リフォームに人気の素材、ガルバリウムって?魅力とメンテナンス法を紹介

ガルバリウム鋼板は、耐久性や防水性に優れた建材です。素材自体が軽いので、既存の屋根や外壁の上に重ねて施工する「カバー工法」によく用いられています。当記事では、ガルバリウム鋼板のメリットやデメリット、実際にガルバリウム鋼板を採用した事例などをご紹介します。

公開日 2020.08.16

更新日 2022.01.07

リフォームに人気の素材、ガルバリウムって?魅力とメンテナンス法を紹介

耐久性や防水性に優れ、かつ軽量なことから、既存の屋根や外壁などの建材として重宝されている「ガルバリウム鋼板」。その一方で、デザインの選び方や使う場所によってはチープに見えるなど、デメリットもいくつか存在します。ガルバリウム鋼板を建材に採用する場合は、その特徴やメンテナンス方法など、あらかじめポイントを押さえておくことが重要です。
そこで当記事では、ガルバリウム鋼板の性能や実際の使用例などについて詳しくご紹介します。ご自宅のリフォームを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

屋根材でよく聞くガルバリウム鋼板ってなに?

アルミニウム55%・亜鉛43.4%・シリコン1.6%を組み合わせた合金に、メッキ加工を施した鉄(鋼板)のことを「ガルバリウム鋼板」と呼びます。ガルバリウム鋼板は製品名であり、正式な素材名は「アルミ亜鉛合金めっき鋼板」です。

1972年にアメリカのベスレヘムスチーム社で開発され、1982年から商用生産が開始されました。ちなみに、亜鉛のみでメッキした鉄は「トタン」、スズでメッキした鉄は「ブリキ」です。いずれも中身はサビに弱い鉄であり、メッキする成分によって、鋼板そのものの寿命が大きく変わってきます。
一般住宅で主に使われているのは、厚み0.35mm~0.5mmの非常に軽い製品です。鋼板のみだと遮熱性や遮音性に劣るため、鋼板の裏側に断熱材を貼り付けた「断熱一体型」の商品も一般的になってきました。屋根や外壁の張り替えリフォームのタイミングで、劣化した化粧スレート瓦やサイディング材を撤去せずに上から施工する、いわゆる「カバー工法」などによく用いられています。

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板は、亜鉛鉄板(トタン板)とメッキ鋼板の長所を兼ね備えた建材です。亜鉛の持つ「犠牲防食作用」と、アルミニウムが持つ長期耐久性・耐熱性を中心に解説します。

サビに強い

ガルバリウム鋼板の成分の1つである亜鉛は、「犠牲防食作用」を持っています。犠牲防食作用とは、亜鉛めっき皮膜に何らかの理由でキズが付いた時、周囲の亜鉛が陽イオンとなって鉄の腐食(サビの原因)を抑制し、電気化学的に保護する作用です。サビは家屋の外観を損なうだけでなく、耐久性も低下させてしまう要素なので、サビにくいというだけで優位性があります。

耐久性が高い

使用環境にもよりますが、駐輪場や倉庫に使用されている亜鉛鉄板に比べ、約3~6倍の耐久性が期待できます。その理由は、アルミニウムが持つ長期耐久性にあります。アルミニウムは、軽金属の中でも特にサビにくい性質を持っています。そのため、亜鉛鉄板に比べて酸性雨などの自然災害に強く、軽量ゆえ耐震性にも優れているといえます。

費用対効果が高い

亜鉛鉄板の耐用年数が約6~10年なのに対し、ガルバリウム鋼板の平均的な耐用年数は約25年、沿岸部であれば約15年です。潮風にさらされたエリアでない限り長持ちする上、価格もステンレスに比べ安価と、費用対効果に優れています。

また、メッキ比率の50%以上を占めるアルミニウムは、遠赤外線などの「輻射熱」を遮るため、宇宙服に採用されています。屋根に素地材(塗装していないタイプ)を使用すれば、遮熱材として夏の熱線対策にも有効です。

加工しやすく、デザイン性が高い

ガルバリウム鋼板は熱伝導率が高く、加工が容易です。メッキ層が柔らかいため、複雑な加工にも対応できます。また、着色性にも優れるためカラーバリエーションが豊富で、光沢はツヤあり・ツヤなしが選べます。近年のプリント技術向上により、木目調やレンガ調、石彫柄などバラエティに富んだ商品も増えてきました。

ガルバリウム鋼板のデメリット

このように、ガルバリウム鋼板は使い勝手のよい建材なので、メリットばかり強調されがちですが、完璧ではありません。いくつかデメリットも持つため、それらをきちんと把握した上で検討しましょう。

絶対にサビないわけではない

ガルバリウム鋼板は絶対にサビないわけではなく、「数ある金属板の中ではサビにくい特徴を持っている」という認識が正解です。物理的なキズや水気の多い環境などに弱く、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に、海沿いの潮風にさらされたエリアでは、白カビが発生しやすいので、やや高価ではありますがステンレス素材のほうがおすすめです。

また、住宅周りに庭木が茂っている場合も同様のリスクがあります。枯れ葉や木くずには酢酸が含まれており、酸によってサビが生じることもあります。定期的に剪定して、風通しを確保する必要があります。

断熱効果がない

ガルバリウム鋼板の施工方法は、一般的に「横葺き」か「縦葺き」が採用されます。横葺きでは地面に対して建材が並行になるよう配置し、縦葺きでは垂直になるよう配置します。横葺きは縦葺きに比べ、水の流れが悪いので、屋根の勾配が足りない場合、縦葺きが推奨されるケースがあります。

市場で一般的なのは横葺きで、硬質ウレタンや発泡ポリエチレンなどの断熱材が一体型となった「成型ガルバリウム鋼板」と呼ばれる商品が流通しています。一方の縦葺きは、現場ごとに加工が必要になる一枚物の鋼板です。
ガルバリウム鋼板そのものには断熱性能がなく、そのまま使用した場合、室内温度が上昇しやすくなります。そのため縦葺きで施工する際は、他の断熱材との併用が必要です。

見た目の好みがわかれる

金属の持つスタイリッシュな印象と、瓦のように凹凸のないシンプルなデザインは、デザイナーズ物件に好んで採用されています。しかし素材そのものが薄く、昔ながらのトタンを連想させるため、安っぽい印象を持つ方もいるなど、好き嫌いが分かれやすい材質でもあります。特に淡色や白系統、明るめのシルバーはコーディネートが難しいので、ブラックや濃い目のグレー、ネイビーなどがおすすめです。
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初期費用や維持費用がかかる

運搬や施工のタイミングでキズが付きやすいため、取り扱いに手間が掛かります。また、メンテナンスで10~20年おきの塗装が推奨されていますが、塗装に不備があると数年で剥がれてしまうリスクもあります。ガルバリウム鋼板に精通した職人に依頼する必要があるので、施工費もかさみます。

長持ちさせるための自宅でできるメンテナンス方法

雨が当たりにくい軒下や、日の当たりにくい北側の屋根や壁には、塩分や酸が付着しやすいので、年に一度可能な範囲で水洗いすると、白サビの発生を抑制できます。

水洗いの方法は、ホースの水かけ程度の水圧で汚れやホコリを洗い流します。汚れが気になる部分は、中性洗剤を1~2%水に薄め、スポンジや柔らかい布で軽く擦りましょう。手の届かない場所には、高所用清掃用具が便利です。洗浄後に乾いた布で拭き取ると、サビやコケの発生を防止できます。
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注意事項として、建材にダメージを与えてしまうので、高圧洗浄機やタワシ、ワイヤーブラシなどの使用は控えましょう。また、洗剤は中性洗剤のみで、アルコールやシンナーのような有機溶剤や、酸性・アルカリ性洗剤、研磨剤入りのクレンザーの使用も控えてください。

ガルバリウムを使ったリフォームの費用相場

ガルバリウム鋼板の相場は、材料費と施工費を合わせて6,000/㎡が目安です。しかし、使用する商品やシーリングの施工、足場設置費や養生費などが加算される可能性もあるので、詳細は施工業者の見積もりを参考にしてください。以下、外壁・屋根のリフォーム費用の目安をご紹介します。

外壁の張り替え

現状の外壁材を撤去し、ガルバリウムに張り替える際の費用は、撤去を含めて約140~270万円が目安です。既存の外壁材の種類や、張り替え用ガルバリウムのグレードなどにより、価格は上下します。

外壁のカバー工法

今ある外壁の上に、新しいガルバリウム材を重ねるカバー工法の場合、予算は約120~260万円が目安となります。既存の外壁を撤去する必要がないため、張り替えに比べてやや安価です。張り替え同様、商品のグレードや規模により価格は変動します。

屋根の葺き替え

葺き替えとは、既存の屋根を撤去して新しい屋根材に交換する工事のことです。経年劣化などにより、下地にまで損傷が及んでいる場合におすすめです。費用はおおむね約120~200万円で、商品のグレードや施工範囲によって価格は上下します。

屋根のカバー工法

既存の屋根の上にガルバリウムを重ねるカバー工法は、葺き替えに比べやや安価です。塗装で修復できないレベルまで屋根が劣化している場合におすすめです。費用はおおむね約80~150万円で、屋根の大きさや状態により価格は変動します。

ガルバリウムを使った施工事例を紹介!

ここからは、ガルバリウム鋼板を使った施工事例をご紹介します。ご自宅のリフォームの際は、ぜひ参考にしてみてください。

白を基調とした平葺き仕上げのガルバリウム施工

toolboxよりご紹介。「平葺き」とは、横葺きの一種です。横葺きは「段葺き」と「平葺き」の2つに大別され、段葺きが立体的で重厚的なイメージなのに対し、平葺きは継ぎ目を重ねずフラットな印象を持ちます。縦の境界線がないので、全体がシンプルでミニマムに収まっています。大開口の窓には遮光用のブラックフィルムが貼ってあり、外壁の白と黒の対比が素敵です。

ガルバリウムの質感を活かした先進的なオフィスデザイン

リフォームに人気の素材、ガルバリウムって?魅力とメンテナンス法を紹介
軽量のガルバリウムだからこそできる、窓を最大限主張したインダストリアルなオフィスデザインは、SUPPOSE DESIGN OFFICEの事例よりご紹介。勤務中のオフィスで自然光を浴びると、生活や睡眠、モチベーションがアップするといわれています。外と内の境界をギリギリまで無くすことで、オフィス内に周囲の景色を引き込む工夫がなされています。

斜め張りのガルバリウム鋼板が目を引く施工事例

誰もが立ち止まって眺めてしまう、牛乳パックのような狭小住宅のデザイン例をtoolboxよりご紹介。限られた空間に広がりを持たせるため、外壁から屋根に続いて同じガルバリウムを採用し、斜めに配置することで奥行きを与えています。ガルバリウムの質感と対比させた、1Fの木製サッシの素材感が魅力的です。

ガルバリウム鋼板は、スタイリッシュな見た目と高い機能性により、リフォームにおすすめの建材です。建材にはメリットデメリットがあり、ご自宅の環境によりフィットする商品が異なります。日本は台風や地震が多い災害大国なので、屋根や外壁など住宅を守る建材にはとことんこだわりたいところでしょう。そこで、おすすめのリフォーム業者をご紹介します。
「カシワバラ・コーポレーション」は、マンションの大規模修繕から戸建て住宅まで、約6,000棟の施工実績がある、建築のプロ集団です。長年で培った実績により、住まいのトータルメンテナンスが可能になりました。「ここが不便だな」「こうだったらいいのに」「もっとこうなって欲しい」といった日常の不都合を、優れたデザインと施工力で解決に導きます。

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