自宅兼事務所にメリットはある?自宅の住所で開業する場合のポイントとは
本記事では、自宅兼事務所を作るメリット・デメリットについて紹介します。自宅で開業するポイントや経費計算のコツ、家事按分のやり方なども併せて解説しますので、自宅を事務所にすべきか迷われている個人事業主やフリーランスの人は、ぜひ参考にしてください。
公開日 2021.08.23
更新日 2023.04.15
コロナ禍で外出を控えるようになった近年、レンタルオフィスなどで仕事をしていた個人事業主が、自宅を事務所に改装するケースが増えてきています。そこで本記事では、自宅兼事務所のメリット・デメリットや始める際の注意点などについて解説します。家事按分のやり方など、新たに必要となる知識も併せて紹介しますので、個人事業主やフリーランスの人はぜひ参考にしてください。
自宅兼事務所を構えるメリット
自宅を事務所に改装すると、どのような利点があるのでしょうか。以下では、コストやスケジュール面など、自宅兼事務所を作るメリットをまとめて紹介します。
通勤の負担がなくなる
毎日の通勤は、案外ストレスにつながりやすいものです。特に、混雑した電車に長時間乗らなくてはならない時など、通勤の間に体力を消耗してしまう人も多いでしょう。
自宅を事務所として使用すれば、わざわざ外に出て仕事をする必要がありません。今まで通勤に使っていた時間を別のことに充てられるので、仕事のスケジュールやライフスタイルなどを見直すきっかけになるかもしれません。
自宅を事務所として使用すれば、わざわざ外に出て仕事をする必要がありません。今まで通勤に使っていた時間を別のことに充てられるので、仕事のスケジュールやライフスタイルなどを見直すきっかけになるかもしれません。
コスト削減ができる
自宅とは別に事務所を借りる場合、負担になりやすいのが毎月の家賃です。さらに、保証金や手数料などで初期費用が高額になるケースもあり、開業時の費用も膨らみやすいでしょう。自宅兼事務所なら、自宅の家賃の支払いだけで済むため、コストを削減できます。なるべく初期費用をかけずに事務所を持ちたい人や、月々のランニングコストを減らしたい人は、自宅兼事務所がオススメです。
また、自宅で仕事をすると家賃や水道光熱費、通信料の一部などを経費として計上できるのもメリットです。事務所として使っている面積や、仕事をしている時間などによって計上可能な割合は変わるものの、有効な節税策として覚えておきましょう。
また、自宅で仕事をすると家賃や水道光熱費、通信料の一部などを経費として計上できるのもメリットです。事務所として使っている面積や、仕事をしている時間などによって計上可能な割合は変わるものの、有効な節税策として覚えておきましょう。
スケジュールを柔軟に組める
自宅兼事務所なら、家に居ながらすぐにでも仕事を始められるので、スケジュールを柔軟に調整できます。隙間時間を活用して家事・育児・介護などを仕事と両立可能なため、小さい子どもや高齢の家族と一緒に住んでいる人なども、安心して仕事に専念できるでしょう。
また、休憩時間にベッドで仮眠を取ったり、趣味に没頭したりするなど、自分の時間をしっかり確保できるも嬉しいポイントです。自由に業務の時間を調整し、仕事以外の生活を充実させたい人にも適しています。
また、休憩時間にベッドで仮眠を取ったり、趣味に没頭したりするなど、自分の時間をしっかり確保できるも嬉しいポイントです。自由に業務の時間を調整し、仕事以外の生活を充実させたい人にも適しています。
自宅兼事務所を構えるデメリット
通勤時間やコストの負担を削減し、仕事のスケジュールを柔軟に変えられる自宅兼事務所ですが、仕事の生産性や経費計算、プライバシー性などの注意点もあります。ここでは、自宅兼事務所のデメリットとその対策を紹介します。
プライベートと仕事を分けづらい
自宅で業務をすることで、仕事とプライベートの区別が付きづらくなり、メリハリのない生活スタイルになってしまう人もいます。「いつでも仕事を始められる」と思うと、ついつい業務開始が遅くなったり、生活リズムが崩れたりするなどの恐れがあります。これが習慣化すると、日々の業務効率に悪影響が出てしまうかもしれません。
これを回避するにはオンとオフを上手に切り替えられるよう、仕事部屋と住居スペースを分けることが有効です。加えて、毎日決まった時間に業務開始・終了するなど、自分なりのルールを設けることが大切です。
これを回避するにはオンとオフを上手に切り替えられるよう、仕事部屋と住居スペースを分けることが有効です。加えて、毎日決まった時間に業務開始・終了するなど、自分なりのルールを設けることが大切です。
経費の計算が必要になる
自宅兼事務所では家賃や光熱費などを経費として計上できますが、慣れていないと時間がかかるかもしれません。正しく算出していないと、税務署から間違いを指摘される恐れもあるため、ある程度は経費計算について勉強しておく必要があります。
特に同居人がいる場合や、広い部屋の一角を作業スペースにしている場合などは、経費計算が複雑になりがちです。仕事に使うコンセントの数や作業スペースの面積など、さまざまな要素を考慮しながら、経費計上できる割合を決める必要があります。
特に同居人がいる場合や、広い部屋の一角を作業スペースにしている場合などは、経費計算が複雑になりがちです。仕事に使うコンセントの数や作業スペースの面積など、さまざまな要素を考慮しながら、経費計上できる割合を決める必要があります。
自宅を知られてしまうリスクがある
自宅を事務所として使用する場合、ホームページや名刺などに自宅の住所を載せなければなりません。不特定多数の人に居場所を知られるため、安全面でリスクが生じる可能性があります。ストーカー被害に遭ったり、同居している家族がトラブルに巻き込まれたりするケースも見られるため、プライバシー性を考慮しながら慎重に検討しましょう。
対策としては、バーチャルオフィスを使用したり、名刺を使い分けたりするなどがオススメです。
対策としては、バーチャルオフィスを使用したり、名刺を使い分けたりするなどがオススメです。
自宅兼事務所にする場合の「家事按分」について
自宅兼事務所の経費計算で必要になるのが、「家事按分」です。ここでは、そもそも家事按分とはどのようなものなのか、対象の費用は何かなど、事前に知っておきたい知識をまとめました。
家事按分とは?
家事按分とは、「生活費と事業費を合わせた全体の費用から、合理的な基準によって、事業費を区別すること」です。
自宅を事務所として使用すると、家賃や電気代、通信費など、生活と業務の両方において費用が発生します。これら全体の金額の内で、「経費と生活費がそれぞれどれくらいの割合を占めているのか?」「いくらまでなら経費として計上可能か?」などを一目で判断することはできません。そのため、1日の稼働時間や作業スペースの床面積などを参考に、経費として計上可能な比率を算出します。
自宅兼事務所の家賃は、面積割合を参照するのが一般的です。例えば50㎡の賃貸に住んでいたとして、そのうち10㎡の部屋を事業用に使っている場合、事務所の割合は20%です。家賃を10万円とすると、毎月2万円を経費として計上できます。
また、電気代を家事按分する場合は、1日の稼働時間を基に割合を算出します。例えば平日8時間仕事をすると、1週間の稼働時間はおよそ40時間です。1週間の合計が168時間のため、按分率は約25%と算出できます。同居人がいるなど、「誰がどれくらい電気を使ったのか」がわかりにくい場合は、コンセントの数を用いて比率を計算します。例えば、全体にコンセントが10個あると仮定し、そのうち3個を事業用に使っている場合は、按分率は30%です。
自宅を事務所として使用すると、家賃や電気代、通信費など、生活と業務の両方において費用が発生します。これら全体の金額の内で、「経費と生活費がそれぞれどれくらいの割合を占めているのか?」「いくらまでなら経費として計上可能か?」などを一目で判断することはできません。そのため、1日の稼働時間や作業スペースの床面積などを参考に、経費として計上可能な比率を算出します。
自宅兼事務所の家賃は、面積割合を参照するのが一般的です。例えば50㎡の賃貸に住んでいたとして、そのうち10㎡の部屋を事業用に使っている場合、事務所の割合は20%です。家賃を10万円とすると、毎月2万円を経費として計上できます。
また、電気代を家事按分する場合は、1日の稼働時間を基に割合を算出します。例えば平日8時間仕事をすると、1週間の稼働時間はおよそ40時間です。1週間の合計が168時間のため、按分率は約25%と算出できます。同居人がいるなど、「誰がどれくらい電気を使ったのか」がわかりにくい場合は、コンセントの数を用いて比率を計算します。例えば、全体にコンセントが10個あると仮定し、そのうち3個を事業用に使っている場合は、按分率は30%です。
何を家事按分の対象にできる?
家事按分の対象となるのは、自宅にあるものを仕事でも兼用する場合など、事業用として使用している部分です。自宅兼事務所でよく見られるものとしては、家賃や水道光熱費、通信費、固定資産税、交際費、飲食費、車の購入費用、ガソリン代、保険料などが挙げられます。高額な設備やガソリン代などは、走行距離や使用時間などを基準に按分します。
もちろん、事業で扱わない項目は経費にならないので、それぞれの仕事内容によって家事按分を行う項目は異なります。判断に迷う場合や、どのように按分率を算出するかわからない場合は、しっかりと調べたうえで対処することが大切です。
もちろん、事業で扱わない項目は経費にならないので、それぞれの仕事内容によって家事按分を行う項目は異なります。判断に迷う場合や、どのように按分率を算出するかわからない場合は、しっかりと調べたうえで対処することが大切です。
不自然な按分には調査が入る場合もある
家事按分の割合は、作業スペースの面積や稼働時間などによって、自分で計算するのが一般的です。しかし、経費として計上する項目も業種によって異なるため、「何の支出をどこまで経費としてよいのか」がわかりにくい場合もあるでしょう。状況が複雑な場合は、計算に手間がかかるため、うっかり数値を間違える人もいるかもしれません。
按分率は自分で決められますが、税務調査が入った時に不自然だと見なされれば、追徴課税が発生します。ただし指摘された場合に、それぞれの経費を適切な方法で按分してあり、客観的で正当な理由を説明できれば問題はありません。売上に対して按分率が高くなり過ぎた時など、不安に感じる場合は、数字を導いた根拠をメモなどで残しておきましょう。
按分率は自分で決められますが、税務調査が入った時に不自然だと見なされれば、追徴課税が発生します。ただし指摘された場合に、それぞれの経費を適切な方法で按分してあり、客観的で正当な理由を説明できれば問題はありません。売上に対して按分率が高くなり過ぎた時など、不安に感じる場合は、数字を導いた根拠をメモなどで残しておきましょう。
自宅兼事務所にする際に押さえておきたいポイント
個人事業主やフリーランスにとってはメリットが大きい自宅兼事務所。しかし、物件によっては事務所として使えないケースもあります。ここでは、自宅兼事務所を作る時に注意したいポイントを紹介します。
賃貸物件の場合はオーナーの許可が必要
持ち家を事務所に改装する場合は問題ないものの、賃貸物件の場合は要注意です。物件によっては事務所として使用できないものもあるので、事前にオーナーに相談しましょう。
「デザイナーやライターなど、主に一人で作業する業務なら可」「従業員や顧客が日常的に出入りする業務はNG」など、業種によって異なる場合もあるため、しっかりとルールを確認してください。「事務所利用は認められるものの看板が出せない」といった細かい規定が決められているケースもあります。
また、新たに物件を契約する場合、住居用か事業用かによって初期費用が変わることもあります。事業用のほうは敷金礼金が高く、家賃に消費税が加わることもあるので、しっかりと契約内容を確認しましょう。
「デザイナーやライターなど、主に一人で作業する業務なら可」「従業員や顧客が日常的に出入りする業務はNG」など、業種によって異なる場合もあるため、しっかりとルールを確認してください。「事務所利用は認められるものの看板が出せない」といった細かい規定が決められているケースもあります。
また、新たに物件を契約する場合、住居用か事業用かによって初期費用が変わることもあります。事業用のほうは敷金礼金が高く、家賃に消費税が加わることもあるので、しっかりと契約内容を確認しましょう。
住宅ローンの支払いに注意
持ち家を事務所として使用すると、住宅ローン控除の対象外になる恐れがあります。住宅ローン控除の対象となるのは、あくまで住まいとして使用している範囲のみであり、住宅面積の半分以上を事務所として使用すると控除が適応されません。また、事務所の面積を半分以下にとどめた場合でも、事務所の面積に応じて控除額が減ってしまうので注意しましょう。
では、住宅ローン控除を全額受けながら持ち家を事務所にするには、一体どのようにしたらよいのでしょうか。オススメは、事務所の面積を全体の10%ほどに抑えることです。住居スペースが床面積の90%以上を占める住宅は住居用と見なされるため、事務所を構えていない時と同じように、住宅ローン控除を全額受けられます。
とはいえ、経費全体の状況によっては、事務所の場所を広く取って経費として計上したほうが、節税効果が高くなる場合もあります。事業内容や必要経費、売上などを分析して、「どちらのほうがより費用負担が少ないのか」を慎重に検討することが大切です。
では、住宅ローン控除を全額受けながら持ち家を事務所にするには、一体どのようにしたらよいのでしょうか。オススメは、事務所の面積を全体の10%ほどに抑えることです。住居スペースが床面積の90%以上を占める住宅は住居用と見なされるため、事務所を構えていない時と同じように、住宅ローン控除を全額受けられます。
とはいえ、経費全体の状況によっては、事務所の場所を広く取って経費として計上したほうが、節税効果が高くなる場合もあります。事業内容や必要経費、売上などを分析して、「どちらのほうがより費用負担が少ないのか」を慎重に検討することが大切です。
まとめ
自宅に事務所を構えるメリットは、隙間時間を有効に使えることや、コストを削減できることなどが挙げられます。通勤の負担をなくしたい人や、ライフスタイルに合わせて柔軟にスケジュールを立てたい人などは、住宅兼事務所が適しているでしょう。
一方で、プライベートと仕事の境目が曖昧になる、プライバシーの面で不安があるなどのデメリットも見られます。気になる人は住居スペースと仕事場を分けたり、バーチャルオフィスを使用したりするなどの対策を講じるとよいでしょう。また、住宅兼事務所は家事按分で経費を計算するため、事前にしっかりと勉強しておくことも大切です。
事務所利用に合わせてリフォームも検討したい場合などは、「カシワバラ・コーポレーション」までご相談ください。
一方で、プライベートと仕事の境目が曖昧になる、プライバシーの面で不安があるなどのデメリットも見られます。気になる人は住居スペースと仕事場を分けたり、バーチャルオフィスを使用したりするなどの対策を講じるとよいでしょう。また、住宅兼事務所は家事按分で経費を計算するため、事前にしっかりと勉強しておくことも大切です。
事務所利用に合わせてリフォームも検討したい場合などは、「カシワバラ・コーポレーション」までご相談ください。
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