【ワークショップレポ】苔のテラリウムを作ろう

入居者をはじめとした様々のクリエイターが講師を務めるものづくりのワークショップが行われているIID 世田谷ものづくり学校。毎月に渡って、DIYer(s)編集部が注目するコンテンツをご紹介。今回はピックアップしたのは『苔のテラリウムで海の風景・山の風景を作ろう!』が行う苔のテラリウム作りのワークショップです。

公開日 2017.10.02

更新日 2022.01.11

【ワークショップレポ】苔のテラリウムを作ろう

ビンの中に世界を作り上げる苔テラリウム

2004年に廃校となった旧池尻中学校をリノベーションし、設立されたIID 世田谷ものづくり学校。施設内の各教室が、今ではクリエイターやデザイナーのオフィスとなっています。
そんな世田谷ものづくり学校では、入居者をはじめとした多くのクリエイターが講師を務める、ものづくりワークショップも毎月行われているのです。今回は『苔のテラリウムで海の風景・山の風景を作ろう!』に参加させていただき、山の風景を作ってきました!

IID世田谷ものづくり学校とは

旧池尻中学校が『IID世田谷ものづくり学校』として再生してから、2017年度で14年目を迎えました。かつて子どもたちが学んでいた教室は現在、あらゆるジャンルのクリエイターやデザイナーがオフィスとして使っています。また、この施設ではクリエイターたちが講師を務めるワークショップや創業支援セミナーが行われており、その数は年間700件以上。IID世田谷ものづくり学校は“ものづくり”をキーワードに、クリエイティブ、地域交流、そして産業活性化のプラットフォームとして、人やモノ、情報が行き交う場を作り続けているのです。
身近な植物である苔を使って、手のひらサイズのボトルの中に風景を作っていく“苔テラリウム”。そもそもテラリウムとは、ガラス瓶の中で植物を栽培することを言います。庭のないアパートなどに住んでいる方も気軽に楽しめる園芸として、人気を集めているのです。
はじめに、苔テラリウムが誰にでも手軽に楽しめる理由を教えていただきました。
まず、今回のテラリウムに使う瓶は蓋付きで密閉されるので、与えた水分が蒸発しても中に残ります。これによって瓶の中で水分が循環し、ひとつの生態系ができるのだとか。そんなテラリウムに、苔が特に向いている理由は三つ。一つは、成長が遅いので、瓶が窮屈になりにくい点。次に、とても丈夫な植物である点。そして最後に、ジメジメとした湿度の高い場所を好む性質である点。
苔テラリウム、確かに世話いらずで、忙しい現代人も簡単に楽しめそうですね。

では早速、今回使う三種類の苔の紹介です。

こちらはコウヤノマンネングサ。日本国内では最大級のサイズを誇る苔です。諸説ありますが高野山の山道にはえており、いつも蒼々としているので万年生きるのではないか、と言われていたことから、この名前になったのだとか。
今回は、こちらを木に見立てて使うようです。ハサミで三角に整えれば針葉樹のようになりますし、そのまま使えばヤシの木のようにもなります。
次に、ヒノキゴケ。別名“イタチのしっぽ”と言われているのも納得の、ふわふわとした触り心地です。乾燥すると縮むため、テラリウムに入れておけば湿度のバロメーターにもなってくれるそう。
こちらは一本でも存在感がありますが、何本か束にして使えば茂みのようになります。
そして最後に、こちらのホソバオキナゴケ。盆栽にも使われている馴染み深い苔です。
今回は、芝生や草原としてベースに使います。使う際のポイントは、葉っぱの生えている向きを揃えること。そうするときれいに仕上がるそうです。
こちらは土台となる材料です。右からピートモス、水苔、玉石、根腐れ防止剤。
ピートモスは腐植化した苔や柳などが原料となっており、保水性があります。その隣の水苔は吸水性が良く、菌に強い特性を持っているのだそうです。
製作に使う道具はこちら。薬さじやピンセットを駆使して、早速作っていきましょう。

まずは根腐れ防止剤を、薬さじ一杯分ほど入れます。バラバラと入れてしまうと完成したときに横から見えてしまうので、なるべく中央に寄せておきましょう。

次に、玉石を薬さじ4〜5杯分入れていきます。見映えを良くするため、そして空気を十分に保つためのスペース確保のため、玉石は入れすぎないことがポイントです。

玉石で傾斜を作ると、完成したときに奥行きのある風景になります。ピンセットでうまい具合に石を積み立てていきましょう。これがなかなか難しい!

ここで水苔の登場です。まずは、握れる量を手に載せます。

霧吹きで水を含ませ、軽く揉んだり握ったりしながら形を丸く整えます。思っている以上に水を吸いますが、湿らせ過ぎないよう気をつけてください。瓶の直径よりも少し小さくなるよう、そして平べったくまとめて、ピンセットで中に入れましょう。

水苔を、薬さじで玉石にぎゅっと押し付けていきます。次の工程で入れるピートモスは粒子が細かいので、石の間にこぼれないようしっかり隙間まで整えましょう。

続いて、ピートモスを薬さじ1杯半〜2杯ほど、ゆっくりと入れていきます。上に敷く苔が定着しやすいように、水苔の上に薄くまんべんなくふりかけます。

ベースとなるホソバオキナゴケの形を整えていきます。裏面についた土を落としつつ、刈り込んでいきましょう。厚さにムラがでないよう、そして刈り込みすぎて崩れないよう注意しながらハサミを入れます。ここが今回の難関!

先生の説明を聞きつつ、皆さんも真剣に作業をされています。ハサミの音だけが響くこと数分…

ホソバオキナゴケの形が整いました。これを瓶の中に敷きつめていきます。

あまり大きすぎると、土台と苔の間に空間ができてしまいます。切って調整しつつ、丁寧に敷いていきましょう。これでベースは完成です。

ここから風景作りです。今回はヒノキゴケから植えていきました。まずは、根に残った土をこそぎ取ります。

根元をピンセットではさみ、ベースに植え付けます。ピンセットごと苔に刺すと植えやすいようです。それでも植えづらい場合は、植え付けたい箇所に穴を開けてからさし込むと簡単ですよ。

続いて、コウヤノマンネングサを植え付けます。高さがあるので、瓶の8割ほどに収まる長さに調節しましょう。

できあがりをイメージしながら植えていきます。

苔テラリウムに加えるフィギュアが並んだボックスが開いた瞬間、本日一番の歓声があがりました。ジオラマにも使われるものだそうで、一つ一つ細やかに仕上がっています。

それでは、作った風景に合うフィギュアを選びましょう。

今回は山の風景を作りましたので、登山家を選びました。ピンセットで好みの場所に配置します。

最後に霧吹きで水を2プッシュほど、そして殺菌剤を吹きかけます。瓶の内側についた水や土も拭きましょう。

これで完成です!

ボトルの中が過度に蒸れてしまうため、直射日光は苦手だそうです。飾る際は、気温の変化があまりない明るい日陰に置いておくのが良いでしょう。
また、ホソバオキナゴケが白っぽくなったら水をあげましょう。冬場は特に乾燥しやすいので注意です。
ちょっと疲れたな…そんなときにふと目に留まると、ほっと心が和む苔テラリウム。ぜひお部屋に置いてはいかがでしょうか?

栗林さん(左)と羽賀さん(右)。

INFORMATION

koke-tissue
植物を手軽に楽しめる「苔のテラリウム」の制作、販売を行っているkoke-tissue(コケティッシュ)。場所もお手入れの手間も取らない苔の特性を活かしたテラリウムは、庭が無くても簡単に緑を楽しめるボトルガーデンです。
今回講師を務めてくださったのは、そんなkoke-tissueのおふたり。朗らかで明るい笑顔とユーモアセンスで、ワークショップ中も場を和やかにしてくださいました。おふたりは現在、苔テラリウムのワークショップをメインに活動されているそう。今後は作品制作にも注力されるとのことで、いずれまた作品の販売もされるようです。

School Data

IID世田谷ものづくり学校
住所:〒154-0001 東京都世田谷区池尻 2-4-5
電話番号:03-5481-9011
一般開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(休館日が祝日または振替休日の場合、その翌日)
URL:https://setagaya-school.net

DIYer(s)

WRITTEN BY

DIYer(s)

Japan

DIYer(s)編集部です。DIYのアイデアやハウツー、おすすめツールやショップ情報まで幅広くお届けします!