オフィスに集中ブースを設置するメリットは? ブースの種類や導入ポイントを解説

本記事では、オフィスに「集中ブース」を設置するメリットについて紹介します。そもそも集中ブースとは何か、なぜ求められるようになったのかなどの基本知識に触れつつ、集中ブースで人気のブランドや導入方法など、知っておきたい情報をまとめました。

公開日 2021.11.01

更新日 2022.11.18

オフィスに集中ブースを設置するメリットは? ブースの種類や導入ポイントを解説

近年、働き方改革により、求められるオフィスのレイアウトも変化しています。従来は島型レイアウトを導入し、チームで仕事をすることが多かったものの、最近は個人で集中できる執務スペースを導入する企業が増えているようです。そこで本記事では、オフィスに「集中ブース」を取り入れるメリットや人気のオフィス家具ブランド、失敗しないコツなどを紹介します。オフィスリノベーションを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

オフィス内に設置が広まる集中ブース

近年、注目を集めている「集中ブース」とは、どのような空間を指すのでしょうか。ここでは、集中ブースの意味や普及が広がる背景などの基礎知識を解説します。

集中ブースとは

近年、フリーアドレスや誰でも使える執務スペースなど、オープンなオフィスレイアウトが流行しています。これらは限られた空間を有効活用したり、社内のコミュニケーションを活性化したりできるメリットがありますが、一方で「一人で落ち着ける場所がなく、かえってストレスを感じる」「周りの会話や視線が気になる」などのデメリットもあるようです。

そこで注目を集めているのが、ソロワークを行うために設置される「集中ブース」です。間仕切りなどで一人用のスペースを区切る開放型のものや、遮音性の高い個室ボックスなど、さまざまな設備タイプが選択可能です。オフィスのスペースや求める機能性などによって適切な設備を選びましょう。

オフィス内で集中ブースの設置が広まる背景

働き方の多様化や、新型コロナウイルスの影響などにより、オフィスのあり方も大きく変化しています。Web会議などの遠隔コミュニケーションが導入されたり、ペーパーレス化が進んだりと、業務がデジタル化したことで、個人が専用のデスクを持たなくても仕事ができるようになりました。オープンオフィスは部署間のコミュニケーションを促し、オフィス全体の一体感が高まるなどのメリットがある一方、ソロワークを行う際の集中力や生産性といった面で、まだまだ課題も多いようです。

業務の生産性をアップするには、ほかの人とコミュニケーションを取る時間と、一人で作業に没頭する時間とのメリハリを付けることが大切です。近くで喋っている人の声が聞こえたり、頻繁に人が行き来したりする場所での業務は、打ち合わせ時などは気にならないものの、ソロワークではかえって業務効率を損ねてしまうかもしれません。ほかの人の視線をシャットアウトし、静かに作業できるスペースがあれば、より快適に仕事が行えることでしょう。

集中ブースには色々なスタイルがある

集中ブースは用途によっていくつかのスタイルがあります。ここでは、特に人気を集めている「パーテーション型」「ソファ型」「ファミレス型」「多目的型」の四つの集中ブースを紹介します。

パーテーション型

パーテンション型とは、既存のデスクや椅子に視線を遮るためのパーテーションを設置するスタイルです。集中ブースに用いるパーテーションは、複数人用のテーブルやカウンターなどを区切るための卓上タイプなどを指すわけではありません。一般的には、独立した一人用デスクの前方と左右を、床から視線の高さ以上のパーテーションで囲み、半個室のような空間をつくります。既存のオフィス家具を活かしてリーズナブルに集中ブースを導入でき、簡単に場所や広さなどを変えやすいことが特徴です。

ソファ型

ソファ型とは、ソファと目隠しパネルが一体となった集中ブースのことです。商品によって仕様は異なりますが、一般的にはソファの背面と左右にパネルが付属しており、ソファひとつで簡単に半個室の空間を実現できます。中には小型のカウンターが付いているものもあり、リラックスしながら個人作業に集中できる特徴があります。執務スペースだけでなく、休憩室やリフレッシュスペースなどへの設置も適しているでしょう。

ファミレス型

ファミレス型とは、ソファとテーブルをパーテーションで囲んだ、複数人用の集中ブースです。パーテーション型やソファ型は基本的に一人用であるのに対し、ファミレス型は2〜4人ほどで使用でき、少人数の打ち合わせなどに適しています。話し声や人の往来などを気にせず打ち合わせをしたい時や、複数人でオンラインミーティングをする時などに多く利用されており、近年多くの企業で取り入れられています。

多目的型

多目的型とは、既存の会議室やミーティングルームなどを集中するための多目的スペースとして開放するスタイルです。企業によっては、「応接室は来客時のみ、会議室は役員会議のみで使う」など部屋ごとの用途を限定しているケースが少なくありません。それらは、機密情報の漏えいを防いだり、オン・オフの切り替えをスムーズにしたりするメリットがありますが、スペースが無駄になってしまい、執務スペースを圧迫してしまうこともあるでしょう。使用頻度の少ない部屋を集中型多目的スペースとして開放することで、空間をより柔軟に活用できます。

集中ブースをオフィスに導入するメリット

集中ブースを導入すると、具体的にどのような影響があるのでしょうか。ここでは、生産性・モチベーションの向上やテレワークとの相性など、集中ブース導入によって得られるメリットを詳しく紹介します。

従業員の生産性向上・モチベーション向上

作業環境を整えることは、従業員の活躍機会やモチベーションをアップし、生産性を向上させることにつながります。業種にもよりますが、仕事には「チームで行うのが適しているもの」と「一人のほうが適しているもの」があります。例えば、新しいプロジェクトの企画内容を議論し、ブラッシュアップする作業はチーム向けです。他方、新しいアイデアを生み出す作業は一人のほうが向いているでしょう。どちらの作業も快適に行えるようにオフィス環境を整えれば、従業員一人ひとりの生産性も高まるはずです。

また、作業時に周りの人に何も言わなくても「この人は今、一人の業務に没頭したいのだな」と察してもらえるメリットもあります。オープンスペースで作業していると、どうしてもほかの人に話しかけられて、集中力が散漫になる人は多いでしょう。その点、集中ブースなら自分のペースで業務に没頭できるため、そうした外的要因で作業を中断する必要がありません。

フリーアドレス化・テレワーク化に対応しやすい

集中ブースは、フリーアドレスやテレワークなどと相性がよく、これらと同じタイミングで導入する企業も少なくありません。すでにフリーアドレスを導入済みの場合も、個室ブースやパーソナルブースの必要性を感じ、後から追加で導入を検討する企業が多いようです。従業員の中には「開放的な場所ではソロワークが行いにくい」と感じる人もいるため、オープンオフィスへレイアウトを変更する場合は、集中ブースの導入も併せて検討してみることをオススメします。

また、機密情報を扱う時は、隣との席が近い執務スペースや、人の行き来が多い場所などでは、どうしても周囲の視線が気になってしまいます。業務のデジタル化に伴い、パソコンがあればどこでも仕事ができるようになったものの、これまで以上にセキュリティ面のリスクにもしっかりと配慮しなければなりません。防音機能を搭載している個室ブースや、パソコン画面が見えないように工夫されたパーソナルブースなどがあれば、大切な情報を守りながら作業に集中できます。

比較的手軽に導入できる

「集中ブースを設置したいけれど、多くの費用や手間がかかるのでは」と迷っている人は多いでしょう。しかし、集中ブースはオフィスレイアウトの中でも比較的簡単に導入でき、コストもあまりかからないのが嬉しいポイントです。テレワークの普及によって使用しなくなった会議室や、個別デスクの廃止により余ったスペースなどを有効活用すれば、オフィスを拡大する必要もありません。

また、導入の際は必ずしも業者に依頼して家具を造作する必要はなく、既製品だけで済むケースもあります。実際、電話ボックスのような個室型の防音ブースや、簡単に半個室スペースをつくれる間仕切りなど、さまざまな製品が販売されています。設置を迷っている場合は、これらの製品を取り入れ、試用してみるのもよいでしょう。

集中ブースをオフィスに導入するデメリット

導入によってさまざまな効果が期待できる集中ブースですが、注意するべきデメリットもあります。ここでは、集中ブースを導入するデメリットとその対策方法を紹介します。

設置スペースが必要

集中スペースの多くは、デスクや椅子の周りをパーテーションなどで囲み、半個室空間をつくるものです。通常の執務スペースよりも広い空間を要するため、多くの集中ブースを設ける場合は余裕を持ってスペースを確保する必要があります。

また、フリーアドレスなどでオフィスの大部分にオープンレイアウトを採用していると、「一人で作業に集中できる場所が欲しい」と感じる人は案外多いものです。集中ブースの数が少な過ぎると多くの従業員が利用できず、あまりメリットを享受できないかもしれません。オフィス面積と必要な席数のバランスを考慮しながら、適切なレイアウトを検討することが大切です。

複数設置が必要

集中ブースは、さまざまなスタイルのものを複数設置することが望ましいでしょう。リラックスしながら新しいアイデアを考えたい時はソファ型を、社内ミーティングではファミレス型を使用するなど、用途や気分によって使い分けることでパフォーマンスの向上が期待できるからです。

また、集中ブースの適切な座席数は企業によって異なるものの、在席者の1~3割ほどに設定するケースが一般的です。いずれにしても複数設置が求められるため、導入の際は試用期間を設け、自社にとって必要な数をしっかりと見極めることが大切です。

利用ルール作りが必要

集中ブースを設置したものの、「長時間にわたって専有する人が多く、いつも同じメンバーが利用している」などのトラブルが発生する企業も少なくありません。運用前にあらかじめ利用時間や用途、飲食の可否などのルールをつくり、従業員に周知しておくとよいでしょう。

また、一人作業に特化した集中ブースをつくり、ブース内の私語厳禁をルール化している企業もあります。オープンスペースとのメリハリを付け、ブースの役割を明確にするために独自のルールを設定するのもオススメです。

集中ブースの設置に適した場所

ほかの執務スペースとは異なる役割を持つ集中ブースは、設置する場所も重要なポイントです。なるべく静かで人通りの少ないエリアが望ましいでしょう。

雑音が少ない場所

人の話し声や電話対応の声などが聞こえ過ぎる場所では、集中力を高めることが難しいでしょう。ミーティングスペースや食堂の隣など、人の会話が多いエリアを避け、なるべく雑音が少ない場所に設置するのがオススメです。とはいえ、人が集まる執務スペースなどから遠過ぎる場所に設置すると、利用者そのものが減ってしまうリスクもあります。レイアウトの都合上、どうしても雑音の多い場所に設置しなければならない時は、間仕切り壁やカーペットなど、防音・吸音効果の高いアイテムを併用するとよいでしょう。

人の出入りや動きが少ない場所

エントランスや廊下、通路などの人通りが激しい場所は、視線や足音などで集中を妨げてしまう恐れがあります。集中ブースの多くは半個室タイプのため、外部の騒音や人の気配などを完全に遮断できません。出入り口の付近や導線がぶつかる場所などへの設置は避け、人の往来が多すぎない場所を選ぶとよいでしょう。

デッドスペースになりがちな窓際

窓際や階段下、部屋の角などのデッドスペースを活用し、集中ブースをつくる方法もあります。特に窓際はカウンターテーブルなどの省スペースなオフィス家具を設置しやすいため、既存のレイアウトを活かしたい人や執務スペースの一角にブースをつくりたい人などにオススメです。話し声や雑音などが気になる場合は、遮音性に優れた電話ボックスタイプなど、個室型の集中ブースを導入するとよいでしょう。

集中ブースの代表的なブランドは?

ここでは、集中ブースをつくるための代表的なオフィス家具ブランドをまとめました。活用事例と併せて紹介しますので、レイアウトや設備の種類で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

コクヨ「WORKPOD(ワークポッド)」

こちらは「コクヨ株式会社」が提供する、可動式の一人用ブース「WORK POD(ワークポッド)」です。人感センサーを搭載しており、入室と同時に自動で照明と換気システムが起動します。約40秒ごとに空気が入れ替わるため、感染症対策を行いながら安全にソロワークが行えるでしょう。また、強化合わせガラスを使用しているため遮音性にも優れており、Web会議での使用にも適しています。感染症を予防しながら一人作業に集中できるワークポッドなら、遠隔コミュニケーションシステムやテレワークなどに適応した、新しい時代の働き方をサポートしてくれることでしょう。

オカムラ「drape(ドレープ)」

こちらは「株式会社オカムラ」が手がける、ミニマムサイズの一人用ワークブース「drape(ドレープ)」です。本製品の特徴は、デッドスペースを活用して手軽に設置できることです。最小1㎡のスペースがあれば設置可能なので、間取りを変えたり、リノベーションをしたりといった、大幅なオフィスの変更は必要ありません。
吸音パネルと天板を組み合わせたセミクローズ型の集中ブースゆえ圧迫感が少なく、ソロワークにも集中しやすいでしょう。外部の音を適度に遮ってくれるため、Web会議や電話などにもぴったりです。

イトーキ「ADDSIDE(アドサイド)」

「ADDSIDE(アドサイド)」は、「株式会社イトーキ」が展開するフレキシブルな集中ブースです。本製品の特徴は、用途によって自由に広さを変えられることです。一人用の作業ブースは比較的狭いものが多く、資料を広げながら作業すると、すぐにデスクがいっぱいになってしまいます。
その点、アドサイドはパネルの数や設置方法によって、柔軟に空間をつくり変えられるため、「さまざまな広さの集中ブースを設置したい」「ゆったりとしたプライベートスペースが欲しい」といった時に重宝するでしょう。シンプルかつ柔らかなデザインのため、多数のブースを設置しても圧迫感が生じにくいのも魅力です。

関家具「KOLO」

こちらは「株式会社 関家具」が手がける、フォンボックス型集中ブース「KOLO(コロ)」です。デザイン性に優れており、スタイリッシュでオシャレなフォルムが人気を集めています。遮音性・吸音性にも優れているため、ビデオ通話や電話会議などに最適です。
コンパクトな一人用サイズやソファが置けるゆったりサイズ、二人用サイズなどさまざまな広さがあるため、用途に応じて複数のサイズを設置するのもよいでしょう。しっかりとした設計の個室ブースですが、最短3時間ほどで組み立てられるため、手間や時間をかけずに設置できるのも魅力です。

オフィスに集中ブースを導入する際のポイント

ここでは、導入時に注意するべきポイントとして、導入手順や環境整備のコツ、運用ルールづくりの注意点などを紹介します。

利用人数を想定して設置を検討する

集中ブースは、多くの従業員が利用できるように利用時間を制限することもあります。しかし、設置後にブース利用を求める人が増加すれば、集中ブースの座席数を見直す必要もあるでしょう。このため、導入時は「平均的なオフィスの在席率はどの程度か」「集中ブースの利用を求めている人はどれくらいいるのか」などを調査し、利用人数を想定したうえで座席数を見極めることが大切です。

肉体的・心理的にストレスを与えない環境を整える

集中できる環境は人によって異なり、適度に雑音がある環境を好む人もいれば、話し声のない静かな環境を好む人もいます。従業員全員の希望を叶えることは難しいものの、座席のスタイルにバリエーションを持たせたり、デザインを工夫したりすることで、肉体的・心理的にストレスを与えない環境を整えることが大切です。ただ集中ブースを設置すればよいわけではなく、従業員にとって居心地がよく快適に業務が行える空間づくりを心がけましょう。

防音に配慮する

話し声や足音などの雑音は、人の集中力に大きな影響を与えます。集中しやすい環境は人によって異なりますが、雑談や大きな音が絶えず聞こえている状態でベストの集中力を発揮できる人は少ないでしょう。パーテーションや目隠しパネルだけでは遮音性が不十分だと感じる場合は、設置場所を変更したり、防音性を高める施工を行ったりと防音に配慮することが大切です。

利用・運用ルールを設けて共有・遵守する

集中ブースに限らず、新たなシステムを運用する時はしっかりと利用ルールを決めて遵守させることが大切です。内容は以下のようなものが挙げられます。

・予約の可否
・飲食の可否
・利用時間の制限の有無およびその内容
・ブース内では緊急の要件以外私語厳禁といった制限の有無

ルールが曖昧だと運用後にトラブルが発生することもあるため、あらかじめしっかりと従業員と共有し、周知しておくとよいでしょう。

まとめ

近年の働き方改革や感染症対策などにより、オフィスのあり方も変化しています。フリーアドレスやテレワークなどが広まる一方で、個人作業に集中できず、メリハリを付けて業務を行えない課題も浮き彫りになっているようです。オープンオフィスへのレイアウト変更を検討している場合は、併せてソロワークに特化した集中ブースの設置をオススメします。

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