リノリウムとはどんな素材? メリット・デメリット、他の床材との違いを徹底解説!

天然素材で作られたリノリウムは、サステナブルな建材として注目を集めています。環境に配慮できるとともに、安全性、機能性にも優れているため、多くのシーンで使われるようになりました。この記事では、リノリウムの特徴やメリット、デメリットなどについて紹介します。

公開日 2023.04.30

更新日 2023.05.16

リノリウムとはどんな素材? メリット・デメリット、他の床材との違いを徹底解説!

サステナブルへの意識が高まる昨今、リノリウムの人気が高まっています。リノリウムは天然素材で作られているため、環境に配慮したい人や社会への関心が高い人にオススメの建材です。

環境への配慮だけではなく、リノリウムは安全性や機能性に定評があります。抗菌性が高い特徴もあり、衛生観念が重視される昨今にマッチする一面があるのも注目の理由です。

そこで、リノリウムとはどんな素材なのか、使用するメリットやデメリットにはどのようなものがあるのかなどを詳しく紹介します。

リノリウムとは

リノリウムとはどんな素材? メリット・デメリット、他の床材との違いを徹底解説!
リノリウムとは、イギリスで1863年に発明された天然由来の建材です。亜麻仁油の中に松ヤニやコルクの粉、木粉などが混ぜてあり、色付けには天然色素が使われています。

発明以降は長く使われていましたが、20世紀半ばに塩ビ製の素材が普及したことにより、一時期需要が落ち込みました。しかし、昨今のサステナブル意識の高まりで再び注目を浴びるようになっています。

リノリウムは主に床に使われる素材です。しかし、一部では家具の製作時に仕上げ材として使われるケースもあります。

リノリウムはなぜ注目されているのか?

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リノリウムが注目されている理由のひとつに、環境に優しいという点が挙げられます。リノリウムは天然素材で作られており、石油由来の材料を使用していないため、環境に優しく処分する時に有害物質が発生しません。

また、丈夫で寿命が長く、コストパフォーマンスがよいことも注目される理由です。適切なメンテナンスを行えば、30~40年も利用できます。

さらに、リノリウムは抗菌作用が高いと言われている点にも注目されています。ハウスダウスト対策や感染症対策にも有効だと言われており、幅広いシーンで効果が期待されています。

リノリウムを床材として使用するケースが多い場所

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リノリウムは安全性の高さや清潔感があること、質感のよさなどから、多くの場所で使用されています。

安全性が求められる場所としては、介護施設、病院、学校などが代表的です。滑りづらい、転倒しづらいという効果があり、高齢者や子どもが過ごす場所に適しています。また、抗菌性の高さから、衛生管理に配慮しやすいのもこのような施設で使われる理由です。

ほかにも質感の良さから、ダンス、スポーツ、舞台などのシーンで評価され、多く採用されています。

また、滑りづらいことに加え、発火しづらい特性もあるため、油や火を使うキッチンでも人気の建材です。

リノリウムを採用するメリット

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リノリウムを床材に採用する大きなメリットを、3つ紹介します。

1. 有害物質が発生しづらい

リノリウムは天然素材が主成分です。そのため、有害物質が発生しづらいという特徴があります。廃棄する時には生物分解性によって、自然に還せることもメリットです。

また、ホルムアルデヒドのような化学物質が含まれていないため、シックハウス症候群を起こすリスクが軽減できることも見逃せません。

室内の化学物資によるアレルギーで頭痛やめまいなどの症状に悩まされていた人にとって、リノリウムはとても役立つ建材です。

2. 抗菌作用が期待できる

リノリウムの主成分は、亜麻仁油や松ヤニなどの天然由来成分です。いずれも抗菌作用が期待される成分で、実際にリノリウム表面には大腸菌や黄色ブドウ球菌などの有害な細菌が付着しにくい抗菌力があります。

そのため、リノリウムは健康管理が重視される医療施設、介護施設、教育施設での採用例が少なくありません。このような施設では食中毒の防止にも力を入れているためです。リノリウムの抗菌力の高さが、食中毒対策に役立つと考えられています。

3. 耐久性や耐火性が高い

リノリウムは、耐久性や耐火性にも優れています。その耐久性の高さから水濡れに強く、万が一床が濡れても、サッと拭くだけでお手入れは完了です。

また、傷や凹みに強いという特徴もあります。そのため、家具を引きずりながら移動させても安心です。例えばキャスターが付いた椅子を頻繁に動かすのは床の傷が気になりがちですが、リノリウムならその問題が解決できます。

耐火性の高さはキッチンだけでなく、火災が起きた時にも役立ちます。床に燃え広がりにくい特徴があり、火災の備えに適した建材です。家庭、オフィスなど幅広いシーンで使えます。

リノリウムを採用するデメリット

リノリウムとはどんな素材? メリット・デメリット、他の床材との違いを徹底解説!
リノリウムにはデメリットもあります。使い始めのニオイや紫外線、コスト面はよく考えましょう。

1. 最初はニオイが気になる

リノリウムは使い始めに独特のニオイを感じます。これは亜麻仁油特有のニオイで、人体に悪影響があるものではありません。しかし、その独特さから苦手だと感じる人もいます。

ただ、定期的に換気をしていれば、やがてニオイが薄れるのも確かです。密閉しているとニオイを強く感じるかもしれないため、薄れるまでは風通しをよくし、積極的に空気を入れ換えましょう。

2. 紫外線による影響で変色しやすい

天然素材のリノリウムは、紫外線によって劣化が起こりやすい性質があります。日当たりのよい部屋での色あせ、変色などの現象があれば、紫外線が原因かもしれません。

リノリウムを含め、畳や天然木を使った建材は、もともと天然素材は紫外線の影響を受けやすくなっています。紫外線による劣化は天然素材の証明です。

畳なら裏返して劣化を遅らせられますが、リノリウムはそうもいきません。日当たりのよい場所への設置を避けるか、もしくは窓を紫外線カット(UVカット)にするなどの工夫をして劣化を防ぎましょう。

3. 他の床材よりコストがかかる

リノリウムは、採用コストが高いというデメリットがあります。コストを重視する人にとっては大きな問題になりがちです。

リノリウムと似た素材としては、クッションフロア、塩ビタイルなどがあります。リノリウムよりも価格が安く、加工性の高さや豊富なデザインがあるなどの特徴があるため、市場では安定した人気を持つ建材です。

ただ、リノリウムは寿命が長く、メンテナンスがしやすい特徴があります。長い目で見るとコストパフォーマンスが高いとも考えられるので、シーンに応じて選ぶようにしましょう。

リノリウムと他の床材の違い

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リノリウムとそのほかの床材は、それぞれ違った特徴を持っています。中でも塩ビタイル、クッションフロアはリノリウムに近い素材感ですが、原料や耐熱性、傷のつきやすさなどが大きな違いです。

塩ビタイルとの違い

リノリウムの活躍を市場から一時期遠ざけたのは塩ビ製の建材ですが、塩ビタイルはそのひとつです。天然素材のリノリウムと異なり、プラスチック素材からできています。もともとは店舗用として採用されることが多かった塩ビタイルですが、やがて一般住居にも利用されるようになりました。

広く普及したのは耐久性の高さ、バリエーション豊富なデザインなどの特徴です。リノリウムよりも選択肢の幅が広く、多くのシーンに使えるのが強みになっています。

また、利用頻度が高い商業施設で耐えられるだけの耐久性は、普及の大きな理由になりました。リノリウムよりも価格を抑えられるうえに耐久性が高ければ、選択する理由として十分です。

多様なデザインはリアルな大理石柄や木目柄、陶器のようなテイストを再現します。例えば本物の大理石のような高級感を醸し出せるのも塩ビタイルの特徴です。

ただし、耐熱性はそれほど高いとは言えないため、頻繁に火を使う場所や防火対策に力を入れたい施設では不向きだと考えられます。

クッションフロアとの違い

クッションフロアは名前の通り、クッション性の高さが大きな特徴です。塩ビタイルと同じく塩化ビニル製の建材として市場に登場し、リノリウムに代わって床材のスタンダードになりました。日本では1972年から使われています。

クッションフロアは耐水性の高さが大きな特徴です。リノリウムと同様、水で濡らしても手軽に拭き取れるため、簡単にお手入れできます。清潔にしやすい一面もあり、水回りでも活躍する建材です。

取り扱いが比較的簡単で、メンテナンスや施工がスピーディーにできるメリットも持っています。特に住宅用のクッションフロアは薄く柔らかい性質です。ハサミ、カッターなどでお好みの幅や大きさに切り取れます。設置も両面テープでできるため、DIYの建材としても選ばれる傾向です。

塩ビタイルと同じく、デザインは豊富なバリエーションを誇ります。選択肢が多いため、空間の雰囲気に合わせやすい点も優れた一面です。

ただ、クッションフロアは「傷が付きやすい」「劣化が早い」という性質も持っています。塩ビ製のためリノリウムよりは安価に使えますが、耐久性の点においてはそれほど期待できません。

コストパフォーマンスを重視するのであれば、長期間繰り返し張り替えをすることになるかもしれない可能性と、都度かかる費用について考慮しながら選びましょう。

リノリウムを採用する際の注意点

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リノリウムを採用する時は、いくつかの注意点を押さえておくと長く綺麗に使えます。劣化を防ぐためには、適切なメンテナンスが必要です。

お手入れの時にはpHを意識しましょう。リノリウムはアルカリ性に弱い特徴があります。そのため、アルカリ性が含まれた洗剤の使用は避けた方が劣化が防ぎやすく、寿命を延ばすことにつながります。洗剤を使用するのであれば、アルカリ性、酸性のどちらかに偏った製品ではなく、中性洗剤が適しています。

また、リノリウムは紫外線で劣化を起こすため、使用する場所を考えるのも大切です。できれば紫外線が当たりづらい場所を選ぶと長持ちします。水濡れに強く耐火性が高いため、キッチン、トイレなどに使うのもオススメです。

日光が当たる部屋の床をリノリウムにする予定がある場合は、紫外線対策を取り入れましょう。窓をUVカットにする、UVカットできるフィルムを貼るなどの対策が効果的です。

適切なメンテナンスを継続的に行うことによって寿命が長持ちし、場合によっては数十年間も綺麗で清潔な床を保てます。中性洗剤を使うこと、紫外線対策をすることなど、リノリウムの劣化を防げる方法を選びましょう。

リノリウムは耐久性、耐火性、抗菌性など多方面に優れた性質を持つ床材です。天然成分でできているという安心感や環境への配慮性も高く、シックハウス症候群に悩んだり、サステナブルに意識を向けたりする人に向いています。住宅のリフォームなどで床の施工を検討する時、リノリウムは現代の選択肢のひとつとしてオススメしたい建材です。

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