全館空調とは?建てる前に知っておきたいメリット・デメリット
この記事では、全館空調を導入するメリット・デメリットを紹介します。24時間換気システムとの違いや導入費用、目指せる生活スタイルや使用上の注意点など、知っておきたい情報をまとめました。マイホームに全館空調の設置を導入している人はぜひ参考にしてください。
公開日 2022.06.18
更新日 2023.04.14
24時間すべての部屋を快適な温度に保てる、全館空調。ホテルやオフィスなどに多く導入されているイメージがありますが、近年は新築住宅に全館空調を取り入れる人もいます。この記事では、全館空調の基本知識やメリット・デメリットなどに触れながら、導入にかかる費用を紹介します。マイホームの空調設備で悩んでいる人や、全館空調の導入を検討している人はぜひ参考にしてください。
全館空調の基礎を知ろう
大型の施設やビルなどでよく見かける全館空調ですが、一般住宅に導入されるケースはまだまだ少ないそう。ここでは、「全館空調とはどのようなシステムなのか」「全館空調と24時間喚起システムは何が違うのか」などを詳しく説明します。
全館空調とは
全館空調とは、「24時間すべての部屋を一定の温度に保つ空調システム」のことです。ホテルやオフィスなどで、それぞれの部屋に温度設定機能がなく、すべての部屋の空調を一括で管理しているケースを見たことがある人も多いでしょう。
このシステムを住宅に導入すれば、リビングや寝室などの比較的広い部屋だけでなく、廊下・トイレ・浴室・玄関など、一般的な空調設備が効きづらい空間も、一定の温度に保ってくれます。
また、全館空調は冷暖房だけでなく、自動で換気を行ってくれるものもあります。窓の設置が難しく空気が滞りがちな玄関やパントリー、ウォークインクローゼットなども簡単に換気できるため、湿度やホコリ、花粉対策として全館空調を取り入れる人も多いでしょう。
このシステムを住宅に導入すれば、リビングや寝室などの比較的広い部屋だけでなく、廊下・トイレ・浴室・玄関など、一般的な空調設備が効きづらい空間も、一定の温度に保ってくれます。
また、全館空調は冷暖房だけでなく、自動で換気を行ってくれるものもあります。窓の設置が難しく空気が滞りがちな玄関やパントリー、ウォークインクローゼットなども簡単に換気できるため、湿度やホコリ、花粉対策として全館空調を取り入れる人も多いでしょう。
全館空調と24時間換気システムの違い
全館空調と混同されやすいシステムとして、24時間換気システムが挙げられます。24時間換気システムとは、「外の空気を室内に取り入れ汚れた空気を排出するシステム」のことです。
2003年の建築基準法改正により住宅の24時間換気が義務付けられたため、新築住宅を建てる際は必ず何らかの換気システムを設置する必要があります。24時間換気システムについては、「多くの住宅に設置されている一般的な換気システムの、ワンランク上のもの」というイメージで認識して差し支えないでしょう。基本的には温度調整機能は搭載されていません。
そのため、「室内の温度調整をするためなら全館空調を選ぶ」「換気のためであれば24時間換気システムを選ぶ」など、住宅に求める優先順位によって判断するとよいでしょう。近年は新型コロナウイルスの影響で換気の必要性が高まっていることから、換気システムのついた全館空調や、24時間管理システムの需要も増加しています。
2003年の建築基準法改正により住宅の24時間換気が義務付けられたため、新築住宅を建てる際は必ず何らかの換気システムを設置する必要があります。24時間換気システムについては、「多くの住宅に設置されている一般的な換気システムの、ワンランク上のもの」というイメージで認識して差し支えないでしょう。基本的には温度調整機能は搭載されていません。
そのため、「室内の温度調整をするためなら全館空調を選ぶ」「換気のためであれば24時間換気システムを選ぶ」など、住宅に求める優先順位によって判断するとよいでしょう。近年は新型コロナウイルスの影響で換気の必要性が高まっていることから、換気システムのついた全館空調や、24時間管理システムの需要も増加しています。
全館空調を導入することで発生するデメリット
住宅を快適な環境に保てる全館空調ですが、部屋ごとの温度設定やメンテナンス性、停電時の対処などの注意点もあります。ここでは、全館空調を導入するデメリットを項目ごとにまとめました。
部屋ごとの温度調整が難しい
全館空調は基本的に室内すべての温度を統一するシステムなので、部屋ごとに温度を調節できません。家族が少ない場合や室温へのこだわりが少ない場合はよい選択肢でしょう。他方、家族それぞれで「ちょうどよい」と感じる室温が異なる場合は、快適性を損なってしまう恐れもあります。状況によって室温を調整したい時は、扇風機やストーブなどを併用するとよいでしょう。
とはいえ、全館空調はハウスメーカーによって機能が異なり、近年は部屋ごとに温度調整できる全館空調も登場しています。従来のものよりも導入費用は高くなりやすいものの、気になる人は施工業者に取り扱っているかを確認するとよいでしょう。
とはいえ、全館空調はハウスメーカーによって機能が異なり、近年は部屋ごとに温度調整できる全館空調も登場しています。従来のものよりも導入費用は高くなりやすいものの、気になる人は施工業者に取り扱っているかを確認するとよいでしょう。
冬場は乾燥しやすい
全館空調を導入する家は気密性・断熱性が高く、外の空気の影響を受けづらいように設計されています。そのため、冷たい外気が部屋の中に入ると相対湿度が下がり、空気の乾燥を感じやすいのです。状況に合わせて加湿器やストーブなどを併用し、湿度が下がりすぎないように配慮する必要があります。
室内で快適だと感じる湿度は40〜60%ほどと言われています。40%以下になると喉や肌などが乾燥しやすくなるだけでなく、ウイルスの活動も活発になります。したがって、生活の中心となるリビングやダイニング、長時間過ごす可能性がある書斎や寝室などには、湿度調節機能のある加湿器を導入するのが望ましいでしょう。
室内で快適だと感じる湿度は40〜60%ほどと言われています。40%以下になると喉や肌などが乾燥しやすくなるだけでなく、ウイルスの活動も活発になります。したがって、生活の中心となるリビングやダイニング、長時間過ごす可能性がある書斎や寝室などには、湿度調節機能のある加湿器を導入するのが望ましいでしょう。
定期的にフィルターの取り替えが必要
全館空調も一般的なエアコンなどと同じように、フィルターの掃除や取り替えなどが必要です。メンテナンスのタイミングはメーカーによって異なりますが、フィルター掃除は「2週間〜1ヶ月に1回ほど」の頻度で行うとよいでしょう。
全館空調はどうしても使用時間が長くなりやすいため、一般的な空調機器よりも頻繁にメンテナンスする必要が生じます。
全館空調の主なお手入れは、室内機とエアーフィルターの掃除です。消音ボックス内のエアーフィルターを取り外し、ホコリを掃除機や水洗いなどで取り除きます。併せて室内機を雑巾などで乾拭きし、付着した汚れを落とすとよいでしょう。
全館空調はどうしても使用時間が長くなりやすいため、一般的な空調機器よりも頻繁にメンテナンスする必要が生じます。
全館空調の主なお手入れは、室内機とエアーフィルターの掃除です。消音ボックス内のエアーフィルターを取り外し、ホコリを掃除機や水洗いなどで取り除きます。併せて室内機を雑巾などで乾拭きし、付着した汚れを落とすとよいでしょう。
故障や停電によって家全体の空調が止まる
全館空調は1台のシステムで空調を管理しているため、故障するとすべての空調が止まってしまいます。メンテナンス業者の予約が取れなかったり、お盆や年末年始などで業者が連休を取っていたりするとすぐに対応できないため、家中が過ごしづらい温度になってしまうかもしれません。
全館空調は故障による不具合の度合いが大きいため、定期的なメンテナンスや清掃が欠かせません。また、一般住宅用としては未だ珍しい設備なため、修理代が高くなりやすい傾向にあります。こまめに点検を依頼したり、違和感を覚えたらすぐに業者に連絡したりと、トラブルを未然に防ぐ努力が必要です。
全館空調は故障による不具合の度合いが大きいため、定期的なメンテナンスや清掃が欠かせません。また、一般住宅用としては未だ珍しい設備なため、修理代が高くなりやすい傾向にあります。こまめに点検を依頼したり、違和感を覚えたらすぐに業者に連絡したりと、トラブルを未然に防ぐ努力が必要です。
全館空調を導入するメリット
全館空調は乾燥やメンテナンス頻度などの注意点があるものの、導入すると快適性を高めるメリットも多くあります。ここでは、全館空調によって得られるメリットや目指せる生活スタイルなどをまとめました。
室温がバリアフリー化される
全館空調を導入すると、室内の温度差がなくなります。温度が下がりやすい冬場の浴室でヒートショックが起こったり、冷房の効きづらい部屋で熱中症になったりするリスクを防げます。小さい子どもから高齢者まで安心して過ごせる住まいを作れるでしょう。
こうしたメリットから、近年ではバリアフリー住宅を作る一環として、全館空調を導入する人も増えています。手すりの設置や段差のない水回り、車椅子が通れる広い廊下などと併せて全館空調を取り入れることで、より住宅の安全性を高められるでしょう。
こうしたメリットから、近年ではバリアフリー住宅を作る一環として、全館空調を導入する人も増えています。手すりの設置や段差のない水回り、車椅子が通れる広い廊下などと併せて全館空調を取り入れることで、より住宅の安全性を高められるでしょう。
より自由に間取りを設計できる
「家族の気配を感じられる家にしたい」「ほかとは違うオシャレな住まいを作りたい」といった人に人気なのが、間仕切りを取り払った広いLDK・開放感あふれるワンルーム・大胆に縦の空間をつなげた吹き抜け、などです。
しかしこうした設計では、ひとつの空間を広くし、天井を高くする必要もあります。そのため、冷暖房効率が悪化しやすい懸念点も生じてしまいます。
全館空調は家全体の空調をまるごと管理するため、温度管理が難しい間取りに対応しやすいメリットがあります。全館空調を取り入れることでより自由に間取りを設計でき、希望の生活スタイルやデザインなどを叶えやすい、ワンランク上の住宅を目指せるでしょう。
しかしこうした設計では、ひとつの空間を広くし、天井を高くする必要もあります。そのため、冷暖房効率が悪化しやすい懸念点も生じてしまいます。
全館空調は家全体の空調をまるごと管理するため、温度管理が難しい間取りに対応しやすいメリットがあります。全館空調を取り入れることでより自由に間取りを設計でき、希望の生活スタイルやデザインなどを叶えやすい、ワンランク上の住宅を目指せるでしょう。
空気環境を保てる
一般的な住宅では、「第3種換気システム」と呼ばれる換気設備を導入しています。第3種換気システムは、「換気扇などで排気を行うものの給気システムは設置せず、窓開けなどの自然な方法で室内に空気を取り込む方法」です。
一方、全館空調は「第1種換気システム」と呼ばれる、最も高性能の換気システムを搭載しています。第1種換気システムは住宅の気密性・断熱性を向上し、排気・吸気システムによって人工的に室内の空気を循環させる方法です。
季節や天候などの影響を受けづらく、常にきれいな空気を取り込めます。花粉症やシックハウスなどアレルギー体質の人にも、症状の緩和効果があるとも言われています。
季節や天候などの影響を受けづらく、常にきれいな空気を取り込めます。花粉症やシックハウスなどアレルギー体質の人にも、症状の緩和効果があるとも言われています。
スマートな暮らしを実現できる
via www.lchome.co.jp
全館空調はひとつのシステムで空調を管理するため、エアコンや室外機を部屋ごとに設置する必要がありません。住宅の外観がすっきりとした印象になるだけでなく、室内の生活感を抑えられるメリットもあります。「家電や日用品などが見えやすく、部屋がオシャレにならない」などで悩んでいる人は、全館空調を取り入れることで無駄のないスマートな空間を目指せるでしょう。
また、部屋ごとの温度調整やメンテナンスも必要ないため、効率よく室内の快適性をアップできる特徴もあります。最低限の労力で過ごしやすい空間を作れるので「家事や住宅に関する負担をなるべく減らしたい」という人にもオススメです。
また、部屋ごとの温度調整やメンテナンスも必要ないため、効率よく室内の快適性をアップできる特徴もあります。最低限の労力で過ごしやすい空間を作れるので「家事や住宅に関する負担をなるべく減らしたい」という人にもオススメです。
全館空調の導入にかかるコストは?
全館空調の導入費用は、住宅の広さやメーカーなどにもよりますが「100万〜300万円ほど」が一般的です。換気システムを搭載したものなど、高性能なものは200万円以上が目安となります。初期費用がどうしても高額になりやすいため、新築やリフォームで後付けする場合などは予算をしっかりと組んでおく必要があります。
一方、全館空調のランニングコストは従来の空調設備とさほど変わらず、日頃から常に冷暖房を入れている人にとっては、大幅な電気代の増額は見られないでしょう。メーカーによっては、24時間全館空調を稼働しても、電気代は月々6,000前後で済んだケースもあるようです。
全館空調は定期的な点検や清掃などが必須のため、「年間1万〜2万円ほど」のメンテナンス費用がかかります。また、5年に1度ほどの頻度でフィルター交換を行いますが、フィルター交換費用は1,500円〜5,000円ほどが一般的です。
全館空調とは、家中の空調をまとめて管理するシステムのことです。メーカーによっては換気システムを搭載しているものもあり、「最低限の労力で室内の快適性を高められる」というメリットを持っています。
しかし同時に、初期費用が膨らみやすかったり、部屋ごとの温度設定が難しかったりするデメリットもあります。住宅に求める機能や生活イメージを明確にした上で導入を検討することが大切です。
さまざまな住宅のリフォーム・リノベーションを手がける「カシワバラ・コーポレーション」は、お客様の希望を考慮しつつ、住まいづくりのプロとして適切なアドバイスを行います。家づくりでお困りの人は、どうぞお気軽にご相談ください。
一方、全館空調のランニングコストは従来の空調設備とさほど変わらず、日頃から常に冷暖房を入れている人にとっては、大幅な電気代の増額は見られないでしょう。メーカーによっては、24時間全館空調を稼働しても、電気代は月々6,000前後で済んだケースもあるようです。
全館空調は定期的な点検や清掃などが必須のため、「年間1万〜2万円ほど」のメンテナンス費用がかかります。また、5年に1度ほどの頻度でフィルター交換を行いますが、フィルター交換費用は1,500円〜5,000円ほどが一般的です。
全館空調とは、家中の空調をまとめて管理するシステムのことです。メーカーによっては換気システムを搭載しているものもあり、「最低限の労力で室内の快適性を高められる」というメリットを持っています。
しかし同時に、初期費用が膨らみやすかったり、部屋ごとの温度設定が難しかったりするデメリットもあります。住宅に求める機能や生活イメージを明確にした上で導入を検討することが大切です。
さまざまな住宅のリフォーム・リノベーションを手がける「カシワバラ・コーポレーション」は、お客様の希望を考慮しつつ、住まいづくりのプロとして適切なアドバイスを行います。家づくりでお困りの人は、どうぞお気軽にご相談ください。
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