DIYer(s) in NY -Flux Productionsy-
「DIYer(s) in New York」。独自のスタイルをニューヨークから発信するDIYerをクローズアップしたムービー企画のパート3。今回は小さな第一歩からスタートし、世界レベルでの活躍を経て、最後には意外な道を選んだ1人のDIYerのお話。思い描き、「手を動かしたこと」で、思いもよらない人生が創造されていく…そんなエピソードはDIYを愛する者なら魅了されてしまうはず。
閑静な住宅街が立ち並ぶ、ブルックリンのクリントン・ヒル地区。かつてはキャンディ工場だった建物の3階が、レザークラフトブランド「Flux Productions」を運営するライアン・グリアーのスタジオだ。カナダとの国境に近い、ニューヨーク州北部で生まれ育ったライアン。「木材店を営む父親の背中を見て育った。それが、モノ作りの原点なのかもしれないな」。そして、美大に入学するためにブルックリンに移り住んだ。
転機は24歳でオリジナルプリントを施したTシャツを販売するビジネスを始めたこと。「ソーホーのストリートで販売していたとき、とあるブランドから声を掛けられた。それが、Thakoon(タクーン)だったんだ」。US VOGUE編集長のアナ・ウィンターやミシェル・オバマ大統領夫人が身に着けて以来、注目を集めているファッションブランドThakoonがTシャツのデザイン、プリントをライアンに一任したのだ。今でも「プリントビジネスは原点」と語るが、なぜバッグ作りを始めたのか。「新しいことに挑戦したいと思うようになったんだ。ファッションは移り変わる。けれど市場調査した際、バッグに関しては同じものを長く使う人が多かった。バッグは時を超えて愛されると気づいた時、バッグ作りを始めようと思ったんだよ」。
デザインから発送まで、全工程をたった1人で行う。「ブランドらしさを創造し確立しながら、同時に本当に自分が作りたいものを作る。質と時間の問題には、未だによく直面するよ」。それでもやはり、ハンドメイドにこだわる。それには理由があるようだ。「テーブルでも何でも自分で作る。それが唯一、自分が納得できる方法。もし途中で間違っても、作り直すことが出来るよう、すべてのプロセスが手作業なんだ」。
小ロットながら、ハンドメイドならではの確かなもの作りで国内外にファンを増やす。ライアンがFlux Productionsを通して伝えたいことは? 「どのブランドもシンプル、永続的であれば良いと思うんだ。ゆっくりと、時間を掛けて寄り添ってもらえるブランドを追求していきたいな」。
Tシャツの手刷りから始まり、有名ブランドにピックアップされ、最終的には自分の手でじっくり作ることを選んだライアン。好きなものを作って満足することでも、大量に消費されて有名になることでもない。時間をかけ、思いを込めて、納得いくまでこだわって作ったものが、「長く愛され、使われること」。それがDIYerにとっての最大のゴールなのかもしれない。
それでは次回もお楽しみに。
SHOP DATA
Flux Productions
URL:http://www.fluxproductions.net/
text/Iwamoto
WRITTEN BY
Japan
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