小さなガレージの中から生まれる確かなクラフトマンシップ
前回“Burnside skateboard park”の模様をお送りした新連載“Pilgrimage to sacred places”。今回もDIYの聖地と呼ばれるポートランドで見つけた情報をお届けします。そのピックアップの対象となったのが、小さなガレージの中で自らの手で活版印刷を行っている“FORTRESS LETTER PRESS”。数ある仕事の中でなぜこの仕事を選び、昔ながらのプリントメイキングを行うのか。その真意を伺ってきました。
公開日 2016.06.24
更新日 2022.01.07
6畳程度の小さなガレージで活版印刷の機械・デスク・棚。その中で黙々と作業を行うのはブルース・コリン・パウルソン氏。ウィスコンシン州で1977年に生まれた彼は1998年より、ポートランドへ移住。はじめはダウンタウンのベーカリーで働いていたが、独自手法を学びレタープレスの道へ。
「学校ではプリントメイキングを習ってたから、友達もレタープレスをやっていたんです。でも、僕はちょっと違うことがしたいと思った。そこで、求人広告みたいなところでレタープレスを求めてる人を探したんです。自分の中では小さなお店を開いてという計画だったんだけど、その広告で出会った人からそれだと後々難しいよと言われたので、もっと製造力を高められる方が良いという話になった。それから、たまたま100年以上前の機械が見つかり、このガレージとも出会えた。最初は何をしているのかわからなかったけど、いろいろと調べたり読んだりして、自分に教え込んでがむしゃらに今もやり続けているよ」。
そのgo for itな姿勢を続け、着実に顧客の数を増やし、街の店やアーティストの名刺を担当。実際に目の前で動く、その歴史ある足踏み式の印刷機は重厚で雰囲気抜群でした。
そしてすべて手動の工程は何ともこまやかで、その仕上がりは温もりのある味わい。インクの滲みやかすれ、文字の凹凸具合など、データプリントによる大量印刷にはない、そのこだわりが人気を集める理由になっているように感じてなりませんでした。
「僕は昔ながらのプリントメイキングが好きだから、今後も伝統的なテクニックを使ってやっていきたい。100年前から変わらない手法って、きっと心に響くものがあると思うんだ。あとは毎日DIY。つまり何かしら作り続けてインスピレーションを高めるのが大事」。
活版印刷ビジネスが盛んなポートランドの中で、独自のスタイルを貫くブルースさん。そのまさにDIYと言える粋な生き方。こんな人たちが集うから、この街は聖地と呼ばれるのかもしれませんね。そしてその言葉の通り、まだまだポートランドのお届けしたい情報は沢山あります。ぜひ次回もご期待ください。
最後に余談ですが、指先まで入ったタトゥーはブッタのシンボルも参考にしているとのこと。無宗教だけど、考え方に共鳴して一度入れてしまったらどんどん増えていったそう。タトゥーのイメージはあまり良くない日本ですが、ブルースさんは取材班を快く受け入れてくれるとても優しい方でした。
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FORTRESS LETTERPRESS
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Japan
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