靴を育てる:自由大学

東京メトロ表参道駅から徒歩約1分のCOMMUNE 2ndにメインキャンパスを置く「自由大学」。“知る楽しさと考える面白さを日常の中に取り込む”きっかけを提供するべく、ここでは様々な分野の学びをキュレーションしています。 そんな自由大学で行われている講義の中から、DIYer(s)編集部が気になるコンテンツをご紹介する本企画。今回は靴を大事に履き続けることの楽しさを学ぶ『20年履ける靴に育てる』をピックアップ!

公開日 2017.12.15

更新日 2018.01.06

靴を育てる:自由大学

ともに成長できる靴に育てよう

自由大学では11月17日(金)より、自分にあった革靴の選び方からその“育て方”まで、多角的に学ぶことができる『20年履ける靴に育てる』講義が開催されています。今回は講師を務める靴磨き職人、明石優さんにお話を伺いました。

自由大学とは

2009年に開校以来『大きく学び、自由に生きる』をテーマに、およそ170種類のオリジナル講義を実施している自由大学。のべ9,000人を超える人たちが受講しているこちらでは、それぞれが講義の中で自分について考え、人との対話を通して思考力を身につけています。自由に生きるヒントを得る場として、様々な角度から“学び”を提供しているのです。
靴を育てる:自由大学

そもそも明石さんが靴磨きに興味を持ったきっかけを教えてください。

「学生の頃、自転車で日本一周の旅をしたとき、その旅先で靴磨き職人に出会ったことがきっかけでした。同い年だった彼と意気投合して話を聞いているうちに、『靴磨き職人って自由だな』と思ったんです。道具が一式あれば、その日の食費とホテルの宿泊費を稼ぐことだってできてしまうんですよ。さらに、磨いている最中はお客さまの靴を預かっているので、いくらでもコミュニケーションがとれる点も魅力でした。旅行先で知らない人に話しかけるのって、案外勇気がいるんですよ(笑)。だけど靴を磨けば、お客さまとの会話の中でその土地の情報が手に入ったりします。そんな身軽さが、靴磨きっていいな、と思った理由でした」

靴を大事に履き続けることのメリットは何だと思われますか?

「靴にもトレンドはありますが、普遍的なデザインを選べば本当に長く使い続けることが可能です。多少体型が変わっても使えますし、大事に履き続ければお父さんの靴を息子に引き継ぐことだってできちゃうんですよ。これは革靴ならではのメリットだと思っていますね。さらに、革靴のソールの下にはコルクがあるので、自分だけの足型がついて唯一無二の一足になるんです」
靴を育てる:自由大学
かつて、高級車であるロールス・ロイスの車を盗まれた英国紳士が『車はやるから、トランクに入っている靴10足だけは返してくれ』と新聞で呼びかけたという逸話が残っているそう。それほどまでに、新品にはない魅力が使い続けた革靴にはあるのですね。

20年履ける靴に“育てる”

自由大学の講義は、基本的に5回で1セット。明石さんが担当されている「20年履ける靴に育てる」では、毎回異なる視点から靴について学ぶことができます。
流れとしては、下記のように行なっているそうです。
靴を育てる:自由大学
■1回目
TPOや、自分の足にあった靴の選び方などについて学びます。
■2回目
靴の保管方法や、長持ちさせるために気をつけたいちょっとした注意点を教えてもらいます。
■3回目
実際に靴を磨きます。コツを教えてもらいつつ、ツヤツヤに仕上げてみましょう!
■4回目
革靴の正しい水洗いの仕方や、カビ、シミが気になったときの対処法を学びます。
■5回目
大切な人の靴を持ち込み、磨きます。授業内でその方宛の手紙を書き、靴と合わせてプレゼントします。

「新品が必ずしもベストではない」と語る明石さん。実はこちらの授業では、靴に新品同様の輝きを取り戻すことが目的ではないのだそう。
「新品の靴はもちろん美しいのですが、まだ深みがないんですよね。傷や履き皺、シミができたからこそ表現される美しさがあるんです。エイジングしたからこその美と言いますか…。少し人間と通ずるものがありますよね」。
靴を育てる:自由大学
常に変化を続ける革靴には、明石さんの講義の名前の通り、“磨く”よりも“育てる”という言葉がぴったりかもしれません。
さて、そんな大事なパートナーを長持ちさせるために必要な技術として、靴磨きがあります。自宅でもできる靴のお手入れ方法を教えていただきましょう!

靴を丁寧にメンテナンスして、さっぱりキレイな足下にしよう

それでは、早速靴磨きをしていただきます。
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紐靴の場合、まずは紐を抜いておきましょう。

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古いクリームを、靴用の汚れ落としで取り除きます。

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靴の色にあったクリームを手で載せます。

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これは乳化性のクリームで、水分、油分、乳化剤、そしてロウが主成分なのだそう。革の表面を柔らかくし、色味を整えてくれます。

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続いて、豚毛のブラシで表面を磨きます。この作業によって、クリームをさらに浸透させることができるのです。細かい繊維に油分と水分が入り込み、ふっくらと柔らかい、履き心地の良い靴になります。

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表面に残った余分なクリームを拭き取り、表面をサラサラに整えましょう。

ここまでが基本のケアになります。これで革は健康な状態に整えられました!
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靴をツヤツヤに仕上げていきましょう。ポリッシュを水で溶きつつ、指で塗りこみます。

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この「ポリッシュ」は、ロウが主成分。塗ることで革の表面に膜ができて、水や傷に強くなりますよ。

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次に柔らかい布を指に巻き付け、ポリッシュを含ませて磨きます。

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指に巻く際、布に一切シワを作らないのが光らせるポイントです。

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靴ひもを通しましょう。

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仕上げには、水分を含ませたヤギ毛のブラシで丁寧にブラッシングします。

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完成!ふっくら柔らかくも、こっくりとした革の色と上品なツヤがなんとも素敵ですね。

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ちなみに初心者は、馬毛のブラシ、豚毛のブラシ、汚れ落とし、そして靴の色に合わせたクリームがあればじゅうぶんとのこと。ものにもよりますが、約3,000円でこれらを揃えることも可能だそうです。

靴を磨くこと、それは大量消費社会に対する優しいアンチテーゼ

最後に、明石さんが講義に込めている思いについて教えていただきました。

講義を通して、生徒のみなさんには何を得てほしいと考えていらっしゃいますか?

「豊かな生活を得てほしいですね。“豊か”というのは物質的な意味でなく、もの一つ取っても、きちんと自分で取捨選択して生きていける豊かさです。安くて良い商品が店頭に溢れているので、その分、捨てられるものもとても多いですよね。だけどいらなくなったら売ればいいとか、捨てればいいとか、やっぱり味気ないじゃないですか。大事な革靴に少し手をかけて、ずっと付き合い続ける。本当に気に入ったものだけに囲まれて丁寧に生活を送るのは、豊かなことだと思うんですよ。そんなことを、靴磨きを通して考えてくれたら嬉しいですね」
靴を育てる:自由大学
「使い捨てが好きじゃない」。そう語る明石さん曰く、革靴をきれいに整える習慣がつくと自然と買い物の仕方が変わり、家具も手入れをするようになるのだそう。

モノは、新しい状態こそが最高である。そんな固定概念を失くすことは、自由に生きていくための第一歩になるかもしれませんね。

PROFILE

明石優
靴磨き職人。百貨店や一流アパレルブランドのイベントにて、靴磨きパフォーマンスを行なっていた。現在は『自由大学』、熊谷『NEW LAND』などにて、靴磨きの講師として活躍中。さらに、靴のケアをより身近感じてもらうため、代々木公園にてaozora shoeshine schoolも開講している。

aozora shoeshine studio: http://aozora-shoeshine.com

School Data

自由大学 COMMUNE 2ndメインキャンパス
住所:東京都港区青山3-13 COMMUNE 2nd内
URL:https://freedom-univ.com/

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