改修工事の意味とは? 修繕工事との違いや費用の相場についても紹介!
改修工事には建物の安全性の向上や資産価値などをはじめとした多くのメリットがあります。どれもオーナーにとって有意義な結果につながる内容です。代表的なメリットの詳細や修繕工事・改装工事との違い、改修工事の種類について詳しく解説します。
公開日 2023.01.23
更新日 2023.01.23
老朽化が進んだメンテナンスのひとつに改修工事があります。改修工事は劣化しがちな部分の機能を大きく向上させる方法です。資産価値が大きく向上する可能性もあります。使い心地・安全性・設備・資産価値…新築の頃よりどうしても劣化しがちな部分が目に付くようになったら、メンテナンスを考えるタイミングです。本記事では、老朽化した建物の改修工事について詳しく解説します。
改修工事とは修復前よりも改良する工事のこと
改修工事とは、老朽化した建物の損傷部分や劣化部分を直したうえで、建物の設備・機能などを新築時よりもグレードアップする工事です。大規模な改修工事の場合は、外観を含むケースもあります。
改修工事によって耐震性や警備面などの安全性が向上するほか、時代のニーズに合わせた設備への変更で、過ごしやすい環境を整えられます。昨今ではバリアフリー化や省エネ化が代表的です。
新しい付加価値が生まれるため、築年数以上の魅力を持つようになることも少なくありません。資産価値の向上にもつながり、物件のオーナーにとってもメリットが大きいでしょう。
改修工事は着手前に自治体か民間の指定検査機関への確認申請が必要です。建築基準法で定められている規則であり、省略できません。確認申請によって検査が行われ、建築基準法の規定を満たしていると判断されれば改修工事を始められます。
建築基準法の中で改修工事は「大規模の修繕」や「大規模の模様替え」と記載されるため、修繕工事や改装工事と同様の印象を持つ人もいます。しかし、実際には改修工事・修繕工事・改装工事はそれぞれ異なるため、工事を計画するのであればどのような違いがあるのかを把握しておいたほうがよいでしょう。
改修工事によって耐震性や警備面などの安全性が向上するほか、時代のニーズに合わせた設備への変更で、過ごしやすい環境を整えられます。昨今ではバリアフリー化や省エネ化が代表的です。
新しい付加価値が生まれるため、築年数以上の魅力を持つようになることも少なくありません。資産価値の向上にもつながり、物件のオーナーにとってもメリットが大きいでしょう。
改修工事は着手前に自治体か民間の指定検査機関への確認申請が必要です。建築基準法で定められている規則であり、省略できません。確認申請によって検査が行われ、建築基準法の規定を満たしていると判断されれば改修工事を始められます。
建築基準法の中で改修工事は「大規模の修繕」や「大規模の模様替え」と記載されるため、修繕工事や改装工事と同様の印象を持つ人もいます。しかし、実際には改修工事・修繕工事・改装工事はそれぞれ異なるため、工事を計画するのであればどのような違いがあるのかを把握しておいたほうがよいでしょう。
修繕工事との違い
修繕工事の目的は「劣化した部分を直し、建物を新築当初の水準に戻すこと」です。応急処置的な工事ではなく、居住空間の経年劣化やそのほかの不具合を本格的に直して問題なく住めるようにします。水準は「新築当初」のため、使用する建材は当初と同様か、あるいはそれに近い建材です。
一方、改修工事は前述の通り「建物を新築当初の水準以上にする付加価値がプラスされる」という性質です。修繕工事と比べると、機能をより改善させているか・いないかの違いが生まれます。現代のニーズへの合わせやすさは修繕工事よりも柔軟な面があるでしょう。
一方、改修工事は前述の通り「建物を新築当初の水準以上にする付加価値がプラスされる」という性質です。修繕工事と比べると、機能をより改善させているか・いないかの違いが生まれます。現代のニーズへの合わせやすさは修繕工事よりも柔軟な面があるでしょう。
改装工事との違い
改装工事は対象が外観・内装に限る工事です。劣化した箇所の修復ではなく、外観や内装だけを新しく作り直します。建物そのものの機能は変わりません。
代表的な作業内容は「壁紙の貼り替え」「床の張り替え」「ペンキの塗り替え」などが挙げられます。間取りや広さの変更は行いません。あくまで美観に関する範囲に限られた工事です。
代表的な作業内容は「壁紙の貼り替え」「床の張り替え」「ペンキの塗り替え」などが挙げられます。間取りや広さの変更は行いません。あくまで美観に関する範囲に限られた工事です。
改修工事における4つのメリット
改修工事には多くのメリットがあります。安全性・資産価値・設備レベル・利便性の向上が代表的です。改修工事によって建物のオーナーや使用者の双方がメリットを享受できます。
1. 安全性の向上
日本は災害大国です。地震やそのほかの災害で建物が受けるダメージは決して軽微ではありません。建物内で安心して過ごすためには充分な災害対策が求められます。建築基準法で耐震基準が定められているのはその一環です。
1981年には「震度5強の地震で損傷軽微、震度6強~震度7でも倒壊しない」という耐震基準が定められました。現在も建物の耐震基準として義務付けられています。
新耐震基準に適合して建築されていても、老朽化が進んだ建物は耐震性に不安が生まれがちです。改修工事は安全性を向上させ、不安を軽減します。
また、時代に合わせた防犯設備の設置で防犯面の強化も可能です。防犯カメラや侵入者を防ぎやすい金網などのセキュリティシステムを改修工事のタイミングで導入すれば、安心できる環境を整えられます。
このような環境は建物の付加価値としてプラス方面に作用し、後述する資産価値にもよい影響をもたらすでしょう。
1981年には「震度5強の地震で損傷軽微、震度6強~震度7でも倒壊しない」という耐震基準が定められました。現在も建物の耐震基準として義務付けられています。
新耐震基準に適合して建築されていても、老朽化が進んだ建物は耐震性に不安が生まれがちです。改修工事は安全性を向上させ、不安を軽減します。
また、時代に合わせた防犯設備の設置で防犯面の強化も可能です。防犯カメラや侵入者を防ぎやすい金網などのセキュリティシステムを改修工事のタイミングで導入すれば、安心できる環境を整えられます。
このような環境は建物の付加価値としてプラス方面に作用し、後述する資産価値にもよい影響をもたらすでしょう。
2. 資産価値の向上
改修工事は建物の資産価値を引き上げます。
建物の資産価値は年を経るごとに減少し、新築から20年ほどでほぼ無価値になるという説もあるほどです。
しかし、改修工事は新築当時よりもプラスアルファの機能や利便性を追加し、建物をグレードアップさせます。時代に合った高機能な設備の導入や安全性の向上といった面が高く評価され、新築当時よりも高く評価されることも少なくありません。
そのため、新築から年数が経った建物でも改修工事によって資産価値が上がる可能性が生まれます。
前述の修繕工事では改修工事のようなプラスアルファがなく、建物の機能を保てても資産価値の維持は難しいでしょう。資産価値を考慮するのであれば、「建物の機能の維持+プラスアルファの機能」が実現できる改修工事が適しています。
建物の資産価値は年を経るごとに減少し、新築から20年ほどでほぼ無価値になるという説もあるほどです。
しかし、改修工事は新築当時よりもプラスアルファの機能や利便性を追加し、建物をグレードアップさせます。時代に合った高機能な設備の導入や安全性の向上といった面が高く評価され、新築当時よりも高く評価されることも少なくありません。
そのため、新築から年数が経った建物でも改修工事によって資産価値が上がる可能性が生まれます。
前述の修繕工事では改修工事のようなプラスアルファがなく、建物の機能を保てても資産価値の維持は難しいでしょう。資産価値を考慮するのであれば、「建物の機能の維持+プラスアルファの機能」が実現できる改修工事が適しています。
3. 設備レベルの向上
築年数が経過した建物は、設備が古くなっています。あるいは設備自体は万全でも、現代のライフスタイルとニーズが一致せず、使いにくい・古臭いと感じる部分が出てしまうケースもあるでしょう。
改修工事はそのような問題点を解決できます。時代に合わなくなったものを最新の設備に交換し、レベルアップが図れるためです。
例えば、「給水・排水設備」「断熱設備」などの交換は建物全体の質を向上させる大きな効果が期待できます。
古い水回りは使い勝手がよくないと感じるほか、ニオイや衛生面が気になることもあります。その場合は、新しい給水・排水設備への交換で解決が可能です。新しい断熱設備への交換は冷暖房の効率を上げられ、過ごしやすさだけでなく光熱費節約にも大きく貢献します。
改修工事はこのような設備面を一新するよいタイミングです。改修工事ならではのプラスアルファを追加できる要素としても注目したいメリットですね。
改修工事はそのような問題点を解決できます。時代に合わなくなったものを最新の設備に交換し、レベルアップが図れるためです。
例えば、「給水・排水設備」「断熱設備」などの交換は建物全体の質を向上させる大きな効果が期待できます。
古い水回りは使い勝手がよくないと感じるほか、ニオイや衛生面が気になることもあります。その場合は、新しい給水・排水設備への交換で解決が可能です。新しい断熱設備への交換は冷暖房の効率を上げられ、過ごしやすさだけでなく光熱費節約にも大きく貢献します。
改修工事はこのような設備面を一新するよいタイミングです。改修工事ならではのプラスアルファを追加できる要素としても注目したいメリットですね。
4. 利便性の向上
建物や設備など住環境に関する技術は頻繁に革新がおき更新されていきます。建築当初にはなかった最新の技術の導入で生活の利便性が大きく上がり、快適に暮らせるようになるでしょう。
例えばバリアフリー化です。近年は身体機能に衰えが出る高齢者世代やハンディキャップを持つ人が出入りしやすいバリアフリー化の推進が盛んです。
屋外と屋内を安全に移動できるように段差をなくしたり、手すりを設置したりなど、幅広い属性の人々が快適に利用できる機能を取り入れるのも利便性の向上につながります。
アパートやマンション、ビルであれば共用部分の利便性にも注目してみましょう。宅配ロッカー、共用ラウンジなどの設置は環境改善に役立ちます。前述の防犯設備も利便性の向上に貢献できる要素です。
住み心地、快適性、利便性の充実は生活の質を上げる効果があります。「より過ごしやすい環境がよい」と考える層に訴求し、建物の評価や資産価値にもプラスの影響を与えるでしょう。
例えばバリアフリー化です。近年は身体機能に衰えが出る高齢者世代やハンディキャップを持つ人が出入りしやすいバリアフリー化の推進が盛んです。
屋外と屋内を安全に移動できるように段差をなくしたり、手すりを設置したりなど、幅広い属性の人々が快適に利用できる機能を取り入れるのも利便性の向上につながります。
アパートやマンション、ビルであれば共用部分の利便性にも注目してみましょう。宅配ロッカー、共用ラウンジなどの設置は環境改善に役立ちます。前述の防犯設備も利便性の向上に貢献できる要素です。
住み心地、快適性、利便性の充実は生活の質を上げる効果があります。「より過ごしやすい環境がよい」と考える層に訴求し、建物の評価や資産価値にもプラスの影響を与えるでしょう。
改修工事の種類
改修工事には複数の種類があります。目的に応じた工事を選び、今の時代に合わせた建物にグレードアップしましょう。
耐震改修工事
耐震改修は災害に備えた改修工事です。建物の構造補強が一般的で、安全性を高めるために行われます。コンクリート基礎の亀裂の修復・鉄筋入り基礎の増打ち・壁の補強など、状況に応じた工事が必要です。
耐震改修を重点的に意識したい建物は「老朽化が目立つ」「ピロティが1階に設置されている」「大規模な吹抜がある」「3階以上、延面積1,000平方メートル以上の建物」です。地震の揺れに弱いと考えられる部分を持つ建物が該当します。
また、最も注意したい点は建物の築年数です。前述した新耐震基準が制定される以前に建てられたのであれば、新耐震基準に則した改修工事をしなくては法的な安全性が確保できません。建築が1981年(昭和56年)5月31日より前なら新耐震基準に適合していない恐れがあるため、オーナーはぜひ再確認して下さい。
費用は建物の規模や状態で変わりますが、木造住宅なら約100~150万円が一般的です。国や地方公共団体の助成制度・融資制度が使える工事のため、建物がある地域で確認してみて下さい。
耐震改修を重点的に意識したい建物は「老朽化が目立つ」「ピロティが1階に設置されている」「大規模な吹抜がある」「3階以上、延面積1,000平方メートル以上の建物」です。地震の揺れに弱いと考えられる部分を持つ建物が該当します。
また、最も注意したい点は建物の築年数です。前述した新耐震基準が制定される以前に建てられたのであれば、新耐震基準に則した改修工事をしなくては法的な安全性が確保できません。建築が1981年(昭和56年)5月31日より前なら新耐震基準に適合していない恐れがあるため、オーナーはぜひ再確認して下さい。
費用は建物の規模や状態で変わりますが、木造住宅なら約100~150万円が一般的です。国や地方公共団体の助成制度・融資制度が使える工事のため、建物がある地域で確認してみて下さい。
バリアフリー改修工事
ハンディキャップを持つ人々のため、バリアフリーを取り入れる改修工事です。2006年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)」が施行され、建物のバリアフリー化への取り組みが求められるようになりました。
出入り口や通路幅を拡張して車椅子で移動しやすくしたり、急な階段の撤去・改良で安全性を高めたりなど、バリアフリー新法では多くの指針が設けられています。ほかにも浴室・トイレ・扉など細かい部分の指針があり、バリアフリー改修工事を手がけるのなら充分なリサーチが必要です。
費用は改修箇所や規模によって変わります。例としては、歩行用スロープの設置が約2~4万円(1㎡あたり)、トイレの手すりの設置で約2万~10万円がよく見られる料金帯です。建物全体をバリアフリー改修するのであれば1,000万円以上の費用が必要でしょう。
なお、個人がバリアフリー改修工事を行う場合、住宅特定改修特別税額控除(所得税の優遇措置)が受けられます。もとは住宅ローンの控除として知られる優遇措置ですが、一定の要件を満たせばバリアフリー改修工事にも適用されるようになりました。必要な人は積極的な利用を検討してみてはいかがでしょうか
出入り口や通路幅を拡張して車椅子で移動しやすくしたり、急な階段の撤去・改良で安全性を高めたりなど、バリアフリー新法では多くの指針が設けられています。ほかにも浴室・トイレ・扉など細かい部分の指針があり、バリアフリー改修工事を手がけるのなら充分なリサーチが必要です。
費用は改修箇所や規模によって変わります。例としては、歩行用スロープの設置が約2~4万円(1㎡あたり)、トイレの手すりの設置で約2万~10万円がよく見られる料金帯です。建物全体をバリアフリー改修するのであれば1,000万円以上の費用が必要でしょう。
なお、個人がバリアフリー改修工事を行う場合、住宅特定改修特別税額控除(所得税の優遇措置)が受けられます。もとは住宅ローンの控除として知られる優遇措置ですが、一定の要件を満たせばバリアフリー改修工事にも適用されるようになりました。必要な人は積極的な利用を検討してみてはいかがでしょうか
防水工事
屋根、外壁に見られる損傷や劣化を直す工事です。建物の損傷・劣化の原因には長年当たる風雨があります。放置しておくと損傷・劣化が進み、外壁のタイルや塗装が剥がれやすくなるため、改修が必要です。
防水工事は屋根・外壁を直すだけではなく、防水性の向上も含まれ雨漏り対策にも有効です。
雨漏りは生活の質を下げ、外壁から剥がれたタイルや塗装は建物外の車両や通行人に危険を招く恐れもあります。防水工事は建物のメンテナンスで機能性を上げるだけではなく、望まない事故を遠ざける効果が期待できる大事な工事です。
防水工事の費用は採用される工法によって開きがありますが、約70~120万円はかかると考えておきましょう。
防水工事は屋根・外壁を直すだけではなく、防水性の向上も含まれ雨漏り対策にも有効です。
雨漏りは生活の質を下げ、外壁から剥がれたタイルや塗装は建物外の車両や通行人に危険を招く恐れもあります。防水工事は建物のメンテナンスで機能性を上げるだけではなく、望まない事故を遠ざける効果が期待できる大事な工事です。
防水工事の費用は採用される工法によって開きがありますが、約70~120万円はかかると考えておきましょう。
その他の工事
改修工事のそのほかの種類は設備の取替・改修です。例としては劣化しやすい給水管や排水設備が挙げられます。メンテナンスだけではなく、定期的な改修工事が求められる箇所です。
ほかにもガス・空調・換気設備、消化器設備、集合住宅やオフィスビルのような複数階層の建物ではエレベーター設備の改修工事も含まれます。機械式駐車場を導入している建物ならそちらも改修工事の対象として考えましょう。費用はそれぞれの工事箇所で違います。
建物の安全性・快適性・利便性などを維持するためには、幅広い部分で適切な改修工事が必要です。同時に改修工事によって新築当時よりもプラス評価を生み、資産価値を高めるメリットもあります。
ほかにもガス・空調・換気設備、消化器設備、集合住宅やオフィスビルのような複数階層の建物ではエレベーター設備の改修工事も含まれます。機械式駐車場を導入している建物ならそちらも改修工事の対象として考えましょう。費用はそれぞれの工事箇所で違います。
建物の安全性・快適性・利便性などを維持するためには、幅広い部分で適切な改修工事が必要です。同時に改修工事によって新築当時よりもプラス評価を生み、資産価値を高めるメリットもあります。
WRITTEN BY
Japan
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