巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!

家の中でさまざまな役割を果たす巾木。バリエーションが複数あり、家のデザインにあわせて決められます。また、巾木は理想の家づくりや快適な生活を送るために、欠かすことができません。そんな巾木の特徴や役割について詳しく紹介します。

公開日 2023.04.27

更新日 2023.04.27

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!

床と壁の境目にある巾木は、快適に暮らせる家づくりで大切な役割を果たしています。床と壁の間にできる隙間を塞ぐほか、家のダメージを軽減させるなど、複数の面で役立つ部分です。

巾木はバリエーションが多いため、注文住宅やリフォーム、DIYなどで家のデザインを決めるときに何を選ぶべきか迷ってしまうかもしれません。また、 幅木や廻り縁との違いも把握しておくとスムーズに計画が立てられます。

巾木の役割や選び方、 幅木や廻り縁との違いなどについて詳しく紹介します。

巾木(はばき)とは?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木とは、床と壁の隙間にある部材をさします。家づくりでは床材と壁材を接合する際に隙間ができます。その隙間を隠すために、巾木が用いられます。地震の時には緩衝材として衝撃を分散させ、住宅を守る役割も果たす頼もしい存在です。幅はそれほど広くなく、3~10cmほどです。

巾木は機能的な役割だけではなく、部屋の雰囲気やデザインにも影響を与えます。素材や色、形状は、インテリアデザインにあわせて選べるように、さまざまなバリエーションが用意されています。

そのため、注文住宅やDIY、リフォームなどの計画を立てる時にも巾木の選び方は重要です。部屋全体の印象を考え、より理想の家に近づけるよう、適切な巾木を選びましょう。

巾木と幅木・廻り縁の違いは?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木と似ている部材として、「幅木」「廻り縁」があります。巾木と混同されることがあるため注意が必要です。

幅木とは?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
幅木とは、巾木と同じ意味で使われている呼称です。呼び方が異なるだけで、床と壁の境目に取り付ける部材であることは巾木と変わりません。

もともとは「幅木」と書きますが、建築業界では「巾木」という表記が多く使われています。とはいえ前述の通り意味は同じであるため、「幅木」「巾木」のどちらで表記されていても「床と壁の境目にあるあの部材のことだな」と判断して差し支えありません。

廻り縁とは?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
廻り縁とは、天井と壁の境目に取り付ける部材です。役割そのものは巾木と同様ですが、巾木は床と壁、廻り縁は天井と壁に用いるという点で違いがあります。

巾木と同様に部屋全体の印象を左右する部材であり、素材、色、形状などのバリエーションが豊富です。家のデザインをする時には巾木同様に適切な廻り縁を選びましょう。

巾木はなぜ必要なのか?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木は小さな部材に見えるため「必要ない」と考える人がいるかもしれません。しかし、巾木は人が住む家の中で大切な役割を果たしています。

床と壁の境目を綺麗に見せるため

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木は床と壁の境目にできる隙間を隠しますが、この隙間は欠陥ではなく、わざと設けられている部分です。建物は温度や湿度の変化で床材や壁材が膨張、収縮する性質を持っています。その動きに対応するため設けられるのが、床と壁の境目にある隙間です。

しかし、隙間が剥きだしのままでは見た目が悪いため、巾木で目隠しをして綺麗な境目に整える必要があります。

このように、巾木は室内を美しく仕上げるために大切な役割を果たしています。

壁の汚れやダメージを防ぐため

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木は壁の汚れやダメージを防ぐ役割も持っています。掃除の時、掃除機やモップが壁に当たると壁紙が汚れたり傷みやすくなったりしますが、巾木があればそのダメージの軽減が可能です。

巾木がなければ汚れや傷みで壁紙の張り替えが必要になり、手間や費用がかかるという問題が生まれます。長期的に家を美しく維持するためにも、巾木は欠かすことができません。

巾木にはどんな種類がある?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木はバリエーションが豊富です。素材やコストについて検討しながら、最適なものを選びましょう。

1. 木巾木

木巾木は、木造住宅で使われる一般的な巾木です。厚みがしっかりしており、剥がれない性質で、木の質感で豊かな自然の風合いを出せる特徴があります。木造建築の柔らかい雰囲気にあわせた巾木がほしい時に活躍する巾木です。

木巾木は、中央部分にある溝に針と接着剤で固定します。この溝のおかげで釘が目立ちづらくなるのも、木巾木ならではのメリットです。

家や部屋全体に統一感を出したい、できるだけ作業痕を隠したいなどの希望に添いやすいため、巾木の種類を選ぶ時には選択肢のひとつとして重宝されています。

2. ソフト巾木

ソフト巾木は、主に塩化ビニル素材で作られており、柔軟性を持つ巾木です。鉄筋造りや鉄筋コンクリートで多く用いられています。

素材が柔らかく、容易に曲げられるため、施工しやすいのが特徴です。水分に強く汚れが付きづらい性質もあり、クッションフロアのトイレや洗面所などの水場で使うことにも適しています。
また、柔らかさを活かして掃除機などが当たる衝撃を和らげられるのも、塩化ビニルならではの強みです。

また、木巾木よりもリーズナブルで、予算面で節約したい時にも活躍する巾木です。

3. タイル巾木

タイル巾木とは、タイルを使った巾木で、主に玄関で使用されます。

玄関にある土間は床と壁が接した構造になっており、隙間が生じません。そのため本来、巾木は不要ですが、玄関に使うタイル材とのテイストをあわせることで、見た目を綺麗に整えるために用いられています。

また、床と壁の接地部分の隅にはゴミが溜まりやすくなりがちです。タイル巾木を入れると掃除がしやすくなるため、タイル巾木を導入することもあります。その時に使われるタイル巾木は内幅木タイルという種類で、下部が曲げられているのが特徴です。

4. アルミアングル

アルミアングルは、アルミ巾木とも呼ばれる巾木です。名称の通り素材にアルミが使われており、「L」の形状をしています。家づくりのためだけではなく、機械や装置などにも使われる部材です。

家づくりにおいてアルミアングルを巾木として使うのは、デザイン的に巾木を取り入れたくない場合が多いです。

デザインにこだわりがある人の要望を叶えることができるアルミアングルですが、ソフト巾木よりもコストがかかりやすいという一面もあります。

巾木を選ぶ時に注目したい3つのポイント

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
巾木を選ぶ時には色、サイズ、機能性に注目しましょう。それぞれ3つのポイントについて解説します。

1. 色で選ぶ時のポイント

巾木を選ぶ際、色は大切なポイントのひとつです。床の色と巾木の色をあわせると、床が広くなったように感じられ、狭い部屋でも広がりのある印象が生まれます。

巾木を目立たせたくなければ、壁の色とあわせるのがオススメです。巾木を目立たなくさせるだけでなく、壁の広さと天井の高さが増したように感じる効果もあります。

あえて床や壁と違う色を選ぶのも、ひとつのテクニックです。巾木がアクセントになり、部屋の印象が引き締まります。家具などのインテリアとあわせて考えましょう。

2. サイズで選ぶ時のポイント

サイズ選びにもポイントがあります。巾木は壁を保護する役割を持っているため、保護することに適した高さがあるかを確認しましょう。例えば、掃除機が当たる衝撃を重視するなら、普段使っている掃除機の高さを測って巾木のサイズと比較するのもオススメです。

また、一般的には日本の住宅では巾木が目立たないサイズを選びます。一方、欧風住宅ではモールディングと呼ばれる幅があり装飾された巾木を用いる傾向があります。

これは欧風住宅の天井が高く、巾木が高くても圧迫感が生まれにくいことが関係しています。日本の多くの住宅は欧風住宅よりも天井が低く作られているため、巾木が高くなったり目立ったりすると圧迫感が出がちです。

そのため、巾木のサイズを選ぶ時には、部屋の広さや高さとのバランスにも注意しましょう。

3. 機能性で選ぶ時のポイント

巾木は見た目だけではなく、機能も重視しましょう。例えば薄い巾木はホコリが溜まりにくいというメリットがありますが、薄すぎると衝撃をうまく吸収できず、壁に思わぬダメージが生まれてしまいます。

また、巾木の角は衝撃を受けると凹んだり剥がれたりすることがあるため、保護用のキャップがあると安心です。このように、巾木の機能性にも注目して選ぶことで、より快適な暮らしを作り出せます。

巾木をDIYで取り付ける際の注意点は?

巾木とは? 幅木・廻り縁との違いや必要性を解説!
DIYで巾木を取り付ける際には、これから紹介する3つのポイントに注意しましょう。

初心者はソフト巾木を選ぶ

DIY初心者にオススメの巾木は、ソフト巾木です。ソフト巾木は柔軟性があり、取り扱いやすいという特徴があります。安定した材質であることもオススメの理由です。木巾木は気温や湿気で変形する可能性がありますが、ソフト巾木ならその心配がほぼありません。

また、ソフト巾木は施行方法も比較的手軽です。接着剤を使えば貼り付けられるため、特別に高い技術を必要としません。木工用ボンド、または専用の接着剤を用意しておきましょう。

さらに、デザインのバリエーションも豊富で、セレクトが楽しめるのもソフト巾木のよい一面です。

養生は丁寧に行う

接着剤で汚したくない部分をマスキングテープやビニールテープで保護をする養生も、巾木をDIYで取り付ける際の重要なポイントです。巾木を設置する時には周辺の床や壁に接着剤がつかないよう、丁寧に養生を行いましょう。

養生に使えるマスキングテープやビニールテープは、ホームセンターや100円ショップで購入できます。ビニールテープは「養生テープ」という名称で売られていることもあるため、比較的簡単に見つけられるはずです。

サイズを正確に揃える

巾木は正確なサイズを把握してから用意しましょう。一般的に売られているソフト巾木は、長さが約90cm前後です。まずは壁のサイズを測り、必要な巾木の枚数を計算してから、実際に購入することをオススメします。

また、購入時は計算通りぴったりの枚数ではなく、2~3枚ほど数に余裕を持たせて購入しましょう。万が一失敗してもリカバリーに活用できます。失敗しなくても保管しておけば先々のメンテナンスに使えるため、多めに用意しておくと安心です。

巾木は壁をダメージから守るだけではなく、部屋のイメージに関わる重要な部材です。DIYやリフォームの時には機能や部屋とのマッチングを考えて選びましょう。素材や色のバリエーションも豊富なため、じっくり考えて理想の巾木を探してみてください。

DIYer(s)

WRITTEN BY

DIYer(s)

Japan

DIYer(s)編集部です。DIYのアイデアやハウツー、おすすめツールやショップ情報まで幅広くお届けします!