掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント

掃き出し窓がどのような窓であるか詳しく解説します。掃き出し窓には採光性や利便性などメリットが豊富にある反面、断熱性や防音性、防犯性に不安があるという声もあります。今の掃き出し窓にできる対策や、リフォームで掃き出し窓を設置する際の注意点なども紹介します。

公開日 2023.01.20

更新日 2023.04.14

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント

小さい窓しかないリビングや寝室に掃き出し窓を設置すると、多くの光を取り込めるため部屋が明るくなり、見違えるように広く感じます。玄関を通らずに室内から直接庭と行き来できるのは何かと便利です。ベランダに洗濯物や布団を干したりガーデニングのために庭に出入りしたりする際の負担も軽減できます。

この記事では、掃き出し窓について詳しく解説するとともに、設置した場合のメリットや注意点などについても紹介します。

掃き出し窓とは床まで伸びる大きな窓のこと

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント
掃き出し窓とは、窓の下部分が床まで届く大きな窓のことです。床面に接する窓のため地窓とも呼ばれます。出窓や腰窓など床より高い位置に付ける窓とは異なり、人が出入りできます。多くの場合、家の中で一番広いリビングや、庭に通じる部屋、洗濯物や布団を干すベランダに面した部屋などに設置されます。

昔の掃き出し窓は、室内を掃除する時に、ほうきでゴミやホコリを外に掃き出せる小さな小窓のことを指していました。しかし、今では人が出入りできるほどの大きなサイズの窓を掃き出し窓と呼んでいます。基本的には、床の高さと掃き出し窓の最下部には高さの違いがなく、そのままほうきで外にホコリを掃き出せます。バルコニーに面した掃き出し窓は、防水のために床から若干の高低差をつけていてフラットではありませんが、このような窓も掃き出し窓と呼ぶことが一般的です。

掃き出し窓の一般的なサイズ

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掃き出し窓は、幅や高さが明確に定められているわけではありません。目安のサイズは、幅1.7~1.8m、高さ1.8m~2.2mが一般的です。掃き出し窓用の既製品のカーテンも、主に丈が1.78mや2mのものが販売されています。

昨今は天井近くまで届くような高さのある掃き出し窓もあり、高さが2.5mほどあるものも増えています。

掃き出し窓を設置するメリット

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掃き出し窓はさまざまなメリットがあります。特に、高窓から掃き出し窓へのリフォームは、より強くメリットを実感するでしょう。ここでは、掃き出し窓を設置する主なメリットを解説します。

日当たりが良くなる

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高さのある窓から、部屋の中に日光をたっぷり取り入れられるのは大きなメリットです。太陽光を多く取り込めば室内の奥まで光が届きやすく、部屋が明るくなるため、晴れた日の日中は照明がなくても過ごしやすいでしょう。

窓が大きいため太陽の熱を効率的に取り込みやすく、室内が温かく感じられるのもメリットです。洗濯物を室内に干す場合も日当たりがよければ効率よく乾かせます。

風通しが良くなる

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掃き出し窓は開口部が大きく開けられるため、風通しがよく、室内の湿気や気になるニオイがこもりません。反対側の窓やドアを開けたり、換気扇などを回したりすれば、さらに効率よく換気でき、感染症対策にも有効です。石油やガスなど燃焼系の暖房器具を使う時はこまめな換気が必要ですが、短時間で室内の空気を入れ替えられます。

洗濯物の室内干しなどで室内の湿度が高い状態が続くと、カビの発生も気になるでしょう。そのような時にも、室内にこもった湿気を掃き出し窓で効率よく逃がせば、カビの発生や部屋干しの嫌なニオイを防げます。冷房を入れるほどではない気温の時にも、掃き出し窓を開けておけば爽やかな涼風を取り込めて快適です。

開放感をもてる

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント
窓が小さく壁面積の大きな部屋は、暗く閉鎖的な空間になってしまいます。しかし、掃き出し窓があれば外との境界線をあまり感じにくいため閉塞感がありません。多くの光を取り込み外の景色もよく見えるため、明るく広々とした空間に感じられて開放感があります。四季の変化も感じやすく、日常に潤いをもたらしてくれるでしょう。

同じ面積の部屋でも、窓が小さい部屋より大きい部屋のほうが、室内が広く感じられるのもメリットです。

出入りしやすくなる

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掃き出し窓があれば、庭やベランダからの出入りがスムーズです。洗濯物を干す時や庭の草花に水やりする時もさっと出入りできます。子どもが庭で遊ぶ際にもリビングから出入りでき、親は子どもが遊んでいる様子を地面までよく見えるので、室内にいても安心感があるでしょう。

昨今は裏口を設置しない住宅が多いですが、掃き出し窓があれば玄関以外に外に出られる通路が確保できます。万一の災害で、玄関への通路が塞がれた時も、掃き出し窓から外に出る手段があれば落ち着いて避難できます。

また、掃き出し窓は窓のサッシを取り外して大きく開放できます。引っ越しや大きな家具・家電を購入した際に、玄関ドアから運び入れるのが難しい大きな物でも、掃き出し窓からスムーズに搬入できるので便利です。

掃き出し窓を設置するなら行いたい4つの対策

掃き出し窓はメリットが多い反面、設置に際して気をつけたい点もあります。周囲の環境にもよりますが、以下の点はぜひ対策してください。

防犯対策

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント
掃き出し窓を設置して室内と室外との出入りを容易にすることは、裏を返せば外からの侵入経路を増やすということです。特に戸建ての1階に設置された掃き出し窓は、生け垣や塀などで通りから庭が見えないと、たやすく侵入できてしまいます。1度侵入してしまえば、玄関から堂々と出ていけば怪しまれないため、近所からも気づかれません。空き巣の多くがガラスを「こじ破り」「打ち破り」などの方法で侵入しているため、十分な対策が必要です。

掃き出し窓の防犯対策としては、簡単にガラスが破られないよう防犯ガラスにしたり防犯フィルムを貼ったり、補助錠を取り付けたりする方法があります。窓ガラスの耐久性が上がれば、簡単に侵入できず空き巣は諦めるでしょう。

防犯センサーや窓にシャッターを設置することも有効です。窓や庭に防犯対策をしていれば防犯意識の高い家だとわかり、空き巣は簡単に物を盗み出せないだろうと考えるため、被害を未然に抑止できます。

断熱対策

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント
掃き出し窓は断熱材を使った壁などとは異なり、ガラス面が大きいことで外気の影響を受けやすい特徴があります。そのため、夏は日当たりがよければ室内温度が上昇しますし、冬は冷気の影響で寒いです。冷暖房の効率が悪いため、室内を適温にするために光熱費が上がりやすいでしょう。

快適に過ごし、節電もするには、窓の断熱効果を高める工夫が必要です。断熱用のアイテムはホームセンターや100円ショップで手軽に入手できるので、そのようなアイデアグッズを利用するのもよいでしょう。

例えば、窓ガラスに貼って使う断熱シートは、外からの熱気や冷気の流入を防いでくれます。気泡緩衝材を貼って複層ガラスのように層を作っても同様の効果が得られます。ただし、窓の開閉を妨げないように工夫して貼らなければなりません。外からの光が入りづらくなるため、採光性の高いものを選ぶ必要もあります。

また、断熱カーテンを吊り下げるのも有効な方法です。掃き出し窓の窓枠をすっぽり覆い、床まで届く断熱カーテンを吊してもよいでしょう。

断熱グッズの性能のよさは価格に直結しがちなので、使用する前にランニングコストと費用対効果を検討して納得のいくものを購入することをオススメします。リフォームで掃き出し窓を設置する場合は、断熱性の高いガラスを選ぶと効果的です。

防音対策

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント
掃き出し窓はスムーズに開け閉めできるよう窓とレールの間にわずかにすき間が設けられています。小さな窓と比べて開口部が大きいため、音が漏れやすい点はデメリットです。外の音が室内で聞こえるだけでなく、室内の音も外に聞こえてしまいます。

特に、幹線道路沿いや電車の線路沿い、にぎやかな店舗が近い家は、遮音や防音の対策が必要です。大きな音でテレビや音楽を視聴したり、楽器演奏をしたりすると音が漏れやすいため、隣家と近い場合も音漏れの対策が求められます。

防音対策として、遮音シートや防音シートを貼る方法があります。ただし、採光を考えて掃き出し窓にした場合、ガラスの透明性がなくなるのは避けたいでしょう。遮音性の高いシートは不透明タイプで部屋が暗くなるためオススメできません。

音漏れを少しでも軽減するには、隙間テープや遮音性の高いカーテンなどを併用するのが現実的な方法です。音を軽減するカーテンには、遮音カーテン、吸音カーテン、防音カーテンなどがあり、カーテン生地の裏に金属や樹脂でコーティングして音を遮断したり跳ね返したりするものや、カーテン生地を厚くして音を吸収させるものなど仕組みはさまざまです。

カーテンを選ぶ際の注意点として、窓をすっぽりと覆い、床までしっかりと届く長さが必要です。上もなるべくすき間をなくすよう、カーテンボックスを付けるなどして音の抜け道を防ぐとよいでしょう。防音性能の高いカーテンは重量があるため、カーテンレールの耐荷重を確認しておく必要もあります。

こうした防音対策グッズの費用を考えた場合、コストを掛けただけの効果が得られるかどうかは分かりません。騒音が気になる立地の家でリフォームの予定がある場合は、防音性の高いガラスを選ぶと安心です。

目隠し対策

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掃き出し窓の大きな透明ガラスは視界が開けて外の景色がよく見える反面、外の通りからも室内が見えやすいため注意が必要です。薄いレースのカーテンでは室内の家具や人の動きなどが見えてしまうことがあります。防犯やプライバシーを守るためにも、遮像レースカーテンにしたり、目隠しフィルムや目隠しシートを貼ったりして室内をのぞかれない工夫が必要です。

掃き出し窓にステップを付けるのもオススメ

掃き出し窓とは? メリットや断熱や防音、防犯のポイント
掃き出し窓と、外の地面とに高低差がある場合は、出入りする時に足をくじいたり膝に負担をかけたりする心配があります。せっかく出入りしやすい掃き出し窓を設置したのに、出入りがスムーズでないとストレスになりかねません。そのようなケースでは、濡れ縁やウッドデッキ、ステップなどを設置すれば出入りが楽です。

洗濯物を干す際に洗濯かごを置いたり、ベンチ代わりに腰掛けたり休憩したりもできます。日差しが温かい時には日向ぼっこするのもよいでしょう。ステップがあれば、小さな子どもが出入りする際も安心です。

日当たりや風通しのよさなど多数の魅力がある掃き出し窓ですが、設置する際には防犯や断熱、防音などの対策が必要です。リフォームする場合は断熱性や防音性の高いガラスを選ぶなどの工夫をしましょう。

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