Dr.Franken:アパレルブランドによる?災害支援に特化したコンセプトトラックとは!?/CIRCLE of DIY Vol.21

各地に点在するDIYの文化をつなげ、大きな輪を作ろうという試みのもと始まった本連載。今回、アパレルブランド《Dr.Franken(ドクターフランケン)》が手掛けた災害支援コンセプトトラックにフィーチャーしました。

Dr.Franken:アパレルブランドによる?災害支援に特化したコンセプトトラックとは!?/CIRCLE of DIY Vol.21

一見するとトラックなんだけど、その面持ちはさながら装甲車。ただミリタリーカラーではなくオールホワイトというのも、その異彩を放つこの1台。災害支援という言葉を抜きにしてなんだこの乗り物は!?と思った人も多いのではないでしょうか。

ご覧の通り、タイヤやミラーなどのパーツを除けば、オールホワイトのルックス。取材時も歩行者や他のドライバーから多くの視線を集めてました。

なぜ、僕らがこの1台と出会ったかというと本連載のVol.09に登場してもらった国内外のファッションイベントやプロジェクトのブランディングなどのディレクションを数多く手掛けるWATOWA INC.の小松さんからの紹介だったんです。
まさにこの連載のタイトルである「CIRCLE」という名を体現するような繋がりだったんです。その人物がこのコンセプトトラックを企画した外所一石さん。“世の中を創るQUESTER/探求家に閃きを与え、世界を繋ぐ”というコンセプトを掲げるアパレルブランド《Dr.Franken(ドクターフランケン)》のプロデューサーを務めています。今回、その外所さんになぜファッションと災害支援というなかなかイメージとして直結しないこの2つのジャンルを1つの形に繋げたのかを伺ってきました。

——今回ピックアップさせていただいた“災害支援コンセプトトラック”。そもそもなぜ災害支援という分野に目を向けたんですか?

「僕は今、アパレルのブランドをやりながら、一般社団法人Smart Survival Projectという社会的備災団体の副代表もやっているんです。その代表を務める西條が団体を立ち上げる前に起こった東日本大震災の時から支援活動を行っていて、その方法が素晴らしくて感銘を受けたんですよ。そして、ある時に西條と出会って、彼と共にもっと災害支援や防災教育を活性化できるような団体を作れないかということで作ったのがスマートサバイバープロジェクトだったんです。僕らの中で災害が起こった時の支援はもちろんですが、もっと防災をポップ化できないかなと思ったんです」

——ポップ化とは?

「わかりやすく言うと防災は自然災害から身を守るモノで、人的災害においては防犯と言葉を変えるんですが、その防犯で言うと始まりが護身術。その護身術をポップ化したモノが格闘技で、武器を使うならサバゲーみたいな感じで、より身近になって楽しめるモノになってるんです。やはりそういうモノって興味が湧くと思うんですが、今の防災教育だと恐怖を煽ることが多く、なかなか広がらないんですよね」

アーティストの坂巻善徳 a.k.a senseとFunny Dress-up Labが参加し、防災器具のポップ化活動の一環として作られた消化器アート。いつもは隠しがちな消化器に、アートを加えたことで日常を彩るインテリアアイテムとして生まれ変わらせたコンセプト作品。

——そこで災害支援コンセプトトラックを作ったんですね。そのポップ化というところで意識した部分は?

「消防車です。小さい子供の将来のなりたい職業に消防士が人気なのですが、その子供がはじめに興味を持つのが消防車だと思ったんです。そこで、消防車に乗ってる人はどんなことをやってるんだろう?という疑問が生まれたのではと考えました。そんなクエスションを与えるデザインなら、きっと興味を持った人から気になって情報を取りに来てくれると思うんですよ」

——コンセプトトラック自体はいつ完成したんですか?

「トラック本体の購入を決めたのが去年の6月で完成したのは11月ごろですね。この災害支援コンセプトトラックはスマートサバイバープロジェクトの一環と、僕のプロダクトデザインが融合した形になるんです。製作資金はこういうトラックを作りたいだ!といって寄付を募るファウンドレイジイベントをやって、3分の1ほど支援していただきました。ただやはり最初はトラックなんて作ったことがなかったんで、構想した時はちゃんと公道を走れるかなってドキドキしてましたよ(笑)」

——アウトなラインがどこなのかの見定めは確かに難しいですよね。先ほど消防車を意識したとおっしゃっていましたが、他にもデザインソースはあったんですか?

「東日本大震災で自衛隊の車両が支援する映像をテレビで見た時に、個人的には物々しいと感じたんです。だけど実際の被災した現場からは、その支援車両が来てくれたことにすごく安心感があったって声を聞くんですよ。やっぱり頼りになる人たちが来てくれるのは安心感を与えてくれるようで、自分のトラックも強くて頼りにしてもらえそうなモノにしたいということで装甲車もデザインソースにしました」

子供だけでなく、大人の男心をくすぐられる重厚感たっぷりのフロントデザイン。

——装甲車だとカーキやオリーブ、サンドベージュなどのミリタリー色を想像してしまうんですが、ホワイトを選んだ理由は?

「平和利用の考えっていいなと思ったんです。僕が過去にやったプロジェクトの中に“戦闘なくしてハッピーになろう”というコンセプトのもと実際に使用されていたミリタリー服をそのまま法被(はっぴ)にリメイクしたことがあって、それは本来の用途と打って変わって争うのではなく、お祭りのようになかよくしようという思いがあるんです。そういう考え方で強そうなモノを真っ白したら、より人を助けてくれるお医者さんのイメージが表現できるかなと思ったんです。Dr.Frankenにおいても、世に出ているアパレルはミリタリーの形からオマージュされているものが多いですが、うちでは白衣を意識した服作りをしてるいるので、ブランドとの関連性もより強くなるかなと」

こちらがそのリメイクした法被。

——実際のコンセプトトラック製作はどういう方達が関わってるんですか?

「前後で仕様が違うんですが、フロントは鉄の彫刻家 宮川和音くんに作ってもらいました。リアは機能性にこだわりたかったので、インテリアデザイナーshirotokuroの田中健太郎くんにお願いしました。装甲車がイメージだけど、日本が世界に誇る機動戦士ガンダムやトランスフォーマーみたいな変形ロボットのような感覚もあっていいよねって話をしながら作ってもらいましたね。あとは住めるトラックということを意識して、カーゴ内部は上に伸びて空間広げるなど、色んな仕掛けを散りばめてます」

カーゴ内部には使用頻度の高い消化器や工具、ヘルメットなど金網にかけて収納。消化器に関して先ほどの消化器アートの一環で外所さんが手掛けたモノ。金網に引っ掛けてあえて見せるアイデアも参考にしたいところですね。また、金網の下には延長コードも設置しているので内部での充電も可能。

車載バッテリーにはANKER のPowerHouseを使用。この1台でUSBポートからスマートフォンを約40回、ACコンセントからノートパソコンを約15回フル充電可能だそう。

ベンチ下の一斗缶にはカップヌードルやお菓子などの非常食を収納。

——実際にこのトラックが出動したことはあるんですか?

「まだ実際に被災地などに出たことはないですね。何が起こってもいいように準備はしているんですが、出動しないでいいのが理想。ただ災害支援ではなく、渋谷キャンプや武蔵野消防署などの防災イベントに展示させてもらうなどの活動も行ってます」

後ろ姿も存在感抜群。このカーゴが上に伸びるんです。

——イベント時、一般の方々の反応はいかがでしたか?

「なんで白い装甲車?みたいな感じでしたよ(笑)。単純に不思議な存在だったようで説明すると『なるほど』と納得してくれました。その時にアーティストの坂巻善徳 a.k.a senseとFunny Dress-up Labに参加してもらった消化器アート。海底油田基地開発を行う作業員のために作られた耐久、撥水、耐火に優れたハイテク素材“ポセイテック”を用いたDr.Frankenのダウンジャケットなども合わせて展示しました。防災のグッズってデザイン的に微妙なモノが多いので、僕たちがブラッシュアップすることで興味を持ってくれた人が多かったですね」

左がFunny Dress-up Lab氏の作品。 http://fxdu-lab.com

右が坂巻善徳 a.k.a sense氏の作品。 http://www.loftwork.com/portfolios/sensepeace

先ほどのポセイテックで作られたアウター類の他に、遭難時の発見率を高めることを考えて作られたオールリフレクターのダウンジャケットも展示したそう。

——今後もコンセプトトラックは増やしていく予定なんですか?

「今回の出来上がりにすごく満足しているので、災害支援に限らず色々なコンセプトトラックを増やしていきたいです。その時は自分だけでなく、色んな企業なども絡めていきたいですね。個人的には移動式のサウナとお風呂を作ってみたいなと思ってるんです。フィンランドの風景でよく見る、サウナからでたらそのまま湖に飛び込むみたいなことをやってみたいんですよ(笑)」

——あれは確かに憧れますね。仕事以外で外所さんがモノ作りされたりはされるんですか?

「友人とパパパークというイベントをやっています。休日に子供を楽しませるために父親が付き合うんじゃなくて、父親が楽しんでるのを子供が真似する場が公園だったらいいなと思ったんですよ。親の背を見て子は育つみたいな感じで。そこで流しそうめんを作ったことがありますね。そこからの派生でちかけんという竹灯りのアーティストがいるんですが、彼らの作る流しそうめんのクオリティがすごくて、今度一緒にやろうという話をしています。そういうのってきっと父親たちは夢中になると思うし、その楽しそうな姿につられて子供達もやってみたいってDIYのきっかけなると思うんですよね」
ちかけん http://chikaken.com/

——そのDIYという言葉が市民権を得ている状況はどう思われますか?

「すごくいいなと思ってます。1つの社会運動的な気がするんですよ。僕らもポップ化を行うにあたって、その活動を僕らがやってやってるじゃなくて、個人個人がやりたいって思わせたいモノなんですよ。そのDIYっていう意識が持てると『市販で売ってるモノのこれがすごい』といったように感謝の心が持てるようになると思うんです。ゲストとホストがいて、ホストはゲストのことをお客様と思うのはいいですけど、ゲストが自分をお客様と思うのはまずい。でもDIYを経験することによって当たり前と感謝の間を認識できるようになると思うんです」

こちらも外所さんの新プロジェクト「ナンカイトラフ」。売上の一部を南海トラフ地震が起き、被害が出た場合の支援金としてストック。地震が起った時点で終了するというコンセプトブランドです。フロントの文字は歌川派凧絵師、志村康夫さんが手掛けたとのこと。

——仕組みや作業の大変さって経験したからこそわかることって多いですよね。そして、当たり前にある既製品に対しての感謝の心は確かに薄れているように感じます。

「あと個人的にキットを作ることもきっかけとして素敵なことだけど、作って終わりじゃなくて自分なりにペイントするとかステッカーを貼るとか一手間加えたらより楽しくなると思うんです。その経験があったら、次は世の中にないモノを自分で作ってみようとなるし、仮にそこで失敗したとしてもそのモノ自体に愛着が湧くはず。今って言われた通りにあがってこないとクレームになるけど、ちょっと目線を変えたらそこが面白いんじゃない?っていうこともあると思う。料理とかはそれで新しいメニューが生まれるケースもあるので。とにかくどんどん挑戦してもらいたいですね」
外所さんの飽くなき探究心と活動。0から1を作ることはなかなかトライしにくいことですが、臆することなく飛び込む姿勢はまさに“Do it yourself”。今後もどんな仕掛けを飛び出るのか楽しみな所ですし、皆さんもぜひDIYの世界に飛び込んでみてください。
また、災害支援コンセプトトラックはDIYer(s)がイベントを開催する時は駆けつけてくれるそう!その見た目のみならず、細かい部分までのこだわり抜かれたクオリティも見事です。ぜひ開催を心よりお待ち下さいませ。

PROFILE

外所一石

2003年 青山学院大学卒業後、同年に人間・時間・空間の「間(マ)」を演出・プランニングする(有)トリプルイー企画設立。
Dr.FrankenやFUGAHUM(フガハム)などのアパレルブランドのプロデュース。
大手メーカブランドへのブランディングやJAXAやCool Japanなど公的機関、タイ政府など国内外のファッション・アート業界のイベントのディレクションなどマーケティングから商品開発、WEB、内装まで手掛ける。
54 アイテム

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