アパレル店舗の内装デザインで重視すべき要素とは?事例とあわせて解説

この記事では、アパレルショップの内装デザインで重視するべきポイントを紹介します。費用相場やコストを抑えるコツ、内装やレイアウトの注意点、魅力的なデザイン事例など、店舗設計で知っておきたい情報を詳しくまとめました。

公開日 2021.11.28

更新日 2022.01.07

アパレル店舗の内装デザインで重視すべき要素とは?事例とあわせて解説

ブランドイメージを連想させるものや、一貫したコンセプトに沿ったものなど、アパレルショップの内装はオシャレで個性的なデザインが多く見受けられます。店舗の改装やリニューアルなどで内装を変更する時は、どのような点に注意するべきなのでしょうか。この記事では、アパレル業の内装デザインに焦点を当て、費用や成功のポイント、魅力的な施工事例などを紹介します。店舗のレイアウト変更やリノベーションなどを検討している人は、ぜひ参考にしてくださいね。

アパレル業の成功を左右するのは内装デザイン? その理由とは

アパレル店舗の内装デザインで重視すべき要素とは?事例とあわせて解説
アパレルショップはほかの店舗に比べて、内装デザインの重要性が高いと言われています。内装デザインの役割は、ブランドのイメージを一目で伝え、顧客の購買意欲を高めることです。
ブランドのデザインコンセプトやターゲットとしている年齢層などは、アパレルショップの内装からも顧客へ伝わります。並んでいる商品のデザインと内装全体の雰囲気とが乖離し過ぎていると、顧客にブランドの魅力が伝わりづらくなってしまうでしょう。

同一ブランドのアパレルショップでも、テナントや路面店など、さまざまな店舗形態があります。それぞれ異なる特徴があり、立地などの条件によっても適切な内装は変わってくるでしょう。
内装デザインを決める時は、ターゲット層や顧客の導線などを意識したレイアウトを設計し、それぞれの店舗に合った仕様を検討することが大切です。想定しているターゲット層がつい気になってしまうような魅力的な内装がつくれれば、ブランドイメージの向上や売上アップなど、さまざまなメリットが得られるでしょう。

アパレルの内装工事にかかる費用の相場は?

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アパレルショップの内装工事費は、物件の状態や導入設備のグレードなどによって異なりますが、一般的な坪単価の幅は10〜40万円ほどです。居抜き物件なら坪単価20~40万円が目安ですが、既存設備を活かして内装をデザインするなら、坪単価10〜20万円ほどで済む場合もあります。スケルトン物件の場合は、坪単価20万円以上を目安とするとよいでしょう。
ただしどんな場合も、高級感の演出などにこだわれば坪単価100万円以上になることもあります。施工業者ともよく相談して検討してください。

工事費用をできる限り抑えるポイントは?

アパレルショップは水回りの設備を最低限に抑えられるため、ほかの店舗に比べると内装工事費は安い傾向です。とはいえ、なるべくコストをかけずに理想の内装がつくれれば、その費用を別の準備に充てることもできます。アパレルショップの内装工事費を削減するには、どのようなポイントがあるのでしょうか。
アパレル店舗の内装デザインで重視すべき要素とは?事例とあわせて解説
一つ目は、路面店ではなくテナントの物件を探すことです。テナントは出入り口を設置する必要がないため、その分の内装工事費を削減できます。テナントを選ぶ際の注意点は、施設そのものの集客力やブランド力、ターゲット層などを理解することです。それらを総合的に考慮した上で、施設を訪れる人も立ち寄りやすい内装にするとよいでしょう。
二つ目は、入居する物件の特徴を活かした内装にすることです。スケルトン物件に入居する場合、あえてコンクリート打ちっぱなしのデザインを採用することで、内装工事費を大きく削減できます。むき出しの天井やコンクリートの無骨な肌触りは、インダストリアルインテリアや観葉植物などと相性がよく、かえって都会的でオシャレなデザインにまとまるかもしれません。また、「居抜き物件を選択し、既存の設備をそのまま活かして使用する」という手もあります。想定する内装と近い居抜き物件を選べば、最低限の工事で理想のデザインがつくれるでしょう。

内装から考える、アパレルショップの店舗デザインにおけるポイント

ここでは、アパレルショップの店舗デザインで重視すべきポイントを、項目ごとにまとめました。これから店舗を新規オープンする人や、レイアウト変更や店舗リノベーションなどで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

導線設計にこだわる

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商品のレイアウトや什器の位置などを決める時は、導線設計にこだわるとよいでしょう。ポイントは、「顧客の滞在時間や歩行距離を適度に伸ばすこと」「売れやすい場所を活用すること」などです。

一般にアパレルショップでは、「顧客が店内に滞在する時間が長いほど、売上もアップしやすい」と言われています。什器の間隔は適度に離し、すべての商品が自然と顧客の目に触れるようにレイアウトするのが理想的でしょう。とはいえ、導線を長くし過ぎると、かえって商品が見づらくなってしまうので、什器の高さやサイズ、通路の幅などを工夫しながら、なるべくシンプルなレイアウトにすることが大切です。
また、アパレルショップには、どの店舗にも商品が売れやすい場所が決まっています。例えば、レジの横や入り口前、通路沿いなどです。その場所を活用し、売れ筋のアイテムや季節の商品などをアピールするなど、商品のディスプレイ方法やレイアウトを入念に検討しましょう。

顧客が滞在しやすい空間づくり

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顧客になるべく長い時間滞在してもらうためには、商品をじっくりと検討できるスペースを設けるとよいでしょう。ほかの店舗にはないアパレルショップの特徴は、全身鏡や試着室などを使用し、商品を身につけながら購入を検討できることです。もし入り口に近過ぎる場所や、人の行き来が多い場所にこれらを配置すると、顧客はゆっくりと商品を見られません。

例えば、試着室をあまり目立たない場所に設置し、プライベート感のあるデザインにしてみましょう。「顧客が商品をじっくりと検討できること」を目的として明確化し、レイアウトやデザインを工夫していってください。
また、店舗が狭く試着室の数が限られてしまう場合は、全身鏡を多めに配置するなど、「商品を身につけた時」を顧客がイメージしやすいよう工夫しましょう。特に靴を扱う店舗では、近くに腰掛けられるチェアや荷物置きを設置するなど、より快適に商品を選べるような工夫が必要です。ほかにも、「ベビーカーを使う主婦が多く来店するのなら、試着室を広く設計するべき」など、物件の特徴やターゲット層、扱う商品などによっても必要な設備は異なります。それぞれの店舗の状況を見定めて、顧客層に喜んでもらえるレイアウトをしっかりと検討しましょう。

店舗のターゲット層に合わせたイメージ統一

アパレル店舗の内装デザインで重視すべき要素とは?事例とあわせて解説
内装を決める上で大切なのは、ブランドイメージや顧客の年齢層などに合わせて、デザインに統一感を持たせることです。使用する建材やカラーといった、顧客の目に留まりやすい場所だけでなく、導入するインテリアや照明など細かい部分にも気を配ると、よりまとまりのある空間になります。店舗のイメージにそぐわないデザインは、顧客の購買意欲を下げる原因にもなるので注意しましょう。
失敗しないコツは、まずは一貫したコンセプトを決め、カラーやインテリアなどを絞り込んでいくことです。もし導入設備で迷っても、このコンセプトを参考に取捨選択すれば、店舗イメージから大きく逸脱することは防げるでしょう。

バックヤード・作業スペースの確保

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内装デザインを決める時、見落としがちなのが、バックヤードや作業スペースの重要性です。顧客の目線を意識したフロアをつくるためには、「従業員たちが働きやすいと感じるバックヤード」が不可欠です。
いくら内装を一貫したデザインで統一しても、従業員の作業が顧客に見え過ぎていたり、荷物や作業道具がフロアを圧迫したりすると、空間の特別感を損ねてしまいます。従業員の作業はなるべく見えない場所で行い、フロアでは接客に集中できるよう、バックヤードには十分なスペースを確保するとよいでしょう。

アパレル系店舗の内装デザイン事例を紹介!

ここでは、アパレルショップの優れた内装デザイン事例をまとめました。ブランドイメージがひとめで伝わるデザインや、立地を活かしたデザインなど、魅力的な事例を紹介します。

ブランドの歴史を物語る「GUCCI GINZA」の内装例

こちらは、「丹青社」が手掛けた「銀座GUCCI」の施工事例です。内装の特徴は、高級ブランドならではのラグジュアリーなデザインと重厚感のあるインテリア。什器はシルバーで統一し、店内が明るく見えるように天井や壁紙はシンプルなホワイトでまとめました。

スケルトンが印象的なセレクトショップ「IDIOME」のデザイン事例

こちらは「ASTER」が手掛けた、セレクトショップ「DIOME line three」の内装デザインです。スケルトン物件ならではのコンクリートの質感を活かし、インダストリアルテイストの什器やインテリアを導入しました。什器一つひとつの間隔を広く取り、顧客がじっくりと商品を堪能できる導線設計を行っている点が特徴です。

ラウンジをイメージした洗練さが魅力的な「LE FOYER ルミネエスト」の事例

こちらは「SUPPOSE」が手掛けた「LE FOYER ルミネエスト店」の施工事例です。ブランドイメージを自然に取り入れた、商品の引き立つ内装が魅力的。大きなカウンターやラウンジをイメージしたスペースによって、洗練さと居心地によさを併せ持った空間を実現しました。

ストリートの中で気品を演出した「agnès b. 渋谷」の店舗デザイン

こちらも「SUPPOSE」が手掛けた「渋谷アニエスベー」の内装デザインを紹介します。明治通りやキャットストリートなど、渋谷と原宿の中間というストリートな雰囲気の立地を活かした、個性的なデザインが特徴です。店内にカフェを併設しており、メンズ/ウィメンズの両方を受け入れるための工夫も見られます。デザインや設備を工夫することで、特別感や非日常感を演出できます。初めての来店客にとっても居心地よく、記憶に残る路面店です。
アパレル店舗の内装デザインで重視すべき要素とは?事例とあわせて解説
顧客は内装によっても、そのブランドのコンセプトやターゲット層などを感じ取る傾向を持っています。そのため、アパレルショップの内装デザインは、売上やブランドイメージに直結しやすいのです。顧客が快適に買い物を楽しめるアパレルショップをつくることは、ブランディング戦略としても非常に重要と言えるでしょう。店舗に合った適切な導線設計や空間づくりを、ぜひ心がけてみてください。
内装づくりを成功させるには、ターゲット層を意識した一貫したコンセプトを決め、それに沿って細かいデザインを決定するようにしましょう。店舗デザインの費用や注意点などを、より詳しく知りたい人は、内装設計のプロ「カシワバラ・コーポレーション」にぜひご相談ください。

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