外壁コーキングの寿命は何年?リフォームの目安と補修相場

外壁コーキングには寿命があり、劣化してしまうと大切な家の構造材に雨水が浸透してしまうことも。それを防ぐためには定期的な点検とリフォームが必要です。この記事では、外壁コーキングの寿命や劣化のサイン、リフォーム費用などをご紹介します。

公開日 2020.03.23

更新日 2022.01.07

外壁コーキングの寿命は何年?リフォームの目安と補修相場

外壁コーキングと聞いても、そんなに重要なパーツとは思っていない人も多いかもしれません。
でも外壁コーキングは実は家に欠かせない大事なものです。
コーキングの知識を持つことは、大切な家を守るために役立ちます。
コーキングが劣化した場合の症状や寿命、リフォーム費用のことやコーキングの種類などについて覚えておき、長く安心して住める家を維持しましょう。

何年持つ?外壁コーキングの寿命

外壁コーキングの寿命は何年?リフォームの目安と補修相場
外壁コーキングの寿命は、5~10年程度とされています。「もっと長持ちしないものか」と思ってしまいますが、寿命が短いのには理由があります。
コーキング剤は弾力のあるゴム状なので、経年とともに硬くなっていきます。これはコーキング材に限ったことではなく、ゴム製品に共通する特徴です。
身近なものでは輪ゴムがありますが、経年劣化すると弾力が弱く硬くなり切れてしまいます。外壁コーキングは雨や紫外線を浴び続けるため、劣化のスピードがほかの部分より早いのです。
もちろんすべての外壁コーキングが5年経てば寿命を迎えるわけではなく、日当たりの良さなど環境の違いによって差があります。長ければ10年ほど持ちますが、5年が経ったら点検をすることをオススメします。

コーキングの役割

コーキングは、外壁だけではなく住宅のさまざまな場所に使用されています。「シーリング」という言い方をする場合もありますが、コーキングと同じものを指しています。

コーキングの役割は、『隙間をふさいで水や物の侵入を防ぐこと』です。家を建てる際に、部材や住宅設備が接する面に必ず隙間ができます。家の部材の隙間から水やゴミなどが入ると、構造材の腐食やカビの原因になります。
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家を作っているパーツの中で目立たない存在であるコーキングですが、実はとても重要で必要不可欠なものなのです。

コーキング剤が使用されている場所

コーキング剤は、家の中のさまざまところで使用されています。
家の外では、外壁素材の継ぎ目や窓と外壁の隙間、換気扇や通気孔と外壁の隙間を埋めるために使われます。

家の中では、キッチンの壁との隙間、浴槽と壁の隙間、トイレの便器と床の隙間、壁や天井のクロスの角の部分の継ぎ目などを埋めるために使われます。
クロスやトイレのコーキングは、劣化しても特に心配は要りません。また、お風呂のコーキングが劣化した場合も、隙間から侵入した水はその下の排水口に流れるだけなので、ただちに問題が起こることはありません。
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しかし外壁やキッチンのコーキングは、劣化してしまうと侵入した水が雨漏りや構造材の腐食の原因になるので、早急に補修する必要があります。特に外壁のコーキングは、普段何気なく見ているだけでは劣化に気づかないこともあるので、定期的にチェックすることが大切です。

外壁コーキングの寿命や劣化を知らせるサイン

外壁コーキングの寿命や劣化のサインをセルフチェックするためのポイントをご紹介します。

コーキング剤の肉痩せやヒビ

コーキング材が正常な状態の場合、外壁材の面と段差がほとんどありません。これがベストな状態だと覚えておきましょう。
コーキング剤の初期に見られる劣化症状には、「肉痩せ」と「ヒビ割れ」があります。
「肉痩せ」とは、コーキングの部分がへこんで溝状になってくる状態のことです。
さらに劣化が進むと、コーキングの表面に細かいヒビが入ってきます。これが「ヒビ割れ」です。
「肉痩せ」や「ヒビ割れ」を見つけたら、念のために専門の業者に点検してもらいましょう。劣化の程度によっては経過観察してもいいと判断されることもあります。

外壁とコーキング剤の隙間

外壁コーキングの劣化がもう少し進むと、外壁材とコーキング剤の間に隙間ができてきます。
原因としては、主に2つのことが考えられます。
ひとつは、プライマーの施工不良によるものです。プライマーとは下塗り材のことですが、その塗り忘れや塗りムラが原因となるのです。打ち換えのタイミングでプライマーを入れる対策が必要となります。
もうひとつは、3面接着で施工していたため、外壁材の動きにコーキングが連動できなかったことによるものです。3面接着とは、コーキングする溝の3面に接着する方法のことです。コーキング剤は外壁材のわずかな動きに連動する必要があるため、2面接着が正しい施工法になります。
対策としては、打ち換えのタイミングでコーキング剤が接着しないボンドブレーカーというテープを奥の面に貼ることで、3面接着から2面接着にする方法があります。

コーキング剤の真ん中が裂けている

さらにコーキング剤の劣化が進んで寿命が近づくと、コーキング部分の真ん中に亀裂が入って裂けてきます。この場合、打ち換えの際に耐久性の高いハイグレードなコーキング剤を使用する対策が必要となります。

コーキング剤の奥が見えている

コーキング剤の裂け目の奥にグレーの下地や青いものが見えたら、それはコーキング剤とは別の部材です。コーキング剤の奥にある部材は、バックアップ材やハットジョイナーと呼ばれるものです。
バックアップ材とは、コーキング剤で埋める目地の深さや幅を調節したり3面接着を防いだりするものです。バックアップ材のひとつに、ハットジョイナーという断面がシルクハットのような形のものがあります。バックアップ材は目地にはめ込む形で固定し、その上をコーキング剤で埋めていきます。
ハットジョイナーやバックアップ材などがコーキング材の奥に見える原因は、コーキング剤の厚みが少ないことによるものです。
対策としては、バックアップ材を撤去し、ボンドブレーカーのみにしてコーキングの厚みを増やす処理を実施します。
撤去のできないハットジョイナーを使用していてコーキングの厚みが確保できない場合は、カバー部材やブリッジ工法などで厚みを増やす方法を取ります。

外壁コーキングのリフォーム費用

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次に、外壁コーキングに劣化が見られた場合のリフォーム費用についてご紹介します。

工法による費用の違い

外壁コーキングの補修方法には、「打ち換え」と「増し打ち」の2通りがあります。
「打ち換え」は打ち直しとも言い、元のコーキングを完全に取り去ってから新しくコーキングを打つ方法です。コーキングが全て新しくなるので、また5年~10年ほどの耐用年数があるメリットがあります。一方で、費用が比較的高くなります。
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「増し打ち」は打ち増しとも言い、劣化してやせ細ったコーキングを取り除かずに上から新しくコーキング剤を施工する方法です。既存のコーキングを撤去する費用が不要なのでリフォーム費用が比較的安くなります。また、施工時間が短いというメリットもあります。
デメリットとしては、打ち換えと比べて強度が低く、耐用年数が短いことが挙げられます。また、劣化のサインがわかりにくくなります。

コーキングのリフォームは、基本的には「打ち換え」がよいとされます。また、状態によって「増し打ち」ができないケースもあります。
「打ち換え」と「増し打ち」どちらの工法にするかで、リフォーム費用が違ってきます。以下に各費用の具体例をご紹介します。

打ち換え(打ち直し)の場合

「打ち換え」の費用目安は、コーキング1mあたり約900~1,200円です。そのほかに、既存コーキングの撤去費に約1万~3万円、足場代:約15万~20万円がかかります。
一般的な2階建て住宅を想定した場合、180mのコーキング打ち換えで162,000円~216,000円、撤去費と足場代を合計して322,000~446,000円ほどが目安となります。
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増し打ちの場合

「増し打ち」の場合、コーキング1mあたり約500~900円が目安となります。既存コーキングの撤去費は不要ですが、足場代に約15万~20万円ほどかかります。
同じく180mのコーキング増し打ちをした場合には90,000円~162,000円、足場代と合わせて240,000~362,000円ほどが目安となります。
このように、「増し打ち」は撤去費がかからないこともあり、リフォームの総額が安く抑えられます。
しかし、外壁材自体のリフォーム時期と次回のコーキングのリフォーム時期がずれてしまうことがあり、その場合は足場代がその都度かかることになるため、トータルで見ると高くなってしまいます。
外壁リフォームは、コーキングだけでなく外壁塗装や貼り替えなども必要な時期がきますので、信頼できる業者に将来的な費用も含めてどの工法にするのがベストか相談しましょう。

種類によって違う外壁コーキングの寿命

コーキング剤の寿命は約5~10年と幅があります。その理由のひとつに、コーキング剤の種類の違いが挙げられます。コーキングの補修の際には、種類による寿命や品質の違いを知っておくと役に立ちます。

1液型 or 2液型

コーキング剤には、「1液型」「2液型」の違いがあります。
1液型は1液のみ、つまりそのまま使えるコーキング剤のことです。ホームセンターなどで購入できるので、一般の人でも簡単に扱うことができます。
2液型は、2種類の材料を混ぜて使うコーキング剤のことです。主剤(コーキング剤)と硬化剤(コーキングを固めるもの)を施工する材に混ぜて使います。そのため、施工や管理に手間と時間がかかりますが、1液型よりも耐久性があり寿命が長くなります。
2液型は、一般の人には扱いが難しいため業者に依頼する必要がありますが、業者の中でも特に技術の高い業者しか扱っていません。

素材や成分の違い

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コーキング剤は、素材や成分によってもいくつか種類があります。ここでは外壁コーキングによく使用される、「水性アクリル」「ウレタン系」「変性シリコン」について説明します。
「水性アクリル」は最も耐用年数が長い素材です。主に新築のALCパネルのコーキングに使用されます。安価で耐久性が高いですが、乾燥時間が短いと雨水で取れてしまうため、工事期間が長くなります。
「ウレタン系」は水性アクリルの次に耐用年数が長い素材です。新築よりもリフォーム時での採用が多く、外壁塗装やコーキングのヒビ割れ補修に使われます。新築時の窓まわりにも使用されます。塗装との密着性が高いのが特徴です。
「変性シリコン」は3つの中で最も耐用年数が短い素材です。一般的なシリコンは上から塗装できないのに対して、変性シリコンは上から塗装できることや紫外線に強いことが特徴です。外壁コーキング剤としてとても優れているので、新築のサイディングによく採用されています。ほかにもRC壁やモルタル外壁のヒビ割れ補修など多くの工事で使用されます。

外壁コーキングは過酷な環境の影響を直に受けているので、劣化は避けようがありません。大切な家の寿命まで縮めてしまうこともありますので、こまめにチェックして早めに対処しましょう。
外壁コーキングのリフォームは家の強度に関わってきますので、DIYよりもプロに相談することをオススメします。

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