プロの仕事”見せます。築47年の古民家をフルリノベーション

古いお家の修繕を検討している方の中には、リノベーションをしようか迷っている方も少なくないかもしれません。部分的に修復するだけであればリフォームが適しており、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて間取りを変更する場合などはリノベーションがおすすめです。 今回は、カシワバラ・コーポレーションが古民家をフルリノベーションした事例をご紹介いたします。皆さんの理想のお住まいの実現に向けて、ぜひ参考にしてみてください。

公開日 2023.06.22

更新日 2023.06.22

プロの仕事”見せます。築47年の古民家をフルリノベーション

はじめに

DIYer(s)を運営するカシワバラ・コーポレーションでは、ご親族からお家を相続したタイミングや、中古物件のご購入時、ご家族の人数が変わるといった、さまざまな理由でリノベーションのご相談をいただきます。

リノベーションとは、簡単にいうと「建物に『付加価値』を加えること」です。施主様やご家族が生活しやすい間取りへと変更したり、お好みのデザインやスタイルを実現する施工となります。
今回は、実際にカシワバラ・コーポレーションが築47年の古民家をリノベーションした事例をご紹介していきます。

リノベーションするのはこちらの古民家

今回フルリノベーションをご依頼いただいたのは、昭和49年に建てられたこちらの一軒家です。施主様のお父様が幼少期を過ごされた家屋で、その後15年ほどは使われておらず、改修前の1〜2年は農家の方に貸し出されていたそうです。

建物の立地は谷間に位置しており、なおかつ周辺には田んぼや畑が多いため、湿気が溜まりやすい環境でした。随所に雨漏りによる腐食が見られ、玄関の軒裏の一部も腐食していました。
施主ご夫妻は、もうすぐお子様が生まれるとのことで、のびのびと子育てができる空間を希望されていました。
リノベーションのご依頼をいただく際、こまかく仕切られた間取りから、広々とした空間に変更したいというご要望が多く聞かれますが、壁や柱の位置によっては、それが難しいことがあります。
例えば、間取り変更において柱の位置がネックになることも。柱には「通し柱」「管柱」「間柱」という種類があり、このうち抜ける柱は主に「管柱」の一部と「間柱」です。「通し柱」は建物の四隅に位置することが多いですが、ほかの位置にある場合もあるので注意が必要なのです。

また、採光に影響する周辺環境も重要なチェックポイントです。今回は東側に4つの窓が設置されていましたが、隣接の長屋により採光が制限されることがわかりました。

施主様のご希望を丁寧にヒアリング

フルリノベーションするにあたり、施主様のご要望を丁寧にヒアリングしました。
施主様のお休みの日に合わせて土日にお打ち合わせをし、軽微なご要望に関しては、思いついたことや気になることをすぐにご相談いただけるよう、施主様・奥様とLINEグループでやりとりさせていただきながら図面に落とし込みを行いました。

なお、今回のご予算は2000万円です。外観に関して、奥様から「洋風にして欲しい」という難易度の高いご要望をいただきましたが、ご予算とのバランスを見ながらプランニングさせていただきました。

工事期間は2021年12月から2022年4月まで。5ヶ月間で、施主様のご希望に沿ったリノベーションを行い、トータルでかかった費用は追加施工も合わせて2200万円です。

いよいよ施工開始!

全体的に雨漏りがあり、屋根部分の状態の悪さを予想していましたが、解体してみると傷んでいた箇所は部分的であることがわかりました。昔のお家ならではで、使われている木材が太くしっかりしていたため、梁の状態も良好でした。

上の写真は、瓦と防水シートを撤去した際の様子です。屋根の下地の木材の隙間から光が射し込んでいます。壁面からも光が漏れていますが、そちらは朽ちていた壁の一部が崩れたためです。
古い家は現代のお家よりも断熱性能が劣るため、しっかりと施工していきます。
今回は、竹を格子状に組んだものに泥を塗り付けた土壁のお家で、外壁面の断熱性能は十分なものでした。天井裏と床下は、断熱性能を上げるために断熱材の充填を行い、さらに古い窓はすべて撤去し、複層ガラスの樹脂窓に取り替えました。

リビング部分は、広々と見せるために柱の間隔を広げたため、天井裏には太い梁材と補強金物で強度を補強する作業を行いました。梁材は大変重いため、大工が3人がかりで持ち上げて固定することになりました。
こちらは床を解体した様子です。古い家屋をリノベーションする際は、床下の土台の状態をしっかりと確認します。土台が湿気で腐食している可能性があったり、基準より細い木材を使用しているケースもあったりするからです。
周辺環境から考えて、湿気の影響が心配されましたが、想像していたよりも状態は良好で、シロアリの被害もありませんでした。

今回は床をバリアフリーにするため、土台の組み直しを行いました。土台を支える基礎部分の束石の中には割れたりして強度が落ちているものもあったため、一つずつ丁寧に補修しました。
床下の湿気対策をどの程度行うかは、ご予算との兼ね合いもあり、最後まで議論しました。
最近の新築戸建ての床下はコンクリートを打設する「ベタ基礎」と呼ばれるものが主流ですが、昔のお家はそうではありません。今回、床下の状態が思いのほか良好だったため、コンクリートを使わず防水シートを敷設するのみとし、その分の費用を別の場所に充てることにしました。
リノベーションの醍醐味は、新しいものと古いものを融合させられることです。今回の施主様のご要望の中に、お父様の想いを残したいというご希望がありました。そこで、古くてもまだ使える部分に関しては、経年の持ち味を活かすように工夫しつつ、新しくすべき部分とのバランスを取りながら施工を進めました。
また、奥様からのご要望である洋風の外観については、純和風建築の外観をガラリと洋風にすることは難しいため、外観を左右する屋根材と外壁材に洋風のエッセンスを与えて、和洋折衷の個性的なお家に仕上げることになりました。

完成した室内をチェック!

リノベーションが完成したお家の中を、工夫したポイントと合わせてご紹介します。
こちらのリビングルームは、元々あった柱を数本撤去し、広々とした空間に仕上げました。一本だけどうしても抜くことができない柱がありましたが、普通型のコンセントとUSBコンセントを設置して活用しています。
丸太の見せ梁(右手奥)も、昔の面影がありながらも主張しすぎないバランスで残し、落ち着きのある空間アクセントとなっています。

また、リビングにある二つの扉は、一方はお手洗いへの近道、もう一方は玄関へと通じる扉で、生活導線にも配慮しています。
リビングに面したカウンターキッチンを設置したことで、お子様を見守りながら家事をすることができるように工夫しています。
キッチン奥には冷蔵庫を置く場所と食器棚があり、その奥にはオープンパントリーを設置しました。これによって、来客者からは生活感の出るものが見えづらく、かつ収納力と機能性を兼ね備えたキッチンになりました。
ご夫婦でコストコへお出かけされることが多いとのことで、大量に購入したものをそのままパントリーに納めやすく、使い勝手の良さにご満足いただいているそうです。
お家全体に使用したのはシンプルなホワイトのクロスですが、可愛らしいものがお好きな奥様のお好みに合わせて、キッチンの周りにはアクセントクロスを採用しました。奥様の主戦場であるキッチンが、華やかで遊び心のある空間に仕上がっています。
こちらは玄関部分です。
床が二段になっているのは、竣工時にお子さまが生後5ヶ月であることや、遊びにいらっしゃるご両親にも配慮し、靴が履きやすいよう腰がかけられる高さにしました。また、シュークロークを設置することで、玄関をすっきりと広々使えるようにしています。

まとめ

今回は、古民家をリノベーションした事例をご覧いただきました。ただ作り変えるだけではなく、施主様の思いやご希望に寄り添ったリノベーション提案をさせていただきました。
本記事はほんの一例ですが、カシワバラ・コーポレーションには、豊富な実績とノウハウがあり、住宅にまつわるすべてをサポートしております。
リノベーションをご検討中の方は、ぜひカシワバラ・コーポレーションにお気軽にご相談ください。

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