吹き抜けは寒い? 寒さ対策や吹き抜けのメリットを紹介!
吹き抜けには、開放感がある、部屋が明るくなるなどのメリットがある反面、冬には寒くなるという問題点もあります。吹き抜け住宅を暖かくする方法はあるのか、寒さ対策について詳しく取り上げ、吹き抜けのメリット・デメリット、施工例などを紹介します。
公開日 2023.01.26
更新日 2023.04.06
「吹き抜けのある家に憧れる」という人は多いのではないでしょうか。おしゃれで開放感のある吹き抜けは、採光や風通しのよさなどのメリットがある一方で、デメリットもあります。中でも「冬に寒くなりやすい」というデメリットには、しっかりと対策をしなければなりません。
この記事では、吹き抜けを取り入れた家づくりを検討している方に向けて、吹き抜けのメリット・デメリット、寒さ対策の方法、施工例を紹介します。
この記事では、吹き抜けを取り入れた家づくりを検討している方に向けて、吹き抜けのメリット・デメリット、寒さ対策の方法、施工例を紹介します。
吹き抜けのメリット
吹き抜けには、開放感を感じられる、室内を明るくする、1階と2階でコミュニケーションをとりやすいという3つのメリットがあります。おしゃれな家づくりを考えている人、家族とのつながりを大切にしたい人などには特にオススメです。吹き抜けのメリットについて詳しく紹介します。
開放感のある空間になる
空間の開放感は、吹き抜けによってもたらされる大きなメリットのひとつです。吹き抜けは1階と2階がつながっているため、天井が高く、空間の容積も大きくなります。広々とした空間で毎日を気持ちよく暮らせるでしょう。敷地の狭い家でも吹き抜けを取り入れることによって、広い空間を演出できます。
また、リビングから2階へ行ける「リビング階段」との相性がよいのも吹き抜けの魅力です。リビング階段と吹き抜けを組み合わせることで、家全体がひとつの大空間となり、より開放感が高まります。
また、リビングから2階へ行ける「リビング階段」との相性がよいのも吹き抜けの魅力です。リビング階段と吹き抜けを組み合わせることで、家全体がひとつの大空間となり、より開放感が高まります。
採光や風通しがよくなる
吹き抜けのさらなるメリットは、採光や風通しに優れていることです。吹き抜けは2階にあたる高い部分に窓を作るのが一般的なため、部屋全体に太陽の光を採り入れられます。例えば、建築基準法施行令では、天窓は一般的な側窓に比べて採光効果が3倍高いものと扱われます(第20条第2項柱書参照)。このことからもわかるように、高所にある窓の採光効果は非常に高いものです。都市部などの住宅密集地に見られる、隣の家との間隔が狭く1階の窓から光を採り入れるのが難しいという問題も、吹き抜けをつくることで解消できます。
高窓を開閉できるタイプにすれば、温度差を利用した換気ができて、なおよいでしょう。暖かい空気は上へ昇る性質があるため、吹き抜けにすると、暖かい空気が自然と抜けていく環境がつくれ、風通しがよくなります。
高窓を開閉できるタイプにすれば、温度差を利用した換気ができて、なおよいでしょう。暖かい空気は上へ昇る性質があるため、吹き抜けにすると、暖かい空気が自然と抜けていく環境がつくれ、風通しがよくなります。
1階と2階でコミュニケーションがとりやすい
吹き抜けのもうひとつのメリットは、1階と2階の隔たりがなく、家族とのコミュニケーションをとりやすいことです。一般的な間取りの家では1階と2階で空間が分断されるため、家族の気配を感じ取りづらく、コミュニケーションをとる機会も断ち切られてしまいかねません。
一方、吹き抜けなら空間の分断が解消され、家族の気配を感じやすくなります。どこからでも声をかけやすく、また声も通りやすいため、自然とコミュニケーションをとる機会は増えるでしょう。2階にいる子どもに声をかける際にも階段を上り下りせずに済みます。家族のつながりを重視したい方にも、吹き抜けはオススメです。
一方、吹き抜けなら空間の分断が解消され、家族の気配を感じやすくなります。どこからでも声をかけやすく、また声も通りやすいため、自然とコミュニケーションをとる機会は増えるでしょう。2階にいる子どもに声をかける際にも階段を上り下りせずに済みます。家族のつながりを重視したい方にも、吹き抜けはオススメです。
吹き抜けのデメリット
吹き抜けにはメリットがある一方で、デメリットもあります。音や匂いが伝わりやすいこと、高所の掃除がしにくいこと、そして夏は暑く冬は寒くなりやすいことです。これら3つのデメリットについて詳しく解説します。
音や匂いが伝わりやすい
吹き抜けは1階と2階がつながっているため、音や匂い、煙などが双方に伝わりがちです。特に、キッチンの食器洗いの音、調理中の匂いや煙などは2階まで広がります。これらを防ぐには、吹き抜けに換気扇や換気窓を付ける、キッチンを半個室にするなどの対策が効果的です。
寝室に音が伝わるのを回避したい場合は、寝室を吹き抜けから離したり、寝室のドアを防音ドアにしたりするとよいでしょう。
寝室に音が伝わるのを回避したい場合は、寝室を吹き抜けから離したり、寝室のドアを防音ドアにしたりするとよいでしょう。
高窓やシーリングファンの掃除がしにくい
高所の掃除やメンテナンスがしにくいのも、吹き抜けのデメリットです。高窓やシーリングファンには手が届きづらく、自分で掃除するなら、柄が数メートル伸びるモップや高い脚立などを準備する必要があります。
天井に照明器具を設置した場合は、電球の交換も大変です。危険な作業になるため、自分で掃除やメンテナンスが難しい場合は業者を呼ぶのがオススメですが、費用がかかってしまいます。
天井に照明器具を設置した場合は、電球の交換も大変です。危険な作業になるため、自分で掃除やメンテナンスが難しい場合は業者を呼ぶのがオススメですが、費用がかかってしまいます。
冬は寒く、夏は暑くなりやすい
吹き抜けの空間は縦に長いため、室温にムラが出がちです。とりわけ冬には1階の床付近が冷えるというデメリットもあります。暖かい空気は上に昇っていき、冬は1階の室温が下がるため、寒さ対策が欠かせません。
また、夏は反対に、吹き抜け上部の高窓から入ってくる日差しが強く、暑くなりやすいのが難点です。太陽によって屋根も熱くなるため、暑さ対策も必須でしょう。室温のムラはエアコンやクーラーによって解消できますが、広い空間には効きづらく、使用時間が増えれば光熱費がかさんでしまいます。
また、夏は反対に、吹き抜け上部の高窓から入ってくる日差しが強く、暑くなりやすいのが難点です。太陽によって屋根も熱くなるため、暑さ対策も必須でしょう。室温のムラはエアコンやクーラーによって解消できますが、広い空間には効きづらく、使用時間が増えれば光熱費がかさんでしまいます。
吹き抜けの寒さを対策するには
前述した「冬は寒くなりやすい」というデメリットには、いくつかの対処法があります。以下のような対策を検討してみてください。
家自体の断熱性を高める
吹き抜けに限らず、家づくりにおける寒さ対策の基本は断熱性を高めることです。断熱性とは、外気温を遮断する能力がどれだけあるかを表します。断熱性が高ければ、外が寒くても室温に大きな影響を与えることはありません。
断熱性は用いる断熱素材や工法によって大きく左右されます。断熱性を高めるには、一般的に使われるツーバイフォー材よりも断熱性の高いツーバイシックス材を使用する、壁の内側と外側の2ヵ所に高性能断熱材を使用して断熱材の厚みを増すといった方法が有効です。外壁、床、天井など、外気に触れる部分には断熱材をびっしり入れることも欠かせません。断熱性を高めることで、冬場の寒さを緩和できるだけでなく、夏場の強い日差しも遮断できます。
断熱性は用いる断熱素材や工法によって大きく左右されます。断熱性を高めるには、一般的に使われるツーバイフォー材よりも断熱性の高いツーバイシックス材を使用する、壁の内側と外側の2ヵ所に高性能断熱材を使用して断熱材の厚みを増すといった方法が有効です。外壁、床、天井など、外気に触れる部分には断熱材をびっしり入れることも欠かせません。断熱性を高めることで、冬場の寒さを緩和できるだけでなく、夏場の強い日差しも遮断できます。
気密性を高める
気密性の低さも家の中が寒くなる原因です。
室内が寒いと感じる原因として、室内の暖かい空気が家の隙間から逃げてしまうことが挙げられます。逃げてしまった暖かい空気を補おうと隙間から冷たい空気が入ってくるため、室温が下がり、寒くなるという仕組みです。
気密性を高めるには気流止めをしっかりと行う必要があります。気流止めの方法には、気密シートを貼る、気密性を高める断熱材を使う、乾燥木材を使うなどが有効です。寒さを防止するには、断熱性と併せて気密性に関してもこだわる必要があります。気密性が高まれば、室内の空気が外に漏れづらく、外の空気は入ってきづらくなるため、夏も冬も快適に過ごせるでしょう。
室内が寒いと感じる原因として、室内の暖かい空気が家の隙間から逃げてしまうことが挙げられます。逃げてしまった暖かい空気を補おうと隙間から冷たい空気が入ってくるため、室温が下がり、寒くなるという仕組みです。
気密性を高めるには気流止めをしっかりと行う必要があります。気流止めの方法には、気密シートを貼る、気密性を高める断熱材を使う、乾燥木材を使うなどが有効です。寒さを防止するには、断熱性と併せて気密性に関してもこだわる必要があります。気密性が高まれば、室内の空気が外に漏れづらく、外の空気は入ってきづらくなるため、夏も冬も快適に過ごせるでしょう。
吹き抜けの窓の断熱性能を高める
吹き抜けには高窓を設けるのが一般的です。ただ、吹き抜けに窓があると、「コールドドラフト現象」が起こることもあります。コールドドラフト現象とは、室内の暖かい空気が窓に触れて冷たくなり、下に降りてくる現象です。吹き抜けの1階はただでさえ冷えやすいものですが、窓に触れて冷えた空気は、より寒さを感じさせるでしょう。
コールドドラフト現象を防止するには、窓の断熱性を高める必要があります。オール樹脂のサッシを用いる、ペアガラスやトリプルガラスにするなどの方法が効果的です。また、カーテンやロールスクリーンを取り付け、空気が触れるのを防ぐという方法もあります。
コールドドラフト現象を防止するには、窓の断熱性を高める必要があります。オール樹脂のサッシを用いる、ペアガラスやトリプルガラスにするなどの方法が効果的です。また、カーテンやロールスクリーンを取り付け、空気が触れるのを防ぐという方法もあります。
室内の空気を循環させる
前述したように、暖かい空気は上に昇っていき、冷たい空気は下に降りてくるため、室温のムラをなくすには、室内の空気を循環させなくてはいけません。
空気を循環させるには、天井にシーリングファンを取り付ける、サーキュレーターを設置するという方法があります。吹き抜けのある家にシーリングファンが付いているのを目にしたことのある人も多いでしょう。シーリングファンは撹拌能力に優れ、設置に場所もとらず、なんといっても見た目がおしゃれです。
また、空気を循環させる以外には、床暖房を設置して足元を温めるという方法もあります。
空気を循環させるには、天井にシーリングファンを取り付ける、サーキュレーターを設置するという方法があります。吹き抜けのある家にシーリングファンが付いているのを目にしたことのある人も多いでしょう。シーリングファンは撹拌能力に優れ、設置に場所もとらず、なんといっても見た目がおしゃれです。
また、空気を循環させる以外には、床暖房を設置して足元を温めるという方法もあります。
吹き抜けの施工例
「吹き抜け」と一口に言っても施工方法はさまざまです。素敵な吹き抜けの施工例を3つ紹介します。
吹き抜けとスケルトンの階段で開放感をより高める
リビング階段と組み合わせることによって、吹き抜け部分の面積をより広くできます。リビング階段にオススメなのは、蹴り込み板のない「スケルトン階段」です。スケルトン階段は見た目がおしゃれなだけでなく、圧迫感のなさがメリット。段と段のあいだに空間ができるため、採光や通気性、そして開放感がさらに高まります。
小さな子どもの転落や高齢者の転倒が心配という人は、段差を浅くする、手すりを付ける、ネットを張るなどして対策するとよいでしょう。
小さな子どもの転落や高齢者の転倒が心配という人は、段差を浅くする、手すりを付ける、ネットを張るなどして対策するとよいでしょう。
窓を多く設置し明るいリビングに
吹き抜けの高窓は、太陽の光を採り入れ、部屋の隅々まで明るくしてくれます。リビングに吹き抜けをつくって窓を多く設置すれば、より明るいリビングになり、家族が皆快適に過ごせるでしょう。
窓数を増やし上手く配置すれば、日中電気を点けなくてよくなるため、電気代の節約につながるというメリットもあります。大きな窓を設置する、長窓や小窓を並べて配置するなど、窓の配置方法はさまざまです。夏は窓から入ってくる日差しが強まり、暑くなりやすいですが、シーリングファンやカーテンを取り付けることで解消できます。
窓数を増やし上手く配置すれば、日中電気を点けなくてよくなるため、電気代の節約につながるというメリットもあります。大きな窓を設置する、長窓や小窓を並べて配置するなど、窓の配置方法はさまざまです。夏は窓から入ってくる日差しが強まり、暑くなりやすいですが、シーリングファンやカーテンを取り付けることで解消できます。
梁を見せて木の温もりある空間に
吹き抜けには、デザインとして梁を見せる「見せ梁(化粧梁)」という方法があります。梁を見せることでアクセントになり、室内が立体的かつおしゃれに見えるのが魅力です。木の素材を多く使い、普通は見えない梁が目に見えることで、温かみのある空間にもなるでしょう。
リビングの天井に梁を見せる、2階へ続く階段の途中で梁を見せるなど、梁を見せる場所や梁の色によっても印象は大きく変わります。ブラウンの梁は白色の天井や壁によく映え、梁と天井の色を揃えればナチュラルに立体感を演出できるはずです。また、梁に照明器具を吊り下げたり、ハンモックを掛けたりといったアレンジもできます。
吹き抜けによって空間に生まれる開放感は大きなメリットですが、寒くなりやすいというデメリットもあります。これらのメリット・デメリットは表裏一体です。しかし、断熱性・気密性を高めたり、空気を循環させたりすることで寒さは回避できます。しっかりと対策をすれば、デメリット以上に魅力を感じられるでしょう。
リビングの天井に梁を見せる、2階へ続く階段の途中で梁を見せるなど、梁を見せる場所や梁の色によっても印象は大きく変わります。ブラウンの梁は白色の天井や壁によく映え、梁と天井の色を揃えればナチュラルに立体感を演出できるはずです。また、梁に照明器具を吊り下げたり、ハンモックを掛けたりといったアレンジもできます。
吹き抜けによって空間に生まれる開放感は大きなメリットですが、寒くなりやすいというデメリットもあります。これらのメリット・デメリットは表裏一体です。しかし、断熱性・気密性を高めたり、空気を循環させたりすることで寒さは回避できます。しっかりと対策をすれば、デメリット以上に魅力を感じられるでしょう。
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