ライフスタイルプロデューサー・村上萌さんがサンドイッチ屋さんをDIY
今回のDIYerはライフスタイルプロデューサー・村上萌さん。「土日に取り入れたい理想の生活」をテーマとするメディアNEXTWEEKENDを主宰し、サンドイッチ屋「GARTEN」の運営、女性向けの商品企画やイベントでの講演など、多岐に渡る活動を続けています。 そんな彼女が「『GARTEN』が開店して以降、ずっと気になっていた」という「フードバイク」をDIYで制作します!
公開日 2015.09.01
更新日 2022.01.07
「フードバイク」は日本ではまだ聞き慣れない単語ですが、欧米では既に注目を集めている新しい店舗のかたち。車輪の上部に取り付けられている荷台は食材などの保存スペースになっていて、来店時にサーブするための台にもなります。
見た目にも可愛く、誰でも気軽に移動店舗を持てることが最大の特徴。欧米では思い思いにカスタマイズしたフードバイクが公園に集まったマーケットが開催されているそうです。
今回お世話になる人:三輪ノブヨシさん
さすがに自転車をイチからすべて作るのは…と困惑していたところ、村上さんから「とても頼りになる職人さんがいる」との連絡を受け、埼玉県・所沢市にある工房へ。
三輪ノブヨシさんは「GARTEN」が出店しているスペース「commune246」のイスやテーブルも手がけている凄腕の立体アーティスト。そんな三輪さんの助けを借りてフードバイクDIYに挑みます。
材料
1:荷台のふた部分を黒板塗料で塗る
スタート!
今回村上さんが一番こだわったのは、荷台のふたとして取り付ける木の板を黒板塗料で塗ること。黒板塗料とは、塗った場所が黒板として使えるようになる特殊な塗料のことで、村上さんの自宅のデスクにも取り入れているお気に入りのアイテムです。「ただサンドイッチやコーヒーを無造作に並べるのではなくて、かわいいイラストの上に乗せてみたいんです」。
天板がしっかりハマるかドキドキの一瞬
黒板塗料を塗った木材は、天日干しにして乾かします。
2:屋根の骨組みを取り付ける
塗料が乾くのを待っている間に、荷台部分に取り付けられた穴に、アーチ状の器具を取り付け、それらの間をマジックテープを取り付けた角材でつなぎます。これで屋根の骨組みが完成。
3:屋根に使う布を選び、取り付ける
オーガニックな印象のベージュとカーキのゼブラ柄をチョイス。
4:メニューボードをつくる
材料の中でも一際目立っていた、味のある窓枠。これは村上さんのおばあさんのお家で実際に使われていたものです。さて、どんな風に使おうか…三輪さんと村上さんがアイデアを出しあった結果、この窓は板とT番でつないで、メニューボードにすることにしました。
丁番に使ったのは…なんと古タイヤのゴム!
大好きなおばあさんのお家で使われていた窓が、お客さんを迎え入れる顔として生まれ変わりました。手書きのあたたかみがとてもよくマッチしています。
6:完成!
ひらめき1つで、1ランク上の日常を。
「”次の土日”に取り入れたい、少し先の理想の生活」をテーマに掲げ、村上さんが主宰しているWebメディア「NEXTWEEKEND」。
そのアウトプットの場所として、東京・青山にある商コミュニティスペース「commune246」内で毎週末に開催しているワークショップは、「自由に収納がつくれるバスケットづくり」や「キッチンハーブを育てる、ちいさな木のプランターづくり」など、DIY精神に溢れるコンテンツが盛りだくさん。
いわば少しの勇気とアイデアで日常を豊かにする達人である村上さんが、今回DIYするものとしてフードバイクを選んだ背景にはどんな思いがあるのでしょうか。制作を終えた村上さんに聞いてみました。
ーなぜ「フードバイク」をDIYしようと思ったのですか?
以前から昨年commune246内で始めたサンドイッチ屋(GARTEN)の移動販売を考えていました。そこで、欧州で流行っていて素敵だなぁと思っていた「フードバイク」を作ろうと思いたったんです。自転車に乗ったあの小さな空間に自分の好きな世界を表現して、どこへでも行けるなんて夢のようだなって。
ー日本ではあまり見かけないですよね。
そうなんです。私もフードバイクについてほとんど知らなかったので、初めは日本で作れるのかも分かりませんでした。試しにネットで調べてみたら、鎌倉の「PON PON CAKES」というケーキの移動販売店を見つけて、ひとまず作れないことはないと判明して(笑)。
ー特にこだわったポイントを教えて下さい。
屋根が無いとただの荷台になってしまうので(笑)、三輪さんに10枚ほど写真を送って、「この写真のこの部分を取り入れたい」と細かく希望を伝えていきました。せっかく作るならカワイイくて、かつ有機的なものにしたいと思ったんです。具体的には黒板塗料を使って塗装することで、商品を置く板自体がメニューボードになるところや、おばあちゃんの家にあった窓をウェルカムボードにした点もポイントです。
ーGARTENの雰囲気にも合う、村上さんらしい作品になりましたね。
三輪さんがアドリブで思いついたアイデアをすぐに作ってくれて。丁番なんて、難しくてとても作れるものではないだろうと思っていたのですが、古タイヤを使った斬新なアイデアですぐに形にしてくれました。
私も頭を固くせず、黒板になる部分を増やしてみたり、試しながら思いつくままに作りました。
ー実際、お店に置いてみていかがでしょうか。
フードバイクがあるだけでインパクトがあるので、Instagramにアップしてくれるお客さんはとても多いですね。先日も黒板アートで有名なチョークボーイさんがいらして、フードバイクの黒板に描いて遊んでくれたんですよ。双方向性を持ったものにできてよかったなぁと思います。
ーなぜ移動販売に着目したのでしょうか?
最近はキャンピングカーで出かけたり、天気の良い日に好きな食べ物をもってピクニックに行ったりすることが人気ですが、それって、実は普段していることを場所を変えているだけですよね。
モノに執着するのは昔の話で、今は「ヴィトンのカバンが欲しい!」と言う人は少ない。生き方や暮らし方にフォーカスが当たるようになったことで、「どこで何をするか」がより重要視されるようになってきたんだと思います。今は「サンドイッチを持って、どこに行こうかな?」と考えるのが楽しいんです。
ー今の時代の豊かさを「フードバイク」が表現しているわけですね。
まさにその通りで、「GARTEN」のコンセプトを伝える役割も担っていると思っています。今後は移動販売をすることで、新しいコミュニティの中に自分たちの世界観を持っていきたいですね。
ー最後に、村上さん流に“DIY”を定義してください。
「“自分ごと”にすること」です。普通なら自分にはできないと思うようなことも「できるかどうか」を考え始めた時点で、それはもう他人ごとではないし、夢ではなくなる。道具をどこで買えばいいか、誰とやればいいかを考え始めるということは、すでに実現に向けて進んでいるということです。
逆にDIY精神がない人は、「いいなぁ」と羨むだけでいつまでも”自分ごと”にならないし、いる場所も変えることができない。DIY精神は人生を変えうるほど大切なことです。普段の考え方のクセが、ゆくゆくは仕事や結婚といった人生の大きなイベントでも活きてくると思います。
WRITTEN BY
Japan
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