【タイニーハウス】Vol.1 -手づくりの家でシンプルに暮らす-

生活をする上で欠かせない、衣食住。めまぐるしく変わり続ける現代社会の中で、「家」の概念も多様化してきました。大きい家に住む、都心の家に住む、新築のマンションに住む、ではない、自分らしい“住む”について改めて考えてみませんか? 本企画はそんな“住む”を見つめ直すために、3つの提案・9本の記事からなる短期連載です。 Movie_simplife Text_YUICHI TAKEUCHI Direction_MITSUHARU YAMAMURA

【タイニーハウス】Vol.1 -手づくりの家でシンプルに暮らす-

1回目の今回フィーチャーするのは、「タイニーハウス」というカルチャー。小さな家を指す言葉というのはわかるけれど、実際のタイニーハウスは見たことがない、という人も多いはず。そこでタイニーハウス発祥の地でもあるアメリカにて、simplifeプロデューサーであり、自身もタイニーハウスビルダー/ツリーハウスビルダーとして活躍する竹内友一氏の取材を通して見えたその実態を同氏にレポートしていただきます。

 

 

タイニーハウスとはズバリ小屋のこと。ツリーハウスやハウスボート、もちろん地面に基礎があるものやトレーラーに載っているものも含まれます。大きさもさまざま、特に定義があるわけではありません。

最近この言葉をよく耳にするようになりましたが、これはタイニーハウス・ムーブメントという社会的、文化的な運動の影響です。タイニーハウスは小屋というモノにつけられた名詞ですが、その背景には「今までのように大量に消費し続ける暮らしとはさよなら!」と、新しいライフスタイルを求める人たちが増えたことで注目を集めています。

 

タイニーハウス・ムーブメントといわれる社会現象(運動)が広まるきっかけの一つがJay Shafer氏(写真上)が2000年に出版した「THE SMALL HOUSE BOOK」。それまでの「人より稼ぎ、大きな家と大量の便利なモノを所有することが豊かさと思われていたアメリカンドリームは、実はアメリカンナイトメアー(悪夢)だったんだよね」と彼は言います。

Jay Shafer氏が教えてくれたのは、それぞれの身の丈にあったサイズの家や愛着のあるモノに囲まれた暮らし、量よりも質を重視することがとても大切だということ。そのためには、人生の中の限られた時間とお金を合理的に使い、自分らしく生きるために、身の回りのものとの関係性を再構築すべきだということ。そのコンセプトに共感する人が少しずつ増えているようです。

 

最近のタイニーハウスの平均的な大きさは10坪程度で、1人または2人での暮らしが主流。小さなキッチンとバスルーム、多用途に使えるリビング、ロフトをベッドルームにして、コンパクトなスペースに暮らしの全てが詰まっています。オフグリッドなもの、上下水と接続されたもの、都市部のコミュニテイ、大自然の中での暮らし。それぞれの一番大切にしているものとの距離や関係性はさまざまで、そのデザインも住人の個性を表した形になっています。

 

タイニーハウスの模型を製作。そこへ住み、暮らすために何が必要という考察を繰り返し、形にしていく。スティーブ・ジョブスも愛読していたという、1960年代にアメリカで刊行された「ホール・アース・カタログ」。若者たちから絶大な支持を集めた同書の編集者であったロイド・カーン氏によるタイニーハウス。彼はタイニーハウスをSelf-sufficiency(自立した暮らし)と語る。

百人百様、自分らしい生き方を選ぶためには、まず何が自分を幸せにしてくれるのか、どのような環境がベストなのかを考えます。タイニーハウスをセルフビルドすることは今まで無意識にヒモづけられていたものとのつながりをリセットすることから始まります。水はどこからくるのか、使った水はどこへ流れていくのか。飲む水は、洗い物の水は、シャワーの排水は、屋根に流れる雨水は。水だけでも、無意識のうちに身の回りに大量に存在していることに気づきます。

そして、自然の恩恵、街やそこに住む人、多様なサービスなど、毎日数多くの“関係性”を発見することになるでしょう。それらとのつながりを自分らしくデザインすること、それがタイニーハウスの世界に足を踏み入れた人たちの第一歩。自然や人間の共同体の中での自分自身を再発見する、そんな時間が必要のようです。

オレゴン州の山道からはずれた場所に佇むタイニーハウス。敷地には複数のタイニーハウスがあり、1つのハウスを拠点に4人の家族が暮らしている。敷地内に4つのタイニーハウスが構える「シンプリー・ホーム・コミュニティ」と呼ばれる集合エリア。彼らは同エリア内にある大きな家をトイレや風呂、キッチン、リビングスペースなどを備えたコモンハウスとして利用している。コミュニティに暮らす住人同士のコミュケーションも心地いい。仮にコミュニティが合わなかった場合は、別のコミュニティへ移動可能な点もメリットの一つとして挙げられる。

これらの写真は2015年の春、仲間数人とタイニーハウス・ムーブメントのパイオニアたちに会いにアメリカの西海岸を縦断した時の記録です。すべての人に共通していたのは、どこでも手に入れられる「一般的な暮らし」ではなく、カスタムメイドした「自分らしい暮らし」の風景がそこにはありました。身体に合わせて作ったテイラーメイドのスーツのような、自分のサイズをきちんと見極めて心地よい環境を作りだしていたのがとても印象的で、住まいの一つ一つに愛情が注がれているのが分かります。

ムーブメントの核となっているのはBIY(Build It Yourself)の精神で、自分自身の暮らしをイメージして、それを自ら形にしていくことが個性と多様性を産み出しています。大きな住宅をセルフビルドするのはとても高いハードルだけれども、10坪程度の小屋であれば素人でも作れるんです。材料費も運搬費も、もちろん自分や仲間の時間も大きく節約できる。

 

「本当はこんなのあったらいいのにな」と思うような時、何か別の似たようなもので満足した気分になってしまうのはもったいない。一度自分のためだけに存在するモノと付き合い始めたら、それを作り出す喜びを知ってしまったら、後には引けないかもしれない。

MOVIE INFO

simplife <http://simp.life>

「暮らし」をテーマにしたプロジェクトsimplife。

Simple+LifeからなるSimplife /シンプライフ=「 自由になれる、身の丈の暮らし方」というアイデアを提案しています。

 

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