京都の持つ伝統とクリエイター精神が、DIY文化を育む

公開日 2016.01.08

更新日 2022.01.07

京都の持つ伝統とクリエイター精神が、DIY文化を育む

壁に穴をあけたり、ペンキを塗ったりといったことが制限されることの多い賃貸物件は、DIYerにとっては悩みの種のひとつ。

でも、空き家の増加が問題になり、自分の家や仕事場を自分好みにDIYしたい若者が増えるにしたがって、DIY可能な賃貸物件も増えてきています。

そんな「DIY可能な賃貸物件」の情報に特化したサイトが「DIYP(http://diyp.jp/)」。”自分らしい空間を作り込む事ができる自由度の高い物件”を集めるサイトとして人気を集めています。そしてその情報は東京だけでなく、他の都市もフィーチャーした「DIYP KYOTO(http://diyp.jp/kyoto)」もあるんです。その名の通り京都の情報を発信し、関西圏のDIYerに重宝されています。

 

 

この情報発信をまとめる運営の岸本さんは、京都府宇治市の出身。フリーで不動産の企画・仲介・管理を行うほか、堀川団地再生や京都移住計画など様々なプロジェクトにも参画されています。

 

そして今回、そんな岸本さんに京都の街とDIY文化を中心にお話を伺いました。

 

 

ーDIYP KYOTOをスタートしたのは、どのようなキッカケだったのですか?

 

以前東京の不動産ベンチャーで働いていたときに、「DIY可能賃貸」の事業を立ち上げたんです。築30年以上になると借り手がつかず価格か下がる。そんな当時の不動産業界の”当たり前”がイヤで、「DIY可能」という新たな価値を提案したかった。そんなときに、自社の物件の掲載先としてつながりがあったのがDIYPです。

その後、わたしは独立して京都へ戻り、個人で不動産業をはじめましたが、東京のDIYPのメンバーと話をしていたときに「京都でもやってみたら」という話になったのがきっかけです。

 

ーDIY可能な物件はどのように見つけるのですか?

 

情報に敏感な大家さんなどから直接連絡をいただくケースがほとんどです。なので、共有の不動産情報データベースから検索する一般的な賃貸情報サイトとはそもそも構造が違います。

また、最近では「築年数」や「駅からの距離」などの従来の指標とは別に、興味のある一部の人にとって魅力的な「おもしろ物件」を紹介するサイトもありますが、 DIYPは一見「DIY可能」に特化している点では似ていますが、独自に物件を開拓している点で構造が違います。

 

ー京都におけるDIY可能物件の特徴といったものはありますか?

 

京都では昔から小商いが盛んだったためか、1階が店舗、2階が住居といった「職・住一体型」の物件が多いのは特徴かもしれません。ただ、やはり東京と違って物件の数は少ないですし、バリエーションも限られています。

 

岸本さんに案内してもらった、DIY可能物件の一例。(契約済)

 

 

人気の左京区エリア、建物の一部の元倉庫。30㎡で家賃は38,000円というから驚き。

 

 

事前にオーナーに了承を得ることで原状回復義務なしという条件が嬉しい。

 

ー京都でDIY可能物件を探す人や借りる人はどういった方が多いですか?

 

まず、店舗やアトリエ用として探す方が多いです。そして、アーティストやクリエイターなどの職種の人が多い。これは決して広くはない面積の中に多くの美術大学・芸術大学を抱える京都という街の特徴だと思います。それはそれで面白いのですが、わたしとしてはもっと普通の職種の人も住居としてDIYを楽しみながら暮らしてもらえるようになればといいなと思っています。

 

 

ー全国的にDIYカルチャーが盛んになってきていますが、京都ではいかがですか?

 

京都にはもともと伝統を大切にする文化が根付いていて、古いものを直しながら繰り返し使うということが”当たり前のこと”として捉えられているように感じます。そんな土壌の中で、美術や芸術を学ぶ学生や、アーティスト・クリエイターが多くいることから、古いものに新たな価値を創造していく作業が日々おこなわれていて、とても質の高いDIY文化を生み出しています。

京都は街が小さいためか、様々な技術を持った業種の人たちが個人的に横のつながりを持っていて、自分の仕事場をDIYするときも、友人たちが集まれば大抵のことができてしまう、という事例も多いんです。

わたしは一度京都を離れ東京で働いたからこそ、京都のそういった文化の中で自分ができることに気づけたんだと思います。

 

 

京都というと「古都」や「神社仏閣」、「観光地」というイメージを持つ人が多いかもしれません。でも、実際に京都の街に暮らしてみると、古いものに新しい価値を見出し、クリエイティブに生活している人々がたくさんいることに驚かされるなど、その場所ならではの新しい発見があります。

DIYすることに年齢や性別が関係ないように、場所も選びません。自分らしいアイデアを具現化させることが何より大切なんです。

その始まりとしてDIYPやDIYP KYOTOを見ながら妄想にふけてみるのはいかがでしょうか。きっとワクワクして、何か作りたくなりますよ。

 

written by keita nakamura

DIYer(s)

WRITTEN BY

DIYer(s)

Japan

DIYer(s)編集部です。DIYのアイデアやハウツー、おすすめツールやショップ情報まで幅広くお届けします!