットとして優れた調湿性能が挙げられます。自然素材を仕上げに使用した砂壁なら適度に湿度を吸収してくれるため、快適にすごせる環境を構築できます。

屋内の湿度を下げられるため、住宅の保護にも役立ちます。湿度が高すぎると、建物の柱や梁などに影響を与えるおそれがありますが、砂壁が湿気を吸収してくれるため大切な住宅を守れます。

アレルギー対策になる

砂壁に使用する材料は自然素材であるため、アレルギー対策として優れています。また、シックハウス症候群の原因となる有害な化学物質を砂壁が吸収してくれる点も魅力です。

シックハウス症候群の原因は、建材の合板や床、糊や家具の接着剤などに使用されているホルムアルデヒド、アンモニアなどです。発症すると、目への刺激や咳、涙、目まい、吐き気などを引き起こします。砂壁はこれらの物質を吸収し、シックハウス症候群の原因を排除してくれます。

砂壁のデメリットについて

砂壁のデメリットとしては、掃除に時間がかかる点が挙げられます。また、クロスで仕上げるケースと異なり工事に手間と時間がかかるのもデメリットです。

掃除に時間がかかってしまう

砂壁は微細な砂を表面の仕上げに使用しているため、手で強く触ったり衝撃を与えたりすると剥がれ落ちてしまいます。また、外部から衝撃を与えずとも、年月の経過によって剥がれ落ちるケースも少なくありません。そのため、床の掃除に手間と時間がかかる点がデメリットです。

砂壁の素材が剥がれて落ちるのを防ぐため、日ごろの生活でも注意しましょう。たとえば、荷物を運んでいるとき、壁に擦っただけで表面の仕上げ材が剥がれてしまうおそれがあります。また、ペットが爪で引っかくだけで剥がれることもあるため、砂壁の部屋にはなるべく入室させないなどの配慮が必要です。

砂壁を掃除する際にも注意が必要です。ほこりを落とそうと、砂壁をほうきなどで掃いてしまうと、表面の仕上げ材が剥がれてしまうおそれがあります。ほうきやはたきなどで汚れを落とすのは間違いではありませんが、あまり強く力を入れすぎないよう注意しましょう。

工事費が高くなり、工期は長くなる

一般的なクロス仕上げに比べ、工事費は高くなりがちです。砂壁に使用する素材の単価はクロスよりも高いケースがほとんどで、しかも職人が手間暇かけて作業を進めるためどうしてもコストが高くなってしまいます。特に、既存の砂壁を解体し、新たに下地から組みなおす場合は工事内容が増えるため、必然的にコストがあがります。

工期が長くなりやすいのもデメリットです。クロス工事なら1日で終わるようなケースでも、砂壁となると重ね塗りを行うことが多いため、2日以上かかることがほとんどです。

砂壁をリフォームするタイミングはいつがベスト?

砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!
昔ながらの建物に多く使用されている砂壁には適切なリフォームのタイミングがあります。それは、カビが生えてしまった時や壁から砂が落ちるようになった時です。砂壁は湿度を吸収するという特徴がありますが、許容量を超えると吸収しきれなかった水分が原因でカビが発生してしまうことがあります。また、経年劣化すると砂壁の砂がバラバラと崩れ落ちてくるようになるため注意が必要です。カビが発生したり、砂壁の砂が散乱したりするような環境は衛生的にもよくありません。健康被害が出る前に早めにリフォームを行いましょう。

選べる砂壁リフォームの種類と費用目安!

砂壁のリフォームにはさまざまな方法があり、費用も大きく違います。そのため、それぞれのリフォームのメリットやデメリットを把握した上で、選択することが大切です。

砂壁の補修や塗り替えでリフォーム

最初にご紹介するのが、もともとある砂壁を補修し、上から砂壁の材料を塗る手軽なリフォーム方法です。

リフォームの際には、材料を塗る前にしっかりとした下地を作ります。もともとの砂壁の表面にある凸凹や穴に、砂壁用の穴埋めパテを埋め込んで表面を平らに整え、砂壁の下地剤を塗ります。こうしておくことで、砂壁がはがれるのを防ぎ、もともとの砂壁の汚れなどが浮き上がってくることを防ぐ効果があります。
砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!
メリット:もともとある砂壁に手を加えるだけなので、手軽にリフォームを行えます。除湿効果・消臭効果・耐火性の高さといった砂壁特有のよさをそのまま活かすことが可能です。

デメリット:砂壁は、空気中の水分を吸収するので、その水分が原因で壁が劣化し、砂が崩れ落ちます。砂が落ちるようになってきたら、掃除の手間がかかります。また、衝撃にも弱く、誤ってぶつかったり、擦ったりしてしまうと、簡単に傷が付いてしまいます。ぶつかったり擦れたりしてしまったものに砂が付いて汚れてしまうこともあるでしょう。

費用目安:5万~10万円

砂壁からクロスへのリフォーム

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砂壁に下地処理をした後に、上からクロスを張ります。何の処理も行わず上からクロスを張ってしまうと、表面に凹凸が出てしまい、キレイに仕上がりません。キレイに仕上げるためには、土壁の上にベニヤ板を張って、その上にクロスを張るなど、土台となるものが必要です。

メリット:クロスは、さまざまなカラーや柄、素材があり、選択肢が広いのが特徴です。消臭・防汚などの機能性があるクロスもあります。

デメリット:砂壁を塗りなおすよりやや費用がかかります。

費用目安:10万~15万円

砂壁から珪藻土へのリフォーム

砂壁に下地処理をした後に、上から珪藻土を塗って壁のリフォームをします。珪藻土とは、化石化した珪藻という植物性プランクトンの殻が含まれた土のことです。火に強く、耐火性が高いので、レンガや七輪などの材料としても用いられています。最近では吸水性のよさが注目されて、珪藻土でできたバスマットやコースターが人気を集めています。
メリット:室内の湿気をほどよく吸収したり放出したりして、人が過ごしやすい環境を整えてくれるため、じめじめした湿度が不快な梅雨でも過ごしやすいです。また、脱臭や消臭効果もあるので、ペットを飼っているご家庭にもオススメです。珪藻土は、カラーも多く、壁を自分好みのカラーにできます。

デメリット:珪藻土は、砂壁と同様でポロポロと土が落ちる恐れがあります。服が珪藻土の壁に触れてしまうと、色が付いてしまうので、珪藻土の壁に触れないように注意が必要です。また、壁材の珪藻土の含有量は、商品によって20~60%と大きな差があります。そのため、同じ珪藻土の壁でも、含有量が高いほど湿度調整の効果が期待できます。どんな目的で珪藻土の壁にするのか整理し、商品を選ぶことが大切です。

費用目安:7万~13万円

砂壁から漆喰へのリフォーム

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砂壁に下処理をした後に、漆喰の壁材を塗ってリフォームをします。漆喰とは、石炭を原料とした壁材で、脱臭効果などがあります。白く輝く美しさを誇る姫路城の外壁も漆喰を塗って仕上げられました。漆喰には、土佐漆喰・南蛮漆喰・糖蜜漆喰・がんぜき・天川漆喰など多くの種類があります。

メリット:漆喰は強アルカリ性なので、有機物を分解する殺菌性があり、カビやダニを防ぐ効果が期待できます。また耐火性にも優れており、建築基準法第2条第2号の耐火建築物の基準をクリアしている建材です。

デメリット:何度も塗り重ねる必用があるため、工期が最短でも2日以上かかります。脱臭効果は約5年でなくなってしまうので、脱臭効果を実感したい場合は、定期的に塗り直しが必要です。

費用目安:7万~13万円

砂壁からペンキ塗装へのリフォーム

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砂壁のリフォームの中で最も簡単にできるのが、下処理をした上からペンキを塗る方法です。珪藻土や漆喰の場合、壁に塗るのが難しいため、左官職人に依頼することが一般的です。一方、ペンキは使い慣れていない人でも簡単に塗れるので、DIYでもリフォームしやすいでしょう。

メリット:簡単かつ費用を抑えてリフォームできるのが大きなメリット。カラーや質感なども多彩で自分好みの壁に変えられます。

デメリット: 砂壁独特の風合いや調湿性などが失われてしまいます。また、ペンキの種類の中には、室内で利用できないものがあります。ペンキ選びの際は注意する必要があります。

費用目安:6万~10万円

自分で砂壁を洋風にDIYリフォームする方法

近年では、DIYで自分好みのインテリアにリフォームする人も増えています。砂壁の和室を洋風の雰囲気のお部屋にマッチする壁にDIYする方法をご紹介します。

砂壁のDIYリフォーム!成功のカギは下地処理にあり

砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!
砂壁のリフォームをするには、下処理が重要です。自分でDIYリフォームをする際もしっかりと行いましょう。

まずは、砂壁用のパテと下地剤で既存の砂壁の凹凸を滑らかにならしましょう。または、砂壁の上にベニヤ板を張って砂壁全体を覆ってしまう方法もあります。張り方は、ベニヤ板の裏側にたっぷりとボンドを塗り、砂壁に張り付け、タッカーを打ち付けて固定します。タッカーはホームセンターなどで購入可能です。張り付けるベニヤ板の厚みはある程度の強度があり、タッカーで留まりやすい4mmが適しています。

下地の上から木材を張り付けるDIYリフォーム

ベニヤ板の上から好みの木材を張り付けます。木材の木目の柄や質感、カラーによってさまざまな雰囲気に仕上げられます。

◆DIYに必要な道具
メジャー:壁の採寸をします。
好みの木材:ホームセンターや100均で購入可能です。
木材用ニスやペンキ:木材を色付けします。
木工用ボンド・釘:木材を壁に固定します。

◆木材を張る方法
1.木材を好みのカラーに着色します。または、着色しないで自然のままで張り付けてもよいでしょう。

2.木材の裏側に木工ボンドを塗って、ベニヤ板で下地処理をした壁に張り付けます。小さくて軽い木材であれば、木工ボンドのみでも張り付け可能です。強度を増したいのであれば、釘で打ち付けることをオススメします。
砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!
【注意事項】
木材を自分でカットするとまっすぐに切れないことが多いので、希望のサイズの木材が見つからない場合は、ホームセンターなどのカットサービスを利用するとよいでしょう。

張ってはがせるクロスでDIYリフォーム

下地剤やベニヤ板の上からクロスを張ります。最近人気の張ってはがせる壁紙であれば、気分にあわせてクロスの張替えも可能です。
砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!
◆DIYに必要な道具
クロス:DIY用の幅が狭めのクロスなら壁紙を張るのが初めての人でも失敗が少ないです。
クロス用の糊:はがせるタイプの糊もあります。クロスに初めから糊が塗られているタイプのものもあります。
カッター:クロスをカットします。
定規:クロスをまっすぐカットします。
なでバケ:壁紙と壁の間の空気を抜きます。
ヘラ:壁紙の隅をしっかりと張り付けます。
ローラー:壁紙と壁紙のつなぎ目をならします。
ジョイントコーク:壁紙と壁紙の隙間を埋めます。

◆クロス張りの方法
1.クロスに糊を塗ります。

2.曲がらないように注意しながら壁にクロスを張り付けます。

3.クロスと壁の間に入り込んだ空気をなでバケでなでるようにして抜きます。

4.クロスと廻り縁や巾木のつなぎ目をヘラでしっかりと密着させます。

5.カッターと定規を使用して巾木のラインよりはみ出たクロスをカットします。

6.初めに張った壁紙にあわせて、次のクロスを張ります。クロスとクロスの間をローラーでならして隙間がないようにしましょう。場合によっては、ジョイントコークを使用して、クロスとクロスの隙間を埋めます。
砂壁をリフォームしたい!クロス・塗装別に特徴や費用を比較!
【注意事項】
クロスの張替えで最も難しいのは、クロスとクロスのつなぎ目が離れてしまわないようにすることです。隙間ができてしまうと、下地が丸見えになってしまうので、慎重に行いましょう。柔らかい素材のクロスよりも、ある程度張りがあるクロスのほうが使いやすいので初心者の場合は、張りがあるクロスを選びましょう。

まとめ

砂壁のリフォームを検討しているのなら、メリットとデメリットをきちんと把握したうえで判断しましょう。砂壁には優れた調湿機能が期待できるほか、アレルギー対策として有効なメリットがあるものの、掃除の手間が発生しやすい、工事コストが高く工期も長くなりやすい、といったデメリットがあります。これらをきちんと理解しておきましょう。

砂壁リフォームに使用する素材の種類ごとに特徴があり、最終的な費用も変わります。各素材の特徴も把握したうえでリフォームを検討し、理想的な住まいづくりに努めましょう。また、砂壁をきれいに仕上げるには技術が必要であり、職人によって仕上がりに差が生じます。専門業者へ依頼する際には、技術力や過去の実績もチェックしましょう。

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