火を愉しむDIY!素焼きの鉢でタンドール窯作り!
「いつでも焼きたてのナンが食いたい!」そんな燃え上がる欲望に胸を焦がし、日本唯一のDIY・日曜大工の専門誌「ドゥーパ!」の編集部員さんがタンドール窯作りをレクチャー。どこでも持ち運び可能なサイズで、徹底的に軽さを追求。完成したのは入れたものをなんでも美味しく焼き上げてしまう、驚異の窯でした…。
公開日 2019.03.05
更新日 2022.01.07
INDEX目次
そして今回“なければ自分で作る”ということで、タンドール窯作りを実践してもらいます。
ただ早速、問題が発生!本場のタンドール窯を調べてみると総重量60kg以上にもなってしまうんらしいんです。それでは“いつでも、どこでも”というテーマから大きく外れてしまいます。車での移動はもちろん、手持ちで持ち運べることを想定すると、目指す重さは10kg以下。さらには、友人に自慢できるように見た目にもこだわりたい……。そこで編集部員さんが用意したのはペール缶とテラコッタの素焼き鉢、そしてオリジナルミックスの断熱材。果たして、どんなオリジナルのタンドール窯が完成するのか。その一部始終をとくとご覧ください!
そもそもタンドール窯とは?
こちらがポータブル・タンドール窯の設計図。製作時間はなんとまさかの半日!重さもわずか7㎏!材料費はたった4000円!というテーマにそった仕様となっているんです。
用意した材料
・テラコッタの鉢(径260×高さ310㎜)
・パーライト(18ℓ)1袋
・バーミキュライト(3ℓ)1袋
・川砂(適宜)
・単管パイプ(径38㎜)
・焼き網など
※塗料は好みのものを用意してください
用意した道具
・ディスクグラインダー(ダイヤモンドホイール/金属用切断砥石)
・ジグソー(鉄工用ブレード)
・カナヅチ
・センターポンチ
・棒ヤスリ
・カッター
・スコップ
・メジャーなど
STEP.01 ペール缶を好きなデザインに塗装する
こちらが素焼きの鉢を入れるペール缶。早速、塗装開始!といきたいところですが、このままでは水性塗料がはじかれて塗れません。ということで、まず始めたのは缶の表面についた油脂を落として下地作りからスタート。ラッカー薄め液を全体に塗布した後、スプレー式のメタルプライマーを振りかけます。
塗装に準備したのは、ごく普通の水性ペンキ。窯の内部は300~500度まで上がるタンドール窯ですが、断熱材がしっかり熱を遮断してくれるとの判断からのチョイス。なお赤と黄色はなんとなくカレーの色をイメージしたんだそう。
プライマーが乾いたのを確認し、刷毛で水性塗料を塗っていきます。下地を作ったおかげでキレイに塗料が乗りました!
ただ色を塗るだけではつまらないので、自作ステンシルシートを作って、文字を入れることにしました。ヒンドゥー文字っぽい雰囲気のフォントを探し、型紙を製作。文字は「Ultra」「Light」「Tandoor」の3語を作りました。
ペール缶にステンシルを施したら、デザインは完成。
STEP.02 断熱材をブレンドする
オリジナルミックスの断熱材はパーライトをメインに、バーミキュライトと川砂を混ぜてみました。比率はパーライト7:バーミキュライト2:川砂1くらい。さらに耐火セメントを混ぜて固める方法もあるようですが、重量が出るのでやめました。なお、この組み合わせや比率に科学的根拠はなく感覚と軽さ重視で決めたそうなので、みなさんそれぞれで試してください。
STEP.03 ペール缶のフタを丸く切り抜く
ペール缶の内側に基礎となる断熱材の厚さを墨つけします。後に素焼きの鉢を入れる際、断熱材の量を微調整するので、目安でかまいません。
ペール缶のフタを円形に切り取るため、フタの裏側に墨つけします。今回はちょうどいいサイズの鍋ブタがあったので、それを定規にラインを引きました。もちろんコンパスを使ってもOKです。
ドリルドライバーに金属用のドリルビットを取り付け、下穴をあけます。ドリルの刃が滑らないようにセンターポンチで1点凹みを作っておくと穴があけやすいです。ビットの径はジグソーのブレードが入るサイズを選びましょう。
ジグソーに金属用のブレードを取り付け、墨線に合わせ円形にカットしていきます。カットしたフタは棒やすりなどでバリを取っておきましょう。
ペール缶内部に墨つけしたラインまで断熱材を充填します。仕切りとして、焼き網を入れてみました。
STEP.04 素焼きの鉢をカットする
ペール缶に実際に素焼きの鉢をあてがい、上からフタを落とし、そのラインに合わせて墨線を引きます。なお、ペール缶のサイズに合う鉢を見つけるのにホームセンターを何軒もハシゴしたことをここに付け加えておきます。みなさんのご武運を祈ります。
ダイヤモンドカッターを装着したディスクグラインダーで鉢の底をカット。鉢にヒビが入らないように慎重に作業を行いましょう。
STEP.05 単管パイプで空気調整口を作る
単管パイプで空気調整口を作ります。ペール缶と鉢の間を通すだけなので長さは短くてOK。現物にあてがって墨つけしましょう。
単管パイプは金属用切断砥石を装着したディスクグラインダーでカット。
缶の内部に充填した断熱材の厚みを考慮して、空気調整口の位置を決めます。カットした単管パイプをあてがって墨線を引きましょう。
フタのカットと同様、ドリルで下穴をあけてジグソーで穴を切り抜きます。円のサイズが小さいので刃を切り進めるのがけっこうシビアな作業です。もちろん別の方法であけるのでもOKです。
STEP.06 素焼きの鉢に穴をあける
再び缶の中に鉢を入れ、ペール缶にあけた穴から鉢に墨つけします。
今度は素焼きの鉢に38㎜径の穴をあけていきます。ドリルドライバーに陶器用のドリルビットを装着し、円形に穴をあけます。割れてしまわないよう慎重に作業しましょう。
穴をあけたら棒ヤスリできれいな円を成型。ただ、棒ヤスリでやるのはヤスリの目が詰まっちゃうのであまりオススメできません。
STEP.07 各部材を組み立てる
ペール缶に鉢をセットし、空気調整口のパイプをセット。見事、ぴったりはまりました!
仕上げに鉢の周囲にオリジナルミックスの断熱材をしっかり詰めていきます。
ついに完成!!せっかくなので、この自作タンドール窯を使ってナンを焼いてみました。
番外編 窯の火入れからナン作り
窯の中に炭を入れ、空気調整口からバーナーを突っ込み着火!
さらに空気調整口にドライヤーをあて、風であおれば完璧。フタをして、窯が温まるのを待ちましょう。
打ち粉を広げたまな板でナン生地を伸ばします。ここで打ち粉をつけ過ぎると窯に張りつかなくなるのでご注意を!
バシッ!と窯にナン生地を叩きつけます。熱いので勢いが大事です。
1分少々するとぷっくりと膨れてきます。表面がキツネ色になってきたら頃合いです。
ふっくらもちもち、焼き立てナンができました!
まず調理時間が早い。しっかりと内部の温度が上がったタンドール窯は、ナンは1分少々で焼けちゃう。タンドーリチキンですら10~15分くらいでOK。遠赤外線の効果か外はパリッと、中はふっくらジューシー!余分な油は下に落とし、旨みだけをギュッと閉じ込めるから、もう本当に美味い。焼き上げた肉や魚を串から取り外した瞬間、「ぷすっ!」と音を立てて爆ぜる瞬間がもうたまりません。
さらにポイント高いのは、炭を使った窯なので使用時の煙が少ないこと。肉や魚から落ちる油を熱源の炭に当てないように気をつければ、煙がほとんど出ません。これならお隣さんを気にせず、堂々とパーティーができます!ピザ窯じゃこうはいかない。薪と違って、炭ならすぐに手に入るのもポイントです。
最後に、こだわった重さ。ペール缶に詰める断熱材はパーライトをメインにブレンドし、なおかつセメントで固める方法を避けた結果、7kgという軽さを実現。まさにポータブルの名に恥じない持ち運びやすさを実現させたんです。本当にポテンシャルは高いので、みなさんもぜひタンドール窯を自作して、オリジナルの窯料理を好きな場所で楽しんでみてください!
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Japan
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