理想の味と人生をDIY!Farmer’s Chickenの挑戦

東京都港区にある日本では珍しいロティサリーチキンの専門店「ファーマーズチキン」。ロティサリーチキンとは何か?そしてなぜロティサリーチキンなのか?オーナーシェフの長嶺 誠さんのDIYな人生に迫ります。

公開日 2016.11.10

更新日 2022.01.07

理想の味と人生をDIY!Farmer’s Chickenの挑戦

「ロティサリーチキン」。聞きなれない人も多いのではないでしょうか。

「ロティ」はフランス語で「焼く」という意味で、鶏肉を丸ごと、専用のグリルでじっくり焼いたチキンのこと。国によって味付けは異なりますが、ロティがフランス語由来であることからヨーロッパスタイルの味付けが一般的です。

 

ロティサリーチキンを焼くファーマーズチキンでは、ローズマリーをベースとした13種類のハーブとともに真空パックにし、1~2日晩置いて下味を付けます。

 

同じ料理を指す、英語の「ローストチキン」の方が日本では一般的かもしれません。海外では頻繁に食卓に並ぶメニューの一つで、スーパーに行くと出来上がった状態で販売されています。外国人にとっては日本の肉じゃがくらいポピュラーな料理ですが、日本ではローストチキンと言い変えたとしても日常食ではなく、クリスマスなど特別なときに食べるメニューとしてインプットされていますよね。

 

そんな日本で、なぜ長嶺さんは、「ロティサリーチキン」のお店を開こうとしたのでしょうか。

 

オーナーシェフの長嶺さん

オーナーシェフの長嶺さん。語り口からも、真っ直ぐに料理に向き合う、真摯な姿勢が伝わってきます。

 

長嶺さん、サラリーマンとして勤務していましたが、飲食店経営に憧れ、25歳でトラック屋台を始め、やがてメキシコ料理のお店を経営。そのうち、「お店という空間ではなく料理で勝負ができるお店にシフトしたい」と思うように。

 

「誰もやったことのない、自分にしか作れない料理にトライしたかったんです。売れないリスクは承知で」。その矢先、思い当たったのがローストチキン。

 

「僕は沖縄出身なんですが、沖縄ではローストチキンをよく食べるんですよね。でも、東京ではあまり見かけないので驚きました。東京に馴染みの薄いローストチキンを、日常食として広めたいと思ったんです」。

 

だけど日本は料理大国。誰もが美味しい味を知っています。数多くのレストランの中で『味が認められる』というのは簡単ではない、と思った長嶺さん。誰もが求める味を求めて、旅に出ます。

 

アジア~南米~ヨーロッパと世界中を旅し、各国でさまざまなロティサリーチキン(ローストチキン)を体感することに。メキシコでは、ちぎったトルティーヤに一口大のチキンを包んでミニタコスのようにして食べるスタイル。暑い国南米ではニンニクがたっぷり入った濃い味。お隣の韓国では、唐辛子が効いたピリ辛。そして、スイート&サワーな味付けが印象的な東南アジア。

 

「だけど、探していたのは日本人がいつも食べたくなる味。飽きのこない味付けだったんです」。

 

フランスを訪れた時についに出会ったのが、現在のファーマーズチキンの味のベースとなる数種類のハーブを合わせたスパイシーな一品。「おいしい!この味なら日本でロティサリーチキンを広めることができるかもしれない!と当時は興奮しましたね」。

 

ロティサリーチキン専用のグリル

厨房に鎮座する、ロティサリーチキン専用のグリル。細部の温度調節も可能。

 

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そこから、試行錯誤が始まります。

 

まずは、素材。「日本人はもも肉が好きですが、外国人は胸肉の方を好むため、海外では胸肉はもも肉より高価です。その胸肉を少しでも安価に味わえるように改良されたのが「ブロイラー」という品種。通常ロティサリーチキンにはブロイラーが使われています。本場のロティサリーを広めるためにも、ファーマーズチキンでは厳選されたブロイラーを使用しています。」

 

次に、味。「オリジナルスパイスに使う13種類のハーブの中には、日本で入手困難なハーブもありヨーロッパから輸入しているものもあります。そして、誰もが食欲をそそられる香りと、毎日でも食べたいと思う味に仕上げるには、何よりどのハーブも主張しすぎず、バランスのとれた配合を見出さなければなりません」

 

専用グリルのバーに刺しているところ

下味を付けたチキンの足をタコ糸で結び、中は空洞の状態にして専用グリルのバーに刺しているところ。

 

そして、食感。「外はカリッと中はジューシーにするため、完全に焼き上げず直前で火を止め、食べる直前に鉄板で表面を焼きます。これで肉汁たっぷりの柔らかいチキンに仕上がります。」

 

グリルでじっくり回しながら200度〜250度で40〜50分程時間をかけて焼く

グリルでじっくり回しながら200度~250度で40~50分程時間をかけて焼く。

こうすることで余分な油を取り除きつつ、肉の表面をカリッとコーティングすることができる。

 

最後に鉄板で焼く

カットした後、高温の鉄板で焼き上げ、表面をさらにカリッとさせる。

 

さらに、温度。冷めた状態でも肉は柔らかくおいしいけれど、長嶺さんはこだわります。

「焼きたての一番おいしい状態で食べてほしいんです。店内で召し上がるお客様にはベストな状態で提供できますが、テイクアウトのお客様には難しい。そこで取りに来られる時間を逆算して焼き始めるようにしました」。テイクアウトだって、熱々のチキンが待っているんです。

 

ハーフアンドポテト

人気のハーフ&ローストポテト¥1,300(テイクアウト用)。食べやすい大きさにカットしてから詰めてくれる。

 

数え切れない試作と改良を繰り返し、ファーマーズチキンでしか食べられない味が出来上がりました。

 

旨味が染み込んだポテト

チキンのうま味が染み込んだポテト。お肉とポテトのコンビネーションは無敵です。

 

ポテトをカリッと焼きます

ポテトも食べる直前にサッと炒めて表面をカリッと。

 

トレンドに乗っかったり、鉄板メニューのお店をやることもできたけれど、「自分にしか作れない味」「他にない店」にこだわって世界中を旅し、その後も試行錯誤を続けている長峰さん。その道は一見遠回りのようでいて、でも実は、他の誰とも違う“自分だけの人生”に真っ直ぐつながっています。それは、既存の選択肢から選んだり、誰かの真似をするのではなく、ちょっと大変でも手をかけて自分にフィットする形を作ろう、というDIYの精神に似ている気がしました。

 

長峰さんのロティサリーチキンを味わいながら、自分の人生をどうDIYしていくか、イメージを膨らませてみてはいかがでしょうか?

 

SHOP INFORMATION

ファーマーズチキン

店頭の画像

住所:東京都港区芝4-5-15-1F

TEL:03-3457-0707

 

営業時間:

平日11:30 ~ 14:00 LO 17:30 ~ 21:00 LO

土曜12:00 ~ 14:00 LO 17:00 ~ 19:30 LO

※売切次第終了

定休日:日曜、祝日

URL:http://www.fa-chicken.com/

 

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