オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説

「原状回復」とは物件を入居時の状態に戻して返却することをいいますが、オフィスの場合、何をどこまで行うべきなのでしょうか。本記事では、原状回復のポイントや内容、大まかな流れや費用相場などをまとめました。これからオフィスの退去や移転などを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

公開日 2021.11.25

更新日 2021.11.25

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説

オフィスを退去する時、今借りている賃貸を本来あるべき姿に戻す「原状回復」が必要です。原状回復はオフィスの規模や業種などに関わらず、必ず行わなければならないため、あらかじめ費用相場やスケジュールなどの情報を集めておくとよいでしょう。本記事では、原状回復の基本的な知識に触れながら、費用や工期、大まかな流れなどを紹介します。これからオフィスの退去や移転などを検討している人は、ぜひ参考にしてください。

そもそも原状回復とは?

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
多くの物件は業者に内装を修繕してもらい、入居時と同じ状態に戻してから貸主に返却しなければなりません。この義務を「原状回復」といいます。しかし、すべての物件が同じ内容で原状回復を行うわけでなく、物件の種類によって「何をどこまで回復するのか」という程度や、「貸主負担で回復するものの範囲」なども異なります。あらかじめ借りている物件のルールを確認しておくことが大切です。

2020年4月以降は改正民法で義務化

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
原状回復は、2020年4月に施行された改正民法(621条)により義務化されました。同法は、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を条文化したものです。

国土交通省は、通常消耗や経年劣化などには回復の義務が発生せず、「借主の故意や過失、通常使用の範囲を超える消耗などに対し原状回復を行う必要がある」と定めています。そのため、通常使用の範囲内であれば、経年によって変色したクロスや寿命が過ぎた設備などは、借主の負担で原状回復をする必要はないのです。

しかし、注意すべきなのは、この原状回復の条文は任意規定と考えられていることです。任意規定とは、「必要に応じて当事者の意思で変更が認められている」規定です。そのため、原状回復に関して物件独自の特約が設けられている場合、そちらを優先しなければなりません。契約時の賃貸契約書に原状回復の特約がある場合は、民法ではなく契約書の内容が適用されるので注意しましょう。

また本条文は、まだ施行されたばかりの新しい取り決めです。2020年4月1日以前に取り交わされた賃貸契約では改正前の民法が適用されるので、自社オフィスが「いつ契約した物件か」についてもよく確認しておいてください。

通常の賃貸住宅とオフィスの原状回復に違いはある?

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
一般住宅とオフィス・事務所・商業施設の物件では、原状回復にどのような違いがあるのでしょうか。一般住宅の場合、改正民法にあるように、生活していくうえでやむを得ない消耗や経年劣化などは、自分で補修する必要がありません。しかし、タバコのヤニや黄ばみ、ペットの臭い、誤って付けてしまった傷など、借主の過失や通常の範囲を超える損傷などは、自分で原状回復をする必要があります。

一方、オフィス・事務所・商業施設の物件などは、賃貸契約書に特約を設け、独自のルールを定めているケースがほとんどです。特約の内容は物件によって異なるものの、「一般住宅では補修をする必要がない通常消耗や経年劣化」についても、原状回復を行わなければならない場合もあります。基本的には、一般住宅と比較して、原状回復の範囲が広いので注意しましょう。

オフィス解約時の原状回復義務の範囲とは

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
契約内容によって原状回復の範囲が異なるオフィス用物件ですが、具体的に何をどこまで補修する必要があるのでしょうか。オフィス用の物件は、一般住宅よりも多くの人が利用し、業種によっては消耗の程度が大きくなるため、通常消耗や経年劣化のレベルを予想するのは容易ではありません。そのため、基本的には100%借主の負担で原状回復を行わなければなりません。什器の撤去やクロス・カーペットなどの張り替え、配線撤去などを行い、内装やレイアウトはすべて借りた時の状態にして返却する必要があります。

オフィスの原状回復工事にかかる費用相場

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
オフィスの原状回復工事にかかる費用は、物件の状態や規模などによって幅があるものの、坪単価あたり2万~10万円ほどが一般的です。100坪以上の大規模なオフィスであれば、坪単価あたり5万円以上を目安とするとよいでしょう。

一方、築年数の古い物件や凝った内装のオフィス、水回りを新たに造作した場合などは、相場よりも費用が高くなる可能性があります。地域や季節などによっても費用が変わりやすいので、あくまで予算を組む際の目安程度に捉えておきましょう。

原状回復の工期目安

原状回復の工期は、2週間〜1ヶ月ほどが一般的です。100坪以上の大規模なオフィスについては、だいたい1ヶ月前後を目安とするとよいでしょう。注意すべきなのは、必ず賃貸契約の期間内に原状回復工事を終えなければならないことです。解約日の1ヶ月以上前には引っ越しを済ませ、万が一工期が延びた場合なども想定し、契約期間に余裕を持って工事を依頼しましょう。

原状回復工事の流れ・スケジュール

ここでは、原状回復工事の流れを項目ごとに解説します。注意すべきことや重要なポイントなども併せて紹介しますので、オフィス移転や退去のスケジュールを決める参考にしてください。

原状回復範囲・約款の確認

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
オフィス・事務所・商業施設などの原状回復で重要視されるのは、契約書の内容や契約時の取り決めです。オフィスの退去が決まったら、まずはそれらの内容を確認し、「何をどれくらい補修する必要があるのか」を把握しましょう。

多くの場合は、「原状回復の費用はすべて借主が負担すること」「通常消耗や経年劣化などに関わらず入居時の状態まで回復させること」などが特約によって詳しく定められています。
しかし、小規模のオフィスなどでは、稀にそのような特約が設けられていなかったり、内容が曖昧だったりするケースも見られます。そのような場合は、改正民法の内容に沿って原状回復を行うのが一般的ですが、まずは貸主や管理会社に内容を確認するとよいでしょう。原状回復の範囲や費用などをめぐりトラブルが発生することも少なくないため、あらかじめそれらを明確にしておくことが大切です。

貸主側への解約連絡・施工業者の手配

原状回復の範囲を確認したら、貸主側への退去通告や施工業者の手配などを進めていきます。解約予告期間はテナントごとに異なり、小規模なオフィスなら3ヶ月ほど、大規模なオフィスなら6ヶ月ほどが一般的です。期日を過ぎると退去できないこともあるので、契約書の内容をよく確認し、適切な方法で期間に余裕を持って解約通知を提出しましょう。

また、オフィスの移転を行う場合は、物件の選定や引っ越し作業、新オフィスの内装工事など、さまざまな作業が必要です。オフィスの規模が大きいと工期も長くなるため、スケジュールに余裕を持って半年以上前から解約告知を行っておくとよいでしょう。

原状回復工事の現地調査・見積もり

工事を依頼する業者は、必ずしも借主が自分で選ぶわけではありません。契約書に指定業者が記載されている場合は、その業者に依頼する必要があります。指定外の業者に依頼するとトラブルに発展する可能性もあるので、注意しましょう。

業者に問い合わせをしたら、現地調査に来てもらい、見積もりを依頼します。指定業者が決まっていない場合は、複数の業者に相見積もりを依頼し、金額や実績、担当者の雰囲気、打ち合わせの様子などを考慮しながら適切な業者を選ぶとよいでしょう。最初から1社に絞ると費用の相場を把握しづらいため、2〜3社ほどを目安に複数の業者を比較検討するのがオススメです。

工事のスケジュール調整~着工~引き渡し

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
見積もりが完成し、原状回復工事の内容が決定したら、スケジュールの調整を行います。着工日や完成予定日などを明確にし、きちんと物件の契約期間中に作業が完了することを確認しましょう。

工事期間中は、スケジュール通りに作業が進んでいるかを定期的に報告してもらい、現場を業者に任せきりにしないことが大切です。工事が完了したら、「契約内容に沿った工事が行われているか」「すみずみまで補修が行われているか」などを貸主や管理会社に確認してもらい、問題がなければ引き渡しを行います。

オフィスの移転を行う場合は、退去の手続きと同時に、新しいオフィスの準備を進める必要があります。「原状回復工事の着工時に、新しいオフィスで仕事を継続可能となっている」のが理想的でしょう。追加工事の発生や工期のずれなども視野に入れ、余裕を持ってスケジュールを立てることが大切です。

原状回復時の注意点は?

オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
原状回復工事には多くの費用がかかり、内容も業種や物件によって異なるため、貸主との間にしばしばトラブルが発生することもあります。よく見られるのは、「工事費用をどれくらい負担するのか」「どの程度まで原状回復すべきなのか」など、認識の食い違いによるトラブルです。

一般住宅とオフィス用物件では原状回復の範囲が異なり、賃貸借契約書の内容によっても工事の内容はさまざまです。不明点をそのままにしておくと、適切な工事が行われない可能性もあるので、曖昧な内容やわからない部分などがあれば、きちんと貸主や管理会社に相談しましょう。

また、オフィス用物件では工事を依頼する業者が契約時に指定されているケースがほとんどです。勝手にほかの業者に依頼すると、契約違反になってしまうこともあるので注意しましょう。もし自分で業者を選びたい場合は、あらかじめ貸主に可否確認を行うことが大切です。

オフィスの移転を行う場合は、移転スケジュールを考慮し、適切なタイミングで原状回復工事を行わなければなりません。原状回復工事の着工は基本的に、新しいオフィスへの引っ越しが終わったあとに行います。それぞれのタイミングがずれると、業務を一時中断せざるを得ないため、オフィス移転のスケジュールは期間に余裕を持って慎重に立てる必要があります。
オフィス退去時の原状回復のポイントは?費用相場や注意点と併せて解説
原状回復は、賃貸物件を退去する際に必ず行わなければならない義務です。多くの物件は、内装を入居時と同じ状態に戻してから、貸主に返却しなければなりません。一般住宅であれば、通常消耗や経年劣化は貸主の負担で修復してもらえるものの、オフィス・事務所・商業施設などの多くは、100%借主の負担で原状回復する必要があります。詳しい内容は物件によって異なるため、賃貸借契約書をよく確認してから実行に移しましょう。

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