作り手が心を込めて仕上げる、最高のモノ作り。〜HERZ〜/CIRCLE of DIY Vol.14

全国のあらゆる場所から各々のDIYを発信する人々を紹介し、大きな“CIRCLE=円”を作ろう!という本連載。今回は鞄の裁断から縫製まで全て自分達の手で作り上げる手作り革製品工房HERZをピックアップしました。

作り手が心を込めて仕上げる、最高のモノ作り。〜HERZ〜/CIRCLE of DIY Vol.14

創業から44年経った今も、一人一人の作り手がデザインから製作までを仕上げる「HERZ」のモノ作り。当時、HERZ代表の近藤さんが知人から引越しの際に1枚の革を譲り受け、それを革袋にしたことが同店誕生のきっかけです。店舗数も増え、より多くの人にHERZの鞄を届けられるようになった今でも一つずつを手作りで仕上げるスタンスは変わっていません。手作業ならではの楽しさや苦労、素材に対してのこだわり、そして今もアナログであり続けることへの“想い”をHERZ本店のスタッフ、根本さんに伺いました。

表参道を少し入ったところにあるHERZ本店。革の匂いとミシンやハンマーの音が心地よく響く店内。

表参道店は、全国の直営店の中でも随一の商品ラインナップを誇る凱旋店。

ボストンバッグから小銭入れ、パスケースなどさまざまな商品がずらりと並ぶ。

ー1人の手の温もりが感じられる“手作り”ですが、大量のライン生産で安くてもそれなりにいいモノが手に入る時代の中で、手作りを続けていける理由は何ですか?

(根本)「そうですね。すべての大量生産が悪く、逆に手作りであればなんでもいいモノということではないと思います。例えば人件費が安い海外で作るという選択肢もあるワケですが、大事なことは僕らが今の僕らがいいと思うやり方で作っていくこと。そうなると、そういったことはできません。必然的に『どうやって今の“質”を落とさずに一つでも多く作れるのか?』という壁にぶつかりますので、『ここをもう少しこうしたら、同じ時間でもう少し早くできる!』とか『ここの工程をこういう風にしたらより効率的になるね』とか、作り方に関しては今でも日々試行錯誤と研究をしています。もちろん、商売だけで考えたらそんなこと考えずとも商品をその分高い値段にすればいいのですが…(苦笑)、大切なのはいいものを作って、できるだけ多くの人に愛用してもらうことだと思っているので、そのためにどうすればいいか?を突き詰めていった結果として今があるというところですかね」

根本裕之さん。

ー今日も工房には作り手の方がいらっしゃいますね。

根本さん「そうですね。今はすべての店舗が販売するスペースと工房のセットになっているんですよ。ここの本店だけでも17〜18名ほど作り手が作業をしています。東京以外に拠点を作ろうと大阪の店舗を設計しているときに、『創業時と同じく工房と店舗をセットにしよう!』と決めたことが今のスタイルになったきっかけです」

工房内の様子。作り手が一つ一つ丁寧に仕上げています。

革の特徴を見極めながら慎重に裁断していきます。

1番のこだわりでもある、革。壁一面に整然とストックされています。

型紙もキレイに収納されていました。

—では、ここで作られた商品がそのまま店舗に並ぶこともあるんですか?

(根本)「はい。店舗間での行き来も多少はありますが、基本的には作ったモノがそのまま並んでいます。例えば昨日出来上がったモノを、今日検品して店舗に並べる、あるいはお客様の元へ送るという感じです。確かに言われてみるとお肉や魚のような生鮮品の流通に近いのかもしれませんね」

ーHERZの商品ができるまでの流れを教えてください。

(根本)「素材である革や金具類のパーツを仕入れてからは、商品として並ぶまでをここで行っています。特に変わったことはなくいたってシンプルではありますが、例えば持ち手は彼で、ポケットは彼女に、といったパーツ毎での分担作業は行わずに、裁断以外の工程はそれぞれの作り手が1つ1つ責任持って仕上げています。これしか作れないということはもちろんないですが、作り手それぞれに得意なバッグがあったりするのも面白いところ。今工房で働いている女性のスタッフが2名いるのですが、彼女たちは女性ならではの繊細さや細く器用な指先を活かして、小銭入れなどを作っています。硬い革の大きいバッグを作るときは片手で支ながら縫製を行うので、そういう作業は力の強い男性スタッフが行なうことが多いですね。商品の作り方そのものはとてもシンプルに設計されているということもあり、作り手同士口頭で『あそこの部分はこれで、ここはこれでさ』というような会話をしていると頭の中に同じイメージが共有できるんです。それは、商品が違うモノでも同じスピリットで一本筋の通った“HERZとしてのモノづくり”のベースがあるからです。そして僕たちはそれをとても大切にしています。だからというわけではないのですが、商品が500型以上もあるんです。特に廃盤という考え方はなくて、新しいものが生まれたらどんどん増えていきます。しかし、このままだと年々カタログが分厚くなってしまいますね(笑)」

via

パーツの取り付けや細かな仕上げもすべてこの工房で行います。

ー1番のこだわりを教えてください。

(根本)「もちろん手作りであることもそうですが、1番は素材である革。HERZで使っている革は染色は行っていますが、素あげに近く、革そのものに表情がある物を使用しています。具体的には、同じ物で同じように染色しても厚みや筋など、生きてきた個体差でムラがある、よく言えば表情豊かな物、革ならではの魅力がある物を選んでいます。しかしながら、それをそのまま紡げばいいということではなく、できるだけ特徴を活かしたうえで、どういう風に紡げば均一に見えるだろうか?とか、どういう風にパーツを取ればいいだろうか?というのは特に考えるところであり、こだわっている部分です」

小さな革からハンマーで型を取る女性スタッフの作り手。

片手で力強く支えながらしっかりと縫い上げていきます。

ーそれは商品の魅力にも通ずるところがありそうですね。

(根本)「まさにおっしゃる通りで『一生使えるモノを作りたい』というコンセプトにも繋がってくるのですが、HERZで使っている素材や作り方は“ワイルド”。シンプルに素材を活かし、縫製も太い糸を使って広いピッチでガシガシと縫い合わせていく物がメイン。強くてしっかりした素材をできるだけシンプルに形作る、そうすることで長く使っていく中で、仮にほつれてしまったり、破けてしまったところも、作り自体が複雑でない分修理もしっかりと行えるんです。先日も20年以上愛用していただいた鞄の修理を頼まれたのですが、そういうお客様に出会えた時は嬉しさもひとしおで、どんな状態になっていたとしても、『よしっ絶対に直してやるぞ!』という気持ちになりますよ(笑)」

スタッフおすすめの3アイテムをご紹介。

口枠構造が特徴的なボストンバッグ/Lサイズ。V-103 ¥69,120(税込)

柔らかなフォルムとハードでタフ質感がたまらない。リュック。R-11 ¥64,800(税込)

ギャジットのデザインを受け継いだ伝統のカメラバッグは、相棒としていろいろなところに連れて行きたい。N-108 ¥45,360(税込)

1点1点丁寧かつ思いを込めて作り上げていくHERZのアイテムたち。レザークラフトに挑戦してみたいという方は、ぜひ一度のお店に足を運んで手にとってみてください。きっとそのクオリティの高さにあなたのDIY精神も感化されると思いますよ。

SHOP DATA

HERZ 本店
創業40周年の節目に、東京・表参道にオープンしたHERZ最大の旗艦店。ワンフロアの広々としたお店の奥に併設された工房からは、ミシンやハンマーの音が響き、日々生まれる作りたての鞄と製作現場を間近に感じることができます。
住所:東京都渋谷区神宮前5-46-16 イルチェントロセレーノB1F
電話番号:03-3406-1471
営業時間: 11:00-19:00
定休日:水曜日
URL:https://www.herz-bag.jp
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