歴史を知ると面白い!人気塗料“ミルクペイント”をDIYしてみよう

近年、高い人気を集めるミルクペイント。その注目ぶりから各社がさまざまな商品を発売していますが、実は作れちゃうってご存知でしたか?今回は、その独特の風合いをDIYで再現していきたいと思います。色もつけられるので、世界に一つだけのオリジナルミルクペイント、ぜひチャレンジしてみてください。

公開日 2022.10.25

更新日 2022.10.25

歴史を知ると面白い!人気塗料“ミルクペイント”をDIYしてみよう

はじめに

みなさま、こんにちは!今回もDIYの時間がやってきました。突然ですが、みなさんはお気に入りの塗料ってありますか?歴戦のDIYerの方々であれば、塗料は既に色々試してきたことでしょう。そして私は知っています、まだ「これだ!」という塗料に出会えていないということを。
そんな声にお答えすべく、今回はイチから塗料をDIYしちゃおう!という企画をお持ちしました。使う道具からこだわって、DIYマスターへの道をまた一歩踏み出してみませんか?

作るもの

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今回作るのは、この古びたな風合いが特徴的な“ミルクペイント”です。ホームセンターで塗料コーナーに行くとまず目に飛び込んでくるほど、このミルクペイントというジャンルは人気ですよね。
実はこのミルクペイント、古の塗料とも言われており、昔の人たちが知恵を絞って身近で手に入る材料で作ったものなのです。昨今ホームセンターに置かれているのはあくまでこれをイメージした塗料ですが、今回は本場のレシピで、当時と同じものを実際に作っていきたいと思いますのでお付き合いください。

材料

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牛乳(無脂肪or低脂肪乳がオススメ)
消石灰
食紅

STEP.01 牛乳と酢を調合

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それでは早速作っていきましょう!まずは牛乳をボールに移していただきたいのですが、牛乳は低脂肪乳もしくは無脂肪のものを選ぶようにしてください。というのも、加工乳になると油が多く、塗料として使う際に邪魔になってしまいます。

ミルクペイントって、本当に牛乳から出来ているんだと感動した方もいらっしゃるのではないでしょうか?そう、撮影時の私がそうです。
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次に、牛乳と酢を10:1の割合で混ぜてください。今回は、牛乳を1リットルと、100mlの酢を調合しました。
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この状態で一晩寝かせたものがこちら。酢を入れたことによって牛乳の中にあるカゼインタンパク質からホエータンパク質が分離し、このように浮いてきているのです。まずは丁寧にこのホエーを取り除いてあげてください。
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さらに掬っても取りきれない分はこのようにメッシュを使って濾過していきます。こうしてホエーが取り除かれて残ったカゼインは、チーズなどを作るときの材料にもなり、ヨーグルトを放置しておくと表面にできる液体も同じものです。そしてこのカゼインこそが、今回のミルクペイント作りに欠かせない液体となってくれます。

ちなみに、カゼインを取り出す際に使った酢がまだ混ざってしまっていますので、一度それは軽く水をかけて濾過することで洗い流しておくと良いでしょう。
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濾過し終わったものがこちら。ホエーも酢も取り除かれ、ドロッとチーズのような弾力ができていたら成功です。と偉そうに言ったものの、実はこの撮影時は思ったよりもベチャッと仕上がってしまいました。本来はカッテージチーズのようにもっと固まってもらうはずだったのですが、濾過に使うメッシュが荒かったことが原因だと思われます。
さらにいえば、まだ検証が必要ですが、使う牛乳によっても仕上がりに差が出そうです。

STEP.02 消石灰

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次に消石灰100gを用意し、ふるいにかけていきます。シャカシャカと数分間振ると、ご覧のように細かい粒を選別することができ、今回はこれを使います。
これを先ほどのカゼインに組み合わせて使うと凝固剤としての働きをしてくれて、塗料らしい粘り気を出すことができます。
ちなみに、消石灰は園芸用などで売っているものをお使いください。乾燥剤などで使われる生石灰は水を掛けると発熱しやけどの心配がありますので、絶対に使用しないよう、注意しましょう。

STEP.03 着色

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すでに白いミルクペイントとして完成ではあるのですが、今回はせっかくなので赤色の塗料にしていきたいと思います。実は、ミルクペイントが古の塗料と冒頭でご説明しましたが、当時の豪雪地帯では白く塗った家が見えなくなって困ったのだとか。そこで目をつけられたのが、家畜の血液を使った赤色の塗料だったそうです。考えられていますね!
というわけですので、血液は無理にしても食紅で、そんな歴史の知恵に思いを馳せつつ赤色にもチャレンジしていきましょう!
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食紅と水を1:1の割合で混ぜ合わせて、薄めます。
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それを先ほど作ったミルクペイントに少しずつ回し入れて、よく混ぜておいてください。

完成

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お疲れ様でした!これにて、赤色のミルクペイント完成です。パキッとした現代的な赤色ではなく、少し曇った色味がアンティークな雰囲気で良いですね。
ただ、これだけ見てもよく分かりませんよね!早速塗っていきたいと思います!
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塗り進めると、表面に少し粒立った立体感が生まれてきているのが分かると思います。最新の塗料にはないこの荒さが、自作ミルクペイントの魅力です。
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塗り終わったら、軽く表面をやすって馴染ませてあげましょう。しばらく時間が経つとまた少し風合いも変わってきますので、そこもお楽しみください。
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全面に塗ってみました!いかがでしょう、本場の作り方をしただけあって、非常にアメリカンな印象になりましたね。部分的にやすってエイジングをすれば、より本格派にしていくことも出来そうです。
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ちなみに、先ほどから何に塗っていたのかというと、何を隠そうこちらも別記事で制作したプランターカバーなんです!ミルクペイントを塗ってより素敵な仕上がりになりましたね。もしプランターカバーの作り方も知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください!

まとめ

本場アメリカの製法で作る古のミルクペイント、いかがでしたでしょうか。今回はプロダクトそのものではなく、DIYの道具を作るという一風変わったレシピのご紹介でした。ちなみに、現代の技術で作られたものではなく、200年以上前の製法で作られたものなので耐久性は低いです。市販のミルクペイントの方が塗料として使い勝手が良いと思いますので、今回の記事を通してミルクペイントに興味を持ってくださった方は、こういった商品の購入も併せてオススメさせていただきます。
撮影:薮内努(TAKIBI)
監修:岩西剛

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