エレキギターを塗装して自作!ラッカースプレーでオリジナルデザインに!

楽器の花形とも言えるエレキギター。既にハマっている人も、これから始めてみたい人も多いハズ。そんな憧れの楽器にも、実はDIYできるキットがあるんです。世界に一つだけのオリジナルギターづくりに挑戦しました!

公開日 2017.05.17

更新日 2022.01.07

エレキギターを塗装して自作!ラッカースプレーでオリジナルデザインに!

ロックにパンク、POPソングなど幅広い音楽シーンで中心的存在のエレキギター。そのクールなサウンドとシルエットから世界中に愛好家がいる楽器です。そんなスターとも言える楽器にも、実はDIYできるキットがありました!

そこで今回は、株式会社HOSCOから販売されているエレキギターキット「ER-KIT-TC」を実際に作ってみて、自分だけのオリジナルギターをDIYします!
エレキギターを塗装して自作!ラッカースプレーでオリジナルデザインに!

材料と道具

エレキギターを塗装して自作!ラッカースプレーでオリジナルデザインに!
■サンドペーパー(#180~400)
■プラスドライバー(大小2種類)
■ハンマー
■C型クランプ
■マスキングテープ
■定規
■目止め剤(との粉)
■サンディングシーラー
■ラッカースプレー
■ニスなどの上塗り剤
■研磨用木片
■電動ドリル
■ドリルビット(1.8、2.8、3.5、4.0ミリ径)
■ニッパー
■ハンダ
■ハンダこて
■ギターアンプ
■糸ノコ
■新聞紙
■ヤスリ
エレキギターを塗装して自作!ラッカースプレーでオリジナルデザインに!

キットの中身は以下のとおり。

■ボディ
■ネック(ヘッド未加工)
■ジャックカバー
■ピックガード
■ブリッジ
■フロントピックアップ(ピックガードに固定)
■リアピックアップ(ブリッジに固定)
■糸巻き
■弦押さえ
■ネックプレート
■弦
■エンドピン
■ロッド調整レンチ
■サドル調整レンチ
■コントロールプレート(配線済み)
■シールドコート
■ジャック
■ナット
■弦ブッシュ

作り方

STEP.01 生地調整

最初に行うのは各パーツの生地調整です。生地調整とは木材の表面にある傷や小さな凹凸をサンドペーパーで平らにすること。この行程を丁寧に行うことで、好きなカラーで塗装する際、ムラ無く綺麗に仕上がります。
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ボディの平らな部分は手頃な大きさの木片を使い、木目に沿ってサンディングしましょう。ボディ側面やネックの曲線部分は、指の付け根を這わせて研磨するとスムーズです。

サンドペーパーは#180からはじめて最終的に#240まで順に使用します。

STEP.02 ヘッド形成

生地調整が終わったら、続いてヘッド形成に移ります。HOSCOのエレキギターキットシリーズではヘッドが板状のまま。自分の好きなデザインに造形できるんです。
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今回のギターはテレキャスタータイプですが、オリジナルということでストラトキャスター風ヘッドをイメージして型紙を作成、鉛筆で印を書き込みます。
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線が引けたらクランプなどで固定し、糸ノコで切り抜きます。切り終わったら、サンドペーパーで丁寧に研磨しましょう。
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STEP.03 塗装その一(目止め)

続いては塗装段階。まずはボディのネックポケットとネックのフィンガーボードにマスキングテープを貼ります。
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それぞれはみ出さないよう、丁寧にマスキングしましょう。貼り終わったら、目止め剤を塗布します。今回の目止め剤(※)にはとの粉を使用しました。

※塗装前の木地にとの粉や胡粉などをすり込んで目をふさぎ、表面を滑らかにすること。
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水に溶いたとの粉を刷毛で厚めに塗ります。半乾きになると白く粉が浮くので布などで刷り込むように拭き取り、さらに乾燥させます。

STEP.04 塗装その二(サンディングシーラー)

完全に乾燥できたら、サンディングシーラーを吹き付けます。サンディングシーラーは塗装に厚みを持たせる、また目止めでは塞ぎきれなかった木材の導管を埋め、塗面を平らにするのが目的です。
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スプレー塗料を使用する際は、後ろに新聞紙などを敷き、本体から20cm以上離れて吹き付けます。全体にムラ無く塗り終えたら30~60分ほど乾燥させ、再度塗布。これを3回繰り返します。

STEP.05 塗装その三(着色)

サンディングシーラーの塗布が終わったら、次はいよいよ着色。塗料はラッカー系の缶スプレーが刷毛跡も残らないのでオススメです。ネック部分は木目を残したいので、ボディのみに着色しました。
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サンディングシーラーと同じように、満遍なく吹き付けたら30~60分乾燥させ、再度塗り重ねる作業を3回行います。塗料が乾いた後、最後にニスなどで上塗りをし、一日乾燥させれば塗装の行程は終了です。

STEP.08 ネックの組み立て

各パーツの塗装が終わり、いよいよ組み立て開始です。まずはネック・ヘッド部分から。
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ヘッドに糸巻き用ブッシュを打ち込みます。この作業にはプラスチックハンマーのほうが向いていますが、金づちでも木片を当てながらであれば問題ありません。
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糸巻きを取り付けます。ブッシュを打ち込んだ穴に裏から糸巻きを通し、ビス留め。ネックに使用しているメープル材は非常に堅いので、予め細いドリルなどで穴をあけておくと楽に作業できます。
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弦押さえパーツも忘れずに。1弦と2弦の間に取り付けます。

STEP.09 ネックの仮締め

ネックをボディへ取り付ける前に一度仮締めして、ビス固定用の穴を開けます。まずネックのヒール部分に鉛筆で中心線を引きます。
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底の直線部分と平行な線を2本引き、それぞれの中心点を結ぶことでネックの中心線を惹くことが可能です。ネックポケットのマスキングテープを剥がし、ネックのヒールと同様に中心線を引きます。
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続いてピックガードを仮止めします。ピックガードのネック接合部よりフィンガーボードが若干大きいため、ネック仮締めより先に設置しておかないと後からでは上手くハマりません。この時、ピックガードの配線をコントロールプレートキャビティ(ボディ右下の穴)へ通しておくと後の作業が楽になります。ピックガードの位置を決めたらマスキングテープで固定しましょう。
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ネックをネックポケットにはめ込み、中心線を合わせてクランプで固定。ネック取り付け用にφ4mmのドリルビットで下穴を開けます。ネックプレートを取り付け穴に合わせて対角線上にビスを2本軽く留めます。計4本のビスを留めたら、仮締めは終了です。

STEP.10 ブリッジの位置決め

次にブリッジの取り付け位置を決めます。既にリアピックアップ(ブリッジに装着済み)用の穴が空いているので大まかに位置を決め、弦を仮で張ります。
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緩みがない程度に張り終わったら、12フレットから1弦のサドル(ブリッジ下部)までの弦長が324mmに鳴るようブリッジの位置を調整します。弦が斜めにならないよう、左右のズレも要確認です。
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位置が決まったらビス穴をマークし、弦を外してドリルで穴を開けます。ここで一旦ブリッジを外し、配線をコントロールキャビティに通します。この時、弦アース用の配線だけはブリッジとボディの間に挟んでおき、ブリッジをビスで固定します。

STEP.11ボディの組み立て、ネックの本締め

ギター製作も後半戦に突入です。まずはピックガードの取り付けから。仮止めしてあるピックガードの位置を全体のバランスを見ながら調整します。位置が決まったら書くビス穴をマークし、ドリルで穴を開けていきます。
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ピックガード用の穴はφ2.8mmのドリルで穴を開け、ビス留めします。次はボディ下部のジャック取り付けです。
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コントロールプレートからボリュームのアース線(黒)とホット線(白)をボディ下部の穴から引っ張り出し、それぞれジャックに配線。ジャックを外側から穴にはめ込み、皿ビスで固定します。これでコントロールキャビティには全ての導線が集まっている状態に。
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それぞれの導線を間違えないように配線します。ハンダ付けする導線は合計4本。普段からDIYに親しんでいても、触れる機会は少ないハンダですが、今回はさほど緻密なものでもないので、やけどや火事にさえ注意すれば初心者でも簡単に配線できます。

また、もしアンプがあれば、この時点で配線が成功しているかチェックすることが出来ます。問題無ければ2箇所ビス留めし、電子回路部分は完成。
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ここで仮締めだったネックのビスを対角線上に締め直し、完全に固定します。これでネックの本締め完了。続いてエンドピンを取り付けます。
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エンドピンを取り付ける場所はボディ底部と上部の2箇所。上部はネックと平行ではなく、内側に角度をつけてビス留めします。これでボディ、ネックの組み立ては終了です!

STEP.12 弦を張る、完成

ここまで来れば、完成までもう一息! 6弦から順に弦を張ります。弦はギターの正面からみて左から6弦、5弦、4弦の順です。弦を糸巻きに通したら、2巻分ほど残して、ニッパーでカットします。
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その他、弦高をチェックし、チューニングすればオリジナルギターの完成です!
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ひと目ではオリジナルとは思えないほどしっかりとした完成度。カラーリングもムラ無く塗れており、鮮やかなオレンジがポップな印象。やはり見栄えを左右するのは塗装の出来具合いが大きく影響しそうですね。

ギターを自作したらメンテナンスも心がけよう

ギターは、主に木材で作られているため、湿気を吸って膨張したり、乾燥してヒビが入ったりすることがあります。また、演奏を繰り返すことで、手の脂や汚れが付いたり、塗装が剥げてきたりすることも。そのため保管方法に気を配り、適切なメンテナンスをしていく必要があります。
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保管する際は、

・風通しの良い日陰に置いておく
・湿度調整剤と共にギターケースへ入れておく
・ギタースタンドに立てかける

などを心がけてください。もちろん、時々演奏してあげることもお忘れなく。

メンテナンスについては、まずは弦が錆びないようにすることが肝心です。金属製のフレットも錆びが出ますので、それぞれ、こまめにギター用のクロスで拭いてあげると良いでしょう。他に指板やボディのお手入れも重要です。

指板はオイルやクリーナーでメンテナンス

指板は弦が張ってあるネック表側のことで、指を乗せることから、その名が付きました。ここが乾燥などでひび割れてしまうと、演奏に支障をきたします。また、汗や脂分で汚れやすい場所なので、日々のお手入れが欠かせません。
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指板のメンテナンスによく使われるのは、「指板専用クリーナー」と「指板オイル」です。ケアするのは、すべての弦を外してから。専用クリーナーをクロスに吹きかけ、指板の汚れを拭き取った後、乾拭き用クロスで仕上げます。その後、さらに指板オイルを使ってしっかり保湿しておきましょう。オイルも指板に直接かけるのではなく、クロスに2~3滴染み込ませてから、丁寧に塗り込みます。柑橘系の香りを配合したオイルなど、様々な種類が販売されているので、好みのものを探してみてください。

ポリエステル・ラッカー塗装のメンテは専用ポリッシュで

指板に加えて、ボディのお手入れも重要です。ここでは、クリーナーと艶出しの双方の機能を持つ「ポリッシュ」を使用しましょう。こちらは、ボディの塗装方法に合わせた種類をお選びください。今回の自作ギターは、ラッカー対応のものが適しています。
一般的に、市販されているギターの多くはポリエステル塗装されています。ポリエステルは厚みがあって硬いため、少し荒い使い方をしても傷が付きにくいという特徴があります。それに比べて自作のラッカー塗装は傷や汚れに弱く、より丁寧なお手入れが必要。ポリッシュも、指板クリーナーやオイル同様、クロスに数滴含ませてから使ってください。新しい汚れの付着を防ぐ効果も期待できます。
「自作エレキギター」と聞くと素人には難しそうなイメージですが、いざ蓋を開けてみると、想像以上にハイクオリティなギターに仕上がりました。大がかりな部分は加工済みなので、初心者でも手軽に製作できるのがキットならではの特徴。既にギターを持っている人も、これからギターを始めてみたい人も、世界に一つだけのオリジナルギター作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?

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